二度目の召喚はクラスごと~初代勇者の防衛戦~ 作:クラリオン
それでは第二十三話、どうぞ!
自分でも、何か悪役っぽい言い方だよなあと思ったセリフに、ビクッと相手が反応した瞬間に動いた。現在後衛に居るのは17人。うちこちらに攻撃が可能そうなのは<魔導師>2、<魔導士>2、<死霊術師>1、<傀儡術師>1、それから<調教師>は……動物を連れていないので無視できる。
しっかしほんと、28人もいると職業もより取り見取りじゃねえか、羨ましいな。俺達の時は4人だけだったのに……まあ多すぎてもいいことは無いか。
とりあえず攻撃可能な奴に対し、<
が、当たる直前で、透明な障壁か何かに当たって消える。
「ああ、なるほどねえ」
<結界術師>か、なるほど。攻撃かける前は魔力の動きを感知しなかったから、多分あの一瞬で張ったんだろうな。
今代<勇者>パーティーも割と優秀ではあるんだろうな、性格に難があるだけで。
……それが一番駄目じゃねーか。なんだよ性格に難がある<勇者>って。
そんな事を考えながら、再びの<光槍>。ただし、今度は俺の全力で、連発。
パリン!
そんな音を立てて結界が砕け散る。当然と言えば当然。現時点で、たとえ第2級魔法であろうと、俺の全力を防げるのは始祖竜と春馬さんのみ。そして2発目の弾着。
6人全員が倒れていることを確認し、次は<縮地>を連続で使用。<結界術師>2人から順に、手刀で意識を刈り取ったあと、腱を斬り、止血だけして次の標的へ、という動きを繰り返す。
途中、今代が立ちふさがったが、蹴飛ばして排除。はっはっは、止められるものなら止めてみな!
「おしまい!」
今、地面に立てているのは俺と篠原のみ。
「……魔王を倒すとか言うから期待していたが、パーティーメンバーは大したこと無かったな。さて、次はお前の番だ、今代」
「どういう……意味だ」
「どういう意味も、つまり、お次はお前のテストだってことさ」
「テスト?」
「そうだ、<魔王>を倒す、それだけの力があるかどうか、をな。どうした?怖気付いたか?お前のお友達の主張によれば俺は魔族らしいからな、俺くらい倒せないと、<魔王>なんて倒せないが?」
「怖気づいて、なんか、いないっ!」
「なら上等だ、<聖剣>でかかってこい、俺も本気でやるから気ぃ抜いたら殺されるぞ」
<聖剣・
というわけで、気合入れていきましょう!気を抜かないように!
「オオオオオオオッ!」
「ほれよ」
真正面から振りかぶってきたのを、右側面に当てて軌道を逸らす。添えるようにではなく、半ば叩きつけるように。
「ッ!」
「せいっ!」
弾かれたそのままに今度は回転して左から真横に斬りつけたのを、下から跳ね上げる。
「やはり<聖剣>なだけあって丈夫だな」
普通の鍛造された剣ならば大抵初撃か、次の跳ね上げに耐えきれずに折れる。相手となる<聖剣>が頑丈過ぎて、衝撃によるダメージがすべてそちらに行くからだ。しかし、これは格が低く、完全ではないとはいえ<聖剣>。ダメージは大きいが、すべて受け止めているわけではなく、こちら側にも流れてきている。
だが、格はこちらが上。耐久──剣のHPもこちらが大きく、ダメージ量はこちらが小さい。こちらが負ける道理はない!
すると、飛び下がって、詠唱を始めた。ふむ。
「『我が聖なる魔力を以て剣と為し、魔を打ち払え』!<光刃>」
ああ、リアルラ〇トセ〇バーか。聖属性に変換した魔力を聖剣に流すという魔法。本家よりは攻撃力は下がる。当たり前だ。アレはビームソードだもん。
まあ攻撃力は上がるし、魔物に対してはそれこそライ〇セイ〇ークラスの攻撃力を発揮できる。
さて、魔法に対処するのに一番有効なのは。
「<光刃><覚醒>」
同じ魔法での相殺が一番です!さて、恐らくこれが今のコイツの最大火力状態だろう。なのでそれをポッキリ折ればそれでよろし。一方で<勇者>パーティーの皆を起こす。
そして、無詠唱魔法に続き、特殊な魔法の詠唱にかかる。
残念ながら俺は<犠牲>の
「『我が魔力の全てを犠牲に、すべてを切り裂き防ぐこと叶わぬ力を』」
「行くぞ!」
「来い──<
そして正面から交差。金属音が鳴り響く。
<勇者>が停止した直後に落ちてきたのは
────<聖剣・
「当然の結果、だな」
「<聖剣>が?!」
「……そ、そんな馬鹿な……<聖剣>は絶対に折れないんじゃ……」
「普通の剣じゃまず折れないな。だが、<聖剣>が複数存在する以上、格の違いもまた存在する。<犠牲>は、この世界で、
出来ればもっとボコりたかったけどね。<正義>が弱すぎたのと、<犠牲>の固有スキルが強すぎたのと。
まあこれからまたボコるんだが。
「さて、<聖剣>は折れたが……まだ戦うか?」
「まだ、戦うさ……」
そう言って、<聖剣>の折れた断面を合わせる。よろしい。その程度は学んだか。一瞬光を放ち、それが収まると、元通りの<聖剣>が現れた。じゃあ続きやるか。
「<闇刃>」
距離を一瞬で詰めて、一文字に今代<勇者>の首を刎ね、少し通り過ぎたところで、剣を振り切った状態で静止。
ゆっくりと地面に伏した首の無い篠原の身体を見て、場を一瞬静寂が支配した。そして主に女子から悲鳴が上がった。
「……ゆう、と?」
「死んでるぞ?」
「……ゆ、勇人ぉ?!」
「……い、やあああああああああああああああっ?!」
さて、こいつらはどう思うんだろうか?この状態から蘇る友達を。
<システム>の機械音声が聞こえる。
『HPの全損を確認。<聖剣・ジャスティス>の耐久度の減損なし。<勇者>再生プログラム起動、シークエンス開始。<聖剣>の効果により<再生魔法・完全再生>を発動。肉体の修復を開始、終了まで30分。完全再生まであと2時間』
「まあ、そんな悲しむなよ、どうせ生き返るんだから、さ」
主人公がかなり軽く殺っちゃってますが、ほぼ完璧に<犠牲>の固有スキルのお陰です。
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