二度目の召喚はクラスごと~初代勇者の防衛戦~ 作:クラリオン
それでは第二十二話です、どうぞ!
さて、言語による説得を早々に諦め、改めて肉体言語を以てO☆HA☆NA☆SHIする事にした。
相手の想定最大戦力は27名。内戦闘系と支援系が何人ずつ居るのか、遠距離系と近距離系の比率は。
分からないことが多すぎるが、まあ、普通はこういうものだろう。ゲームじゃあ普通だが、相手についてすべてわかってるとかどんなヌルゲーだ。
まあそれはさておき。今回の作戦達成目標は、<勇者>パーティー全員の戦闘不能もしくは戦闘継続意志の喪失、並びに<聖剣・
とりあえず前衛を火力に任せて圧し潰し、後衛をサクッとやっちゃった後に、見せつけるように<ジャスティス>を折る。この時に殺してはいけない。出来れば意識も落としたくない。<ジャスティス>折るの見せないといけないからね。
思ったより制限が多いな……まあどうにか出来るでしょう。今代のレベルは、高めに考えても20くらい。俺は300、これだけ差があれば、手加減も恐らく楽だ。
それに、あっちと違ってこっちでは魔法があるから、骨折あるいは四肢のいくつかを失っても、対処さえすれば死ぬことは無い。絵面はかなりグロだが、まあ自分でこの世界に残ると決めた以上、それは<勇者>として戦うと宣言したも同然。
と言うわけで早速行っちゃいましょう!
まず、一番近い位置にいる<剣聖>から。予備動作なしに<縮地>で距離を詰め、相手の右側に付ける。そのまま前に構えていた剣の真横から<聖剣>を叩きつけて折る。
「なにっ?!」
そのまま今度は相手から見て右側に移動して、利き腕、つまり右腕を肘から切り落とした。そして仕上げに両足の腱を切る。
「──まず一人目」
「──へ?あ?俺、のう、で……アアアアアアアアァッ!」
崩れ落ちる<剣聖>の後ろに立ち、そう呟く。
「孝弘?!」
「安心しろ、止血さえすれば死ぬことは無い。<再生魔法>を使えばまた動けるようにはなるさ。戦えるかどうかは別だが」
一瞬の出来事に驚き、<剣聖>の名を呼ぶ……槍持ってるから<槍術師>かな?に告げる。この世界では一部を除き、身体の欠損は治る。向こうでは致命傷クラスでも<回復魔法>を併用すれば治る。
それよりも。
「――隙あり」
「なっ?!──ッ!」
槍を跳ね上げて彼の周りを一周しながら手足の腱を斬る。直後に最初の位置に戻る。
「二人目。戦闘中に意識を相手から外すとはいい度胸だ」
これは少々難しくはあるだろうが、戦いの基本だろう。傷ついた味方は後衛に任せて、それこそその後退時間を稼ぐために戦うべきだろう。そんなこともわからないのか……ってそういえばこいつら数か月前まで一般人だったぜ忘れてたよ。
前衛は残り……7人か?うち<勇者>は除外するとして、希薄な気配が2人……これは<暗殺者>か。それと鎧甲冑ってことは<騎士>か?が2人、1人は武器無しだから<拳闘士>か。軽装なのが1人……いや、2人増えた、1人は女子か、ふむ。短剣と……投げナイフかあれは。だとすると<狩人>と<探索者>かな?増えた方が恐らく<狩人>だろう。
「とっとと回復してやれよ<回復術師>、何人いるか知らんがな。ああ、<治癒術師>と<聖女>、お前らは駄目だ」
<回復術師>の行使する<回復魔法>は、
一方で<聖女>及び<治癒術師>の行使する<治癒魔法>及び、聖女のみが使える<再生魔法>は、病気やケガを、<再生魔法>ならば部位欠損までも、治療できる。ただし
さて、残された前衛で一番面倒なのは……<騎士>だな。
<縮地>を発動。側面からまず左腕を斬る。んでそのまま首……じゃなかった、剣を持った右腕を切り落とし、断面に<火球>を発生させて止血。あ、最初からすれば良かったかな?今更ながら<剣聖>にも同様の措置を行う。
「ガッ……ッ!」
間髪入れずもう一人の<騎士>を目指し<縮地>。先ほどと同様にやろうとしたら、楯を向けてきた。ふむ、中々筋が良い。
が、甘い。
斬りこんだ<聖剣>は楯ごと相手の左腕を斬った。
「なっ……ッグ!」
「動きは良かったんだがね……四人目、次は誰だ?」
ふむ、女子をやるのは少々後味悪そうだから、ここは嫌いなものは先にの論理で、<狩人>をやりましょう。
<狩人>と<探索者>は軽装だから下手な事は出来ないよなあ……面倒だし魔法でやるか、魔法ならまだ威力の調節はしやすいからな。
「<
とりあえず最小限度まで威力を落とし、第二級光属性攻撃魔法を放つ。
「<
消えた?!……いや、違うな。先ほどまで沈黙していた<勇者>の方を見やる。
「……これ以上、やらせはしないぞ!」
「おうおうそう来なくっちゃね。でも少し再起動が遅かったんじゃないのか?」
「ここから先はやらせない!
「……ここから先は、ねぇ……さっきのは単発だったから打ち消せたけど、連続だったらどうかな?」
「なに?」
「<
俺の背後に展開した複数の魔方陣から、<狩人>2人に向けて、次々と<光槍>が射出されていく。<光槍>は、聖属性の下位互換、光属性の第二級魔法。さらに流す魔力もかなり抑えてあるので、一撃で消し飛ぶことは無い。
まあそれでもレベル差があり過ぎて、至近弾でさえ負傷しているが。
一方で<勇者>も頑張って打ち消そうとはしているものの、一々詠唱しなきゃいけない<勇者>と違って、俺のは連射式なので、早さが違い過ぎて追いついていない。
<治癒魔法><回復魔法>も同様だ。
魔方陣への魔力供給を止め、着弾の際の土煙も収まった時、<狩人>の2人と、<探索者>の1人は、傷だらけで地面に倒れていた。全員腕か脚を骨折しているはずだ。一応女子は顔面避けたが、男子はお構いなく連射したので……うん、まあ、仕方ないよね?教育的指導。
「……これ以上やらせない、か。まだまだだな。あと残っているのは……ッ!」
キンッ!
「おっとっと、危ない危ない」
右側のは受け止めたけど左側が無理だったね、首の隙間からやられたかな?
「流石は<暗殺者>」
首の左側の傷を抑えながらつぶやく。いやあ久々の流血ですねはい。
「<
HPはまだ八割以上あるし、<回復>はしなくて大丈夫だろ。
あっさりふさがっていく傷口に、驚きを隠せないらしい<勇者>達。
「──<
「ぎッ?!」
「ぐあッ?!」
気配が駄々洩れだった……というよりまあ常人ならさっきので致命傷だから油断したのかな?まあ居場所分かれば見えなくても、空間ごと攻撃すればいいだけ。
「相手が致命傷じゃなかったらすぐ気配消して次の機会を待たなきゃ。少々出来るけど、まだまだだねえ──さて、順当にいけば次は、今代<勇者>、君だ」
「くっ……来るなら来い!」
「が、俺には少々君たちに見せたいものがあってね、邪魔が入るといけない。あと先ほどのお礼も兼ねて」
──次は後衛から潰しに行くよ?
何でかはわからないけれど、自分でもわかるくらいに声が低くなっているのを感じながら言った。
以上です!
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