二度目の召喚はクラスごと~初代勇者の防衛戦~   作:クラリオン

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間に合った!



第十四話、どうぞ!


第十六話  さらに南へ

ガルデアに到着してから三日経った。流石に初日のようにあっさりランクが上がることは無かった。アレは例外だろう。とはいえ全員Cにはなった。

 

 

 

残念ながらエメラニアは、平原に成立した国なので、山があるわけではない。従って、こう言った異世界召喚を題材にしたラノベ、ネット小説のように、飛竜を狩りに行ったり、山賊狩って人質助けたりすることも無かった。

 

無論大戦果を挙げて組合長さんが来てお話した結果ランクがSになることも無い。何か強い冒険者に認められるなんてことも無かった。現実は厳しいのだ。

 

 

 

 

 

ああいうのはやはり主人公補正が必要なのだろうか。俺も一応<勇者>だから主人公なんだけど……

 

まあ面倒ごとは嫌いだから構わないんだけれどね。

 

さて、一方で本題の<防衛者>のレベル上げ及び<防衛魔法>のレベル上げと新スキル獲得だが、まあ成功したとみていいだろう。

 

<防衛者>自体のレベルは、ここ数日ひたすらゴブリンオークオーガウルフを狩りまくったことで、13まで上がっている。

 

<防衛魔法>だが、まず<絶対障壁(バリア)>を延々と張り続け、延々とダメージを喰らい続けた結果か、レベルが5になっていて、派生スキルを獲得した。<迎撃(インターセプト)>というもので、<絶対障壁>に一回攻撃を受けたら、それ以降は攻撃した対象から放たれるすべての攻撃を自動で迎撃できる、というスキル。

 

MPは追加でもっていかれるようだが、効率は<絶対障壁>より高く、また攻撃の威力にかかわらず消費量は一定とかいう効率が壊れかけたスキルなので心配なし。

 

次に<周辺警戒(レーダーマップ)>もレベルが5になった。とはいえ、まだ大したことはできない。視界にある地図のアイコンに名前が入ったり、<迎撃>と連動させるくらいだ。

 

そして<防衛魔法>そのものがレベル5になったところで、例の新スキル獲得に成功した。<防衛装備召喚(サモン・ディフェンス・フォース)>というこれ。なるほどこれはぶっ壊れだと確信した。

 

 

スキルの説明は『スキル使用者が()()()()()()()()()()()()物品を召喚できる』というものだ。一目ではわかりにくいこの説明。

 

が、これをわかりやすく、極端に説明するなら、現代兵器が召喚できる、と言うことだ。まあレベルによって制限があるが。

 

しかし『防衛用であると確信できる』って絞ってあるのは<防衛者>だから、なんだろうな。小説とかなら何でも召喚できるか、何でも作れるかってとこだろうけど。そんなことしたら、この世界への干渉が大きすぎるからねぇ……<防衛者>としての職務を果たせるだけに絞ってあるんだろうな。

 

今のレベルで召喚できるのは拳銃か手榴弾程度だが、レベル上げにはちょうどいいかもしれない。ちなみに拳銃は弾はどこからともなく補充され、終わったら一言

 

「<任務完了(ミッションコンプリート)>」

 

と言えば消える。ナニコレ便利。今のところ出せる数も二個までだが、まあ現代兵器なのでそれで十分だろう。

 

 

 

 

「で、どうする?」

 

「出来れば車かバイクとか出せるようになるまでレベル上げしてほしいんだけど……」

 

「ここら辺の群生してた魔物ほとんど狩っちゃったし……」

 

「予定より早いけど、移動しながらレベル上げするか?」

 

「そうね、そうしましょう。少しでも距離も稼ぎたいわ」

 

「明日の朝出発で良いな?」

 

「動くのは早めに、兵は神速を貴ぶ、ね」

 

「じゃあそういうことにするか」

 

 

車サイズの物を出せるようになるまで何日、あるいは何週間かかるかわからないが、その間にも、あの<勇者>共も強化されていく。<魔王>と合流して制圧準備を整えるのは少しでも早い方が良い。出来れば<勇者>が戦争に出る前に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翌朝、ガルデア・南門を抜ける。

 

「──はい、確認しました、良い旅を!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黙って馬を走らせていると、ふと、さくらに聞きたいことが出来た。

 

まあ、聞くのは途中の昼休憩で良いか。

 

 

 

 

 

 

 

「──なあ、あいつら(<勇者>)に人殺せると思うか?」

 

「……そうせざるを得ない状況に追い込まれたらするんじゃないかしら」

 

「うわあ……嫌だねえ、あいつらの理性に祈るしかないとは」

 

 

あいつらがそうなったら、制圧係は間違いなく俺達だ。もし敵認定されて本気で殺しにかかってきたら、こちらも同様に対応せざるを得ない。

 

 

「期待できるものじゃないと思うけど……まあ私だってわざわざ同級生を殺したいとは思わないわ」

 

「……バレてた?」

 

まさか、こいつ、エスパーか?!

 

「……まあそれくらいはね。今の状況で、あんな質問されたら何を心配してるのかぐらいはわかるわよ。でも良い?もしそうなっても(敵対しても)手を抜いては駄目よ、<勇者>。こちらで優先すべきなのは」

 

「私情じゃない、世界だろ?知ってる。うわぁ、もう。あの時逃げたのがここで掛かってくるとは……」

 

千年前の借金ですかそうですか。

 

「同感。でもまあ今更でしょう。それにあれはケイだけじゃなくて私達全員の責任。その分今働けば済む話!」

 

「……そうか、そうだな」

 

幸いにして<魔王>はまだ生きており、竜種もすべて健在。<システム>の管理に問題は無い、はずだ。問題が発生するとすれば、それは<()()()()()()()()──異世界から、つまり<勇者>によるもの。

 

 

<魔王>がその役割(バランスブレイカー)を果たしていない今、人族側の<勇者>の存在は、恐らく<システム>の想定外。バランスブレイカーなのはどう考えても<勇者>の方だ。<システム>では処理できない。

 

 

となると()()を担当することになるのは管理者サイド。<魔王>……は無いな、竜種か俺達か。でも竜種には<システム>管轄内のスタンピードを処理してもらわなくてはならない。となると、俺達、か。

 

 

いやだなぁ……まともに話聞いてくれなさそうだし……確実にこれ制圧任務だろ。相手が殺す気で来たらこっちも同様に殺す気で迎え撃つしかないから……つまり最悪二、三人殺すことになりかねないわけで。

 

 

 

 

 

「……頼むから俺に学友殺しをさせないでくれよ、<勇者>……?」

 

 

どこの馬の骨とも知れぬ山賊とは違う。どこぞの国の軍人とも違う。

 

 

 

曲りなりに同じ学び舎で一年間は過ごした顔見知りを殺すのは恐らく、精神的にも一回り、重いものがあるのだ。

例え相手が、それを軽く、何とも思っていなかったとしても

 




以上です!



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