二度目の召喚はクラスごと~初代勇者の防衛戦~ 作:クラリオン
前回色々始めた宰相さんですが……
いよいよこの国を脱出出来そうです、長かったですね
それでは第十一話、どうぞ!
例の算段を聞いてから一週間後、珍しく俺にも呼び出しがかかった。出来れば一回殺される前に<
この一週間、実は内山と結構揉めた。帰るか帰らないか、帰るとしてあの<勇者>達はどうするのか。俺としては
が、内山が反対した。だからこそ
俺としては別にそれで構わないんだよな……とか思いかけて止まった。前回戻ってきたときは、全員
平穏な日常を望む元<勇者>としては、それは避けておきたい。だから今のうちに
と、思ったのだが。ここで問題が発生していた。魔方陣を描けるのは、内山だけなのだが、クラスメイト全員を<帰還>させるには、俺と内山のMPを全量消費する必要がある。つまり内山が魔方陣を描いたら、俺と内山でMPを注ぎ、即<帰還>発動なのだが、俺が関わると、クラスメイト(仮)からの信頼が一気に消え失せる。説得?無理無理。
あんなの説得とかどれだけ時間がかかると思ってるんだ。
つまり、今のままで<帰還>発動は主に人的要因のせいで不可能と言う結論に至ったのが昨日の話。よって、この国から脱出後も、奴らの尻拭いをしつつこの世界に残留する、と決定した。俺については微妙に自業自得な気がしなくもない。ああ、<帰還>できない<勇者>は完全に自業自得だな。
そう言えば今日明日は竜が来る頃だ。謝罪しなくてはならんな。
そんな事を考えつつ、連れてこられた場所は大広間。俺が着いた時には勇者達とか内山も居た。ふむ、これは宰相の算段か?それとも別口か?
全員が集まったのを確認すると、王女様が出てきた。
「皆様、朝早くから申し訳ございません。実は、皆様に協力をお願いしたいことが発生いたしまして、ご迷惑を承知で集まっていただいたのです」
「俺達に出来る事ならなんでもしますよ王女殿下!」
だからお前はなんで内容を聞く前に即断してるんだよ
「王女殿下、協力してほしい事とは何でしょうか?」
仕方がないので一応俺が聞く。え?手出しはしないんじゃなかったのかって?だからだよ。これが、宰相の算段だったら乗らないとこの国から脱出できる絶好の機会を逃すことになる。もし違うのであれば、それこそ「手出しはしない」という言葉通りに、断るまで。
王女殿下本人の頼み事であれば、そこまで大掛かりなものではないはず。俺達まで動員するほど人が必要なものではないだろうから、俺達が手を出すまでもない。
一方で宰相の計画であれば、同時多発的に少なくとも八方面以上で討伐の必要があるはずだ。なぜかというと、<勇者>達は、スキルレベルはともかく本人のレベル――ゲームで言うところのプレイヤーレベル――は1のまま。一人で討伐対象となるような魔物を相手にするには、不安が大きい。何人か、具体的には最少で4人がベスト。前衛2人、後衛2人。欲を言えば、前衛にもう1人いればローテを組みやすいから安定するが、まあそれは置いといて。4人パーティーとする。
うちのクラスは、定員36名、学年が上がるたびに何人か(学校から)脱落し、現在は30名。4人パーティー7組プラス余り2名。無論5人パーティー6組という余りが出ない組み方もあるが、それは宰相が阻止するだろうし、そもそも1週間前のあれで俺に対する<勇者>組の印象はよろしくないってか悪い。わざわざパーティーを組むとは思えない。内山は例の件でも自分勝手な<防衛者>に引っ張られた被害者的な立場とみられているので、誰かが組んでくれるだろう。<勇者>ではないが俺ほど悪い印象は無く、外見は良いから男子共が拾いそうだ。ので最悪俺が孤立する。
と言って1人で動かすと、後々内山を消しにくいし手間が増える。だから<防衛者>と<支援者>の関係から二人で組ませようとするのではなかろうか。よって最低八方面と言うわけだ。
さて、王女様はどう言うのかな?
「実は、王国全土で、
「さらに、これらの魔物は、王都周辺である関係上、そのほとんどが人里近くに発生しており、その討伐は急ぐ必要があるのです、しかしながら、すでに多数の冒険者や騎士団が各地へ出向いており、王都に残っている戦力では、2か所を討伐できれば上出来、といった戦力しか残っていません」
「ですので、今回、<勇者>様方にも、魔物の討伐をお願いしたいのです」
へぇ……魔物の討伐か。
メカニズムとしては、急激に数が減ることで、種を保全するためにより強靭な個体を作り出す、というものだ。と、魔王から聞いた。
さて、つまりそれは各地で各種の魔物が多く狩られていたことになる。それも、発生のタイミングから逆算するに、俺達が<召喚>される前だ。しかも同時多発的に。
理由はいつでも考察できるし、俺だけで考えても仕方ないので放置。
問題は、その発生の内に、偽の報告が混じっているか否か、だ。そこに俺と内山が送られるわけで、脱出後、<魔王>のところへ向かうなら、南の方が良い。まあ、どっちでも良いんだけどね?
「後、出来れば<防衛者>にもご協力願いたいのですが……」
そういってこちらを見てくる宰相。あ、これ確定。睨みつけてくる<勇者>達。さあ、答えを言おう!
「何が出来るのかわかりませんが……良いでしょう、承知しました」
「おい神崎!おま……え……?」
「何か用か<勇者>?」
「いや、てっきり手を出さないとか言うのかと……」
「いや流石に王都周辺は力を貸すぞ?一応俺の安全な生活もかかってしまうからな、その程度はする、<防衛者>としてな」
中々良い建前じゃね?
「では、それぞれ振り分けをしていきたいと思います。あ、<防衛者>様と<支援者>様はこちらへ」
そう言って王女殿下直々に招かれた。知らないんだろうなあこの人。
「<防衛者>様及び<支援者>様ですが、攻撃系のスキルをお持ちでないとのことなので、近衛騎士団の選出者と共に、行ってほしいのです」
「えっと、それ俺達が付いていく意味は?」
「今回、討伐お願いするのは、森の奥にいる蜘蛛系の特殊指定魔物、“ギガントポイズンスパイダー”です。この魔物は、とても厄介な魔物でして、毒を使います。そこで、<防衛者>様のスキルで攻撃そのものを防いでもらう、あるいは攻撃を受けても<支援者>様に回復してもらいながら戦う、という形で討伐したいと考えているのです」
「ああ、なるほど、わかりました。場所はどこですか?」
「王都北東にある、通称『蜘蛛の巣』と呼ばれる森です」
脱出まで行けませんでした。
まあとは言え次からそろそろ神崎くんと内山さんが本気を出してくれるでしょうきっと。
今回はついでに通常個体狩りまくると特殊ポップ率上がる理由を作ってみました()
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