二度目の召喚はクラスごと~初代勇者の防衛戦~   作:クラリオン

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リアルで用事があったのと、部活の方の作品の締め切りがあり、遅くなりました。


それでは、二度目の召喚はクラスごと、第七話です、どうぞ!


第七話  竜

どっかの馬鹿が突っかかってきてから一週間経過。順調に<周辺警戒(レーダーマップ)>のレベルは上がり続け、現在は既にレベル4。それによってさらに新しいスキルを手に入れた。<警戒地点設置(レーダーサイト)>という物で、一度行った場所で発動すると、<周辺警戒>のマップで登録を解除するまで、その場の音声付映像を見ることが出来るという物だ。レベルが上がると、設置できる数は増えてゆく。

 

なるほど……って言うか現実にあるレーダーサイトより性能上だな。魔法ってすごい、今更だけどさ。これで大分楽が出来る。相手にばれないよう盗聴できるし、俺達がいなくなった後の王城の様子も探れる。今置くことができるのは三つ。

 

 

既に二つは宰相執務室、国王執務室に仕掛けてある。一度練習場の一部貸し切り書類を提出しに行ったときに設置済み。最初はクラスメイトのうちで、信頼できそうな奴に声をかけ、連絡を取り合おうと思っていたが、様子を見て断念。内山以外に<勇者>じゃない俺に協力してくれそうな様子の奴なんていなかったからな。このスキルが手に入ってよかったぜ。

 

 

 

とりあえずこれで王都をいつ脱出しても良くなったな。

 

 

 

 

次にやることは、脱出した後の行動について。

 

俺が<勇者>だった時には、各地に竜がいた。うん、いわゆるドラゴンだな。確か六体いたな。それぞれ一属性ずつ極めた化け物と、それらの親である始祖竜。あいつらが生きているならば会っておきたいし、死んでたら死んでたで、弔いぐらいはするべきだろう。もっとも、あいつらの寿命はくっそ長いので多分大丈夫だとは思うが。

 

 

 

どうも王城には外部と内部の魔力を遮断する壁のようなものがあるらしく、中からでは外界の魔力を探知できないのだ。あ、魔王?あれは別。あれは魔力じゃなくて無意識下の魂レベルで繋がってるから壁は関係ないの。だから向こうも俺がここにいること程度は把握できているはずだ、多分。

 

 

 

まあそんなことを毎晩毎晩内山とくっちゃべってたわけだが。まあしかし、外部の魔力を探知できないことがあんなことになるだなんて、考えればわかる事なのに、なぜ俺も気づかなかったんだろうな。

 

 

 

翌日の昼、俺達異世界人はこちらの世界での恐怖を初めて目にすることになる。ま、俺と内山は初めてじゃないんだけどね。

 

 

 

 

翌朝。俺はいつも通り起きて、いつも通り食堂で朝食を摂った。聞いた話では勇者勢は専用のダイニングがあるらしいが、俺は案内されなかった。どこまで露骨なのさ。

 

君達には失望したよ、とか何とか言ってみたいけど会わないからな。つまらん。何か面白いこと起きろよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなことを思っていた時期が俺にもあったんだよ畜生。今?すっげえ後悔してる。当たり前だろ?今、訓練場にいる俺と勇者共の前で、訓練場の屋根を一瞬で吹き飛ばした、ドラゴンを見れば、さ。

 

 

「ド、ドラゴンだ……」

 

 

色は蒼、見覚えはないが、魔力反応によれば、目の前のにいるのは間違いなく水属性ドラゴン最上級種。始祖竜が第二子。

 

 

水帝竜“クトゥルフ”。

 

 

ま、そんな見分けがつく人間がここにいるのか、というと怪しいものだ。ただ水色をしたドラゴン、と認識しているだけの可能性が高い。こいつは属性ドラゴンの中でも最小サイズ。ほかの一般竜と見分けはつけにくい。予め知っていることが前提となる。

 

しかしこいつの縄張りは北方。確かにシルファイドは北半球にあるが、決して近くはない。まあ属性竜たちのうち一番近いのはこいつ……なるほど、<勇者>を揉みに来たか?

 

だが残念なことに、ここにいるやつで、まともにアレと戦えるのは俺と内山、騎士団長がぎりぎりといったところか。<防衛者>でも耐えきれないことは無いはずだ。<絶対障壁(バリア)>に<支援者>の防御アップ魔法<硬き壁(ハードウォール)>を利用すれば、多分<吐息(ブレス)>でも耐えられるはず。いざとなればそれで時間を稼ぐまで。

 

 

 

と見せかけて死んだ乃至攫われたとかでトンズラできないかな?とか考えていたりするのだが。

 

さて、最初に仕掛ける、もしくは話しかけるのはどちらかな?

 

 

『人の子よ、異世界より召喚されし勇者よ』

 

 

まさかの<念話>だと?!いや使えるのは知ってるけど。そっちから来るのは予想外。

 

『我は始祖竜が第二子。先代<勇者>より付けられし名はクトゥルフ。今代<勇者>として召喚された異世界人に言伝あって参った』

 

うん、格好いいけどさ、なんか恥ずかしいな。当時のノリで決めた名前を誇らしげに言われると……

 

 

当時どうやって名前決めたんだっけ?

 

 

 

『水かぁ……どうする?』

 

『なんかいい名前……水……そうですね、“クトゥルフ”とかどうです?』

 

『創作神話かよ……じゃあ、この洞窟はさしずめ“ルルイエ”か?世界滅ぼす気かお前は!』

 

 

怒ったような口調だったけど何気にノリノリでしたよね、春馬さん?

 

確か戦闘不能に追い込んだ後に『名前をくれ』って言いだしたんだっけな。『名前を付ける』という行為はこの世界では上位者が下位者に対してする行為で、それを願うということは、『自分が下である』と認めているということ。つまりクトゥルフは、自分が下であると認めたのだ。実際魔物と戦闘するときに援軍になってくれたしね。

 

さて、その”言伝”とやらは誰からの、どういう言伝なのだろうか?

 

『始祖竜からの言伝を伝える』

 

 

 

 

 

『“現在貴殿等の必要とされる事態は発生していない。よって送還魔法による元の世界への帰還を勧める。その際に必要であれば我らも力を貸そう。”以上だ。良ければこの場で<送還>についての談合を願う』

 

 

 

 

 

言っちゃったああああああ?!必要ないって、それ言っちゃうの?!

 

……さて、ここにいるのは多分まともな騎士団長と、騎士団員、そして勇者たちであるが、どう出るのかな?




なお<ステータス隠蔽>使用時は、所有魔力量も隠蔽されます。なのでクトゥルフさんは、神崎と内山の存在に気づいていません。


それでは感想評価批評等お待ちしております

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