二度目の召喚はクラスごと~初代勇者の防衛戦~   作:クラリオン

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あっさり瞬殺してしまいました(笑)


それを見て啓斗が思ったこととは。


第六話  初実践

「なんでだよ!」

 

 

こっちが聞きてえよ。何で<剣聖>なのにあの程度の動きしかできないんだよ。キースは遥かに良い動きしてたぞ。あ、それは当然か。

 

ああ、キースってのは前回俺達と一緒に戦った当時最強の騎士な。ちなみに当時<剣聖>だったのは俺。

 

「それは俺の台詞だ。いくら相手のステータスが低いからって、真正面からいってどうするんだ」

 

職業を<防衛者>に戻しながら答える。

 

「あのさ、一応俺剣道やってたからさ、いくら速いと言っても、動きが単純なら予測できるの」

 

両刃剣なんて剣道じゃ使わないが、誤魔化しきれただろうか?無論、対応できたのは<勇者>ステータスの恩恵。小学校上がる前から中学校三年生まで続けてきた剣道だけど、流石に三年ブランクがあるのに見切れるわけがない。素人には分からないだろうけど。

 

「せめてフェイントをかけろ。動きが複雑化するだけで俺には多分見えなくなる。動きが単調だから見えて、いや、わかってしまうんだよ。見えなくなったら俺は基本何もできない。お前らみたいにそこまで高ステータスでもないからな。というかそもそも何で俺に仕掛けてきた。相手ならもっといるだろうが」

 

周囲の騎士とか。というかそもそも俺に試合ふっかけてくるときに、いきなり「俺と勝負しろ!」とか言い出すし。

 

馬鹿なのか、それとも確実に勝てると思ってきたのか。ちょうどいいので団長に言っておくか。

 

「団長、まだ彼らはレベル1でしょう?ある程度こちらの剣術を覚えさせるべきですよ。ただの剣道経験者に負ける程度では話になりません。今のままでは、ただ<剣聖>の称号を持つ素人と、経験者の戦いになるだけですよ」

 

「ふむ、そうだな」

 

これくらいでいいかな。次戦うのがいつかは知らないがそこで負ければ済む話だ。

 

そしてまた座り込んで<周辺警戒(レーダーマップ)>を発動させた瞬間に、赤い点が急接近してくるのが見えた。

 

ので<絶対障壁(バリア)>を張る。次の瞬間、火球(ファイアボール)がはじけ、障壁も大きくたわんだ、が、持ちこたえた。よろしい。

 

じゃなくて。

 

「おい、何やってんだ」

 

ここは訓練場だが、魔法と剣術の訓練スペースはそこそこ離れているうえに、攻撃魔法用の標的は向こう側の壁際、つまり俺と反対側にある。ミスショットにもほどがあるだろう。あるいは意図的?面倒だ。

 

「悪いな、ミスった」

 

そういいながらニヤついてるじゃねえか<魔導師>。

 

「次から気を付けろ。」

 

《<絶対障壁>がレベルアップしました》

 

ここでレベルアップか。耐久度が上がったようだ、素晴らしい。するとさっきより大きな点が接近するのが見えた。またか。

 

さっきとは違い、火槍(ファイアランス)が飛んできた。が、あっさりと受け止める。たわみもしない。

 

「おい!」

 

「わりぃ、ミスったわ」

 

「お前職業なんだっけ?」

 

「<魔導師>だがどうした?」

 

「お前魔法使うの止めたらどうだ?コントロールできないで味方撃ちする魔法使いとか百害あって一利なしなんだが」

 

「なんだと?」

 

「意味わからなかったか?使い物にならねえから辞めろって言ったんだよ」

 

「<勇者>でもないくせに!」

 

「はぁ……味方を殺して戦功と宣う<勇者>なんぞこっちから願い下げだっての」

 

実際今の<火槍(ファイアランス)>は、<防衛者>の驚異的魔防と、<絶対障壁>があったから耐えきれたようなものだ。一般人だったら確実に焼死している。まあ<勇者>なら片手で消せるけどさ。

 

「なっ!貴様言わせておけば……<ファイアラン…」

 

「そこまでだ」

 

騎士団長が詠唱しようとした<魔導師>(笑)の川島(かわしま)直樹(なおき)との距離を一瞬で詰めて、首元に剣を突きつけた。というか無詠唱じゃないのか。

 

「<魔導師>カワシマ殿、あなたの魔法は確かに強力だが、その標的を違えてはいないだろうか?」

 

そうそう俺の周りには他の王国騎士たちがいるんだからな。一応<勇者>として召喚されてるのに、何やろうとしてるんだお前は。まあ挑発したの俺だけど。

 

「……わかった」

 

不満気だな。また何か問題起こさねえかな。それに巻き込まれて……というのが大抵のネット小説テンプレルートだな。巻き込まれたあとに死ぬのか瀕死か庇われて虐めの対象になるのか、ってのが大抵の展開だが。

<防衛者>の場合、魔法・物理によるリンチはあまり意味がない。俺のMPが尽きるより、相手の気力が先に尽きるだろう。防御特化万歳。

 

「ちっ、<勇者>でもないくせに」

 

「調子乗りやがって」

 

聞こえてるからな<勇者>(笑)。ていうかそれ言うと、本来の<勇者>の定義に当てはまる者なんてこの場所にいるのは……俺と篠原だけだろう。他は所詮ステータスが高いだけの一般人。いやそれでも十分凄いけど。

 

そこら辺は知っているのだろうか?いや、さっきの陰口を聞く限りでは、恐らく知らないとみていいか。伝承が途切れている箇所が大きすぎる。<勇者>の異常性を、実地で見た時どう思うんだろうね、()()()()()()()()()体なんて、持つものじゃない。

 

本来の<勇者>の定義は、<聖剣>を持つ事、<聖剣>に主と認められる事、<聖剣>と()()()()()()()事。いや、一蓮托生とはちょっと違うかもしれんか。何て言うんだっけ、一心同体が一番近いか?

 

 

 

というわけで、ただ<召喚者>として<勇者>の称号を持っているだけの人間は、第一から第三項より、真の<勇者>からは外れる。同様に、<聖剣>を強奪、あるいは盗んで己の物とした人間も<勇者>たりえない。

 

そして最終項の意味は文字通りである。

 

<聖剣>が壊れない限り死ぬことは無いし、<勇者>が死なない限り<聖剣>もまた壊れない。つまり、同時に潰す必要がある。なんてチートだ。まあそうでもないと、ただでさえ人間は死にやすい上に、敵の本拠地に攻め込むわけだから主人公が死んでしまっては物語が続かないからなあ。

 

 

<防衛者>のことと言い、<聖剣>のことと言い、伝承が消え過ぎだ。というか篠原は<聖剣>を召喚できるのだろうか?まあ<勇者>として召喚されたんだからそれくらいできるよね!多分きっとおそらくそうであることを願いたい。まあ出来なくても<魔王>と戦うことは無いし大丈夫だとは思うけど。

 

 

 

……大丈夫だよね?




以上です。

言い訳が苦しい気もしますが、まあご容赦願いますm(__)m


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