ハイスクールD×D 破壊を司る神の弟子   作:狂骨

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怒りの神

それは リアス達が転移する直前の事であった。

 

ゼノは部室に行く直前にアザゼルからディオドラが今まで不正を行なってきていた事を知らされた。また、それにより背景には禍の団と関与している事も浮き上がり、完全に彼が黒である事が証明された。

 

それに対してゼノは街で偶然にも遭遇したヴァーリ達から得た情報も話した。

 

「ちょ…早く言ってくれよ!?」

 

「別にいいだろ」

 

「そんな適当な!?」

 

それから悪魔側の情報によると、対戦相手であるリアス達には敢えて伝えず彼女達を利用し迎撃作戦を行うらしい。

前回のカテレアの件を思い出したアザゼルはそれについて考えると悩む様に唸る。

 

「球を持っているとなると、間違いなくアイツらじゃ不利だろうな…」

 

「あぁ。だから俺が相手をする。お前は言い訳考えとけよ」

 

「それは勿論だ…。はぁ…リアスがブチギレるのは確定だろうな…」

 

それから部室へと移動し皆が転移していった後、アザゼルはゼノと共に迎撃場所へと向かうべく魔法陣を展開した。

 

 

 

 

 

 

その時だった。

 

「_!?」

 

ゼノは目を大きく開き身体を硬直させてしまう。

 

「お…おい。どうしたんだ…!?」

 

その様子を心配したのか、アザゼルは恐る恐る声を掛ける。だが、ゼノはその声に耳を傾けることなく瞳を震わせていた。

 

 

「おい…どういう…事…だよ…」

 

その理由は__

 

 

 

___先程までこの街で感じていたサリの気が突然消えてなくなってしまったからだ。

 

 

そしてその直前に微かに感じたのは“ディオドラの魔力”

 

「…!!!」

 

その直後 ゼノは即座に気の感知範囲を地球全体に巡らせるとリアス達の魔力を探る。

 

「お…おい!どうし___」

 

アザゼルの声を無視したままゼノはリアス達の気を感知するとその場に向けて瞬間移動した。

 

ーーーーーーー

 

そして今に至る。

全身から怒りのオーラを放ちながら佇むゼノに皆は硬直してしまう。

 

そんな時だった。

 

 

「お…おい…あれって銀河神だよな…!?」

 

「あ…あぁ!確かディオドラ様の捕まえた女の弟だとか…!」

 

辺りから次々と兵士達の動揺する声が聞こえてくる。それによって先程までリアス達を襲おうとしていた魔力弾の嵐が止んだ。

 

 

そんな中 ゼノはゆっくりと手をあげると視界を覆い尽くす程まで蔓延る禍の団の兵士達に向けた。

 

 

 

 

「破壊」

 

 

 

 

「「「「「「!?」」」」」」

その一言と共にゼノやリアス達を取り囲んでいた禍の団の兵士達が紫色の粒子と化し、空気に溶ける様にして消え始めた。

 

 

「う…!?うわぁぁ!?なんだよこれ!」

 

「身体が!?身体がぁぁ!!!ディオドラ様ぁぁ!!!!」

 

辺りから次々と兵士達の苦しむ声が聞こえてくる。その中には突然の現象に戸惑う者や命を懇願する者。そして意味のない謝罪をする者がいた。

 

だが、その声もやがて聞こえなくなってくる。

 

 

「こ……これが全てを無に帰す…【破壊】の力…!」

 

苦しみながら消えていくその惨劇を見ていたゼノヴィアは初めて見るゼノの神としての力に驚きを隠さず冷や汗を流していた。

それよりも皆が驚いているのはそれだけではない。いつもよりも雰囲気が全く違うのだ。

 

「ぶ…部長…なんで先輩…あんなに怒っているんでしょう…?」

 

「分からないわ…。ただ、ディオドラが彼に何か仕掛けたのは間違いないと思うけど…」

 

リアス達はゼノの発せられる殺気を恐れながらも彼を見つめていた。

 

 

その時だった。 ゼノの姿が一瞬だけ消えると二人の女性を肩や腕に抱えながら再び現れた。

 

その抱き抱えられている二人の女性のうち、一人を見た瞬間皆は驚きの声を上げた。

ゼノが抱き抱えていたのは先程、ディオドラに連れ去られたアーシアだったのだ。

 

「アーシアぁ!!」

 

その姿を見た途端 誰よりも早くイッセーが名前を叫びながら駆け寄った。

イッセーはゼノからアーシアを受け取ると即座に彼女を抱き抱え身体を揺すった。

 

「アーシア!おい!大丈夫か!?」

 

「い…イッセー…さん…」

 

イッセーがアーシアを介抱するその一方で 朱乃と小猫はゼノが抱えていたもう一人の人物を見て更に驚いた。

 

「ゼノくん…まさかその人は…!」

 

「サリさん…!?」

 

ゼノが担いでいたもう一人の女性はなんとゼノの姉であり朱乃や小猫達を暖かく迎え入れてくれていたサリであった。着用しているスーツが所々ボロボロになっており、肌や下着が露出していた。

 

「…」

ゼノからサリを渡された朱乃と小猫はアーシアと同じく介抱し、何度も心臓マッサージをした。

 

「別に命に別状はねぇ。気を失ってるだけだ」

 

「良かった…ですが…なぜサリさんが…」

 

 

 

その時だった。

 

 

 

「ちょっとさぁ…何してくれてるんだい…?」

 

 

 

「「「「「!?」」」」」

 

その場に低く恨みの込められた不気味な声が響いた。

 

全員は声が聞こえた方向へと目を向ける。そこには先程とは全く異なり眉間に皺を寄せながら恨みったらしく目を向けるディアドラの姿があった。

 

「て…テメェ…ッ!!」

 

「折角真実を聞いて絶望したアーシアの表情を眺めようと思ったら突然と奪って行っちゃって…僕のお楽しみがオジャンじゃないかぁ!?」

 

そう言いディオドラは先程アーシアを掴んだ手を再び伸ばしてきた。

 

「さぁ…アーシアを返してもらおうか〜ッ!!!」

 

「誰が渡すか!」

 

「よくも私の可愛い下僕を弄んでくれたわね…ッ!!!万死に値するわ!」

 

「私の友達を傷つけた罪…デュランダルで微塵切りする程度では済まされないぞ…ッ!!!!」

 

伸びてくる手に対してイッセー、リアス、ゼノヴィアは怒りの目を向けながら武器や魔力を展開しアーシアを守るかの様に前に出た。

 

「あはははは!!!僕と戦うのかい?いいよ〜!掛かってきなよ!__

 

 

 

____フルパワーの僕を倒せるならね…!!!」

 

 

その瞬間 ディオドラの腹部が発光すると共に身体からドス黒い血の色の様な魔力が溢れ出した。その魔力の量は凄まじく触れた岩石や瓦礫を次々と吹き飛ばし、巨大な遺物は粉々に破壊されていった。地形を変形させる程の魔力の質は既に最上級悪魔…いや、魔王すらも凌駕していた。

 

 

「さぁ!誰から死にたいかなぁ〜!?」

 

「その前に一つ聞かせろ」

 

「……ん?」

 

そんな時だった。ゼノの一言によってディオドラの溢れ出る魔力の嵐が断ち切られた。

 

「なんで…姉貴を攫った?」

 

「あ〜。確か君のお姉さんだったよね〜。何故狙ったかって?前々から君の事がウザったらしくて嫌いだったんだよ。人間の分際で神の資格を得た上に僕に対して偉そうに。それで君のお姉さんを攫って心身共に支配してしてやろうと思ったのさ!」

 

「それでサリさんを…ッ!!!」

 

「ゲスを通り越して…もう外道ね」

ディオドラの私利私欲にまみれた理由を聞いた朱乃は歯を噛み締めながら怒りの声を上げリアスは遂に彼を外道と言い捨てた。

 

「何とでも言うがいいさ!さて君達を殺してアーシアとソイツを取り返そうか〜!」

 

「ふざけんなぁッ!!!」

 

ディオドラが迫り来ようとした時 イッセーは全身からオーラを放ちながら赤い龍の鎧を纏い『禁手化』を発動させると片手に魔力を纏いディオドラに向けて放つように殴りつけた。

 

『ドラゴンショット』ッ!!!

 

殴りつけられた魔力は一筋の赤い光線となりディオドラの身体に当たると爆発した。

 

 

だが

 

「な…!!」

 

煙が晴れディオドラの姿が露わになった途端 イッセーは驚愕する。

 

「ん〜。マッサージかな〜?」

 

そこには無傷のまま何食わぬ顔をしているディオドラの姿があった。

 

「む…無傷だと!?」

 

「いや、無傷ではないさ。今の君の攻撃で僕は左腕を失った。けど僕は【不老不死】こんな怪我なんて数秒もあれば完治してしまうんだよ!それに“あの御方”のお陰で僕は破壊のオーラに対する耐性もできているんだ!」

 

その言葉と共にディオドラは全身から溢れ出る大量の魔力を片手に集中させた。

 

「いくら宇宙の神だろうと破壊できない上に不老不死の僕には勝てないだろう?このままコイツら共々君を殺して新しく神に成り代わるって言うのもいいかもねぇッ!!!あははは!!!」

 

遂にその顔はうちに秘められた狡猾な性格に見合った程まで醜く歪んでいた。空から聞こえる不気味と共に不快感を与える声に地上にいるアーシアは震え皆は怒りのあまり歯を軋ませた。

 

 

だが、ディオドラはとんでもない事をしでかしてしまった。

 

 

「グベラァ__!?」

 

突然 ディオドラの全身に無数の凹みができる。それは全て拳の跡であった。粘土の様に全身が歪み骨までもが粉々にされたディオドラの身体は即座に再生され元に戻る。

 

だが、その顔からは先程の余裕な表情が消えていた。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…何だ今の痛みは…!?」

 

「おい」

 

「_!!」

 

その時だった。先程まで地面にいたゼノがディオドラとほぼ同じ高さまで浮いていた。

 

その顔は先程よりも激しい怒りに包まれていた。

 

 

その瞬間

 

 

「いい加減にしろ。この___

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_____ クズ野郎がぁぁぁぁぁぁあああッ!!!」

 

 

その場いや、冥界全土を揺るがせるほどの巨大な怒声が響き渡った。地面が大きく揺れ、天からは無数の雷が轟音を鳴り響かせながら辺りへと降り注いでいく。

そして全身からはディオドラの魔力さえも覆い尽くす程の超巨大な気がまるで爆発する様に溢れ出ていた。

 

その大音量の声と気を超至近距離で感じていたディオドラの顔からは先程の余裕が完全に消え去り、冷や汗が流れていた。

 

 

そして 響き渡る声が止まった時。全身から先程よりも濃い紫色のオーラを纏いながら髪の色を変色させたゼノがディオドラに向けて人差し指を向けた。

 

「お前には地獄を見せてやる…ッ!!」

 

ディオドラは誰も触れたことの無いゼノの“逆鱗”にふれてしまったのだ。

 

 


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