ハイスクールD×D 破壊を司る神の弟子   作:狂骨

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夜明けの戦い

エクソシストとの戦いより数日後の夜

 

 

 

 

パチンッ!!!

 

 

 

現在一誠はリアスからビンタをうけていた。

 

 

その理由は昼間一誠が街を歩いているとアーシアと再会した。喜んだ一誠はアーシアに街を案内し各所を回り遊ばせ日本を満喫させた。だが、二人は休憩の為公園のベンチに座っていると突如あの夜一誠を殺した堕天使が再び姿を現したのだ。

一誠はアーシアを守る為に応戦しようとしたが手も足も出ずアーシアを攫われてしまったのだ。

 

そして一誠はアーシアを助けるべくリアスに協力を頼んだ為にこのようになってしまったのである。

 

 

 

「何度言えばわかるの?あのシスターの救出は認められないわ!貴方はグレモリー家の眷属なのよ!」

 

 

 

「だったら俺を眷属から外して下さい!!自分一人でもアーシアを助けに行きます!!」

 

 

 

「出来るわけないでしょう。貴方はグレモリー家の眷属なのよ!!!」

 

 

 

二人が言い争っていると部屋に朱乃が入ってきてリアスに何かを耳打ちした。

 

 

 

 

「急用が出来たわ。私と朱乃は少し外出します」

 

 

 

それだけ言うとリアスは朱乃と共に転移門を召喚する。

 

 

 

 

「イッセーはポーンが一番弱い駒だと思ってるの?」

 

 

 

 

「え?」

 

 

 

 

「実際のチェスのポーンにも特性はあるわ」

 

 

 

「ポーンの特性?」

「えぇ。昇格(プロモーション)…ポーンは敵の陣地に入るとキング以外の駒に昇格できるの…それとねイッセー、貴方のセイクリッドギアは貴方の思いが強ければ強い程こたえてくれるわ」

 

 

 

それだけ言うとリアスは朱乃とともに転移門でこの場を去った。

 

 

 

 

「面白い話 聞いたな」

 

その直後、ソファーの影がゆっくりと動き出すと、話を隠れながら聞いていたゼノが現れる。ずっとその場にいたのならば、裕斗や小猫は気付く筈だが、現れるまで全く気付かなかった為に驚いていた。

 

「いつからそこに…?」

 

「リアスが転移した時」

 

「全然…気づかなかったよ…」

 

 

 

「それよりも堕天使とやり合うんだろ?俺も付いてっていいか?」

 

 

その質問に対して一誠は首を横に振る。

「駄目だ…お前は人間だし連れてけねぇよ」

 

「すまないけどゼノくん、兵藤くんに従ってくれ」

木場も一誠に同意するかの様に同行を反対してゼノを制止した。するとゼノは舌打ちしながらも頷く。

 

「分かったよ。なら俺は帰る」

 

その後、帰路に着きゼノが暗闇の中に消えるまで見送った3人はすぐさま行動を開始する。

 

 

「よし!行くぞ!」

 

「はい」「うん!!」

 

 

 

一誠達は教会へと走っていった。

その様子を帰ったと見せていたゼノが上空から見ていた。

 

「さて、俺も行くか」

シュゥゥゥゥ…ドンッ!!!

 

同じくゼノも向かう為に空中を蹴るとジェット機の如き速さで教会へと飛んでいった。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

一誠達は教会へと着き教会の扉をあけ侵入した。

 

 

すると銅像の影から足音が聞こえ そこから何時ぞやかにイッセーを襲ったはぐれエクソシストが姿を現した。

 

「フリード!」

「やぁやぁ再開ですね〜感動的ですね〜♪ま、俺としては二度会う悪魔なんていないと思ってたんすよ〜。だって俺めっちゃ強いし一度会ったら即死よって訳、だからさ〜…ムカつくんすよ…俺に恥かかせたテメェらクソ悪魔どもがよう…」

 

怪しい笑みと常人には見られない狂った様なテンションで首を回したフリードは光の剣を手に持ち戦闘態勢を取る。

 

「アーシアは何処だ!!」

 

「あー悪魔に魅入られたクソシスターならこの祭壇の地下にある祭場にいますです〜。ま、行けたらですけどね〜」

 

「くっ!セイクリッドギア!」

 

一誠、裕斗はそれぞれ神器を展開し、小猫はフィンガーグローブを着用するとフリードを撃つべく戦闘態勢へと入った。

 

 

 

 

その時だった。

 

「やっぱり着いてきた甲斐があったな」

 

「「「!?」」」

 

聴き慣れた声と共に一人の影が教会の入り口から月明かりを背に歩いてくる。その声を聞いた一同は全員、声が聞こえた方向へと目を向けた。

 

「よぅ。お前ら」

 

「「「ゼノ(さん)!?」」」

 

そこに立っていたのはゼノであった。

 

別れた筈のゼノがいた事に皆は驚きの表情を浮かべるが、その一方でフリードはいきなりの闖入者に少し腹を立てていた。

 

「何なんですか〜?貴方。今僕ちんはこの子らと闘おうとしてるんですよ〜?」

 

フリードはゼノに向けて牽制するかの様に剣の切先を向ける。だがゼノは返すどころかまるで見えていないかの様にイッセー達へと目を向けた?

 

「来て早々だけど 一誠、地下にいる友達、早く行かないと手遅れになるぞ」

 

「分かってる!けど何で来たんだよ!?」

 

「別に。ただ単におもしろいと思っただけだよ。それとお前ら…俺が弱いと思ってるのか?」

 

「あ…あぁ…お前からは魔力みたいなモンが感じられないから…」

 

イッセーはまだ新米だ。相手の強さを感じ取れる魔力を基準としていた。ゼノはその評価に呆れると反論する。

 

「はぐれ悪魔をパンチ一発で葬る奴が人間な訳ねぇだろ」

 

「あ……あのう…?」

フリードの問いかけにゼノは答える素ぶりも見せず続けた。

 

「早くいけ。じゃないと助けられねぇぞ」

 

「ゼノ…」

 

「いけ」

 

「……分かった!いくぞ!二人とも!」

 

「お…お〜い…」

イッセー達は駆け出し小猫、裕斗と共に地下へと降りていった。後に取り残されたのはフリードとゼノのみ。

 

 

一方でイッセー達が地下へ向かっていった姿を見送ったゼノは屈伸をすると、自身も向かうべく足を踏み出した。

 

 

「さ〜て俺も「ザケンナぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」 ん?」

 

 

突然の奇声と共にゼノに向けて光の刃が迫る。今まで浮いてた事に気が立ったフリードが自身を空気と化させたゼノ目掛けて剣を振り回していたのだ。

だがその一閃はゼノにとっては蝿が止まる程の速度である。

 

 

故に

 

「は…?」

 

人差し指一本で簡単に受け止めた。

 

「誰だ?お前」

 

ゼノは受け止めた剣に米粒程度の力を入れて握る。その瞬間 剣は粉々に砕かれ辺りへ破片が散らばった。

 

「お…俺の剣が!?」

 

武器が消失した事でフリードは動揺する。その動揺する額の前にゼノの指が突き出された。

 

そして

 

「邪魔」

 

 

ドカァァァァァァァァンッ!!!!!!!!!!!

 

その一言と共にフリードの額へとデコピンが放たれた。人差し指が勢いよく触れただけでフリードの身体は吹き飛ばされ、教会の壁を粉々に破壊していく。

教会の壁が崩れ、吹き飛んだフリードはその崩れる瓦礫の上へと落下すると意識を失った。

 

「何だ今の?まぁいいか」

 

ゼノは再び歩み出すと地下へと歩いていった。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

ゼノと別れたイッセー達はそのまま地下へと続く階段を降っていき、ようやくその内部へと到達した。

 

そこには広い空間があり、その最奥にある高い祭壇のてっぺんには磔にされたアーシアがいた。

 

 

「ア…アーシア!!!!」

 

「い…イッセーさん…」

 

アーシアは消えそうな声で一誠の声に答えた。そしてその傍らにはレイナーレとそれを見届けにきた数十人の神父の姿があった。

 

「あら?よくきたわね。けどもうすぐ儀式は終わるわ」

 

そう言いレイナーレはアーシアに向けて手を掲げる。するとその手は輝き出し、それに呼応するかの様にアーシアの胸が光だし彼女の胸を突き破るかの様に輝き出した。

 

「あぁぁぁぁぁー!!!!!」

 

その輝きによってアーシアは苦痛の叫び声をあげる。その叫び声を聞いたイッセーは拳を握り締め額に皺を寄せた。

 

「な…何をしてるんだよ…」

 

「神器を抜き取るきだよ…」

 

そう、堕天使はアーシアの神器を抜き取ろうとしたのだ。裕斗は冷や汗を流しながらも神器のシステムに疎いイッセーに向けて残酷な真実を告げた。

 

「神器を抜き取られたらその持ち主は死ぬ…」

 

「な…!」

 

それを聞いたイッセーは即座にアーシアに向けて駆け出し手を伸ばした。

 

「やめろぉおおお!!!」

 

神器を抜き取られると持ち主は死ぬ。それを知った瞬間一誠はすぐに助けようとしたがもう遅かった。

 

 

 

 

「あ……」 

 

 

その場にアーシアの途切れそうな一声がこだます。その直後に彼女の胸の中から指輪が光に包まれながら現れた。

 

その指輪が光と共に身体の中から抜き取られるとアーシアは力が抜けたかの様に首を下げた。

 

「な…!!!!アーシアー!!!!」

 

 

一誠はアーシアの元に走っていったがその先を神父達が剣を構えながら立ち塞ぐ。

 

「止まれ!!この先へは行かせん!!!」

 

「くそ…っ!!!」

 

その時だった。

 

 

「がはぁ!?」

 

「ごほぉ…!」

 

イッセーの横を二つの影がすり抜け、立ち塞がる神父を斬り捨てると共に殴り飛ばした。

 

それは背後に立っていた裕斗と小猫だった。

 

「ここは任せて!!」

 

「早くいってください」

 

イッセーの前に出た小猫と裕斗はイッセーを先へと行かせると共に神父達に向けて再び武器を構える。

 

 

「木場…小猫ちゃん…ありがとよ!!!」

 

一誠は祭壇へと走っていった。

 

 

その姿を見送った二人は襲いかかって来る神父達を次々と撃破していった。

 

「はぁ!!」

 

「やぁ」

 

裕斗の剣捌きが太刀筋を描き、小猫の体術が鈍い音を鳴り響かせながら次々と迫り来る神父達を蹴散らしていった。

 

 

そんな中だった。

 

一人の神父が起き上がり、小猫へ向けて剣を振り下ろした。

 

「隙ありッ!」

 

「小猫ちゃん!!!」

「ッ!」

小猫はようやく気づいたがもう遅かった。

裕斗も小猫を助けようとしたが距離が遠い。

 

「ぐ…!」

 

小猫は目を閉じた。

 

「……え…?」

何も感じなかった。小猫はゆっくりと目を開けた。そこには

 

「な……何だ貴様は…!!」

 

長ランをたなびかせるゼノが立っており小猫に向けて振り下ろされた光の剣を指一本で受け止めていた。

 

「油断は禁物だ」

 

そしてゼノは指に少し力を加え押すと相手の神父はその反動によってよろめき出す。そのよろめく体に向かってゼノは強烈な蹴りをお見舞いした。その神父は吹っ飛ばされその後ろにいる神父達も衝撃で吹っ飛ばされた。

 

「す…すみません…」

 

「分かればよろしい」

 

そう言いゼノは小猫の頭をワシャワシャと撫でた。

 

 

「にゃ!?やめてください…」

 

小猫は顔を赤くしながらゼノから少し離れた。

 

 

「ごめんごめん」

 

「…………」

 

 

「あの〜二人とも出来ればこっちも助けて欲しいんだけど…」

声がした方を見ると多数の神父達の剣を 受け止めながらこちらを汗を垂らしながら笑顔でむけている木場の姿があった。

 

「あ、すみません」

「忘れてた」

 

 

そう言いゼノ達は神父達を再び倒し始めた。

 

 

 

 

そして一誠は

 

 

 

「ア…アーシア…」

 

 

着いたもののアーシアは返事をしなかった。

 

 

「ここまでたどり着いたご褒美をあげる」

 

 

 

パチン

 

 

 

 

堕天使が指を鳴らすとアーシアを縛ってい鎖が解けアーシアが一誠の方へ倒れ込んだ。そして一誠はしっかりと受け止め抱きしめた。

 

 

 

「アーシア…大丈夫か!」

 

 

一誠が呼びかけるとアーシアは目を開き

 

 

 

「い…イッセー…さん…」

 

 

 

 

それだけ言うとまた意識を失った。

 

 

 

「その娘はあなたにあげるわ」

 

 

「くっ!!ふざけんな!!この娘のセイクリッド.ギアを元に戻せ!!!」

 

 

 

「はぁ?バカ言わないで。私は上を欺いてまでこの計画を進めたのよ?残念ながらあなた達はその証拠になってしまうの。でもいいでしょう?二人仲良く消えるんだから」

 

レイナーレは下衆に満ちた目で見下ろしながら槍を生成し鋭い先端をイッセーへと向けた。

 

「…君は…初めての彼女だった…」

 

「えぇ。とても初々しかったわ。女を知らない男の子はからかい甲斐があったわ」

 

「大事にしようと思った…!」

 

「うふふ♪ちょっと困った顔をすると即座に気を使ってくれたわね〜。でもあれ全部わざとだったのよ。だって慌てふためく貴方の顔がとっても可笑しいんですもの!」

 

「俺…夕麻ちゃんが本当に好きで念入りにプラン考えたよ…絶対にいいデートにしようと思って…」

 

「アッハハハハ!そうね!とても王道なデートだったわー。お陰でと〜ってもつまらなかったけどね〜♪それに夕麻、貴方を夕暮れに殺そうと思ったからその名前にしたのよ。中々素敵でしょ?なのに死にもしないでこんなブロンドの彼女作っちゃって…酷いわ!一誠君たら〜!またあのクソ面白くもないデートに誘ったのかしら〜?あ、でも田舎育ちの小娘には新鮮だったかもね〜。こんな楽しかったのは生まれて初めてですぅ〜とか言ったんじゃない?アッハハハハ!!!!」

 

 

「…!!」

 

次々と出てくる自身を嘲笑う声。そこにはもうあの日、自身と楽しんだ彼女の面影は残されていなかった。

それによってイッセーの中に残っていた天野 夕麻に対する心は完全に消え去り堕天使レイナーレへの怒りへと変わる。

 

「レイナーレェェェェェェェェェェェェ!!!!!!!!!!!!」

 

 

「下級悪魔が気安く私の名を呼ぶんじゃないわよ!!!!汚れるじゃない!!!」

 

レイナーレはイッセーへ向けて生成した光の槍を突き刺そうとした。

 

 

だが、寸前にイッセーは避け、アーシアを抱えたまま教会の出入り口へ向けて駆け出した。

 

「行かせるかぁ!!」

 

「…!」

 

寸前に出入り口の前に数人の神父が立ちはだかる。現在はアーシアを抱えており上手く戦う事ができない状況だった。

 

その時だった。

 

 

「邪魔だ」

 

 

背後からゼノが飛び出し神父達を蹴り一発で一掃する。

 

「ぜ…ゼノ!?」

 

神父を一掃したゼノは出口を指差す。

 

「ほら、サッサといけ」

 

「…!!ありがとうな!」

 

イッセーはお礼と共にゼノの横を通り過ぎると教会の出口へ向かって走り去っていった。

 

「さて…僕達も早く終わらせようか…」

 

「そうですね」

 

「あぁ。でもこんなにいると流石に面倒だな〜」

 

ゼノ達は神父達に囲まれながらも余裕であった。

 

「へぇ〜いつまで持つかしらね〜。ま、私は一足先にいくわ」

 

そう言いながらレイナーレは出口へと飛んでいったが

 

 

 

「させるか!!!」

 

 

「な!!!」

 

 

裕斗がレイナーレに剣を振った。

 

 

 

 

 

「ふん!これしきの傷、すぐ回復するわ!じゃあね」

 

 

 

傷が浅くレイナーレを逃してしまった。

 

 

「くっ!!!」

 

 

「裕斗先輩…まずは神父達をたおしましょう…」

 

「そうだね小猫ちゃん」

 

 

 

そう言いながら木場はまた戦闘を再開した。

 

その一方ゼノは

 

 

「はぁ〜こんな奴ら全員相手するのも疲れるな〜」

 

 

神父達の攻撃を簡単に避けながら退屈していた。

 

 

「もういっそのこと全員纏めてやろ」

 

グイッ!

 

「な…何をする!」

 

 

ゼノは一人の神父を掴み

 

 

「おい!木場!!小猫!!離れてろ!!!」

 

 

そう言われた木場と小猫はゼノから離れた。そして

 

 

 

 

「そぉーら…よっ!!!!」

 

 

 

 

ブァァァァァァーーーん!!!!

 

 

 

 

「「「「「「ギャァァァァアー!!!!!!」」」」」

 

 

 

その神父を束になった神父のほうへと勢い良く投げた。

 

そしてその直後

 

 

「オラァー!!!!」

 

 

ドゴォォォォンー!!!!

 

 

「ギャァァァァアー!!!!!」

 

ゼノは跳躍しその神父達目掛けて空中から踵落としを決めた。

 

 

 

 

「ふぅ〜終わった〜」

 

神父達は全滅し見事に勝利した。

 

 

「い…以外と豪快だね…ゼノくんは…」

 

「凄いですね。本当に人間でしょうか」

 

 

裕斗と小猫はゼノの容赦ない攻撃をみて呆然としていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃一誠は

 

 

 

 

 

「アーシア…!!しっかり!ここを出ればアーシアは自由なんだぞ!!」

 

 

アーシアを教会の席に座らせ呼びかけていた。すると

 

 

「い…イッセー…さん」

 

アーシアが目を覚ましイッセーの手を握った。

 

 

「私…少しの間だけでも…お友達が出来て…幸せでした…」

 

「な…何言ったんだよ!まだ連れて行きたいとこいっぱいあるんだからな!!カラオケ…遊園地…ボーリング…あと服だって!!あと…俺の友達にも紹介しなきゃ!!松田と元浜っていうちょっとスケベだけどスッゲーいい奴なんだぜ…!絶対アーシアと仲良くなってくれるからさ!皆でワイワイ騒ぐんだ!バカみたいにさ!!」

 

 

一誠は泣きながらアーシアに言った。

 

 

「この国に生まれて…イッセーさんと…同じ学校に行けたら…どんなにいいか…」

 

「行こうぜ!!行くんだよ!!俺達とさ!!」

 

 

 

そう言うとアーシアは一誠の頬に手を当て

 

 

 

「私の為に泣いてくれる…!私…!もう…なにも…!!…ありがとう…!!」

 

 

その言葉を最後にアーシアは息を引き取った。

 

 

 

「アーシア…何でだよ…何で死ななきゃなんねーんだよ…傷ついた相手なら誰でも…悪魔だって治してくれる優しい娘なのに!!なぁ!!神様!!!いるんだろ!!この娘を連れてかないでくれよ!!この娘は何にもしてないんだ!!ただ友達が欲しかっただけなんだ!!!俺が悪魔になったからダメなんすか!!この娘の友達が悪魔だからだめなんすか!!!なぁ!!頼むよ!!神様ー!!!!!」

 

 

一誠はアーシアを抱きしめながら叫んだ。

 

 

 

 

 

 

その時

 

 

 

 

「悪魔が教会で懺悔?タチの悪い冗談ね」

 

 

 

アーシアの神器を奪った堕天使レイナーレが現れた。

 

 

「レイナーレ!!!」

 

 

「ほらみてこの傷。ここに来る途中ナイトの子にやられちゃったわ」

 

 

 

そう言うとレイナーレは傷口に片方の手を近づけると

 

 

 

 

ピカァァァン!!

 

 

 

緑色に発光し瞬時に傷を塞いだ。

 

 

 

「素敵でしょ?どんなに傷ついても治ってしまうの。神の加護を失った私達堕天使にとってこれは素晴らしい贈り物だわ。これで私の堕天使としての地位は版着ね。あぁ偉大なるアザゼル様…シェムハザ様…お二人の力になれるわ!」

 

 

レイナーレは手を合わせ祈るように言った。

 

 

 

「知るかよ…堕天使とか悪魔とか…この娘には関係なかったんだ!!!」

 

 

「神器を宿した選ばれし者にとってこれは宿命よ」

 

 

「なにが宿命だ!!!静かに暮らすことだって出来た筈だ!!」

 

 

「それは無理。神器は人間にとって無に余る存在…どんな素晴らしい力であろうと不吉な物は恐れられつのはじきにされる。仕方ないわ〜それが人間という生き物だもの〜こんな素敵な力なのにね〜」

 

 

レイナーレは神器を光らせ見せた。

 

 

「でも俺はアーシアを守ろうとした!!」

 

 

 

「でも死んじゃったじゃない!!アッハハ!!その娘死んでるのよ!!守るとか守らないとかじゃないの!!貴方は守れなかったの!!!あの時!そして今も!!」

 

 

 

「だから許せねぇんだ…お前も…そして自分も!!!」

 

 

その時一誠はリアスの言葉を思い出した。

 

 

そして思った。

 

 

 

「アーシアを返せよー!!!!!!!」

 

 

 

 

 

その瞬間

 

 

 

一誠の左手が光り赤色の籠手が現れた。

 

 

 

 

 

Drgon Booster!!!!!

 

 

 

左手がそう叫んだ。

 

 

 

 

「うわぁァァァァ!!!!!」

 

 

そう叫びながら一誠はレイナーレに殴りかかった。が躱され空振りとなってしまう。

 

 

 

 

その時

 

 

 

 

 

Boost!!!!

 

 

 

左手がまた叫び光った。

 

 

 

「うわぁァァァァー!!!!!」

 

 

 

そしてまた殴りかかった。がまた躱された。

 

 

 

そして

 

 

「ふ!!」

 

 

 

 

 

グシャ!!!

 

 

 

「ガァッ!!!!」

 

 

 

 

レイナーレは一誠の両足に槍を刺した。

 

 

 

 

「光は悪魔にとって猛毒!触れるだけでたちまち身を焦がされる…その激痛はもっとも耐え難いのよ!!」

 

 

 

 

 

そして刺した両足からおびただしいほどの血が溢れ出した。

 

 

 

だが一誠は

 

 

 

 

「それがどうした…!!!」

 

 

 

槍を抜き取った。

 

 

そして更に血は溢れ出た。

 

 

 

 

「こんなもん!!アーシアの苦しみに比べたら!!!どうってことねぇーんだよ!!!」

 

 

 

Boost!!!!

 

 

そしてまた左手が叫んだ。

 

 

 

 

 

「大したものね〜下級悪魔の分際でそこまで頑張ったのは褒めてあげる!」

 

 

 

「くっ!!力が…」

 

 

そして一誠は尻餅をついた。

 

 

 

「でもそれが限界ね〜下級悪魔程度ならとうに死んでもおかしくないのに…以外に頑丈ね」

 

 

 

 

そして

 

 

 

 

 

 

 

 

「 神様…じゃダメか…悪魔だから魔王か…いるよな!!きっと…俺も一様悪魔なんで…頼み聞いてもらえますかね〜…頼みますから…後はなにも…いらないんで…」

 

 

 

一誠は立ち上がり背中から悪魔の翼が生えた。

 

 

 

 

「だからコイツを!!一発殴らせてください!!!!!」

 

 

 

「な…!!立ち上がれる筈がない…体中を光が内側から焦がしてるのよ!!光を緩和出来ない下級悪魔が耐えられる筈!!!」

 

 

レイナーレは立ち上がった一誠に驚いた。

 

 

 

「あぁ痛えよ…!!超痛えよ…!!!今にでも意識が飛んでっちまいそうだよ!!!」

 

 

 

 

 

 

そして一誠は段々とレイナーレに近づいていきレイナーレ自身もどんどん後ろへ下がった。

 

 

 

「でもな…そんなのどうでもいいくらい!!!テメェがムカつくんだよ!!!!」

 

 

 

 

そう言いった瞬間

 

 

 

 

 

 

Explosion!!!!

 

 

 

左手がまた光り出し籠手の形が変形した。

 

 

 

 

それは赤き龍の腕を思わせる形だった。

 

 

 

 

 

「な…!!!あ…ありえない!!その神器!!ただの龍の籠手(トゥワイスクリティカル)が…どうして!!

う…嘘よ!!!!!」

 

 

 

そう言いながらレイナーレは槍を投げるが

 

 

 

 

 

ガキンッ!!!!

 

 

 

 

 

一誠は籠手の方の腕で弾いた。

 

 

 

 

 

「い…いやぁ!!!!!」

 

 

 

そしてレイナーレは羽を広げ逃げようとしたが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガシッ!!!

 

 

 

「はっ!!!!」

 

 

一誠が腕を掴んだ。

 

 

 

そして

 

 

 

 

 

「吹っ飛べクソ天使!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

全ての力を注ぎ込んだその籠手でレイナーレを全力で殴り飛ばした。

 

 

 

 

「ウァァァァァァアー!!!!!!」

 

 

 

 

そしてレイナーレはガラスを打ち破り外へと落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…はぁ…ザマァ見ろ…」

 

 

体力が限界に来たのか一誠はそのまま倒れそうになったが裕斗が支えた。

 

 

「一人で堕天使を倒しちゃうなんてね」

 

 

「遅えよイケメン王子」

 

 

「君の邪魔をするなって部長とゼノ君に言われてさ」

 

 

「部長とゼノに?」

 

 

する

 

 

 

「その通りよ貴方なら倒せると信じていたもの。」

 

 

「部長!」

 

祭壇の近くにリアスがいた。

 

更に

 

 

「いや〜やっぱり期待してた通りだよ。それよりもムカつく奴を殴った気分はどうだい?イッセー」

 

ゼノもそこにいた。

 

 

「あぁ!!スッキリしたぜ!!でもなんで部長がここに…」

 

 

 

「用事が済んだからここの地下に転移したの。そしたら…うん…」

「ゼノくんが神父を縛り上げてて……」

 

「ま…マジですか…」

 

 

そう話していると

 

 

 

 

「部長、連れて来ました。」

 

 

 

協会の入り口から小猫がレイナーレを引きずりながら持って来た

 

 

 

ドサッ

 

 

 

 

 

 

そしてリアスの前にレイナーレを放り出した。

 

 

 

 

「初めまして堕天使レイナーレ。私はリアス・グレモリー、グレモリー家の次期当主よ」

 

 

「グレモリー一族の娘か…!!」

 

 

 

「どうぞお見知り置きを。短い間でしょうけど。それから」

 

 

 

 

そういうとリアスはレイナーレの前にそれぞれ形の違う三枚の黒い羽を落とした。

 

 

「訪ねて来てくれた貴方のお友達は私が消しとばしてあげたわ」

 

 

 

 

「け…消しとばしたって…」

 

「部長は紅髪の滅殺姫(ルインプリンセス)と呼ばれてるんだよ」

 

「え…おれそんな人の眷属になったんだ…」

 

 

 

「グレモリーの娘が…!よくも!」

 

「以前ドーナシークにイッセーが襲われた時、この町で複数の堕天使が何かを企んでいた事は察してたわ。私達に害を及ばせなければ無視してたんだけど…」

 

「え…部長…じゃぁおれの為に…」

 

 

そしてリアスは変形した一誠の神器を見ると

 

「イッセー…そのセイクリッドギア…」

 

 

 

不思議に思い一誠はその理由を伝えると

 

 

 

「赤い龍…そういう事なのね。堕天使レイナーレ、この子兵藤一誠のセイクリッドギアは単なるトゥワイスクリティカルではないわ」

 

 

「何…!?」

 

 

「持ち主の力を10秒ごとに倍加させ魔王や神すらも一時的に超えることができるという13種の神滅具(ロンギヌス)の一つ…」

 

 

『赤龍帝の籠手(ブーステッドギア)』

 

 

 

「な…!!神を滅ぼすと伝えられる神器がこんな子供に…!?」

 

 

 

 

 

「どんなに強力でも時間を用するから万能ではないわ。相手が油断してくれたから勝てたと思うわ。今回の件は無視できない…消えてもらうわ」

 

 

 

 

 

その時

 

 

 

 

 

 

「一誠くん」

 

 

 

「!!!」

 

 

「…!」

 

レイナーレは一誠の恋人天野夕麻の姿となった。

 

 

 

「助けて!あんな事言ったけど堕天使としての役目を果たす為仕方なかったの!」

 

 

 

その時

 

 

「…」

 

 

今まで笑顔だったゼノの顔が少し変化し一歩ずつレイナーレへと近づいた。

 

 

 

(こいつは本当に…………今まで会った中で……最低最悪のクズだな…)

 

 

 

 

 

その顔はとてつもなく冷酷であった。

 

 

 

 

 

 

一方レイナーレは

 

 

「ほら!!その証拠にこれ!捨てずに持ってたの!忘れてないわよね!?貴方に買ってもらっ…

 

 

一誠が買って付けたプレゼントをみせた。

 

 

 

その時

 

 

 

 

 

 

シュパンッ!

 

 

 

 

「え………………………………?…ギャァァァァぁぁぁぁァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!! 」

 

 

 

その腕が切断された。その場には悍ましい叫び声が響き渡った。

 

 

 

 

そして近くには

 

 

 

 

「さっきから聞いてれば…随分と都合がいいな?お前。自分が優勢な時は「至高」だの何だの言っておきながら結局追い込まれればアッサリと命乞いか?俺は今まで何人もの馬鹿やアホを見てきたがお前程の馬鹿でアホな卑怯者は初めて見たよ」

 

グシュゥ!

そう言うとゼノはイッセーのプレゼントが握られた腕を握り潰した。

 

いつもは笑顔のはずのゼノの顔はとてつもなく冷酷な表情に染まっていた。

 

「そんな奴にはもうその羽なんて必要ねぇよな?」

 

そしてゼノはレイナーレの背中に手を伸ばすと

 

グシャッッ

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」

 

堕天使特有の黒く染まった翼を引きちぎった。その壮絶な痛みでレイナーレの顔は歪み、醜い者へと変化した。

 

「く…がぁあぁぁぁぁぁ…じぬ……!!イッセーぐん!!!!!たずげて!!!!おねがい!!!助げでっ!!!!!!」

 

 

そしてレイナーレは顔が崩壊し涙をながし、醜い表情を見せながらも一誠に助けを求めたが

 

 

 

 

 

 

「部長…お願いします…」

 

 

 

 

 

「私の可愛い下僕にいいよるな…消し飛べ…!!」

 

 

 

 

その瞬間、その場に黒い羽が舞った。

 

 

「グッバイ…俺の恋…」

 

 

 

 

 

こうして一誠達の長い夜は終わった。

 

だが………失った物は大きかった……,

 

 

 

「ア……アーシア…………う…くぅ…!」

 

 

一誠は冷たくなったアーシアの体を抱きしめながら泣き叫んだ。

 

 




更新が遅くて申し訳ありません。


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