ハイスクールD×D 破壊を司る神の弟子   作:狂骨

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若手悪魔の会合

翌日

鳥の鳴き声と共に目を覚ましたゼノはベットから起きると服を着替えた。

 

普段着ている物とは違い 中国の武術家が着ている長いチャイナ服を取り出すと袖を通した。そして下にはいつものジーパンとは違い 動きやすそうなカンフーズボンを履いていた。髪をいつも通りの三つ編みにすると部屋を出て鍵をロビーに預けた。

 

「さてと。アザゼルの気は……見つけた」

多数の気の中からアザゼルの気を見つけるとすぐさま瞬間移動をした。

 

 

ヒュン

 

「のわ!?」

突然目の前に現れたゼノにアザゼルは腰を抜かした。それを気に留めないゼノは辺りを見回した。

 

目の前には見覚えのある顔 サーゼクスとセラフォルー、そしてもう二人 見知らぬ男性が驚いていた。一人は整った顔を持ち、オールバックの青年、もう一人は全てを照らす太陽のように輝いているスキンヘッドが特徴的なゴツい顔をした男性だった。

ゼノは悟った。これがサーゼクスとセラフォルーに並ぶ もう二人の魔王なのだと。

 

「さ…サーゼクス…この方が昨日話していた…」

「あぁ…破壊神ビルス様の弟子であり、銀河を司る神…『銀河神』様だ…」

 

その言葉を聞いた瞬間 二人の魔王は全身という全身からベタつく程の汗を流した。そしてすぐさま跪く。

 

「は…初めまして…わ…私は四大魔王を務めております…『ファルビウム・アスモデウス』と申します…」

「同じく…『アジュカ・ベルゼブブ』です…本日は来ていただき誠にありがとうございます…」

ゼノは頭をかきながら 来たのは自分の意思だよ と言い顔を上げさせた。

 

「今回は面白そうだから来ただけだ。いつも通りにしてもらっていいよ」

「ありがとうございます…」

少し調子を戻したのか二人は立ち上がると頭を下げた。グレイフィア がゼノを席へと案内するとアザゼルとアジュカやファルビウムも席へとついた。

 

「んで、『若手悪魔』ってのは何だ?」

 

全員が席に着くとゼノは今回の主旨である『若手悪魔』についてサーゼクスに聞いた。

それについてサーゼクスは公共な場 故に敬語で丁寧に説明を始めた。

「『若手悪魔』というのは レーティングゲームの経験歴がまだ浅く新人な悪魔の事を指します。今回の会合はこの若手悪魔の中でも屈指の実力を持つ五人に対して執り行っていきます」

「成る程な。で?その五人とは?」

「はい。『シークヴァイラ・アガレス』『ゼファードル・グラシャラボラス』我が妹リアスとセラフォルーの妹ソーナ君、そして若手悪魔の中でもNo1とされる『サイラオーグ・バアル』です」

 

五人のうち 三人は初めて耳にする名前だ。そして何より驚いたのが リアスとソーナが若手悪魔の上位にいる事だった。

 

「さて、そろそろ会合を始めよう」

サーゼクスは扉付近に立っているグレイフィア に手で合図をするとそれに応えたグレイフィア は頷き扉を開けた。

 

「失礼します」

その声と共に五人の悪魔達が入室してきた。ゼノを初めて見る三人は誰だろうと疑問に思いながらゼノを見た。対してリアスとソーナは何故かゼノがいる事に目を点にしていた。恐らくだが『なんでここに…?』と思っているだろう。

 

一方でゼノはリアスやソーナよりも、一番右端に立っている筋骨隆々な悪魔へ目を向けていた。

「(コイツ…魔力らしきモノが感じられねぇな…体格からすると 身体能力だけで勝負してきたんだな。一度 戦ってみたいな…)」

 

魔力を一切感じさせない男にゼノは興味を持ちながらも会合に臨んだ。

 

「よく来てくれた。では、会合を始めるとしよう」

元老らしき悪魔が切り出した事で会合が開始された。

 

だが、内容はゼノにとっては全く縁のないものだった。冥界の未来、力、レーティングゲーム、それに関しての説明ばかりであった。

そして、話し続けて数十分が経過した頃、会合は終盤へと差し掛かった。

 

「では最後に、君達の今後の抱負を聞きたい。遠慮なく言ってくれたまえ」

すると、ゼノが注目していた右端の青年から先に目標を言った。

 

「私は魔王になる事です」

「ほぅ…」

青年の言葉に元老の男性は驚いた。

「大王家から魔王とは前代未聞ですな」

「私が魔王になる事に民が賛成するならそうするしかないでしょう」

なんの迷いもない発言に魔王や元老の皆は納得したように頷いた。

 

次は リアスだ

 

「私はグレモリー家次期当主として、レーティングゲームに勝ち続けていく事です」

リアスの抱負は特に気になる点はない 普通の答えだ。故に不思議とは思わず質問は出されなかった。

 

次は生徒会長である、ソーナだ。重度のシスコンであるセラフォルーは妹のソーナの抱負に心を震わせていた。

そんな姉の姿を見たソーナは微笑みながら胸を張って力強く言った。

 

「私はレーティングゲームの学校を設立することです」

その抱負に対して元老側から質問が挙がる。

「レーティングゲームの学校ならもうあるのだが?」

「それは上級悪魔や一部の特権を持った悪魔にのみしか入学を許されていません。私は下級でも転生悪魔でも入学が可能な学校を創りたいのです」

ソーナの抱負は前の二人とは違い 他人への思いやりが強いモノだった。

セラフォルーは満面の笑みを浮かべながら拍手をしそうな勢いで頷いていた。サーゼクスも内心『いい抱負だ』と思い頷く。

 

その時だった。

 

 

『はははははははは!』

元老側から次々と笑いの声が聞こえてきた。

 

「これは傑作ですな!」

「ハッキリ言えば無理だ!」

次々とソーナの抱負をバカにするかのような声が挙がってくる。それに対して魔王の四人の内 サーゼクス、アジュカ、ファルビウムは不服な表情を浮かべており、アザゼルもドブを見るかのような表情をしていた。何より一番 恐ろしいのはセラフォルーだ。普段から常に見せている天真爛漫な表情が消え失せており、今にでも元老を殺しそうな勢いで睨んでいた。だが、そんな事をすれば大事だ。

それに彼らは魔王になって間もない故に信用性が薄いため 迂闊に反論できないのだ。

 

「成る程!夢見る乙女とはまさにこの事だな!」

「若いというのはいい!しかし次期当主とあろう者が…

 

バキッ

我慢の限界なのか、身体の中で抑えていた怒りが外へと漏れ出してしまったセラフォルーはテーブルに指を立てた。

 

「ひでぇモンだな…なぁ銀河神様……え?」

アザゼルは隣に座っているゼノに顔を向けた時だった。そこにはゼノの姿がなかった。

 

「あれ?どこいった?トイレか?」

アザゼルは辺りをキョロキョロし、ゼノを探していた時、先程まで笑っていた元老からの笑い声が途絶えた。

 

アザゼルはすぐさまその場に顔を向けた。

 

 

なんとそこには、一人の元老の顔を目の前のテーブルで座りながら青い目で静かに見つめているゼノの姿があったのだ。

突然現れた事により、元老側は笑いを止めた。

 

「なんだね?」

見つめられている悪魔は動じずゼノへと問う。

 

 

 

 

 

 

その瞬間

 

 

 

『…!?』

その場にとてつもない程の殺気が溢れた。

 

魔王四人 加えてアザゼル、そして若手悪魔達はその殺気の恐ろしさに汗を流していた。離れているのにこの威力、目の前でその殺気を放たれた元老は身体中から汗を流し、涙を流しながら命の危険を悟っていた。

そんな中、ゼノは重圧を掛けながら質問をした。

 

 

「なぁ…会合って普通 静かにやる事だろ?違うか?」

「い…いえ…違わない…です…」

目の前から発せられる圧に元老は敬語で答える。

 

「だったらさ?静かにやれよ。それにそっちから抱負 聞いといて笑うってのはないだろ?」

「は…ハイ…」

もはや反論などできないだろう。この悪魔の脳内は既にゼノへの恐怖に侵食されているのだから。

そこでゼノはもう一つある質問をした。

 

「なぁサーゼクス、前に言っていたな。俺がコカビエル倒した事を元老側が信用しなかった事を」

その質問に対してサーゼクスはゆっくりと頷く。するとゼノはニヤリと笑うと目の前にいる悪魔に目を向けた。

 

「俺はこの地球が属する銀河を収めてるからな。その星に住む者に信用されないといけない。そうだ。こういうのはいいどうだ?一回 俺と戦ってみる。お前らと眷属合わせて全員だ。そうすれば信用してもらえるかもしれない。勿論 信用を得るために俺は本気でいく」

 

『…〜!!!!!』

『本気』という言葉に元老は涙を流しながら更に震え上がった。全員の眷属を併せ持ってしても確実に勝てないと。

それに対してサーゼクスとセラフォルーは察したのか笑みを浮かべ始めた。

 

「成る程!それはよいお考えです!他の少数派の者達も信用させる為に悪魔領全土に放映いたしましょう!」

「私は早速 打ち合わせしてきます!」

セラフォルーは敬礼すると鼻歌をしながら会場を出ていった。

もう既に決まっているかのように話が進み、元老側はほぼ全員がやつれていた。

 

「じゃあ日取りは何時頃にする?」

「そうですね。10日後にしましょう!冥界で一番巨大な闘技場をご用意いたしますよ!」

「了解。いやぁ〜楽しみだなぁ?」

 

『…!?』

その時 ゼノの冷酷な目が元老達へと向けられた。

 

「10日後…俺に勝てるといいな…?』

 

 

ーーーーーーーーー

 

その後、元老側が全員 気絶した事により、会合は一時中断され、その後はサーゼクス達が続けた。

 

そして 会合が終わると 戻ってきたセラフォルーに腕を掴まれ上下に揺らされていた。

 

「ありがとうゼノ君ッッ!!ソーナちゃんの為にあそこまでやってくれて!」

上下に揺らされたゼノは「別にいい」と言う。

 

「俺だって信用しない老害に腹が立ってたからな」

隣ではサーゼクスが演技を終えた事で笑いながら汗をかいていた。

 

「いやぁ…しかしあそこまでするとは…私も途中から気づいたけども 少し怖かったよ」

「その割にはノリノリだったろ?」

「まぁね」

『アッハッハッハッハッハッ!』

 

「さて、そろそろ仕事に戻ろう。10日後は本当はリアスとソーナ君のレーティングゲームの予定だからね」

そう言い10日後の予定を話した。すると、ゼノとセラフォルーは疑問の声を上げた。

 

「え?」

「なんで?」

「いや、なんでって言われても……え…?」

サーゼクスは『まさか』と思った。そのまさかだ。ゼノとセラフォルーは本気で元老側とやるつもりらしい。

 

「まさか…二人とも本気で元老の方々と…」

サーゼクスの質問にゼノは腕の骨を鳴らしセラフォルーは手に氷の魔力を集結させた。

「流石にムカついたからガチでやる」

「それにもう打ち合わせしてきちゃったし〜。あと、ソーナちゃんを侮辱したから少しでも………痛い目に遭ってもらわないと気が済まない」

それぞれドスの効いた声で答えた。どうやら完全に本気らしい。

 

「じゃあソーナちゃんとリアスちゃんの前に試合って事でいい?」

「おぅ。それで頼む」

「……(終わった…)」

 

 

 


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