ハイスクールD×D 破壊を司る神の弟子   作:狂骨

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新任教師 そして小猫の迷い

ゼノが朱乃と共に帰還して翌日 の月曜日

 

「今日から『オカルト研究部』の顧問となったアザゼルだ!『アザゼル先生』と呼びな!」

いきなりにしてはいきなりすぎる。つい先日まで自分達悪魔の天敵であった堕天使の首領がいきなり先生になっていた事にリアスやイッセーは口をガーっと開けていた。

 

「これは一体どういうことかしらソーナ?」

リアスは首をゆっくりと振り向かせ、後ろで汗を垂らしているソーナをジト目で睨んだ。

 

「い…いや…あの 断った場合はお姉様が来ると仰って……」

「私たちを売ったのね…?」

「で…では私はこの辺で!」

ソーナはすぐさま扉を開けると逃げる様にして出て行った。

「まぁまぁいいじゃねぇか。考えてもみろ。セラフォルーが来たら来たで毎日が撮影会だぜ?」

「ム……それはそれで困るわ…」

リアスはアザゼルの話に納得するとソーナの要求に渋々 了承した。

 

「ま、俺が来たからにはお前らの体力 スタミナ 魔力 なおかつ神器をめっちゃくちゃ強化してやるからな♪」

アザゼルのどう料理してやろうかという笑顔に神器を扱うイッセーや木場達は少し引いた。

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

私は弱い……力が自慢の『戦車』である筈なのに兵士であるイッセー先輩や速さが自慢の裕斗先輩よりも低い。会談の時…ギャー君を守る役目だったのに守れず…ゼノ先輩に助けられた…。

 

私はどうすればいいんだ…どうすればもっと役に立てる…

 

“仙術”なんて絶対に使いたくない…!使えば私は姉様の様になってしまう…どうすれば……。

 

「…」

私は朱乃先輩の膝に座っているゼノ先輩へ目を向けた。先輩は銀河神で武術の超達人…だけど先輩の教えに私がついていける訳がない……分からない…どうすればいいんだ……。

 

ーーーーーー

 

私はその後 契約仕事を終え今住んでいるマンションへと向かっていた。

マンションに帰宅した私はベッドに寝っ転がる。

 

「取り敢えずなんか食べよう…」

私は近所にあるピザ屋にデリバリーで注文した。

 

 

その時

 

ピンポーン

 

玄関のボタンが押されて、誰かが来たことを教えた。私は部長かなと思いドアを開けた。そこにいたのは、部長ではなかった。全身を黒いローブに包んでおり、魔力も微量ながら感じる。そして嗅いだことのある匂いも感じ取れた。

 

「突然押し掛けて申し訳ございません。リアス・グレモリーの眷属の『塔城小猫』様でいらっしゃいますか?」

「だったら何でしょう…?」

 

 

スッ……

 

 

「死ね!」

「っ!」

 

ドンッ!

 

突然 その男は私に目掛けて魔力を放ってきた。避けれたものの私はその場に尻餅をついてしまった。。

あの男の事を思い出した。聞いただけで震えがある声 間違いない。あの男は姉様が殺した悪魔の眷属だ。

 

 

「あ……あ……あ…」

立ち上がりたい。けど立ち上がれない…。私の頭の中はあの日の恐怖に埋め尽くされ何も考える事ができなくなった。

その悪魔はゆっくりと私に近づいてきた。一歩一歩……一歩一歩……

 

「や…やだ…!来ないで…!」

「はぁ?来ないで?随分な物言いだな『白音』よ。貴様の姉がやった事 …覚えているだろう?」

そう言いどんどん距離を縮めてくる。

「お前の姉が我が主を殺して以来、私達がどんな目にあったか貴様には分かるのか?いや、分からせてやろう…この痛みでッ!!」

「ガハッ!」

そう言い悪魔は私の鳩尾を踏んだ。

 

「まだ足りぬ…まだ足りぬ…!」

「うぐぁ……や…やめて…!」

私の願いに応えることは無く魔力が込められた足は何十回も私の腹に振り落とされた。私は動こうにも動けなかった。

 

誰か……助けて…!

 

私は声を振り絞りながら叫んだ。

 

「フン、命乞いをするとは。まぁいい。最後はお前の身体を犯してやろう。身体の隅々から侵してやろう…絶望に落ちる顔を見せておくれよ?」」

その男の腕がゆっくりと倒れ伏している私に近づいてきた。

 

もうだめだ……私は終わった…。私がもっと強ければ……強ければ……。

 

ガチャ

 

 

「お待たせいたしました〜」

……え?

その時、玄関から誰かが入ってきた。この声は聞いたことがある。

 

「見た目と速さだけが取り柄に対して味には全くもって取り柄なし その上バイトへの給料がとことん少なすぎ かつ2倍でも1500はいかない超ブラックなピザ屋の店長が作ったピザ 『駒王ピザ』で〜す」

その陽気な声につられ私と悪魔はその方向へ首を向けた。

 

そこに立っていたのは私の大好きなゼノ先輩だった。

 

「せ…せんぱい…!」

私は涙を流した。助けに来てくれたんだ。私の声が届いたんだ。

 

「ん?小猫?成る程、ここが小猫の家か。ちょっとお邪魔するよ」

そう言いながら先輩は悪魔に目を配ることなく玄関を上がってきた。

私を踏みつけていた悪魔は足を退け先輩の前に立ちふさがった。

 

「去れ。私は今からコイツを殺すのだ。邪魔立てするなら容赦はせんぞ?人間の子よ」

その悪魔はそう言いながらゼノ先輩へ威嚇した。だが その悪魔が言い終わったと同時に心臓がゼノ先輩の腕に貫かれていた。

そして心臓を貫かれた悪魔はその場にゆっくりと倒れ伏した。つまり絶命した。

 

 

「さて、大丈夫か?こね…こっ!?」

私は涙を流しながら先輩に抱きついた。

 

「うぁぁぁ!!怖かったぁぁ!!怖かったです!!!」

「え!?ちょ……どうした!?落ち着け!な!?落ち着けって!」

 

ーーーーーーーー

ーーーーー

ーー

 

あれから数分後、小猫は未だに涙を流しながらゼノに抱きついていた。それもそうだ。散々殴られ 蹴られた挙句の果てに犯されそうになったのだから。

 

「うぐぅぅぅ…先輩……!!」

「だから落ち着けよ。何があったんだよ。といつかコイツ誰?それに何でお前 今日ずっと不機嫌だったんだよ」

ゼノは自分が殺めた相手に指をさした。すると小猫はようやく落ち着きを取り戻すとゼノにこれまでの経緯と悪魔になったキッカケ、そして自分の秘密についてをすべてさらけ出すように話した。

 

その話を聞いたゼノは「そうか」と言うと倒れ伏している男に向かって手を向けた。

 

「要するにコイツがお前に無理やり『仙術』を使わせ様とした奴ってことか?」

その問いに小猫は頷いた。

 

「成る程。たしかに使いたくなくなるよなその術は。で?お前はどうしたいんだ?」

「強くなりたいんです…。今の私は眷属の中で1番弱い…このままだと私…ただの足手纏いになってしまいます…」

「そうか。取り敢えずこの遺体は消すか。続きは俺の家で」

そう言うとゼノは魂がなくなったただの肉の塊を『破壊』するとリアスに連絡し、「次 こんな事があったら殺すぞ管理者」とだけ言って電源を切ると小猫と共に自宅に瞬間移動した。

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

自宅に着いたゼノは小猫をソファーに座らせると向かい合った。因みにサリとティアマットは食材の買い出しに行っており不在である。

「さっきの話の続きだ。お前はどうしても強くなりたいのか?」

「はい…」

小猫は頷いた。

「たしかにお前の格闘センスは良い。けどな、今のお前には限界がある。その限界を超えるにはさっきの『仙術』が必要だ」

「嫌です!あんな力を使えば…私は姉様のような化け物になってしまいます!」

「だがな。今のお前にはやっぱりそれが必要なんだよ。このまま格闘術だけを続けていけばオーバーワークでぶっ倒れるだけだ」

「……」

小猫は黙り込んでしまった。武術が上達していてもそれに比例する力がなければ元も子もない。

 

「取り敢えずお前に提案する。素直に自分を受け入れて 俺と一緒に修行する。それとも自分を受け入れずこのまま悩み続けていく。どっちか選べ。最初のを選べば俺は喜んでお前を受け入れる。お前の戦闘スタイルなら教えやすい。けど…後者を選んだら…俺はお前に二度と手は貸さん」

その問いは小猫にとっては強大なものだった。前者を選び仙術を使えば姉のような化け物に。だが後者を選べばゼノから見放されいつまでもそのままである。

小猫はある事をゼノへ聞いた。

「私が……暴走した場合……どうするんですか…?」

「…まだ怖いのか?暴走するのが」

「はい…」

小猫にとって、仙術はトラウマの塊のようなモノだ。使い方を見誤れば確実に暴走し、甚大な被害を出す怪物と成り変わるだろう。それに対し、ゼノはまるで何事もないかのように答えた。

 

「ふん。そんな心配するな。俺を誰だと思ってるんだ?お前が暴走しようと殴るなり ひっぱたくなりして無理やりにでも目を覚まさせてやるよ」

ゼノのその答えを聞いた小猫は決心した。

 

「私は……自分を受け入れます!だから先輩!私を強くしてください!」

そう言うと小猫の頭から猫の耳 そして尻尾が生えた。

「あぁ。いいぞ。お前を地球最強の…いや、宇宙最強の猫魈に育ててやる」

 

その後、小猫はゼノの家で居候する事となり、帰ってきてその知らせを聞いたサリは目を凄く輝かせていた。

 

 

 




そろそろどうしよう…街の管理者変えちゃおうか…

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