イッセーside
俺たちは今、悪魔と堕天使、そして天使の未来までもが掛かっている会談へと出席していた。始まる前にゼノが『人間レベル』とか何とか言ってたけど俺には全く理解ができなかった……が、ゼノがあれだけ真剣に話すってことはそれ程重要ってことだな…
それから本格的に会談が始まった。最初は部長と生徒会長が今回の件について話した。それに対しての意見をサーゼクス様はアザゼルに求めた。話によるとあの後コカビエルは正気を取り戻した直後に地獄の最下層で永久冷凍の刑に処されたらしい。
アザゼルの話が終わった後、サーゼクス様は真剣な顔でアザゼルにある質問をした。
「…アザゼル、一つ聞きたいのだが、ここ数十年間…なぜ神器所有者を集めている…?」
「最初は人間をかき集めて戦力増強を図り天界か我々に戦争を仕掛けるのではないかと予想していたんだけど?」
「白龍皇を手に入れたと聞いた時は強い警戒心を抱いたものです」
それに続いてミカエルさんと生徒会長の姉である魔王レビィアタン様も質問した。
この問にアザゼルは笑みを浮かべながら「神器研究のため」と答えた。
「俺は今の世界に十分満足してるぜ。全く…俺の信用度は三すくみの中では最下位か?」
『そうだ(ね)』
魔王様とミカエルさんは顔色一つ変えずに同時に答えた。まぁ無理もないか…アザゼルはメンドくさそうな表情を浮かべると衝撃的な言葉を口にした。
「和平を結ぼうぜ。元々お前らもそのつもりだろ?」
わ…和平!?
「部長…ようするに平和を共に願うってことですよね…」
「えぇ…アザゼルからその言葉が出てくるなんて驚きだわ…」
部長も微量ながらの汗を流し驚いていた。
俺と部長が話している間にも会談は続いた。
「失ったものは各勢力 大きい…けれど、いないものをいつまで求めていても仕方ないでしょう。神の子らを見守り先導していくのが我らの使命です」
「我らも同じだ。種を存続するため悪魔も先に進まなければならない」
ミカエルさんの意見にサーゼクス様も同様の意見を述べた。
「そう。次の戦争をすれば今度こそ三すくみは共倒れだ。それにまた破壊神の降臨を許してしまう…万が一共倒れにならなかったとしてもその神によって残されたものどころかこの世界全土が消されるからな。だから、俺たちは戦争をもう起こさない。俺達の上に存在する神がいなくても世界は回るのさ」
アザゼルが言ったその言葉で、残りの話は全て直線方向へと進んだ。
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「ーこんなところだろうか。さて、懸案事項も片付いたところで…赤龍帝殿のお話を聞いてもよろしいですか?」
「…!はい」
俺は席を立った。俺がかねてから訊きたかったこと……それは…
「なぜ…あれほど神を信じていたアーシアを教会から追放したんですか…?」
アーシアの追放の件についてだ。
「それに関しては…申し訳ないとしか言えません…神が死んでから『システム』だけが残りました。人の信仰心を源に地上に奇跡をもたらします。悪魔祓いの扱う聖具の効果もシステムの力です」
「神が死んでから…その『システム』に不都合が…?」
「はい。神以外がシステムを扱うとなると困難を極めます。今は私達 熾天使(セラフ)全員で辛うじて起動出来ていますが 神がご健在していた時よりも加護や慈悲は行き届かず…救済できる者は限られてしまうのです。そのため、システムに影響を及ぼす者は遠ざけておく必要があったのです。例としては一部の神器を所有する者です」
「ってことは…アーシアの神器が悪魔や堕天使を癒せるからですか?」
「…悪魔や堕天使を癒す者がいれば周囲の信仰に影響が出ます。信仰は我ら天界の源…近くに置いておくわけにはいかなかったのです。またもう一つの例は…」
「神の不在を知る者……ですね」
「そうです。ゼノヴィア。あなたとアーシア・アルジェントを異端とするしかなかった……申し訳ありません……」
!?
そう言うとミカエルさんはアーシアとゼノヴィアに向かって頭を下げた。二人はもちろん俺も突然の行動に少し驚いていた。
するとゼノヴィアが慌てながらすぐに止めた。
「ミカエル様、多少の後悔はありましたが、教会に居た頃に出来なかった事が今の私を彩ってくれてます。他の信徒に怒られるかもしれませんが私は今の生活に満足しています」
「私もです。大切な人が沢山出来ましたから」
ゼノヴィアとアーシアは笑顔を浮かべていた。俺はその笑顔を見て少し安心した。
「貴方達の寛大な心に感謝します」
その時、今まで黙っていたアザゼルが口を開いた。
「俺の部下がそこにいる娘を騙してを殺したらしいな?」
「あぁそうだ!アーシアは一度死んだ!アンタに憧れていた女堕天使がアーシアを殺したんだ!」
その言葉に俺は少量の怒りを表し答えた。部長が肩に手を置き落ち着くよう促すが俺としては落ち着こうにも落ち着かなかった。
「俺たち堕天使が一部の神器所有者を始末しているのは確かだ。だがそれは神器の力に呑まれ暴走し世界に悪影響を与えかねない奴らだ。お前も例外じゃない」
「お陰で俺は悪魔だ」
「嫌か?」
「嫌じゃない!むしろ皆に良くしてもらってる!……けど!」
「今更俺が謝っても後の祭りだ。だから俺は俺にしか出来ない事でお前らに貢献する。そこで一つ、お前に訊いて置きたい事がある」
突然の質問に俺は首を傾げた。
「お前は赤龍帝として世界をどうしたい?」
「い…いきなり言われても…」
いきなりの質問に俺はどう答えれば良いのか分かんなかった。するとアザゼルは次にヴァーリに訊いた。
「俺は強い奴と戦えればいいさ」
「兵藤 一誠、お前は世界を動かす程の力を秘めている。選択しなければ俺をはじめ各勢力が動きづらくなるんだよ。そうとなりゃ……… “リアス・グレモリーはもう抱けないぞ?”」
「な!」
その言葉で……俺の考えはある方向へと一直線した!
部長と………Hが出来なくなる………だと!?そ………そんなの決まってるじゃねーか!!!!!!
「わ…和平一つでお願いします!!!!えぇ!平和が一番です!!部長とHがしたいです!!」
俺は心にあることを叫んで言った!だが……俺は忘れていた………
「イッセー君…サーゼクス様がおられるんだよ…?」
部長のお兄様が居たことを… 部長も顔を赤くしておらっしゃる…
「で…でも!俺に宿る力が強力なら仲間の為に使います!皆が危険に晒されてたら俺が守ります!俺はまだまだ弱いですけど俺ができるのはそれぐらいですから体張って皆と生きていこうかなって…!!」
俺はグダグダながらも言いたいことを皆に向かって言った。
その時
ドォオオオオオオオオンッ!!!!!!!!!!!!!
外から地面を揺るがすほどの巨大な音が鳴り響いた。
「な…なんだ!?」
「地震……でしょうか?」
俺やアーシアが驚いていると突然ゼノは立ち上がった。
「ようやく来たか」
その一言でサーゼクス様やミカエルさん達は今までで見せたこともない程 顔をしかめつかせた。
「この感じ……」
「あぁ…前の戦争の時と同じだ…遂に来たようだな…!!」
ガチャ
その時、会議室の扉が静かに開かれた。
「やぁ。会場はここでいいのかな?」
皆は一斉にその扉の方へと顔を向けた。
「よう。生で会うのは久しぶりだな師匠?」
そこには…
「フン…何ヶ月もお菓子を寄越さないでよくそんな態度がとれるね?」
異形の衣服を着用した謎の怪物が立っていた。
サーゼクス様は汗を垂らしながらもゼノに質問をした。
「ゼノ君……まさかこの方が…!」
「そうさ。この方がこの宇宙に君臨する最強の神…………
“破壊神ビルス”だ
破壊神ビルス……コイツが…!
「フフフ。よろしくね?悪魔の諸君」
遂に、会談は最終局面へと突入するのだった。