あれから俺は地獄での視察を終えると現状を報告しすぐに現世に戻ってきた。
そして今俺は………
「ズズズ……成る程、ミラとトワが脱走ね…」
時の巣に来ている。
何故かというと、俺はミラとトワがどういう人物なのか知らないから時の界王神に聞きに来たのだ。
ある程度分かったから今後の対策についても話し合っていた。
「取り敢えず、今のところ奴らも手出しはできないと思うわ。でも、不思議ね………どうやって脱出したのかしら……」
「そこが問題なんだ………」
そう言うと俺は席を立った。
「まぁいい。この件は俺が片付ける。アンタもくれぐれ注意しとけよ?」
「分かったわ。ゼノ君もよ?」
「へいへい」
俺は頷くと地球へ瞬間移動した。
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イッセーside
ゼノが去った後、俺たちはギャスパーの力のコントロールの特訓を再開した。森沢さんの一件でまたギャスパーは閉じこもってしまうが、俺や木場のエロトークで元気を出し無事 引きこもりを卒業させる事ができた…!
次の日 俺はいま……
「よく来てくれましたね。イッセー君」
朱乃さんが住む神社へと来ていた…!
「それにしても…今日は何故呼び出したんですか?」
俺は朱乃さんに呼び出した訳を聞くと
「うふふ。とても大物の人がイッセー君に渡したい物があるそうです」
「お…大物ですか…」
「それにその方はゼノ君にも会いたいそうでしたのでゼノ君もお呼びしました」
え!?じゃ…じゃあもう…
「はい。イッセー君より一足先に来ております」
は…はぇ…と言うか俺に会いたい大物って誰なんだろう……
そう思いながらも俺は鳥居を潜り中に入った。ヤバイと思ったが朱乃さんが言うには「大丈夫」らしい
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鳥居を潜り境内につくとそこにはゼノがいた。ゼノは俺たちを見ると軽く手をあげ挨拶した。
「うふふ。お待たせしましたわ」
「ほんじゃ行くか」
俺たちは靴を脱ぐと中へ入った。
「彼が赤龍帝とビルス様の弟子ですか?」
部屋に入るとそこには、ガタイのいい美青年がいたのだ…
だ…誰だろ……あれ?
俺はその人を見て何かが思い当たった。
「天使の翼が生えてて…大物ってことは……!四大熾天使の1人…ミカエル!?」
俺が驚きながら叫ぶとその人は微笑みながら答えた。
「いかにも。私は四大熾天使の1人 ミカエル。初めまして、赤龍帝 兵藤一誠くん。黒崎ゼノ君」
横にいた朱乃さんは「あのお方はイッセー君に渡したい物があるそうですわ」と言った。
「これを…貴方に授けたいのです」
そう言うとミカエルさんは一本の剣を俺の前に出した。
「こ…このオーラは聖剣!?」
「はい。これはゲオルギウス_____聖ジョージの持っていた竜殺しの聖剣『アスカロン』です。特殊儀礼を施してありますので悪魔である貴方でもドラゴンの力を使えば使用できるかと」
「で…でも何でこんな凄いものを…!?」
俺は恐る恐る聞くとミカエル様は語り出した。
「今回の会談は我々三大勢力が手を取る大きなの機会だと思うのです。我らは創造主の神を、悪魔は前世代の魔王を亡くし堕天使も多大な被害を受けました。このまま争いが続けばいずれ全てが滅んでしまいます。他の勢力の懸念もありますしね…」
「……」
ミカエルさんは続けた。
「これは天使側からあなた方悪魔側への贈り物です。もちろん堕天使側にも送りました。悪魔側からも噂の聖魔剣を数本頂きましたからね」
「は…はぁ…でもどうやってこれを…」
俺は危なっかしくて触らなかった。流石に怖いもんな……
「アスカロンはこの神社で最終調整を行いましたのでご心配なく。各陣営のあらゆる術式を施していますのでドラゴンの力を使えば触れることができるとおもいます」
朱乃さんに言われ俺は安心した。そして俺はアスカロンに手をかけた。
『相棒!神器に意識を集中させ剣の波動に合わせろ!後は俺がフォローする!』
「お…おぅ!」
俺は神器に意識を集中させた。
ガチャンっ!!
「お!?マジで合体した!」
『やったな相棒。成功だ』
「おぅ!」
「おめでとうございます。どうやら成功したようですね」
そう言うとミカエルさんは「そろそろ行かなくてわ…」と言い帰ろうとした。
「俺に何か聞きたかったんじゃないのか?」
ゼノが聞くとミカエルさんは…
「すいません。もう時間が来てしまったので。会談時に必ずお聞きします。それと兵藤君。貴方が聞きたいことも会談時に」
それだけ言うと光と共に消えていった。
その後俺は朱乃さんから一杯いただくと神社を後にした。
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「………」
イッセーが神社を出た後、ゼノも神社を出ようとしたら突如朱乃に呼び止められ、今は一つの和室で2人が向かい合っていた。
「どうした?俺を呼び止めて」
「………ゼノ君は…堕天使が嫌いですか?」
いきなりの質問にゼノは「は?」と言う顔を浮かべ逆に聞いた。
「どうしていきなりそんなことを?」
そう言うと朱乃は翼を出した。
だがその翼は片方だけ堕天使の翼だったのだ。
すると朱乃は悲しそうな声で説明し始めた。
「私はもともと…堕天使と人間の間に生まれたハーフなのです。母はとある神社の娘でした。傷つき倒れている堕天使の幹部であるバラキエルを助け____その時の縁で私を宿しました…」
そう言うと朱乃は自分の翼を触った。
「穢れた翼………この翼が嫌で悪魔になりました…でも生まれたのは堕天使と悪魔の両方の翼を持つおぞましい生き物です…」
見ると朱乃は悲しく微笑んでいた。
「ゼノ君はどう感じますか…?私のような穢れた生き物を見て…」
ゼノはしばらく黙ると口を開いた。
「………確かに堕天使は嫌いだ。今まで会ってきた中でロクな奴は誰一人いなかったよ。けど、俺はお前にはそこまでの感情は持ってない。考えてみろ…嫌いだったらとっくに殺してるよ」
「…!」
「お前がどう思うか勝手だけどさ…血筋が堕天使だからって俺はあまり気にしないよ」
「……それを聞けて…少し安心しましたわ…」
「そうか。じゃ、俺は帰る」
そう言い湯呑みを置くとゼノは立ち上がり、去ろうと出口へ向かった。すると、朱乃が突然背後からゼノに抱きついた。
「なんだ………んっ!?」
ゼノは身震いをした。その理由は朱乃が顔を赤らめながらゼノの身体を持ち上げゼノの横顔へ自分の顔をすり寄せたからである。
「もう少し…いて…」
「………はい…」
朱乃の欲求にゼノはなす術もなく力が抜けたように頷いた。
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それから数十分後
「………なぁ…?」
「どうしたの?」
ゼノは朱乃に抱き抱えられていた。
「いつまでこうしてるんだ…?」
「ふふふ♪私の気が済むまで〜♪」
なぜか……朱乃の雰囲気が先程とは段違いなのである。
ギュ
「!?」
すると朱乃は抱きしめる力を強くした。当然ゼノは驚くと同時に顔を赤く染めた。
「ふふふ♪ゼノったら可愛い〜♡」
「な…(なんだコイツ……本当に朱乃なのか!?もしかしてこれが素!?)」
ゼノも朱乃の変わり様に驚いていた。それもそのはず、先程までお姉さん的な『朱乃』が一瞬で可愛いもの大好き女子になってしまったからである。
「ぅぅぅ……(恥ずかしい……)」
その後一時間程、朱乃に抱きつかれた。何故か知らんが朱乃に抱きつかれてる間、凄く身体が熱くなった。
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「じゃあな…」
「はい!」
ゼノは神社を出て行こうとした時、朱乃にある提案をした。
「朱乃……」
「どうしたの?」
「……お前、その力を使うのは嫌か?」
そう聞くと朱乃は表情を暗くし、いつもの雰囲気へと戻ってしまった。
「…はい…その為で母は死んでしまったので……」
するとゼノはある提案をだした。
「だったら、会いにいくか?」
「え!?」
その提案は朱乃の目を大きく開かせた。
「ど…どういうことですか!?」
「そのまんまだ。お前とお前の母親とを会わしてやるって言ってんだ。これでも俺は天国や地獄にも普通に行き来できるからな」
「……本当に…会えるんですか…?」
「会える。俺は嘘はつかん。会談が終わった後に連れてってやる。因みに、ハッタリじゃねぇからな」
そう言うと朱乃は頷くと ゼノはその場から去った。
「………母様と…会える…!!」
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イッセーside
俺がアスカロンを授かった後、とうとう会談の日がやって来た。
学園はとてつもなく巨大な結界に覆われ 周りには何千何百もの天使、悪魔、堕天使の兵たちが守っていた。ざっと見れば数千はいく数だった…!
「す…すげぇな…」
「一触即発の空気だよ…」
部長や朱乃さんも凄く厳しい表情をしていた。あれ?そういえばゼノは?
すると部長がLINE画面を見せた。
「ビルス様を連れてから来るそうよ…」
「!」
俺や皆は息を飲んだ。
そ…そうだ…今回の会談は破壊神が来るんだ…!この会談に悪魔どころか地球の未来までもがかかってるんだ…!
「…………時間ね。行きましょう」
そう言うと俺たちは部室を後にし会議室へと向かった。ちなみにギャスパーは留守番ということで俺のゲームなどを貸してあげた。
「面倒見がいいね。イッセー君は」
「ヘヘッ!まぁな!」
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ガチャ
「失礼します」
そう言うとリアスはドアを開けた。中には三大勢力の首相 アザゼル、ミカエル、そしてサーゼクスとセラフォルーが座っていた。
「よく来てくれた。座ってくれ」
サーゼクスがそう言うとリアス達オカ研の皆は近くにある椅子に座った。隣には生徒会ことシトリー眷属もいた。そしてアザゼルの近くには白龍皇であるヴァーリもいたのだ。
その時、
ドンッ!!!
『!?』
会議室の扉が勢いよく開けられた。皆は一斉に驚き扉の方を向くと
「よう。場所はここでいいんだよなぁ?」
今回の会談に招かれた神の弟子 ゼノがいた。
全員が集まったことで、三大勢力のそして、地球の未来を掛けた会談が執り行われた。
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「今回の件はお礼を申し上げます」
「いや〜コカビエルが迷惑かけてすまなかったな〜」
ミカエルは今回の件の鎮静に対して礼を述べた。それと同時にアザゼルも態度はあれとして謝罪をした。
「…失礼ですが……会談前に…一つの不安要項を確認したいと思うんですが…」
ミカエルがそう言うと同時に、アザゼルも頷き、三大勢力の首相全員の目線がゼノへと向けられた。
「なんだ?」
ゼノは当然の如く聞いた。
すると
「この機会に知りたいのだ。君は我々の敵か…味方か…?」
「それは前に言ってなかったか?」
デジャヴだと感じたゼノはサーゼクスに聞いた。
「あの時は…気を急いで唐突に聞いてしまったからね…今回だからこそ…皆が揃っている前で確認しておきたいのだ」
ゼノは「面倒くさ…」と呟くと前に出た。
「前にも言った通り、俺はお前らと敵対するつもりはない。けど、万が一お前ら三大勢力の誰かが人間社会に手を出して『人間レベル』を下げるような真似をすれば、そいつは俺が確実に破壊する」
ゼノはそう言いサーゼクス 、セラフォルー 、ミカエル、アザゼルへと鋭い目線を向けた。勢力の首領は全員息を飲んだ。手を出した瞬間に…命が終わると…
「に……人間レベルとは…?」
「この宇宙 に住む者たちの技術力、創造力、思考力を主に評価したものだ。お前らも含まれる。だが、少しでも手を出すとすぐにそれは崩壊しレベルが下がる」
「レベルが下がると……どうなってしまうのですか?」
サーゼクスは慎重に聞いた。
「ある『お方』に消される。ま、手を出さなければいいだけだよ」
そう言うとゼノは自分の席へと戻った。
「………要するに…我々の力が人間界に漏洩する形を防げばよろしいのですか?」
「あぁ。まぁ就職して貢献するっていうなら別だがな。それと……忘れてないよな?ミカエル」
「……」
ゼノは突然 ミカエルへと鋭い目線を向けた。内容はかのZソードの件である。
「Zソードの件に関しては本当に申し訳ありませんでした…はぐれではあるものの…一度は私達が管理する協会の神父であったフリードが勝手に使用した事は聞いております…」
そう言いミカエルはゼノへと頭を下げる。この件についてもゼノは流石に見逃せない。 Zソードは使用できるとはいえ一介の者が触れる事は禁止されている。今回は持ち出したのは別の者だが使ったのは事実でありミカエルは悔やみのあまり心へ深い傷を負った。
「取り敢えず…近いうちに天界に行く。その時までにその神父用意しとけ」
「で…ですが処分はこちらで…」
「ダメだ。神の所有物。ましてや最高位である界王神様の物に手を出して『幽閉』か『死刑』なんざで済まされる訳ねぇだろ。ソイツにはそれ以上の苦しみを味わってもらう」
ゼノの鋭い目線に耐えきれずミカエルは今回のような神父を生んでしまったことに対し悔やみながらも承諾した。
そして、三大勢力はまた、人間社会にも手を出さない事を約束した。
「手を出さないとなると……社会に溶け込んでいる神器所有者はどうすればいいんだ?ソイツらを始末せずに野放しにすると力を暴走させて一般人を襲っちまう危険性があるだろ?」
「そこら辺の対処はお前らに任せるよ。俺よりよっぽど詳しいからな」
アザゼルの問いにゼノは返すと今度はサーゼクスへと目を向けた。
「それと、人間界に被害を及ぼすはぐれ悪魔についてだが、その強さはどうなってる?」
「……強い者でS級…また最上級悪魔に匹敵する者はSS級…さらにその上をいく者にはSSS級がいる」
「そうか。会談が終わったらはぐれ悪魔のリストを俺に渡せ。実際に俺が現地に行って処理する」
「!?……いや、さすがにそこまでは…」
「文句言わず渡せ。今この時でもその悪魔が人間を食い散らかしてたらどうする?」
「……分かった」
ゼノの言葉にサーゼクスは悩みながらも承諾する。
「ただ、リストをまとめるとなるとある程度の時間を要するが」
「あぁ。大丈夫だ。とにかく間違いなくまとめてくれりゃそれでいい」
『はぐれ悪魔』の件もサーゼクスに納得させたゼノは「以上だ」と言いしめた。
「……では、会談を始めよう…」
一つの要項が解決されたことにより、会談が執り行われることとなった。