危険な予感………
「………という訳だ」
あの後、ゼノは界王神界へと赴き、事の結末を全て話した。
「成る程……確かに裏がありそうですね…」
話された事実に界王神は冷や汗を垂れ流す。
「因みにこれがZソードだ。」
ゼノは持ち帰ったZソードを界王神に差し出した。エクスカリバーとの融合が解けて粉々となってしまっている。
「やはり壊れてしまいましたか…」
「あぁ。ま、どうせ数年もあれば修復させられるだろう」
「はぁ…」
Zソードを渡したゼノは額に手を当てる。
「俺は帰る。界王神様たちも警戒しておけよ?」
「はい…」
そして、ゼノはその場から瞬間移動で消えた。
翌日
「……えらく眠くねぇ……」
ゼノは普通の足取りで教室に向かっていた。珍しく、サリがちょっかいを掛けてこなかったお陰なのかもしれない。まぁその方がいい。いつもなら寝込みを襲われ、毎回 あの大きな身体に押し潰されるのはゴメンだ。
校門を潜り、校内へと入ると、何やら視線を感じた。
「…ん?」
ヒソヒソ…………
(見て!あいつよ…!あいつのせいで朱乃姉様と小猫ちゃんか…!)
(信じらんない!まさに鬼畜ショタよね!)
(ほんとほんと!)
特有の地獄耳で聞こえてきたのは正に蔑みとも呼べる声ばかりであった。自身は何もしていないというのになぜなのだろうか。
すると
ドサッ
いきなり知らない男子生徒がゼノにぶつかってきた。それはまるで故意であるかのように。
ぶつかった男子生徒に顔を向けると、ゼノはその顔を見た。その顔は自身に恨みを持っているかのようだった。
「ケッ!死ね!」
唐突すぎる言葉にゼノは頭に来たのか、脚を振り回し、その男子生徒の頭を壁に蹴り付けた。
ガシャァァァン!!
巨大な音を立てると共に男子生徒の顔は壁にめりこむ。
「何だよいきなり。俺が何かやったのか?全然身に覚えがねぇぞ」
すると、めり込んだ壁の中から声が聞こえた。
「テメェ…その外見を利用して朱乃様と小猫ちゃんを(ピー)したんだろ……!」
「は?」
またもや突然すぎる蔑み。しかも、明らかに誤解している。その『ピー』はまだやってもいない。サリによる未遂があるものの、朱乃と小猫はそこまではしていない。
その上、自身から仕掛けているように思われているも、それも間違いだ。どちらかと言えば自身が逆にやられている方である。
「知らねぇよ。ていうか誰から聞いた?」
「2年の松田と元浜だよ!!!」
「へぇ……」
ゼノは頭に筋を浮かべると、そのまま下の階へと向かった。
◇◇◇◇◇
「ふわぁ〜!!」
俺は教室でのたれてた。昼はやっぱキツイな〜
「ようイッセー!どうした?(ピー)が(ピー)でもしたのか?」
「してねぇよ………疲れたんだよ……」
「まぁ、いいとして、お前気をつけろよ?最近変な噂が流れてるらしいからな?」
「変な噂?んなもんもう流れてるだろ?」
俺はその言葉に耳をあまり傾けなかった。別に俺達変態3人組が覗き常習犯である事やエロ本を持ってきて如何わしい事を妄想しているのも全て周知されている筈だろう。
「フッフッフッ………内容は…「キャァ!!!黒崎先輩よ!!!」」
ザッ!
なんだ!?二人ともいきなりどっかに消えやがった!
「……俺らはいないって言ってくれ…!」
「はぁ!?」
こいつらゼノになんかしたのか!?まぁ取り敢えず誤魔化しといてやるか…
すると、教室の扉が開かれ、ゼノが入ってきた…が、何か怒ってる!?
「おいイッセー。松田と元浜とかいう奴ってどこにいるか知らない?」
「え?し……知らないけど……」
「じゃあそいつら見つけたら俺が顔面「ピー」してやるって言っといて」
オィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!!!!!!!!完全なる殺害予告じゃねぇか!!??松田と元浜めちゃくちゃ震えてるし!!!
「お…おう…分かった」
そう言うとゼノは出て行った。すると松田と元浜も出てきた。
「お前ら本当に何やったんだ!?」
「フッフッフッ…あまりにも幼い外見をした黒崎先輩は高校生にしてその性欲が芽生え自分の外見を利用し学園二代お姉様の一角と学園のマスコットに手を掛ける。」
「そして誰の目も届かないアパートでその性欲を散らし始める…『いや……それ以上は……』『黒崎先輩………もう…無理です…』乙女たちの叫びも耳にしなずに豊満に実った果実や幼い体を貪る……という噂を……」
「流したのかよ!?」
「だってよ!羨ましいだろ!?木場を上回る程の人気っぷりだぞ!!しかもショタなんて女子の的じゃねぇか!」
「そうだ!むっさい俺たち男子とは大違いなんだぞ!あいつ絶対飛び級してやがる!絶対先輩は小学生だ!」
いやいやイヤイヤ!!!ゼノはあれでも普通の高校生だから!ていうかヤバイだろ!そんなことゼノに知れたら!
「俺がなんだって?」
あ………終わった………
「話聞いてたけど。そいつらが松田と元浜らしいな…?」
ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ………………
ヤベェ…二人ともめっさ震えてる…
「終わったわね…彼奴ら…」
「ね〜。黒崎先輩すごい喧嘩強いらしいから…」
「彼奴らの自業自得よね…」
痛いどころじゃねぇよ!破壊神の弟子だからマジでヤバイって!
「ちょっとこの二人借りるぞ」
「あ、どうぞ」
「おいイッセー!!!!!俺たちを裏切るのか!」
「同じ同志だろ!?友達だろ!?」
「ごちゃごちゃうるせぇ!!!!」
「「ガハッ…」」
危ねぇ………俺もあいつらと同じことしたらあぁなるところだった………松田…元浜…頑張れよ…
「確かイッセー。お前もだ」
は?
「いやいや…俺なんもしてないじゃんか!」
「さっき村山と片瀬っていう女子から『覗き魔の兵藤も懲らしめてください!』って頼まれた」
おいおいおい!?!?俺も!?だったら…
「逃げる!」
「フンッ!」
「グフッ……」
ドサッ
ゼノにボディーブローを食らわされ俺はその場に沈んだ……
「スッキリした。さてと。残りの2人も…?」
その後
2人は校舎裏で顔がモザイクで隠れた姿で発見された………