レイヴェルと別れたゼノは突如 サーゼクスとグレイフィアに呼び止められたのだ。
「俺に聞きたいこと?」
「あぁ。単刀直入に問う。君は我々の敵か?味方か?」
いきなりの問い その質問にゼノはしばらく黙った。
「本当に単刀直入だな」
「そうだ。場合によっては君は我々…いや世界にとって危険人物となる。だから知りたいのだ」
「ふぅん」
サーゼクスの表情は真剣だった。この質問でもしもゼノが『敵』であると言うなれば真っ先に排除しようと迫ってくるに違いない。だがゼノとサーゼクスとの距離は約2メートル。ゼノにとってはこんな至近距離からの攻撃を避ける事は朝飯前である。故に敵なれどサーゼクスに勝ち目はない。
だが、ゼノはそれとは全く別のことを考えていた。
それは今回のイッセーや小猫の成長度である。特にゼノは小猫に関心を寄せていた。自分がちょっとアドバイスしただけでそれをすぐに身体で覚えてしまう。中々の格闘センスだ。
そう考えたゼノは答えを出した。
「……どっちでもないな」
「……どういうことだい?」
「俺はお前らの味方でもないし敵でもない。簡単に言えば揉め事に突っ込む気はないし危害を加える事もない」
「………その言葉……信じていいのかい…?」
ゼノの答えにサーゼクスは更に表情を強張らせ尋ねた。ゼノにとってはどうでも良いことだがサーゼクスにとっては冥界全土に関わることなのだから当然だ。
そしてゼノも目を鋭くし答えた。
「神の弟子として、嘘はつかねぇよ。それにお前らと敵対してもメリットもデメリットもない」
「………わかった。君を信じるよ。」
「もういいのか?」
「あぁ。敵でないということが分かってなによりだよ。我々も破壊神は敵に回したくないからね。時間を取らせてしまった。グレイフィア、ゼノ君を人間界に送ってきてくれ」
「承知致しました。」
そう言うとグレイフィアはゼノの側にきて魔方陣を展開した。
「あとお前と戦う要求だが取り消しだ。流石に興が冷めたからな」
「その方がありがたいよ…」
そして、ゼノは人間界へと戻っていった。
それからしばらくして、
現在ゼノは部室で…
「うふふ♪」
朱乃に抱きつかれていた……
「お……おい朱乃……いつまで俺にくっついてるんだよ…」
「私の気が済むまでです♪いやですか?」
「いや………恥ずかしい………は…離せ…」
「皆さんが契約仕事から戻るまでもう少し時間がありますから♪ 私…以前からゼノ君の事が気になっていまして…今回…あの時助けてもらった時以来からゼノ君のことを考えると胸の辺りがとても熱くなるのですわ♡」
そういうと朱乃は更に抱きしめる力を強くした。するとゼノの顔は朱乃の豊満なバストに埋もれた。
「あ…!朱乃!はなせ!苦しい…」
その時
「いってきまし…………………た………………」
最悪のタイミングで帰ってきた。
「先輩…!」
小猫は怒りマークを表した。
「何やってるんですか…?」
「うふふ♪抱きしめてるんですよ♪」
小猫の問いに朱乃は答えながらゼノを抱きしめ頭を撫でた。
「朱乃さん…離れてください…」
「いやですわ♪」
小猫はゼノを引っ張り引き剥がそうとし対する朱乃もゼノを離さなかった。
それからしばらくして、ゼノと小猫は戻り、その後にリアスやイッセー、そして木場も戻ってきた。
そして、リアスはゼノを見つけるとゼノの近くまで来て頭を下げた。
「ゼノ……あの時はごめんなさい……貴方の力を理解しなず勝手に投了してしまって…」
「……………」
「許されない事をしたのは分かっている…………殴ってもらっても構わないわ……」
「………」
「部長……」
「部長さん……」
「リアス………」
「部長………」
頭を下げられたゼノはしばらく黙り込んだ。リアスを殴ってもゼノの中では何も起きないだろう。
「殴ってもスッキリしないから殴らない。けど…二度とあんな真似はするな」
故にゼノは何も下さなかった。ゼノにとってはリアスとの関係はただの部員。眷属という硬い関係でもなんでもないため、どうでも良かったのだ。
「お前が謝る相手は俺じゃないだろ。自分でも分かってる筈だ」
それだけ言い残すとゼノは窓に手をかけるとそこから飛び降り、部室を後にした。
ゼノの言葉を受け、リアスは部長として、眷属をまとめあげる王として、皆の方へ振り返ると、今回の皆の努力を無駄にした事に対し、プライドも何もかも捨てて頭を下げて謝罪をした。
「みんな…本当にごめんなさい…」
すると、部員の皆は優しく受け止めてくれた。
「俺たち、部長の事が大好きですから。そんな気にしないでください」
皆を代表してイッセーが放った言葉にリアスは涙を流す。それと同時にリアスはイッセーへ好意を抱いた。
こうして波乱の結婚騒動は幕を閉じた。次の日、リアスはやはり王として何の罰も受けない訳にはいかないとゼノに言うと、しばらくは名前で呼ばないということとなった。
今回で朱乃がヒロインとなりました。遅くなってしまって申し訳ありません。