ハイスクールD×D 破壊を司る神の弟子   作:狂骨

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式のぶち壊し

あれから2日

 

 

ゼノは校舎の屋上でただ1人空を眺めていた。その手にはリアスの結婚式の招待状が握られていた。

 

「どうしよっか…。招待状届いたけど…」

すると、ゼノは後ろに気配を感じ状態を起こすと後ろを向いた。

「何の用だ?」

そこにはレーティングゲームの審判役を務めた銀髪のメイド グレイフィアが立っていた。

 

「これを貴方にお渡しに来ました」

そう言うとグレイフィアは折られた紙をゼノへ差し出した。

 

 

「何これ?」

「会場へと繋がる魔方陣です。人間である貴方も転移出来る仕様となっていますので」

「ふぅ〜ん」

「では、私はこれにて。会場でお待ちしております。それと一誠様がお目覚めになられていたらお二人で転移して来てください」

 

そう言うとグレイフィアは魔方陣で帰っていった。

 

「行くか」

 

ヒュンッ

 

そういうとゼノはその場から姿を消した。

 

 

向かった先は兵藤家である。

 

 

「のわ!?ゼノ!?」

「ゼノさん!?」

 

「ようイッセー、アーシア どうだ?怪我の具合は」

 

「あぁだいぶ良くなった…… それより!!ゲームは!!ゲームはどうなった!?」

イッセーはゼノに詰め寄った。ゼノは「落ち着け」と言いながらイッセーをなだめると事の結末を話した。

それを聞いたイッセーは己の無力さに涙を流した。

 

「クソ……俺が弱い所為で……ちくしょう……」

「イッセーさん…」

 

「いや早々とケリ付けなかった俺にも責任はある。だからお前のとこに来たんだ」

「え?お前……他に何かあるのか……?」

「そうだ。見舞いだけならお前のとこに何か行くかよ」

 

 

そう言うとゼノはポケットから先程渡された紙をイッセーに出した。

「これは…」

 

「さっきグレイフィアって奴から渡された会場へと繋がる魔方陣だ。だがその前に…お前に一つ聞く」

 

「何だ…?」

 

「お前、このままでいいのか?」

 

 

「どういうことだ?」

 

 

「あの焼き鳥とお前が心から尊敬する部長が結婚するのを黙って見てていいのかと言ってるんだよ」

ゼノの質問にイッセーは涙を流しながらも歯を食いしばりながら言った。

 

「…いいわけねぇ……アイツが部長と結婚なんて……俺は絶対認めねぇ!!!」

 

「なら、どうしたい?」

 

「部長を…いや…リアス・グレモリー様を取り戻す!!!!!!」

 

 

そう言い一誠は真剣な眼差しでゼノを見つめた。

 

「戦えば死ぬ可能性があるぞ?」

「分かってる」

「覚悟の上だな?」

その問いにイッセーは強く頷いた。

するとゼノは近くに脱ぎ捨ててあるイッセーの制服を投げ渡した。

「40秒で支度しな!」

 

そして支度を終えるとイッセーはアーシアに「必ず部長を連れて帰ってくる」と言い残しゼノと共に冥界へと転移していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……で 何このラ○ュタみたいな展開……」

 

 

ーーーーーーー

ーーーーー

ーーー

一方で冥界の結婚式会場では大勢の貴族達が集まっていた。その中には一誠、ゼノ、アーシアを除いたオカルト研究部の皆は招かれた模様で出席していた。

 

その時 式場の高い場所から炎が巻き上がりそこから胸元をさらけ出したワイルドな衣装のライザーが姿を現した。

 

 

 

「冥界に名だたる貴族の皆様、ご参集くださりフェニックス家を代表して御礼申し上げます。本日皆様においでにならったのはこの私、ライザー・フェニックスと、名門グレモリー家の次期当主リアス・グレモリーとの婚約という歴史的な瞬間を共有したかったからであります。

 

それでは、ご紹介致します。我が妃!!リアス・グレモリー!!!」

 

 

そう言うと魔方陣が現れ炎と共にウエディングドレスに身を包んだリアスが現れた。

あまりにもの美しさに冥界の貴族の皆は見惚れていた。

 

 

その時

 

 

ドォオオオオオオオオンッ!!!!!

 

突然その場に響いた大爆音と共に後ろにある会場の入り口が吹き飛んだ。

 

リアスに見惚れていた皆はすぐさま正気になると後ろへ目を向けた。

すると捲き上る煙の中 一つの影がこちらに向かって歩いてきた。

 

「部長ォォォォォォォ!!!!!!」

その叫びと共に砂煙が晴れ 姿が露わとなった。

 

「イッセー!」

そこには駒王学園の制服を着こなした一誠がいた。

 

 

「おい!!貴様!!!ここをどこだと!!」

 

 

「俺は駒王学園のオカルト研究部の兵藤一誠!リアス・グレモリー様の処女は俺のもんだぁぁぁぁ!!!!」

 

「何考えてますの!?あの男!」

公共の場では考えられない主張をした事でリアスは勿論 近くにいたレイヴェルも赤面していた。

 

するとイッセーの背後からもう一つの影が映し出されその影はゆっくりとイッセーに近づくとかかと落としをくらわせた。

 

「バカ」

 

「いたぁい!」

イッセーの悲鳴と共にその姿が露わとなり そこにいたのは背中に『天上天下唯我独尊』という文字が縫われた長ランを着こなすゼノだった。

 

「ゼノ!」

 

 

予期していない出来事に周りの貴族達は動揺していた。

 

「り…リアス殿!これはいったい…!」

一人の貴族が弁明を求めた時 後ろから紅い髪を持つ一人の青年が姿を現した。

 

「私が用意した余興です」

それと共にリアスは目を見開き驚き声を上げた。

 

「お兄様!」

するとライザーは青筋を浮かべ兄と呼ばれた青年に向かい弁明を求めた。

「サーゼクス様!余興とはどういうことですか!?」

「ライザー君、先のレーティングゲーム、興味深く拝見させてもらったよ。しかしながらまだゲーム経験もなく戦力が半分にも満たない妹ではいささか…」

「あの戦いに…ご不満でも…?」

「いやいや、私が言葉を差し出さねばゲームそのものが存在意義を失ってしまう……ましてや今回は事情が事情だ。旧家の顔も立たんだろう。可愛い妹のせっかくの婚約パーティ…派手な施工も欲しいものだ。」

 

そう言うとサーゼクスは一誠とゼノへ視線を移した。

 

「そこの2人の少年。君が有するドラゴンの力、そして隣の君がレーティングゲームで見せた規格外な現象、今一度ここにいる貴族の方々に見せてはくれないだろうか?ドラゴン&規格外 対 フェニックス。力を宿す物同士でこの場を盛り上げて欲しいのだよ」

その要求にゼノとイッセーは共に了承した。

「流石魔王様、面白いことをお考えに。分かりました。このライザー・フェニックス、身を固める前の最後の炎をお見せしましょう」

サーゼクスは頷くと二人に問いかけた。

「さて、転移させる前に兵藤君に黒崎君、勝利の代価は何がいいかな?」

 

「サーゼクス様!下級悪魔はおろか…人間に代価なぞ…!」

周りの貴族は反対の声を上げるがサーゼクスは制す。

「下級であろうと上級であろうと……ましてや人間でもあろうと、こちらから願い出た以上それ相応の代価は払わねばならない。等価交換と言うものは礼儀だろう。では何を望む?富か?それとも絶世の美女か?」

その問いかけにイッセーは迷う事なく答えた。

「部長を。いや、リアス・グレモリー様を返してください!」

「いいだろう。もう一人の君は何を望むかな?」

イッセーと同様の問いにゼノは何も考えず答えた。

「ない」

「ほぅ?遠慮することはないよ。人間であれ、君にも同じ範囲での対価を望む権利がある」

 

サーゼクスは再度ゼノに問うがゼノはそれには興味を示さない。

 

「いいっていってるだろ。俺はただ単に戦いたいから来ただけだ。ゲームではついカッとなって楽しめなかったしな」

そう言いゼノはライザーへと目を向ける対するライザーは歯を軋りゼノを睨んだ。

「それに、お前とも闘いたい。何でもというならコイツの相手が終わったらアンタとやらせてもらう」

魔王への宣戦布告その言葉に貴族達は頭にきたのかヤジを飛ばす。

「人間風情が魔王様に挑むだと!?」

「調子にのるなぁ!」

「小柄な人の子が魔王様に敵うはずがなかろう!」

周りのヤジが飛び交うとゼノの額に青筋が浮かんだ。

 

 

その瞬間 周囲の悪魔全員にゼノの巨大な威圧感が発せられた。

 

 

 

「うるせぇから黙ってろ」

ドンッ!

ドスを効かせた低い声に放たれた威圧は上級であるにも関わらず、その場にいる貴族達の戦意を喪失させた。だが本人にとっては少しムカっときたから気を使わずただ睨んだだけである。

するとサーゼクスは高らかに笑った。

 

「ハハハハハ!君は変わり者だね。何よりも闘いを求めるとは。いいだろう。この試合の後チェスなり殴り合いなり相手となろう」

その言葉にゼノはニヤッと頬を釣り上げる。

「では転送しよう」

そう言いサーゼクスは3人を別の空間へと転移させた。

 

「始めてくれ」

その合図と共に鐘がなる。するとゼノは構えようとするイッセーを手で制した。

 

「イッセー、まず俺がいく。」

 

「え?」

 

「取り敢えずゲームの時の仕返しをする。その間お前はパワーを溜めてろ。奥の手があるんだろ?それ使ってお前の大切なもん取り戻してみせなよ」

 

 

「ゼノ……ありがとな!!」

 

 

boost!!

 

 

そしてゼノはゆっくりとライザーに近づき少しの距離が縮まると歩みを止めた。

対するライザーは鼻を鳴らしながらゼノを睨みつけた。

 

「ふん!まさか貴様ともう一度戦うことになるとわな」

 

「あぁ。俺も正直驚いてる。ゲームの終わった後 俺にアッサリとノされた奴がわざわざまたやられに来るなんてさ」

「なんだと…!?」

ゼノの挑発的ながらも真実にライザーは額に青筋を浮かべた。

そんな事は無視してゼノはライザーから目をそらすとモニターを見た。そこには魔王であるサーゼクスが映っていた。

「成る程…やっぱりそこら辺の奴より戦闘力が高いな」

その時 ライザーが炎を纏いながらゼノに向かって飛行した。

「人間めぇぇぇぇぇぇぇ!!!!余所見とはいい度胸だなぁぁぁ!!」

そう言うとライザーは炎を右拳に集めるとそれを拳と共にゼノに向かって放った。

 

 

ドォオオオオオオオオンッ!!!

 

その瞬間 会場が光に包まれ 炎の渦が巻き起こった。

 

「ぐぅ!?何て威力だよ…!!」

その場にいたイッセーは吹き飛ばされそうになりながらも体制を保ちながら目の前の光景を見ていた。

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

一方 会場では、その光景を見ていた貴族達は笑みを浮かべていた。

 

「おぉ!さすがライザー様!」

「あれ程の攻撃を食らえば人間なら灰なりますな!」

ライザーの活躍ぶりに舌鼓を鳴らしていた。

 

炎の渦はやがて止み、辺りには煙が巻き起こりその光景を隠していた。

 

すると煙が晴れ二人の姿が露わとなった。

その瞬間

 

皆が氷のように固まった。

 

ーーーーーーー

ーーーー

 

「これがお前の全力か?」

煙が晴れ そこに映っていたのはライザーの放たれた渾身の一撃を人差し指一本で受け止めているゼノの姿だった。

 

「ば…バカな……」

ライザーから怒りの表情が消えるとゼノは冷たい笑みを浮かべた。

 

「こんな攻撃じゃ俺は倒せないぞ」

その言葉が言い終わった瞬間 ライザーの身体は宙を舞っていた。

 

マッハを軽く超えるゼノのアッパーによって殴り飛ばされたのだ。その動作は感覚神経が働き、痛みを伝えるよりも速く、気づかなかったのだ。

 

「ガハッ…!」

空中でライザーは吐血すると体制を立て直すため脳から身体に命令を出した。

身体に命令が行き届き身体を動かし体制を立て直したライザーは吹き飛ばされた場所へ目を向けた。だが、そこには何もいなかった。

すると 自分の顔が何かの影によって覆われた。

 

ライザーはゆっくりと振り向いた時

 

「遅い」

その言葉と共にライザーの右頬に衝撃が走ると同時にその身体が会場の隅に向かって吹っ飛ばされた。

 

「体制を立て直すまで待ってやったのにこの程度かよ」

そこには空中で胡座をかきながら瓦礫に埋もれているライザーを見下ろすゼノがいた。

 

 

「おのれぇぇー!!!」

ライザーは四肢に炎を宿すと、次々とゼノに向けて拳を放ち、そして、蹴りを放った。だが、ゼノは全てをまるで先読みしているかのように易々と避けていった。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

「どうだ?部室で『殺す』と宣言したやつに殴り飛ばされる気分は」

ゼノはその場から着地すると裾をたなびかせながらライザーを睨んだ。

 

「今回のレーティングゲームでよ〜お前らの眷属と戦って思ったが…正直ガッカリだったよ。イッセーの言葉通りだ」

「なに…!?」

いきなり自分の眷属の事を口に出された事でライザーは動揺した。

 

「まず最初に相手をした 双子の兵士だ」

「イルとネルか…」

「アイツらはまず魔力からしてダメだ。イッセーよりも高いだけでただただ魔力で細工したチェーンソーを振り回してくるだけ その上振り回す軌道もワンパターンだ。そしてなりより驚いたのが不意打ちの際に声を出す……バカすぎるだろ?この時点でもう人間の軍隊長にアッサリと負けるレベルだ」

「な…なんだと…!「それとだ」

 

「お前の妹 確かレイヴェルって言ったか?何のために眷属にしたんだ?」

突然妹の事を提示されたライザーは顔をしかめた。

「何故 そんな事を話さねばならん…!」

「知りたいんだよ。戦わない奴を眷属として戦場に出すお前の心情を」

その問いにライザーは何の迷いもなく答えた。

「ハハッ 可愛い妹を側に置きたいという俺の欲だよ」

「ならその欲の末に戦場に立った可愛い妹を殺されたらどう思う?」

「なに…?」

 

『殺される』その単語にライザーは反応する。

「お前の女王が言ってたな ゲーム中の死亡は事故として見なされる。だったら自分の妹が殺されて事故で済まされたらお前はどう思う?」

「そ…それは…」

その問いにライザーは黙ってしまった。だがゼノは淡々と続ける。

 

「正直今回は危なかったな。俺はこのゲームで有名な不死鳥と闘える事を楽しみにしてたんだ。で、闘ってみて見れば戦車とか剣士は活気に加え魔力と技術が備わってるからまぁいい。だがお前の妹は違った。自分は戦わないと」

そう言うとゼノはモニターに映っているレイヴェルへ目を向けた。目を向けられたレイヴェルは目をそらした。

「あの時は本当にムカついたよ。戦わない奴があの場に出て何やるんだよって。ブチ殺したくなったよ。万が一あの時、俺の機嫌がもっと悪かったらお前の妹は確実にあの世行きだったな。ま、殺す価値もないか。あんな奴」

「黙れッ!!!」

するとライザーの身体から炎が溢れ出した。

「それ以上 妹を…眷属を愚弄するな…!!!」

その怒りの言葉にゼノは小首を傾げた。

「は?その愚弄される原因を作ったのはお前だろ?ライザー・フェニックス」

「黙れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

完全にトサカにきたライザーは己を炎に包み込んだ。するとライザーを中心に紅蓮の炎がほとばしり周りの瓦礫を吹き飛ばしていった。

 

「それで威嚇のつもりか?そんな威嚇じゃ俺は威圧できんよ?」

「なんだと!?貴様…その余裕はどこから出るのだ!?先程の攻撃といい防御といい貴様は本当に何者なのだッ!!」

『何者』その問いにゼノは一瞬笑みを浮かべると迷いない表情で答えた。

 

「人間だよ。それにこんな余裕を出させてくれるのは俺をここまで鍛え上げてくれた師匠のお陰さ。だが、その師匠がお前らとは全然格の違う奴でな」

 

「な…!?貴様の師匠が神だとでも言うのか!?」

 

「あぁそうだ」

そして、ゼノはこの場で皆が見守る中、自分を神の領域まで鍛え上げた師匠の名を口にした。

 

「俺の師匠は『破壊神ビルス』破壊を司る最強の神だ」

 

 

リアスside

 

 

私は今 ゼノがライザーに向かって話している姿を見ていた。

 

『貴様の師匠が神とでも言うのか!?』

 

その事について、私はずっと気になっていた。出会ってからずっと驚かされてばかりだ。一体、彼をあそこまで鍛え上げた師匠というのは何者なのか。

 

だから私は耳を澄まして聞いた。ゼノの言葉を。

 

 

『俺の師匠は【破壊神ビルス】破壊を司る最強の神だ』

 

 

 

「「「「!!!!!!」」」

その言葉と共に会場はパニック状態となった。

「破壊神ビルスだと!?」

「まさか…本当に存在していたのか…!?」

 

私も驚いていた…!!【破壊神ビルス】昔、本で読んだことがある…破壊神シヴァとは異なり、生命はおろか……星をも破壊し、宇宙を支配する神……まさかゼノがその破壊神と繋がっていたなんて…!

 

 

隣ではお兄様も冷や汗をながし驚いていた。

「………破壊神ビルス…再びその名を聞く日が来るとわ………我々は……とんでもない者と関わってしまったようだ…。しかも決闘を受けてしまったとは……」

そう言いお兄様は手で顔を覆う。

そして、私達の目線は再び3人へと移った。

 

 

 

sideout

 

 

 

 

一方異空間では ライザーが聞いたこともないかのような表情を浮かべていた。

「破壊神ビルス?誰だそれは」

「は?知らないのか?上級悪魔だというのに知識はガキ以下か」

「く…!!貴様……!!どこまで俺を馬鹿にすれば…!!「ライザー!!」」

 

突然誰かがライザーに向かって叫んだ。

 

「何ですか父上」

 

見るとライザーの父親、フェニックス卿が顔を真っ青にしていた。

 

「ライザー!!今すぐリタイアしろ!!!そ奴だけは決して相手にしてはならん!!!」

 

「何故ですか!父上!!私が只の人間にやられると」

 

「そ奴は只の人間ではない!!!破壊の神ビルスの弟子だぞ!!!それに前回、リアス嬢がリザインした直後 ボロ負けになったではないか!?」

 

「あ…あれは単なるまぐれですよ!それにビルスとは何なんですか!」

 

「知らないのか!!!生命どころか星さえも破壊する恐ろしい神だ!不死である我らフェニックスの命さえも奪う事のできる恐ろしい奴だ!早くリタイアせねばそ奴に破壊されるぞッ!」

 

 

「ご冗談を!!そのようなことをこんな子供にできる訳がありませんよ!!それにその様な野蛮な神!存在する訳ないでしょう!」

 

そう言うとライザーは背中から炎をだして戦闘態勢をとった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

「あの大馬鹿者め……」

 

「どうしますか?フェニックス卿」

 

「んん………奴が破壊されぬことを祈ろう……」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

「ではいくぞ!!!!!」

 

そう言うとライザーは背中の炎を羽ばたかせゼノへと飛んでいった。

そして、ライザーは手から先程よりも多い炎を生成するとそれを全て己の右腕に集め一気に放った。

 

 

「焼け死ぬがいぃッ!!!」

 

ライザーが寸前まで迫った時、ゼノはライザーに向けてゆっくりと手をかざした。

 

 

 

 

 

『破壊』

 

 

その言葉と共に突如 ライザーの身体が止まった。

 

「……!!!な…!!!何だ…!!これは!!俺の体が……!」

ライザーは己の体を見て恐怖に染まったかのような表情となった。下半身のつま先部分から徐々に粒子となって消えているからだ。

ライザーは身体中から魔力を集め回復を試みようとするが幾らやってもその消えゆく部分が回復することはなかった。

 

「なんなんだこれはぁぁぁ!!!!」

己の身に起きる不可解な現象にライザーは恐怖の悲鳴をあげた。

 

 

ーーーーーーーーー

その光景を見ていた貴族達は皆々冷汗を垂らしていた。

 

「あ……あのライザー様のお身体が……」

「消えていく…」

 

 

ーーーーーーーーーー

 

「あぁぁぁぁぁ!!!!消える!俺の身体がぁぁぁ!!!!」

 

 

するとゼノは指を鳴らした。

『解除』

 

その言葉と共にライザーの粒子となり掛けた部分の崩壊が止まった。するとライザーも炎で身体を再生する事に成功した。

 

 

「ハァ…ハァ…ハァ………何だ……今…のは…」

 

 

「どうだい?破壊されかけた気分は?」

 

 

「!!!な…!!この俺が『破壊』された……だと…!?」

「そうさ。その物の全てを終わらせる完全なる『破壊』だ。不死鳥だろうと何だろうと破壊出来ないものはない」

「く……貴様…!!!」

 

「だが、あんたとはもうやる気はない。あとは今回の主役に任せることにするよ」

 

 

そう言うとゼノはその場から下がるとイッセーの元に戻った。

 

「イッセー どうだ?パワーの方は」

 

「く……悪いがまだ………」

ゼノはイッセーの身体を見つめた。魔力こそ上昇しているがまだ限界には至っていなかった。

ゼノは『やれやれ』という表情を浮かべるとイッセーの背中へと手を置いた。

 

するとイッセーの身体が一瞬振動したと思いきやその身体から赤いオーラが現れ始めた。

 

「あ…あれ!?急に体が軽くなった…!!」

 

「俺の力を少し分けてやったよ。さぁ、存分に暴れてこい」

 

「ゼノ…………ゼノ先輩!!!!ありがとうございまぁっす!!!!!!!」

 

 

そう言うと一誠はライザーに向かって走り出した。そしてイッセーは画面の外にいるリアスに向かって叫んだ。

 

「部長ッ!!俺には木場のような剣の才能もないし、小猫ちゃんの様な馬鹿力もないし、朱乃さんのような魔力もアーシアの様な癒素晴らしい治癒の力もゼノの様な規格外な力もありません!!!それでも俺は!!最強のポーンになってみせます!!!!」

 

 

そう言うと一誠は神器を天へとかざした。

 

 

「輝きやがれ!!!オーバーブースト!!!」

 

 

Welsh Dragon over booster!!!!

 

 

 

 

そう叫んだ瞬間、籠手が反応し、一誠の身体が赤い鎧に包まれた。その姿はまるで赤き龍を思わせるようだった。

 

「これが龍帝の力!!バランスブレイカー!!!赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア スケイルメイル)だ!!」

 

 

 

そして、一誠は鎧の噴射口から魔力を発っするとその反動でライザーの元へと飛んだ。

対するライザーも構えを取る。

 

「いっくぜぇぇぇぇ!!!!」

イッセーは右拳をライザーに向けて放った。だが軌道を読まれていたのかそのパンチは避けられてしまい、結果イッセーはそのまま前の建物に激突してしまった。

 

だが掠ったのかライザーの掌から少し蒸気が湧き出ていた。

 

「なんだ…!?これは!掠っただけでこれ程とは……この化け物めぇぇぇ!!」

ライザーは背中から大量の炎を出し己の身を包んだ。

「我が一族の業火!!その身で思い知れぇぇ!!!!」

 

対してイッセーも体制を立て直し噴射口から大量の魔力を放出した。

「てめぇのちんけな炎で俺を焼ける訳ねぇだろぉぉがぁぁぁ!!!!」

 

その時、 2人の拳が交わり大爆発が起きた。

爆発によって辺りは光に包まれた。その時 光の中から何かが飛び出してきた。

 

「ガハッ!!!」

 

 

落ちてきたのは一誠であった。

 

 

 

「く……!!これが…アイツの力か……!!」

 

 

 

そう言うと一誠は見上げた。

 

 

見るとそこには先ほどと同じくらいの炎を生成しているライザーがいた。

 

 

「怖いか!!俺が怖いか!!お前は赤龍帝の籠手がなければ只のクズだ!!」

 

 

 

ゴォオオオオオ!!!!!

 

 

そう言うとライザーは一誠に向かって炎を繰り出した。

 

 

「く……!!」

 

 

ピュンッ

 

 

だが、一誠はギリギリのところで飛行して躱し、ライザーの近くへと飛んだ。

 

 

そしてライザーは、手に炎を生成し、一誠にぶつけようと向かってきた。

 

 

対して一誠も拳を構えライザーの顔面に向かって振りかぶっていた。

 

 

 

 

ドゴォォォォン!!!!

 

 

 

 

結果、両者相打ちとなった。

 

 

「う……!!!」

 

 

そして一誠はその痛みに吐血してしまった。

 

 

 

対してライザーは………

 

 

「ふっ!その程…がハァ!!!!」

 

 

何ともないと思いきや、ライザーは一誠よりも強いダメージを受けていた。

 

 

 

 

そして、2人とも落下し、両者はよろめく程にまでなっていた。

 

 

「ば……バカな…!!何故……この俺が……まさか……!!!」

 

 

ライザーが一誠の方へと向くと一誠の手にはロザリオが握られていた。

 

 

「貴様!!何故悪魔なのに十字架を!!!

 

 

 

「うちの元シスターから借りてな!不死身のお前でも神器で強化した十字架は効くようだな!!」

 

 

 

「バカな!!十字架は悪魔にとっては持つだけで激痛が走る…!!どうやって……… !!!まさか貴様!!!」

 

 

 

 

見ると、ロザリオが握られている手を見るとそこはもう悪魔の肉体ではなかった。

 

 

「自分の腕を!!」

 

 

「あぁ!!ドラゴンの腕なら悪魔の弱点なんて関係ないからな!!!」

 

 

「正気か貴様!!!そんなことをすれば!!二度と元に戻らないのだぞ!!」

 

「それがどうした!!!部長が戻ってくるなら左手一本なんて安いもんだ!!!」

 

そう言うと一誠はライザーへと近づいていった。

 

ライザーも炎を出そうとしたが先ほどのゼノの威圧と一誠の十字架が重なった為にもう精神が不安定であった。

 

 

そして

 

 

ドゴンッ!!!

 

 

「ガハッ!!!」

 

 

「アーシアがが言っていた!!十字架は悪魔に使うと相当のダメージになる!!」

 

 

ドゴンッ!!!

 

 

「木場が言っていた!!視野を広げて相手を見ろと!!!」

 

 

 

ドゴンッ!!!!

 

「朱乃さんが言っていた!!魔力は体全体を覆うオーラから流れるように集め意識を集中させて魔力の波動を感じると!!」

 

 

 

 

 

trancefore

 

 

 

「ゼノと小猫ちゃんが言っていた!!打撃は体の中心線を狙い 1発1発に殺意を込めて打つとッ!!!」

 

 

 

そう言うと一誠は左手の十字架に今まで溜め込んだ全てのパワーを注いだ。

 

 

 

 

「ま…まて!!!分かっているのか!!この婚約は!!悪魔の未来に必要なことなんだぞ!!お前のような何も知らないガキがどうこうするようなものじゃないんだぁー!!!!!」

 

 

 

「難しいことは分かんねぇ!!けどよ!!!気絶したあの時ハッキリと見えたもんがある!!!部長が泣いてたんだよ!!!

 

テメェを殴る理由なんざそれだけで十分だぁあーー!!!!!!」

 

 

 

ドゴォオオオオオオオオオオオンンン!!!!!!!!!

 

 

 

 

「ぐぁああああああああああああああ!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

そして、一誠はその拳をライザーの懐へと叩き込んだ。ライザーは精神が壊れその場で倒れ、それと同時に一誠の鎧も解除された。

 

その瞬間、空間が消え、ゼノは飛べたものの一誠はそのまま落下してしまった。

 

 

「よいしょ」

 

 

「小猫ちゃん!!」

 

 

「いきますよ……」

 

 

「え?」

 

 

小猫は一誠をキャッチすると、リアスに向かって放り投げた。

 

 

バッ

 

「ありがとう……!!ありがとイッセー…!!!」

 

そして、リアスは一誠を抱きとめると強く抱き締め下へと降りていった。

 

 

 

「サーゼクス様、申し訳ありませんが…約束通り、リアス・グレモリー様は返していただきます」

 

 

「何故謝る。君が成し遂げたことだ。反論はないよ。さ、早く行きたまえ。」

 

 

「はい!!…………………でもどうやって……」

 

 

「仕方がない。これを貸してあげよう」

 

 

パチン

 

 

サーゼクスが指を鳴らすと上半身が鷲で下半身がライオンの生物が現れた。

 

「これは…」

 

 

「グリフォンだよ。特別に貸してあげよう」

 

 

「ありがとうございます!」

 

 

 

そう言うと一誠とリアスはグリフォンへと跨った。

 

 

「先に部室で待ってるからな〜!!」

 

そして、2人はグリフォンと共に飛び去っていった。

 

 

 

 

「さて、俺も戻るか…」

 

「お待ちください」

そして、一誠を見送った後、ゼノも人間界に戻ろうとした時 誰かに呼び止められた。

 

「ん?」

そこにいたのはライザーの妹であるレイヴェル・フェニックスであった。

 

「なんだお前か。何の用だ?」

するとレイヴェルはゼノに向かって頭を下げた。

 

「兄が……色々と迷惑をお掛けして…申し訳ありませんでした」

 

その謝罪に対しゼノも真実であれ愚弄したことに対し謝罪をした。

「こっちも悪かったな。お前や眷属を馬鹿にして」

「いえいえ。寧ろ感謝しておりますわ。調子に乗ってた兄上もこれで少しは懲りたと思いますし何より私や眷属達にもいい薬になりましたわ」

「そうか。要件はそれだけか?」

「えぇ。では失礼しますわ」

そう言うとレイヴェルはその場から飛び立っていった。

 

「さてそろそろ帰るか…」

「お待ちください」

「またかよ」

その時 またもや誰かに呼び止められた。

声を聞いた瞬間 ゼノは嫌々振り返った。声をかけた人物を目にするとゼノは突然目を鋭くした。

 

「何の用だ?魔王にグレイフィア」

そこには魔王サーゼクスとグレイフィアが立っていた。

 

「一つ…君に聞きたいことがあるのだ」

 

 


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