ハイスクールD×D 破壊を司る神の弟子   作:狂骨

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戦闘校舎のフェニックス
不死鳥現る


ゼノとアーシアが転入してから数日。アーシアはクラスの桐生という女子の仲介もあってか何人かの友達に恵まれると共に端麗な容姿から人気者となっており無事に学園生活に馴染めていた。

 

その一方でゼノは容姿の為にあまり高校生としては見られず小猫と同じマスコットとして見られている様だ。

 

そんな日が続いたある日の放課後

 

ゼノはアーシア、木場イッセーの4人と共に旧校舎へと向かっており、イッセーは何か素朴な疑問を抱いているのか、木場へと尋ねていた。

 

「部長の様子がおかしい?」

 

「あぁ」

 

イッセーから聞いた話に木場は首を傾げるとイッセーは続けた。

 

「お前なら何か知ってんじゃないかな〜って」

 

「部長のことなら朱乃さんに聞くといいよ。あの人は部長の懐刀のような人だからね」

 

そんな中であった。

 

「さっきから妙な気配が感じれるな。人間とは違って、お前ら悪魔特有の奴よりも結構 濃い」

 

ゼノは旧校舎の中から感じ取れる悪魔特有の気配に疑念や抱き木場へと尋ねた。

それに対して、木場は今になってようやく感じ取れたのか額から冷や汗を流した。

 

「流石ですね先輩…僕はここに来て初めて気配を感じましたよ…」

 

「な…なぁどういう事だ…?」

 

ーーーーーーー

ーーーーー

ーーー

 

それから4名は旧校舎へと入ると扉を開けた。

 

 

ガチャン

 

 

 

 

「ちわーす」

 

 

 

 

 

一誠達が入るとリアスや朱乃の近くにはメイド服を着こなした銀髪の女性が立っていた。初めて見るその人物を不思議に思ったゼノはリアスに尋ねる。

 

「誰だ?」

 

すると、銀髪の女性はゼノへと近づき軽く頭を下げた。

 

「初めまして黒崎ゼノ様。私はグレモリー家でメイド長を務めさせていただいております。グレイフィアと申します。以後お見知りおきを」

 

「どうもご丁寧に…黒崎ゼノだ…です」

 

それから部員の全員が集まるとリアスは目を変えた。

 

「全員揃ったわね。」

 

「お嬢様、私がお話しますが」

 

「いいえ…自分で話すわ。実は」

 

グレイフィアを手で制したリアスは話を切り出そうとした。

 

 

その時だった。

 

「「「「!?」」」」

 

部室の中心に魔法陣が現れると共にその魔法陣から炎が渦のように吹き出した。

 

 

「あっつ!?」

突然の超常現象にイッセーやアーシアは驚いた。そんな中 木場はその魔法陣を見て何かを思い出したかのようにゆっくりと呟いた。

 

「フェニックス…」

すると、更に勢いを増していくその炎の中心から胸元を開けたスーツを着こなすワイルドな風貌の男性が現れた。男性が手を薙うと炎が一瞬にして空気へと溶けるようにして消えていく。

 

「ふぅ…。人間界は久しぶりだな」

 

その男は部室の空気を一息吸うとこちらへとゆっくり振り向いた。

 

「会いに来たぜ愛しのリアス」

 

 

突然現れた男性にイッセーは驚いた。

 

「え…愛しのって…」

 

「この方はライザー・フェニックス様。フェニックス家の御三男であり、次期グレモリー家当主の婿殿。すなわち、リアスお嬢様のご婚約者であらせられます」

 

「えぇぇぇぇ!?」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

それから現れたライザーはリアスと同じソファーに座り込む。

 

 

「いや〜リアスの女王が淹れてくれたお茶は実に美味だね」

 

「痛み入りますわ」バキッ

 

リアスの体に触れながら茶を飲むライザーの言葉に、お茶を振舞った朱乃は軽く会釈すると下がる。彼女の様子からするとあまり快く思っていないようだ。

 

「朱乃さん…怒ってます…?」

 

二人に気づかれない声量でイッセーが尋ねると朱乃はニコニコとしながら答えた。

 

「いえ。滅相もありませんわ」

 

「いや、でもさっき何かがバキッて…」

 

「水に氷を入れた時に割れる音がしますよね?」

 

「あぁ〜!……いや、それとこれとでは全く関係ない音だった気が…」

 

「でも他に考えられないじゃないですか」

 

「そうですかね…」

 

その時であった。

 

「いい加減にしてちょうだい!」

 

我慢の限界にきたのか、ライザーの手を振り払いリアスは立ち上がる。

 

「以前にも言った通りあなたとは結婚しないわ!相手は自分で決める!」

 

「だがリアス、君のお家事情はそんなワガママが通用しない程詰まってると思うんだが?」

 

「家を潰すつもりはないわ!婿養子だって迎い入れるつもりよ。だから私は私がいいと思った者と結婚する…だからもう一度言うわ…貴方とは結婚しない!」

 

そう言うとライザーと呼ばれた男はリアスの顎を掴み睨んだ。その目には燃え盛る炎が映し出され魔力も感じ取れた。

 

「俺もな…リアス…フェニックス家の看板背負ってるんでね…名前に泥をぬられるわけにはいかないんだ…!」

 

その言葉と共に彼の背中から炎が溢れ出した。

 

「それにこの人間界の風や炎は汚い。それらを司る悪魔としては耐え難いんだよ…!」

 

すると溢れ出した炎は更に激しさを増していき部室全体を覆った。

 

「俺はたとえ君の下僕を全部焼き尽くしてまでも冥界に連れて帰るぞ…!!」

 

「やってみなさい。容赦しないわよ?」

 

ライザーの身勝手な行為に対しリアスも限界なのか自臨戦態勢へと入り体から紅い魔力を放出した。

だがその行いがこの場で一番目覚めさせてはいけない人物を目覚めさせてしまった。

 

 

「うるさいなぁ…」

 

 

 

ゾッ…!!!

 

二人が戦闘態勢に入った時その場をとてつもない殺気が覆った。ライザーは冷や汗を流しその殺気の根源へ目を向けた。

 

「さっきからごちゃごちゃと…全然眠れねぇじゃねぇか…」

 

その殺気の正体はゼノであった。ゼノは気持ちよく寝ていた時にリアスとライザーの自分にとってはくだらない言い争いに耳を攻撃され 腹が立っているのだ。

 

「に…人間!?何故ここに人間が!?貴様…!!いつからそこに居た!」

 

「え?ずっといたけど…?まさかとは思うが…俺が寝ていた事に気付かなかったのか?バカだな。目玉腐ってんのか?」

 

「なんだと…!?」

ゼノは昼寝の邪魔をされた仕返しとして小馬鹿にする。すると頭にきたのかライザーは炎を自身に纏わせゼノを睨んだ。

 

「貴様…人間の癖に随分な口ぶりだな!まずお前を先に焼きつくしてやろう!」

 

「意外と短気だな」

 

「黙れ!」

 

 

ゼノの言葉にライザーは先程と同様に炎を纏わせながらゼノに目掛けて放とうと構える。

 

 

その時であった。

 

「お納め下さいませ。ライザー様、ゼノ様」

 

突如としてライザーの前にグレイフィアが立ち塞がる形でその動きを止めた。ライザーの動きを止めたグレイフィアは彼のみならず彼の目の前に立っているリアスにも目を向ける。

 

「そしてお嬢様も。私はサーゼクス様の命を受けてこの場におります故、一切の遠慮は致しません」

 

 

「「…!?」」

 

その言葉と共にグレイフィアの全身からはライザーを上回る魔力が放出され、その場に立っていたゼノ以外の全員を震撼させる。それはライザーも例外ではなく、その顔からは先程の怒りが消え去っており、代わりに微量の冷や汗を流していた。

 

「く……最強の女王と称される貴方にそんなこと言われたら流石に俺も怖い…バケモノ揃いであるサーゼクス様の眷属を敵に回したくありませんしね。おい人間!命拾いしたな!」

 

「はいはいそうですね。命拾いしましたね」

 

「腹立つッ!!マジで何だコイツ!?」

 

 

グレイフィアの介入によってゼノは興が覚めトボトボと後ろへと戻りライザーの声にも適当に返す。

 

そんな対応にライザーが再びキレ始める中、グレイフィアは続けた。

 

「旦那様方もこうなる事を予想されておられました。よって決裂した場合の最終手段を授かっております。」

 

「最終手段?」

 

「お嬢様がそれほどまでに御意志を貫き通したいのであれば、ライザー様とレーティングゲームで決着をと」

 

【レーティングゲーム】とは爵位持ちの悪魔が自分の下僕を戦わせるというゲームである。

その提示された手段にライザーは鼻で笑う。

 

「俺はゲームを何度も経験してるし勝ち星も多い。君は経験どころか公式のゲームの資格すらないだろう?あと、一応聞くけど君の下僕はこれで全てかい?」

 

「ゼノは違うけど、だとしたらどうなの?」

 

リアスが答えるとライザーは指を鳴らした。

魔法陣からまた炎の渦が噴き出しその中から15人の少女達が現れた。おそらく彼女らがライザーの下僕なのだろう。ライザーを合わせ16人に対しリアスは5人、圧倒的に不利である。

 

 

「美少女ばっかり15人だと……!?なんて奴だ…何て羨ましい奴なんだ〜!!」

 

ライザーの眷属が自分の夢の形である事にイッセーは泣き出してしまった。

 

「お…おい…リアス…この下僕君…俺の眷属を見て号泣してるんだが…」

 

「その子の夢がハーレムなの…きっとライザーの下僕をみて感動したんだわ…」

 

イッセーのその様子に流石のライザーも予想外であったのか、若干ながら引いており、リアスも呆れ果てていた。さすがにハーレムを見た途端に憧れるどころか泣き出すのは普通の人から見ると気持ち悪いだろう。

 

それに同意するかの様にライザー達の眷属も嫌悪感を露わにしてドン引きする。

 

「き…キモいですわ…」

 

「ライザーさま!その人キモい!!!!」

 

すると相手側の眷属達も引いたのか次々と野次を飛ばしイッセーの精神へと攻撃してくる。

 

「そう言うなお前達。おいユーベルーナ」

 

「はい」

それを見かねたライザーは自分の女王である眷属を呼んだ。答えた女性は露出の多い衣装かつ豊満な胸を持つスタイリッシュな女性であった。するとライザーはその女性の顎を持ち上げると

 

ディープキスを始めた。

『!?』

辺りにはお互いの唾を交換しあう生々しい音が響いた。

 

 

「くぅぅぅ…!!ディープキスだと!?」

「はぁ〜……」

イッセーは何故か涙を流しておりリアスや朱乃は目を逸らしていた。そしてゼノと小猫に至っては…………

 

 

「小猫…………鬼太郎袋を…」

 

「…は…!了解 !(シャキッ!)」

 

何故か袋を用意し、その中に二人で顔を入れた。そうしてる合間にもディープキスはまだ続いていた。

 

そして小猫とゼノは一斉に…

「「うぉおおおおえええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ………………!!!!」」

吐いた。

 

 

 

そしてディープキスが終わるとその女性の胸などを揉み始めた

 

「お前じゃこんな事一生できまい。下級あk…「「うぉおおえええええええ…………」」…きぃ……!おい!!貴様らいつまで吐いてるんだ!汚いにも程があるだろ!?」

 

「「だって気色悪いんだもん………」」

 

「何!?俺が気色わるいだと!?ぐぅぅぅ…!!」

 

「それに汚いとかお前が言うなよ…ぐぶぅ…あんなもの見せたお前が……ゔぼぅぇ…」

ゼノのその言葉にライザーはまたしてもブチギレた。

 

「く…!!!貴様ァァァァァァァァ!!!!!!!!!」

「おやめください」

咄嗟にグレイフィアが止まるとライザーは「ッチ」と吐き捨て炎を収めた。

「朱乃…二人をお願い…」

「はい♪」 ガチャン

ライザーの流れをぶった切られてスッキリしたのか朱乃は笑顔のまま二人を洗面所へと連れて行った。

 

 

 

数分後

朱乃達が戻りライザーの機嫌が直ると話は再開された。

 

 

「同じことを言うが…お前では一生かかってもできまいなぁ?こんなこと?」

 

その言葉にイッセーはキレた。

「くっ…うるせぇ!!!そんな調子だと部長と結婚しても他の女の子といちゃいちゃする気だろ!!この種まき焼き鳥野郎!!!」

 

 

「貴様…自分の立場を弁えて物を言っているのか?」

 

 

「知るか!!俺の立場は部長の下僕ってだけだ!!!」

 

 

そう言いと一誠は神器を展開させた。

 

 

「ゲームなんて必要ねぇ!!全員この場で倒してやる!!!」

「馬鹿野郎。今のお前じゃ誰にも勝てねぇぞ」

「うるせぇ!」

ゼノの引き止めも聞かずイッセーはライザーへと向かう。

 

「ミラ」

「はい」

するとライザーは自分の下僕から小柄で棍をもった少女を呼び出した。呼び出された少女は俊敏な動きでイッセーの前に現れた。そしてその棍で一誠を天井へと叩きあげた。

 

「ガハァッ!」

「イッセー!!!」

床へと落下したイッセーをリアスはすぐさま抱き抱えた。

「ぶ…部長…すいま…せん…」

当たりどころが悪かったのかイッセーはその場で気を失ってしまった。

 

「フンッ。凶悪にして最強と謳われた赤龍帝の籠手(ブーステッドギア)の使い手が、こんなくだらない男だとはな。 ついでだミラ!!あの人間もやれ!」

 

そう言うとミラは先程よりも速い動きでソファーに座っているゼノに向かい棍を叩き込んだ。

だが、その判断は間違っていた。

 

ドォォンッ!!!

その音が聞こえたと同時にライザーは顔を上に向けながら笑っていた。

「ハハハ愚かな人間め。どうだ?俺の眷属の力は?」

そう言いライザーが顔を正面に向けた時だった。

 

ライザーの横を何かが通り過ぎ後ろの壁へと激突した。

「え…?」

ライザーは何が通過していったのかを確認するためゆっくりと振り向いた。そこには深い全身打撲を負った眷属の姿があった。

「ミラ!」

彼女の身体に深い損傷は無いが、それでも、魔力が完全に尽きている上に、一週間は安静にしなければならない程だった。

 

 

ライザーはゆっくりとゼノへ振り向いた。

「貴様…人間にしては中々やるな…俺の眷属を倒すとわな…」

ライザーはゼノを称賛するが、ゼノにとっては、ただの『掃除』に過ぎなかった。

 

「は?そんな雑魚1匹寄越したぐらいで中々やるとか悪口でしかねぇよ」

「何だと…?」

ゼノの挑発的な言動にまたしてもライザーの額に青筋が浮かぶ。

 

「だったら…俺が直々に相手をしてやろぉ…!!」

「初めからそうしろ」

そう言いゼノは手で誘う。するとライザーは炎を自身の右腕に螺旋状で纏わせゼノに向かって走ってきた。

 

「おやめくだ…「引っ込んでろ…!」 !?」

グレイフィアは咄嗟に止めようとしたがゼノの威嚇混じりの声により硬直してしまった。

そしてライザーはゼノへ向かって炎を纏った拳を放った。

だが、その動きはゼノにとって ハエが止まる程のスピードであった。ゼノはゆっくりとその炎を纏った拳を避け胸元に入り込むとそこからライザーの頭を鷲掴みにした。

 

そして

 

ガァァァァァァァァンッ!!!

その音と共にライザーの頭を床へと叩きつけた。

ゼノにとってはまだまだ抑えたものの周りから見れば床が深く陥没しておりその中心ではライザーが意識を失いかけていた。

 

 

 

「「「「「……………」」」」」

 

 

「遅い攻撃だな。あくびがでたよ。これで上級?ハッ。笑える。さて…」

『!?』

ゼノはライザーの頭を踏みつけながら眷属へと目を向けた。

 

「お前らはどうする?なんならこの場で全員まとめて相手してやるぞ?」

そう言い目を鋭くさせるとライザーの眷属達を睨んだ。全身から発せられる黒い殺気の濃度は相手の女王 騎士 戦車に冷や汗を出させて兵士や僧侶は腰を抜かしていた。

グレイフィアも止めようとしたが『止めたら殺される』という衝動に駆られ動こうにも動けなかった。

すると、ゼノの殺気が突然 消え緊張感が漂う空気が晴れた。

 

「ま、いいか。お前らとやっても楽しくないし」

そう言いゼノはライザーを下僕の方へと投げ捨てた。そして眷属達は急いでライザーを介抱した。

 

「に……人間…め…!」

ライザーは顔から血反吐を吐きながらゼノへ指をさし ゆっくりと口を開いた。

「よ…よくも上級であるこの俺にこんな真似を…!貴様もだ!貴様もゲームに参加しろ…!そこで必ず殺してやる…ッ!」

それだけ言うとライザーは意識を失った。

ゼノはため息をつくとずっと部屋の隅にいたグレイフィアへ顔を向けた。

 

「……と言われたけど、人間の俺は参加できるのか?」

 

「え……あ…はい。助っ人という形であれば可能です。ゲームは10日後となります。よろしいですか?お嬢様」

 

 

「えぇ…いいわ」

 

 

 

「で…ではご両家には私がお伝えします」

 

そう言うとライザーの眷属とグレイフィアは魔法陣で転移して消えていった。

 

 

 


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