戦国†無双   作:ウィングゼロ

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第十四話

そんな彼女が何故こんな森の中に一人でいるのか、響は疑問にと思う所があったが今は検索するのは止めておこうとそう思った響は手を差し出して、真矢が手を掴むと引っ張って体を起こした。

 

「こんなところで再会するなんて思わなかったよ」

 

「私も…確かあなたって迷い込んだ初日の夜に居なくなった一人よね」

 

「ああ…やっぱり迷惑かけたか?」

 

再会したことで余り話したこともない2人は会話が弾み、真矢は響が初日に何処かへいった1人であったことを朧気に覚えていて、それを確認するように訪ねると響は申し訳なさそうに返事をした。

 

「別に気にすることじゃないよ、誰だって何処か分からない土地に居たくなんてないから…」

 

「…そうか…取りあえず、ついてきてくれ…落ち着ける場所まで一緒に行こう…俺が来た方向にもう一人連れが居るんだ…先ずはそこまで」

 

そう響は告げるとそれに応じて真矢は頷き、響が来た道を戻っていき、司馬懿の待つ場所にたどり着く。

 

「響さん、無事でよか…った…?」

 

司馬懿の元へ辿りつくと、響の無事を目視した司馬懿は喜んだのだがすぐに隣にいた真矢を見て言葉を失った。

 

森林の中に一人飛び込んでいったのはいいがまさか、女連れで帰ってくるとは余り予想していなかったために言葉を失った司馬懿

 

しかしすぐに正気をギリギリ保つと目が笑っていない笑みを浮かべてこうなった元凶の響に問い詰める。

 

「ひ、響さん?隣の方はどなたなんでしょうか…」

 

と真矢を観察しつつ、響に訪ねる司馬懿。

 

自身と比べて胸は出ていて、足も細長く、まさに大人の美少女といえる体つきをしていて、真矢より胸が劣る司馬懿は苦虫をかみつぶしたように憎たらしく真矢を見つめた。

 

「ああ、こっちは津島真矢さん…俺と同じ遠い国からの出身者で俺と同じ学校…というか同門生…さっき偶然森林の中で出会ったんだ」

 

そんな司馬懿の視線など気がつかずに、響はある程度噛み砕いて、経緯を話す。

 

「初めまして…えっと八神さんのお連れの方ですよね。津島真矢です」

 

響が経緯を話したのを見計らって真矢は再度自分自身で自己紹介をする。

 

「………」

 

「あれ?仲達様?」

 

真矢が自己紹介をしたに関わらず、司馬懿は全く言葉を発さず無言のじと目で響に睨んだ。

 

「……響さんの馬鹿」

 

と誰にも聞こえない声で呟き、馬を歩かせ始める司馬懿。

 

「ちょっ!待てよ!どうしたんだよ!いきなり」

 

無言で先へと進もうとする司馬懿を見かねて響は慌てて追いかけていき、理由を訪ねるが司馬懿は全く聞く耳を持たずで何も言わない。

 

「あの、少し…よければ今晩私が居る家で泊まっていきませんか?八神さんに助けてもらったお礼ということで…」

 

響と司馬懿が話し合っている中、横から真矢が2人に提案を持ちかける。

 

いきなりの提案に2人とも真矢に顔を向けたあと、響と司馬懿は互いに顔を向けて話し合う。

 

「……別に俺は津島さんの提案に賛成だけど仲達様はどうするの?」

 

「………そうね、私も泊まれるのなら路銀もかからないから私も賛成よ」

 

賛成か反対か二者択一の選択で2人は真矢の提案に賛成することを決め、その主を真矢に話すと嬉しかったのか微笑みを浮かべて真矢を先頭に真矢が住んでいる家へと歩き出した。

 

敷かれていた街道から外れ獣道を通り、山道を越えると山の中腹に位置する場所に小さい集落が佇んでいた。

 

「へえ、こんなところに村があったのか」

 

山の中腹に村があるとは思っても居なかった響は興味本位で辺りを見渡す。

 

辺りはいくつかの家が建ち並んではいるが老朽化しているものしかなく、他にも響達以外人が見当たらなかった。

 

「…あなた本当に此処に住んでいるの、それにしては人気もないし家もぼろぼろよ」

 

集落の光景をみた司馬懿はさすがに疑問に思ったのか、住んでいるという真矢に声を掛けて訪ねた。

 

「本当だよ、それにここまで間違えずに来れたのもここに住んでいるからっていう説明にならない?」

 

と真矢は司馬懿の言葉を否定してここまでの道程を間違えずに来れたことでよく行き来して道程を知っているという事実を突きつける。

 

「……」

 

「さあ、私が住んでる家はあそこだよ!」

 

確かにと事実を突きつけられることから司馬懿は黙り、黙ったのを見て真矢は住んでいる家を指さし響と司馬懿は真矢が指を向けた方向に視線を見せると村の中では1番大きい家がそこに佇んでいた。

 

真矢の先導で家の中に入り居間へと連れて行かれると、真矢は適当に座っててと言い残して台所の方にへと姿を消した。

 

真矢が台所へ向かった後、響は手頃なところにすわると見渡して辺りを調べる。

 

居間は見渡す限りでは至る所ボロボロなところや置物にほこりがつもっているのが良く見受けられて、女性である真矢が暮らしているとは少し思えない環境である。

 

辺りを見渡した後すぐに真矢が台所から真矢が帰ってきて器に注がれたお茶を響達の前に置く。

 

「こんなものしかないけど…ごめんね」

 

と真矢は連れてきた客である響に茶を出すぐらいしかおもてなしが出来ないことに申し訳なさそうに謝る。

 

余り気にしていない響はそんなことはないと否定してから注がれたお茶をゆっくりと飲む。

 

お茶を飲み少し和む時間が過ぎて真矢が閉じていた口を開けて話し掛けた。

 

「それじゃあ、落ち着いたから…私達こと…あの後どうなったか…知りたいんだよね?」

 

「ああ、俺は真っ先に村から出たからあの後どうなったかは知らないから……出来れば教えて欲しい」

 

真矢は響の気にしている他のクラスメイトや担当教師などが残って居るであろう村について教えて欲しいか響に訪ねて、響は迷わずに縦に頷いて真矢の話に耳をかたむける。

 

そして残った司馬懿は何の話なのか分からず、首をかしげ、そんな司馬懿は他所に真矢は響の気にしていた、響が居なくなった村について語り始めた。

 

「八神さんや、後数人ほどの人が居なくなった次の日、私達の不安は更に駆り立てたよ…すぐにでも村から出て元の場所に帰りたい、そんな空気があの村全体を支配してたんだけど…それはすぐに別の気持ちで打ち消されたの」

 

「別の気持ち?」

 

真矢は話を一度区切り、区切ったのを見計らって響は真矢達が感じた別の気持ちとは一体と疑問に思い問いかけるとすぐに真矢は口を開けてその答えを話した。

 

「…村から5㎞ほど離れた荒野で…八神さんと同時期に出ていった一人が身ぐるみを全てはがされて死体で発見させたの」

 

あの騒動から一夜明けてすぐに既にクラスから犠牲者が出ていた。

 

その悲報に響にとっても大きく動揺すると同時にいまになっては確かにと納得する表情を見せた。

 

武器も持たず奇妙な服装に物を持っているのだ……盗賊達にとってはいい鴨なだけだ。

 

(今思えば良く襲われなかったな……)

 

と心の中で響は自分が置かしていた無茶を改めて実感して、襲われなかったなことに運があったと思う。

 

「それからしばらくはみんな村の外の世界に恐怖して出ることはなかった…」

 

(しばらく…ね…津島さんが言うとおりならまだ村の方には今でもかなりの人数が残っているんだろうな…一度味わった未曾有の恐怖ってのはそう簡単に克服はできないはずだし)

 

恐怖から村から出なかったと真矢はあの時の光景を思い浮かべているのか体が震えていて重々しい声でこの世界に来て始めのことを説明して、それから響も予測して今でも村にはクラスの人達が残っているのだろうと心の中で推測をした。

 

「それからしばらくだね……村で生活していたんだけど…村の中だけじゃいつか飢え死ぬかもしれないから…私、こうやって村から出て出稼ぎで働いてるわけだよ」

 

長々と話すのは嫌なのか後のことは簡潔に纏めて、真矢がこの地にいる経緯を話しその経緯に納得する響だが一つ真矢の言葉から語られていないことがあったため響はその疑問について訪ねた。

 

「津島さん、そういえば妹さんはどうしたんですか?」

 

津島真矢には双子の妹が居る。

 

しかも同じクラスであの現象に巻きこまれ響達と同じ状況に陥っているはずなのだが姉である真矢は何一つ妹の話をしなかった。

 

「……詩穂のこと?ああ、あの子なら……みんなと同じで村にいるわよ」

 

と真矢の妹である詩穂は他のクラスメイトと同じ村にいると告げて、何かあったと思っていた響はほっとしてそっかと言って笑みを浮かべた。

 

「それじゃあ、私、八神さん達のために豪勢に作るから待っててね」

 

響と真矢のクラスの話は終わって真矢はそろそろ夕食を作ろうと立ち上がり響達に楽しみにと言い残して台所へと向かっていった。

 

 

 

それから真矢が持ってきた料理を食した響達

 

料理は回鍋肉や麻婆豆腐などの中国料理だけではなく真矢が食材を駆使して作った日本食や他国料理を振る舞われた。

 

漢の国で他の国の料理を食べることが出来るとは思っても居なかった響は他国料理を堪能した。

 

そして辺りは暗くなり、星の光が村を照らす。

 

食事を終えた響達は一服をしたあとに真矢によってあてふられた、寝室場所に案内され、響は着ていたブレザーを脱いで、案内された家の中のベッドに寝転んでいた。

 

「全く……仲達様は…」

 

と響は少し溜め息を溢しながら主君の名前を呟いた。

 

その呟かれた司馬懿はというと響とは違う家をあてふられたが、始めは響と一緒で構わないと不服な顔付きで述べたが、真矢が男女二人きりだと何するか分からないと司馬懿の懇願を断固拒否されて、その後響の助言もあって渋々と響とは違う建物で寝ることになった。

 

「……まさか、こんなところでクラスの人に会うなんてな」

 

と昼のことを今でも信じられないようすで呟く響の家へと足音が近づいてくる。

 

「ん?誰だ?」

 

足音を聞いた響は少し警戒をして置いてある剣に手を伸ばす…

 

「八神さんまだ起きてるんだね」

 

が家の中に入ってきたのは真矢であり、敵ではなかったことから伸ばしていた手を引っ込める。

 

「津島さんか…何しに来たの?」

 

訪ねてきた理由を聞こうと響は問い掛けると真矢は何も語らずに響の横に座ると体を響の体に寄せた。

 

「ちょっ!?津島さん!?」

 

「……昼のこと本当にありがとうね」

 

いきなりのことに困惑する響に真矢は昼間に起きた山賊に襲われていて助けてくれたことに改めてお礼を述べてきた。

 

「八神さんが助けに来てくれなかったら…私、今頃死んでたと思うから」

 

「あれは偶然通りかかったからな……まさか助けた人がクラスメイトだとは…」

 

「ふふ、そうね」

 

あまりにもの偶然だったことについて話し合う2人だったが…次第に真矢は頬赤くして響を見つめる。

 

「ねえ…このまま私と……しない?」

 

「は?ええ!?」

 

真矢の口から出た言葉があまりにも予想外な言葉であったために響は取り乱して動揺する。

 

「私と八神さん…置かれる状況は同じ…だから同じ境遇者同士…慰めることができる」

 

「…………津島さん」

 

真矢と響は同じ境遇者であるためにこの世界に来てから負った心の傷はないわけではない。

 

真矢はそれを互いで慰めようと麗した瞳で響を見て、響は少し間を開けて真矢の名前を呼んだ。

 

響は体を真矢に向けて、それに応えるように真矢は響の体に密着し頬を赤らめながら顔を響の顔に近付かせていき…………そして……

 

 


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