戦国†無双   作:ウィングゼロ

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どうも!

今回はかなり余裕で間に合いました。

それと今回は長くなりそうなので二つほどに分割して投稿しようと思っています。

それといつも通りでコメントと評価はどしどし募集しておりますので気軽に投稿してくださいね


第十三話

響と司馬懿が真夜中に長安から脱してから丸一日が経過した。

 

現在2人は弘農郡、最西端の村に宿で泊まっていて、たんまりとあるにも関わらず路銀を節約するために2人で一つの部屋を借りて今後の方針を決めていた。

 

「さてと、何処に行こうかしらね」

 

「本当に宛てもなく、行き当たりばったりなんだな…」

 

今後の方針を決めようと息巻くも全く予定など立てていなかったために、響は溜め息を溢す。

 

「うーん、取りあえず…目的はどこかに仕官することかしらね…もちろん、曹操とあと袁家は除くけど」

 

まず目的は他の場所に仕官をすることに定めて士官先を考える司馬懿。

 

その話に疑問に思った響は、不思議な顔で司馬懿に訪ねる。

 

「ん?曹操は分かるけど…袁家って?」

 

曹操は司馬懿本人が嫌がっていたのは知っているものの袁家という言葉は司馬懿とあってから一度も出て来なかった言葉そのために響は首を傾げて疑問に思えたのだ。

 

「ああ、響さんは知らないものね…袁家っていうのはこの漢の名族の家柄のことよ…華北に勢力を伸ばしている袁紹、南陽に勢力のある袁術…この2人のことよ」

 

「…その2人がどうして駄目なんだ?特別理由が?」

 

聞く限りでは名族というのだから才に優れているのでは?とそう思う響であったが訪ねられた司馬懿は大きく溜め息をついて、響に理解できるように説明をしだした。

 

「その2人が問題でね…袁紹は名族の威光を振りかざしてるだけの凡愚、袁術に関しては幼いことから政を他に押しつけて下を見向きもせずに豪遊する世間知らずの子供…どちらも仕官したところで私の力を振るえるとは思えないわ」

 

(す、凄い言われよう…)

 

二つの袁家の君主の説明を聞き、苦笑いの笑みを浮かべながらまさにその通りと納得をする響。

 

となれば後残されている選択肢は何か響も浅い三國志の知識をフルに使い、とある2人の人物の名前が浮かび上がり司馬懿に話した。

 

「劉備は?」

 

のちに三国の一つ蜀を建国する漢中王、劉玄徳…民を重んじる彼ならばと響は提案したが司馬懿は不思議と首を傾げた。

 

「りゅうび?聞かない人物ね…劉ってことは劉表や劉焉じゃなくて?」

 

この時代まだ劉備は無名…どころか農民で藁で作った草履などを売って生計を立てている。

 

そんなこと知らない響は劉備がいないということを驚き、すぐさま次の人物の名前を挙げた。

 

「それじゃあ孫権は!?」

 

次に響があげた名前は孫権、これまた三国の一つ呉を建国した人物であり、これまた有名に名前を提案する。

 

こんどは司馬懿もなにをいっているのかわからないと首を傾げることもなかったがなぜが嫌な表情を浮かべて返事を返した。

 

「えっと…孫堅…さんよね…江東の虎の…確かに凄い人だと思うけど…私あの人は苦手で」

 

と司馬懿は孫堅が苦手だからか後退るように孫堅のもとへ仕官することを拒む。

 

有名どころの二つも提案して両方とも駄目だった響は他に誰が居るかと思う浮かべる中、司馬懿は仕官先に心当たりがあるのか思い出すように響に向かって口を開けた。

 

「そうだ!天水の董卓ちゃんのとこ「却下で!」ろ…ええ!?どうして?」

 

天水の太守をしている董卓ならばどうだと提案する最中、名前を聞いた響は直ぐさまに司馬懿の提案を拒んだ。

 

響が拒んだ理由それはもちろん董卓だからこそである。

 

響も董卓という人物については三國志の知識の名前でもある意味でよく知っている人物であった。

 

悪逆非道…酒池肉林…魔王と暴虐の限りを尽くしたと三國志に脆い響でさえここまで知っているのである。

 

そんな所に主君である司馬懿を連れて行くなど絶対にあってはならないと、そうおもった響は董卓の元へ行くのを強く拒んだのである。

 

「…うーん、響さんがそこまで拒むんなら…後は…」

 

いい案だったのになと、少し落ち込む司馬懿であったが、すぐに気を取り直して他の主君を考える。

 

そんな司馬懿を見て響は中々決められないことから溜め息をついて話しかける

 

「今はいいんじゃないか?…先は長いわけだし君主を誰にするかは考えながらで」

 

「…それもそうね」

 

考える時間は山ほどとある。そういったことで響はこの問題を後回しにし、司馬懿も響の提案に少し考える仕草を見せるも頷いて了承した。

 

「取りあえず、何処行く?今は弘農だったか?西には戻れないし…となると…あっ!都の方に行くっていうのはどうだ?」

 

「え?都!?」

 

取りあえず今の現状、曹操の追っ手が来る可能性はまだあるために西以外の方向に行こうと考えた響はふと弘農から東にある、この国の首都洛陽があるために興味本位で行ってみたくなり、司馬懿に提案してみるがそれを聞いた司馬懿は瞬間的に顔を赤くさせて困惑した表情で驚いた。

 

(都って…洛陽よね…洛陽に…2人で…つまりはそういうことよね…こ、こっちとしても本意だから断ることもないけど…い、いきなりそんなこと言われると…恥ずかしい~)

 

赤く困惑する司馬懿を他所に響は何故赤くなっているのか不思議に思って首を傾げる。

 

そんな中司馬懿はというと先ほどの響の言った言葉により、洛陽に行くということは逢い引きするということと響とは違う意味で理解していた。

 

もちろん、響のことを好意で見ている司馬懿に関していえば拒む理由など何一つ存在しない。しかしいざ誘われるとなると恥ずかしくなるのも無理はないことであった。

 

「そ、そうですよね…洛陽…2人で…うふ、うふふ」

 

「?」

 

心の中で考えていた司馬懿であったが本人も気付かずに心の声が漏れてしまい。それを聞いた響は何のことはわからず。また首を傾げた。

 

2人の言葉の意味合いがすれ違う中、とりあえずの目的地は洛陽に決まった2人は1頭の馬に一緒に乗って東へと街道を馬で歩かせる。

 

因みに補足として1頭の馬に響が前でその後ろに司馬懿が響のブレザーを掴んで乗っている状態である。

 

馬を歩かせてから四刻(現実だと8時間)が経過して途中で休憩も挟みながら洛陽にへと進んでいく2人。

 

辺りの景色も木林が立ち並び遠くには山々が見える。

 

「ん?なんだ?」

 

そんな景色を堪能しつつも歩いていると前方から微かに悲鳴に似た声を響は聞き取り先程ののんびりとしたムードから一変して真剣な眼差しで馬から下りて前を見据える。

 

「…仲達様…少し此処で待ってて、ちょっと前の方の様子を見てくるから」

 

「え?響さん!?」

 

とそう言い残した響は司馬懿の驚いた声も聞かずに微かな声がした方向にへと駆けだして行く。

 

 

響達がいた僅か数十メートル先の木林の中、そこには追い詰められた一人の茶髪の少女とそれを囲う三人の山賊の姿があった。

 

「へへ、観念するんだな」

 

そう三人の中でも兄貴分の山賊が不気味な笑みを浮かべながら一歩また一歩と少女にへと近づいていく。

 

「いや!来ないでって!」

 

そう必死に懇願する少女であったが、そんなこと止めるはずもなく、徐々に彼女と山賊達の距離が近づいていく。

 

絶体絶命、と少女はもう駄目かと思ったその時…

 

森林の中から人影が飛び出してきて飛び出てきたことに反応する前に山賊の一人を切り倒す。

 

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

「な、なにもんだ!!」

 

一人の山賊の断末魔が響く中、残った2人の山賊と追い詰められていた少女はようやく現れた人物に顔を向けて、山賊達は少女を、他所に現れた人物…響に注意の目がいった。

 

「なに、通りすがりの剣客さ…確認せずとも、か弱い女の子を追いつめて凌辱…しようとしたところか…全く…最低だな」

 

山賊の質問に軽く答えた後、大体の状況を理解して抜きはなった剣についた血を振るって払い、構える。

 

「一応警告しておく…悪くいわないからさっさと立ち去れ…死にたくなかったならな」

 

剣を構えた響は取り合えずとばかりに立ち去るように進めるが、仲間を警告なしに斬られ今更といわんばかりに響に対して怒りを覚える。

 

「このくそが!死ねやぁぁぁっ!!」

 

怒りにより激情した兄貴分である山賊が響目がけて使い込まれている斧を振り落とす。

 

振り落とされる斧を響は斧の軌道を見て両手で持った剣で受け止めて防ぐ。

 

一撃を防がれたことで少しだけ動揺を引き起こすが直ぐさまに斧を右斜めからの振り落とし、左斜めからの振り上げと連続で素早く振るっていく。

 

だが、戦を経験した響にとって彼の太刀筋など甘く見得るために動じずに防ぐ。

 

攻撃を防ぎきる響を見て何も手を出していない残りの山賊はつけいる隙を見出せず、構えているだけの状態が続く。

 

「こ、この野郎ぅぅぅ!」

 

そして次々と響に防ぎきられていることに怒りを募らせた山賊は力いっぱいに振り落とそうと斧を上高く構える。

 

「っ!!」

 

それをみた響はチャンスと思い素早く剣を下段の構え足に力を入れて一気に山賊目がけて飛び出す。

 

飛び出した響は山賊の横を通り過ぎる際に下段に構えた剣を振り上げるように振るって山賊の右横腹を切り裂く。

 

「あぐっ!?」

 

「はあぁぁぁぁっ!!」

 

響に切り裂かれたことで山賊は短い悲痛な叫びを上げるが響は山賊の横を通り過ぎた後直ぐさま右足を地面に強く踏んで飛び出した勢い殺さずに体を回転させて山賊の背後を取り左足を地面につけた直後振り上げた剣を冗談から一気に振り落として山賊の背中を切り裂いて倒した。

 

「…ふぅ…さてと…後はあんただけだ…」

 

これで二人目といわんばかりに溜め息を溢す響は最後に残った山賊に目を向ける。

 

「ひ、ひいぃぃぃぃっ!!」

 

山賊は響が視線を向けただけで怖じ気づいて情けない声を上げながら一目散にへと逃げ出していき、それを見た響は追わずに抜いている剣を鞘に収めた。

 

剣を収めた後、追い詰められていた少女に顔を向けて響は怖がられないようにそっと優しい声で話した。

 

「あの、大丈夫でした?…ってあれ?」

 

少女に安否を確認しようと声を掛けたのは良かったのだが、響は少女の容姿を見て目を大きくして戸惑った。

 

スタイルのいい体をしてそして何より、少女の来ている服は響が見覚えのある紺色のブレザーにスカート…それを見てふと思い浮かべたことがあり、響は確認のために少女に訪ねてみた。

 

「もしかして……同じ境遇者?」

 

そう響は訪ねると少女も驚いた顔をして頷き声を返した。

 

「えっと…そういうあなたも!」

 

響の服装などを見てか見覚えのある制服だったために同じ境遇者だと少女もすぐに理解した。

 

「えっと…俺は八神響…名前ぐらいは聞いてると思うけど…それにそっちは確か…双子の姉妹の…」

 

「そうだよ、姉の津島真矢…覚えていたんだね」

 

津島真矢…響と同じ学校に通うクラスメイトであり、同じくこの漢の国に迷い込んだ一人であった。


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