戦国†無双   作:ウィングゼロ

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あ、あぶねえ…危うく連続週間投稿がストップするところやった。

今回から少し響達に動きがあります。

そしてコメント、評価はいつでも募集中です。


第十一話

「お茶が美味しいわ」

 

そう、お茶を啜りながら窓から外を見る司馬懿。

 

響と司馬孚の初陣から約3ヶ月の月日が流れ、長安は相も変わらず平穏な日々が続いていた。

 

変わったところと言えば、前よりも増して治安や商業などの内政面が充実してより長安の街並みが活気に満ちあふれているということ

 

司馬懿は今日の政務を終えてやることもないために自分でお茶を垂れて窓から見える快晴の空を見上げた。

 

「仲達様、入りますよ」

 

とほのかな一時を堪能している司馬懿に部屋の外から響の声が耳に入り、返答をしようと口を開けるが返事をする前に扉が開いて響は入ってくる。

 

「響さん、どうして返答なしで入ってきたのかしら?」

 

返事なしに入ってきたことが不服だったのか、司馬懿は少し怒ってる表情を見せて、そのことを響に指摘すると、響は今更と言わんばかりの顔を司馬懿に向けた。

 

「今更のことだろ?それに俺に見られたくないことなんてしないだろ?」

 

「…響さんに見られたくないことぐらいあるわよ…」

 

隠れてすることなどないと断言する響であったが聞かれた司馬懿本人は、響のことを思って自慰をしていたために見られたくないものもあると響の耳に聞こえないように小さく呟いた。

 

「それで?響さんは何か御用で来たのかしら?」

 

この話から離れようとそう思った司馬懿は響が来たことには何か理由があるのだろうと踏んで、来た理由を訪ねる。

 

すると響はそうそうと…着ているブレザーの内側に手を入れて立派な紙で出来た巻物状の物を司馬懿の机に置く。

 

「ついさっき、仲達様宛てに書状が届いたから持ってきたんだ」

 

置いた後、経緯を説明する響、それを聞いて司馬懿はふーんと余り興味を示さなかったが取りあえずと言わんばかりに書状を広げて中に書かれた内容を読んでいく。

 

「…………はぁ…」

 

読み終えたのだろうか、何故か溜め息を付き、それに疑問に思った響が司馬懿に話しかける。

 

「仲達様?どうして溜め息なんかついたんだ?」

 

「え?ああ、これに書かれてた内容がね…」

 

響が訪ねると司馬懿はあきれた物言いで書状について話し始める。

 

「簡単に言うと預州の陳留太守、曹孟徳殿からの勧誘よ」

 

「曹孟徳…ってあの曹操!?」

 

司馬懿から聞かされたとんでもない名前に響は驚きの声を上げて戸惑いを見せる。

 

曹操…字は孟徳、三國志の一国の魏の土台を築き上げたまさに英傑の一人。

 

そのような…人物からの勧誘…それはつまり司馬懿の知名が大陸に響いている証拠でもあるのだが…司馬懿の顔は余り明るいとは言えない…

 

何かあるのだろうか…そう思った響は司馬懿にその理由を聞くために訪ねた。

 

「確か、陳留って東の預州だったよな…そんな遠いここまで書状を送ってくるなんて…曹操殿は仲達様をよほど欲しがってるんだな」

 

「ええ、それはもうね…」

 

涼州の長安から預州の陳留までの道のりは長い、そのためわざわざそこまで司馬懿を勧誘をしようとする曹操に少し関心を持ちながら賞賛する響であるが、それを聞いている司馬懿の表情は呆れている

 

「…仲達様…さっきから呆れてるみたいだけど…何かあるの?」

 

「曹操殿とは一度も会ったことはないけど……噂は良く耳にしていたわ……」

 

「統治、武芸、詩、料理と何でもこなせる人なの」

 

呆れている司馬懿に聞くと曹操とは一度も会っていないと告げられたときはそれなら何故と響は驚いたがその後、司馬懿の耳に入っていた噂で曹操がかなりの優れた人間であることを司馬懿は話した。

 

「それは……完璧超人だな…けどどこに嫌がる所が…」

 

普通ならそのような人の元に着いていこうと大半のものならそう思うはずなのだが、司馬懿はそんな曹操の何処が嫌っているのか、そのことで悩んでいると司馬懿はまた話し始めた。

 

「響さんが言うとおり…これだけなら私も仕官してみたいけど…その…姓癖に問題があって……」

 

「姓癖?」

 

姓癖に問題があると指摘する司馬懿に、響は思わず姓癖と呟くと司馬懿は頭を縦に振って頷き、顔は少々赤くして、話し始める。

 

「実際見たわけではないけど曹操殿って美少女好きで……陳留にいるときは毎夜というほどに仕えてる女の子に寝室に呼び込んで…その…手篭めにしてるっていう…噂が…」

 

もじもじと頬を染めながら気にしていた曹操の噂を言い切った司馬懿、それに対して響はある程度やばい噂があるのだろうと覚悟はしていたのだが予想外な話しであったためにその場で数秒驚いた顔で硬直して正気に戻ると司馬懿に詰めより質問を訪ねる。

 

「あの…曹操…あ、殿って男…ですよね?」

 

恐る恐る、未だに硬直したときの驚愕が残っているのか思わず曹操のことを呼び捨てで言いそうになるが、思い出して殿を後付けでつけながら曹操の性別を司馬懿に聞いてみる。

 

(自分で言っていて何言ってるんだ俺は…話を聞く限りで曹操は男に決まってるだろうに…まあ、大方曹操軍にいる女の将や軍師を手篭めにして大勢の奥さんがいるってことだろう…俺らにとってはリア充爆発しろといいたいところだな…にしてもそしたら曹操って奥さん何人いるんだ?噂になるぐらいだから…七、八人かな?そしたら子供も多いんだろうな…それに加えて仲達様もハーレムに入れようとしてると…うわ、本当に男として殺意が湧くわ………

 

 

 

 

 

 

え?お前も同じだろうがリア充って?いやいや、俺は違うだろう、フラグなんて立てた覚えがないわけだし…え?二人?2人もいるって?またまた何かの間違いだろう)

 

と響の頭の中では変なメタ発言の電波を受信するなど、曹操が男でハーレム野郎と考える。

 

そんなことを考えている響のことを知らずに司馬懿は響の質問に答えるため口を開けた。

 

「え?曹操殿は女よ?」

 

「………え?」

 

思考停止…司馬懿から放たれたその言葉に響は動きも思考も固まり、一分ほど石のように微動だにしなかったが、漸く思考が元に戻り、すぐに思ったことを口を出して答えた。

 

「女!?マジで!?てことは、レズ!?」

 

曹操が同性愛主義者でレズだとは思いもしなかったわけで響は思わず驚きの声を上げて、それに反応して司馬懿は響が発した言葉の中でわからない単語が出て来たことで首を傾げた。

 

「れず?」

 

「え?ああ、俺がいた国で使われていた言葉で…同性愛者を示す言葉だ」

 

意味がわからなかった司馬懿に気づいた響は意味を教えてると漸く司馬懿が溜め息を付いていた理由を理解した。

 

曹操が同性愛者であるためにそんな趣味のないノーマルの司馬懿にとっては嫌で仕方がないのだろう。故に勧誘に乗り気にはなれなかったのだ。

 

「でも不味いかも知れないわね…」

 

「え?何が不味いって?」

 

渋っていた理由を理解した響だが、司馬懿はなにやら気になることがあるのか表情に影を落としながら考えており、響は司馬懿が呟いた言葉が気になり、司馬懿に訪ねた。

 

「……」

 

しかし、司馬懿は既に頭の中で何かを考えて辺りのことに気付いていないようで響の質問も耳に入っておらず、返答は帰ってこなかった。

 

司馬懿が思考の海に入ってから10分ほど経過し、司馬懿が考えている中、響も少し司馬懿が何を考えているのかを考えては見たが何もわからずしまいで項垂れていると、司馬懿が漸く思考の海から上がってきて、よしと何かを決心をつけたのか、考えが纏まった司馬懿は響に顔を向けて話し始めた。

 

「響さん、もう政務も終わってるから買い物に手伝ってくれない?」

 

「え?何で買い物?」

 

曹操の話をしていたはずが突然、響を買い物の連れ添いに誘ってくる司馬懿に困惑して理由を聞こうとする響。

 

「いいから、いいから…ふふ」

 

そんな困惑する響を無視して、半ば強引に押し通すように話す司馬懿は、何かを想像してか笑みを浮かべており、その笑みが何を意味しているのか理解できない響は分からずに首を傾げるがさすがに危険なことではないだろうと決めつけ、司馬懿の買い物に付き合うことを決めて、わかったと頷いた。

 

 

 

長安の商業の中心とも言える商店街にやってきた響と司馬懿。

 

商店街は相も変わらず人々が往来し、店に立ち止まって物を買っているのも目立つ。

 

そんな商店街を笑みを浮かべている司馬懿が先々と進んでいき、それを響が追うような形で商店街を歩く。

 

「仲達様、それで何を買うつもりなんだ?」

 

無理やり連れ出された響は、司馬懿が何を買おうとしているのか、もちろんのこと知っているはずもなく、上機嫌の司馬懿に訪ねてみた。

 

「えっと…色々よ」

 

と柔やかに笑みを浮かべて返事をすると、結局具体的な買い物の品を聞くことが出来なかった響は項垂れながら買い物は長くなりそうだと思いながら司馬懿に着いていった。

 

響が司馬懿に着いていき、まず始めに司馬懿が立ち止まったのは旅をするために必要な品々が並び立っている旅人用の店。

 

「旅人用の店?なんで?」

 

始めに来た場所が旅人用の店だとは思ってもいなかったために疑問を口にする響だがその疑問に答える者はおらず、司馬懿が店に入っていくのを見て響も追いかけるように店の中に入っていった。

 

店の中は店前にも鎮座されていた通り旅人が道中必要になるであろう品が立ち並んでいて、立ち寄った旅人などもこの店の品を見ていて、店の中の人の数からわりと繁盛していることが理解できた。

 

「…ん~」

 

そんな旅人達の中に何かを必死に見て決めている司馬懿を響の視界に捉え、彼女の隣に立つと司馬懿が目線の先にあったものは旅人達なら会って当然という物だった。

 

「…鞄?」

 

旅に必要な物などを収納し持ち運ぶことが出来る革で出来た鞄。

 

そんな革の鞄を見ていた司馬懿は隣にいた響に顔を向けて口を開けてしゃべり出した。

 

「ねえ、響さん?この大きい鞄か、こっちの普通の鞄…どっちがいいかしら?」

 

司馬懿は見比べていた二つのサイズが違う鞄を見せて響にどちらにすべきか訪ねられ響は二つの鞄を一通り見た後、少し考えて…結論を出し返事を返した。

 

「普通の鞄の方が良いと思う…仮に旅に出るんなら大きすぎると動きづらいしな」

 

と収納より身動き差から普通の鞄を選んだ響、その言葉を受けて納得した顔つきで司馬懿は響が勧めた普通の革の鞄を手に持つと近くにいた店員に声を掛けた。

 

「すいません、この鞄、おいくらですか?」

 

「え?買うつもりだったの!?」

 

と手に持つ革の鞄を購入しようとする司馬懿に買うとは思ってもいなかった響は驚いて声に出す。

 

「いったじゃない色々、買い物するって」

 

驚いた響の声に反応して司馬懿はいつも通りの口調で返し、その後やってきた店員にお金を支払い、鞄を購入した。

 

「さてと、次は…」

 

「後は何を買うつもりなんだ?」

 

鞄を購入した後、既に司馬懿の頭には次の品のことを考えていて、それを見て響はこれから何を買うのかを聞く。

 

「着いてくればわかるわよ」

 

と先程と同じく詳しい情報は話して貰えず。響はその後司馬懿に連れられて何軒もお店を回り、終わったのは店が閉まり、月が空を照らす。夜空のことであった。


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