秋
「私の記録と記憶が正しければ、今から9年前、小学6年生の時代に私、若菜、拓斗の3人はコンタクトがありました。証拠として写真もあります。」
秋の後ろの用心棒さんが懐から一枚の写真を撮りだした。私に手渡して再び秋の後ろに下がった。
秋
「写真の場所はこの街の商店街ですね。ここから歩いて5分のところです。その写真では拓斗と若が二人並んでいる写真で撮影者が私です。・・・一番場所として確定が出来た物を選んできました」
私
「・・・・」
秋
「それを見ただけではわかりにくいかもしれませんが、もう一つ。・・・RINEで送りました画像もご覧ください。この街で目撃された怪異現象の場所にマッピングした地図ですね。
その写真で何故かマッピングが集中している所があると思います。その中心にある場所が何か特別なように思えてきたのです。」
私は地図をよく見た。・・・いや考えなくともこの場所がどこだかわかる。
秋
「一つ目の場所が、『若の住んでいるアパート』です。なぜか、そこを中心に幽霊の目撃情報が多発しています。特に被害といった話はないですが、夜の時間帯に街灯のない場所に限って白いぼんやりした人間の形のものが目撃されているんです。
・・・若は目撃しましたか?」
私
「・・・いや。アパートの中でも見たことはない。」
秋
「不審な人は見ましたか?」
私
「不審・・・・いや、同じアパートに住んでいる人とかなら会っているけども・・・そもそも夜に出歩かないからわからないや」
秋
「そうですか・・・・では次の場所はこのアパートから北に進んだところにあります。」
次のスポット・・・これも私は知っている。ってか今、私の手元にそこの写真がおいてある。
秋
「そう、『商店街中心にある広場』です。偶然にもその写真が撮られた場所と一致しているのです。・・・この付近で目撃情報がされています。
ただ、こっちは少し被害が出ています。・・・夕方にもかかわらず、付近を歩いている人が気絶するケースが多発しているらしいですよ。」
私
「それは見たことある。商店街を通ったときに救急車が止まっていたことがあった。」
確かに、中央の広場に比較的近い場所での騒ぎだった。
秋
「これが持続的に起きているならまだしも、ここ4月で多く発生した事件ですね。・・・それより前に起きたのは、今から9年前に・・・・」
私
「9年前」
秋
「そう、9年前です。そこも何故か偶然一致したんです」
少し背筋が寒くなった。
秋
「不思議でしょ?若が住んでいるアパートと、若が9年前に写真を撮った場所が怪異現象の目撃場所の中心なんです。
何か、オカルト系の話にしては上手くできすぎているのです。」
私
「・・・でも、私自身には被害は来てないよ」
秋
「ええ、確かに起きてません。でも若付近に起きていると考えると心配でたまらないのです。」
秋は今度はPCでメールを開いた。
秋
「私も単に目撃情報だけを収拾していただけなんですけどねぇ。偶然マッピングをしたらこのような関連性が見つけられたので・・・このまま記事にするとアパートの評判を下げかねないですから、あえて今回は若に知らせたのです。
貴女は朝、『怪異は信じない』と言っていたので、この話をしても平気だろうと判断したわけです」
私
「・・・なるほど」
秋
「それでですね。それに乗じて頼み事があるのですよ」
私
「私のアパートを調査させてくれと?」
秋
「それもやりたいですね・・・あのアパートは住居者と住民の許可した人しか入れないように、セキュリティーが厳しいですからね。
でも、それよりもやって欲しいことです。」
秋
「卜田拓斗が帰宅するのを尾行して欲しいのです。」