霊って信じますか?   作:菅原ひかり

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さて、この転校生が私の後ろにいることでよくある展開を期待する人もいるかもしれないが、安心してくれ。

特にこれと言った展開はなかった。会話もさっきの形式的挨拶だけで終わってしまった。

 

 

いや、だってあれやん。特に何も情報を知らないのにどうして自分から会話をしなきゃいかんのじゃ?どうせ私が話しかけなくても他の人が話しかけてきてたからいいじゃん。

 

 

それに休み時間は基本的に本読んでいるし。

 

 

秋からRINEで【話せ!】とか【もっと積極的に!!】とか来たが、【次煽ったらブロックする】と言ったら何も言わなくなった。素直でありがたい。

 

 

拓斗君とはまた別の機会で話すことがあるだろう。別に焦る必要もないのだ。・・・何も焦る要素がないが。

 

 

 

っと、展開も糞もない休み時間を過ごしていたが、ようやく昼休みまで時間は進むのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

秋に連れてこられたのは、「新聞部」と書かれている部室。

部室の真ん中にはPC付きの机が6つ向かい合って配置されている。壁にある棚にはたくさんのファイルが敷き詰められている感じ。

 

 

「昼休みの間に新聞の記事を書かなきゃいけないからね。記事を書きながら、若菜との話をすれば一石二鳥でしょ?」

 

「私に一石二鳥要素はないけど?」

 

「どんなことにも必ず犠牲が存在する・・・」

 

「おい」

 

「冗談冗談。私の情報を伝えることで絶対に若にも利益が発生するから。それに昼休みのアポを取ったのは若の方だよ?」

 

 

うむ。・・・アポは私から取っている。

 

少し性格上表情を表には出さないが、私としては秋の話を聞くべきだと判断した。・・・転送された画像に違和感を感じたからね。

 

 

「まぁ、私としては対価もいらないからね。若菜の知りたい情報を何でもおしえちゃおう」

 

「何でもって・・・・」

 

「私は何でも知っているからね。私の元には何でも情報が手に入る。

 

何なら今度の英語の中間試験の問題もわかるよ」

 

「いや、そういうものを求めてないし」

 

「私も流石にカンニングはしないけどね。とりあえず、何でも調べられるから。」

 

「ふーん・・・・じゃあ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とりあえず、私をここに呼んでまでして試したい理由は?」

 

 

 

「・・・・・」

 

 

 

私は秋の後ろの机を指さした。

 

 

 

「そこの机・・・誰がいる?」

 

 

さっきから、気配がしている。

 

 

 

秋はニヤッと笑った。

 

 

「早いねぇ・・・お~いバレちゃったよ」

 

 

秋がそう言うと、気配の主・・・が机の下からのそのそ出てきた。

 

 

 

「お嬢・・・」

 

 

「お嬢言うな。」

 

 

少し不機嫌気味に秋は言った。

 

 

私としては誰かの気配は感じたが、てっきり私は同級生辺りがいると思っていた。

なので、実際秋の後ろに立っているのが高校生ではないので意外である。

 

 

「・・・誰?」

 

 

 

どう考えても高校生とは思えないスタイル、黒スーツ。目つきがなかなか鋭く、メンチビームがパない。

 

 

「こいつは私の家の用心棒。ちょっと確かめたくてここに隠れてもらったの。」

 

 

用心棒

「どうもッス。」

 

 

用心棒さんは丁寧に頭を下げた。

 

 

 

「確かめるって・・・私の何を?」

 

「若菜。貴女と私は一度会ったことがあるの。覚えてる?」

 

 

 

いきなりそんなことを言われても・・・ってうん?

 

 

「会ったこと・・・?」

 

 

いや、ないだろう。こんな特徴的な人間を私が忘れる訳ないだろう。

 

 

「何年前の話?」

 

「9年前」

 

「覚えているわけないだろうが・・・!!」

 

 

 

小学1年生の記憶なんて覚えているわけがないだろうが・・・

 

 

「実を言いますと、私と若以外にもその場に居合わせた人がいるんですよ」

 

 

「え?誰?」

 

「拓斗」

 

「・・・・は?」

 

「卜田拓斗。・・・今日からクラスに入ってきた子ですよ。」

 

 

 

秋は得意げな顔をして答えた。

 

 


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