幽霊・・・・死んだ者が成仏できず姿をあらわした、いわゆる人間だった者。人間だったというが、実際我々人間がふれることは出来ないし、人間以上に大きな力をもっている存在。
「最近・・・といってもここ1週間ですが。高校が始まってから幽霊を見たという情報が多く入っているんですよ。場所はこの街のいくつかで目撃されており、瞬きをした瞬間に目の前から消えてしまったっていうんです。」
「幽霊なんて迷信でしょ?」
「迷信って信じたいですねぇ・・・」
「いやいや、秋は見たことないのでしょう?」
「私の父が以前に見ていますよ」
「」
私としては幽霊やらそういった類はいないと信じている。そもそもよくテレビ特集に出る動画や画像なんてただの合成やCG、やらせじゃないか。あんな信憑性に欠ける存在をどうやれば信じる事が出来る?
「若は周囲にそういった人はいませんでしたか?小学生の頃とかは?」
「・・・いないね。そんな体験談なんて聞いたことがない。・・・ちなみに目撃情報の位置とかはメモしてるの?」
「もちろん、スマホの地図に書き込んであります。あとでRINEで送信しますね」
いらん。
では、と秋は再び自分の席に帰って行った。
私が小学生の頃の記憶・・・・曖昧で正直よく覚えてない。けれどもそんな不可思議な出来事はなかったと確信は持てる。もしそんな不可思議なことが起これば私自身だって必ず覚えているだろう。現実的にあり得ない物を無理して信じようとする気持ちが全く同情できない。
・・・別に私が「幽霊が怖いから」という臆病な理由で信じていない訳ではない。自分でも言うのも何だが、私は結構恐怖に対する耐性がある。正直この年でもお兄さん達に喝上げされてもビビらない自信がある。
いや、まぁ、はたしてビビり耐性と怪異みたいな不可思議現象?が同じものと考えるのは疑問だが。
ピロリン♪
気を取り直して本を読もうとした私の胸ポケットで今度はスマホが鳴った。
あーそういえばマナーモードにしていなかったなぁ・・・と思いながら通知を確認した
【RINE:1年の情報担当秋 さんが画像を共有しました】
【RINE:1年の情報担当秋 『さっきの話で出てきた画像だよ!絶対に興味を持つと思う!』】
【RINE:1年の情報担当秋 『もし興味があったら連絡してね!』】
・・・・・。
目線を挙げる。
・・・・いや、まだこっちを見てるよ・・・・。これ、もしかして私がRINEを見るまでずっと見続けるでしょう?未読スルーすら許されないの?
面倒だなぁ・・・と思いつつ、ここで無視するのも秋に悪かろうと思い、私はRINEを開いた。
画像をぱっと確認。秋の送った写真をまじまじと見つめ。
そして返信をしておいた。
【若菜:昼休み空いてる?】
秋がこっちをみてニヤッと笑った。