霊って信じますか?   作:菅原ひかり

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 私の教室に、新しい机が置いてあった。

 

それも私の後にである。(まぁ、出席番号が一番最後だからそれは仕方がないのかな)

 

一目でわかる。これが転校生の机だと。

 

 

中学や小学でも多々ある突然の新しい机の設置。これを思わせるような懐かしい気持ちにさせられた朝である。

 

時刻は8時。

 

 

 

運動系の部活である生徒は朝練習という体で体育館やらグラウンドで何かしらしているが、あいにく美術部の幽霊部員である私には何の縁もなく、教室に一人でぽつねんとしていた。朝の会やらが始まるのは40分後であるので少し速く来すぎてしまった感がある。

 

いつもなら朝の会ぎりぎりで来るような性格の私なのだが、今日に限ってはどういうわけだかこんな早い時間に教室に来てしまったのである。

 

 

何故か?

 

 

朝起きたのが6時。・・・いつもよりもまず1時間早い。ベッドから起き上がるのも早かった。

朝ご飯。・・・どういうわけか知らないが、お米を切らせていたのでパンで代替。

テレビを付けてみる・・・今日に限って自分の興味の引く話題がない。

 

 

 

 

要するに何もやることがなかったのである。

 

 

これ以上家にいてもつまらないという思考になった結果、朝の8時から教室にいるという事になったのだが。

正直、誰もいない教室で座っていても退屈である。

 

 

「どうしようか・・・」

 

 

友人で早く来る杏里でもあと10分もある。

 

 

 

 

とりあえず、新しい出来事としてとらえた私の後ろの机にもう一度視点を合わせることにする。

 

 もちろんのことだが私の使用している学習机と何の違いのない代物である。それからして確実に私と同じ学生、つまりは転校生と結論はすぐに着いた。しかしながら今日の日付は4月17日の月曜日と考えるといささか転校生と言うことに疑問を感じ得ない。まさか入学式の1週間後に入る転校生なんているもんか。

 それよりも私が興味をそそられたのは、この机が私の席の後ろに『置かれると想定されていたのでは』と疑うほどぴったりと置かれていることである。よくよく考えてみるとこのクラス:1-2の生徒の人数は39人である。この中途半端なおかげで私のいる列だけは一人分の空間が空いていたのである。(お陰様で休み時間に後で男子が騒ぐ。うるさい)この空間が今、机によって埋められたのである。

 

もしかしてあらかじめここのクラスにもう一人生徒が増えると予期されていた?だからわざわざ私のクラスだけ人数が中途半端だったとか?

 

 

 

まぁ、考えすぎだろう・・・。

 

 

「・・・駄目だ駄目だ。朝っぱらから考えすぎだ。」

 

 

今日に限って頭が冴えてる。

 

 

 

 

 


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