霊って信じますか?   作:菅原ひかり

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第一章・たくとルーム


卜田拓斗は『変わり者』である。

 

 

 

 これは彼に出会った人間なら全員が絶対に言うだろうし、そもそも本人公認の情報である。(本人が言う自体で随分変わり者である。)だからこんな所でも堂々と言うし、隠したりもしない。

 しかしながら、同時に私達はこれが相対的な評価である事を認識しなければならない。

 

 霊として私を出すが、私は高校生でありながら背の順では先頭に立つであろうくらい小さい。しかしそれは高校の中だけであって、全国的に見れば平均に達しないだけで小さいわけでもない。年齢という枠を外せば、小学生よりも小さいわけでもない。(・・・と自身を持って言いたいが実際の所最近の小学生の成長が早いので現実では小学生の方が大きいことがただある)。もしかしたら大人でも私より小さい人がいるかもしれない。

 

 

 だから敢えて言い直しておこう。卜田拓斗は『私の出会った人の中では変わり者』である。

 

 

 

 拓斗君について軽く紹介すると、彼は高校入学してから一週間。少しだけ遅れて私達のクラスに来た。背は165くらいで、ぼさぼさの髪の毛。勉強の時だけつける緑色眼鏡。帰宅部。勉強はまずまず。いやどっちかというと馬鹿だ。

 その他のステータスはそこいら辺のの人間とは何の区別もなく一般男子学生だ。運動神経も秀でているわけでもない。性格は大人しく、暴力的でもない。先生にこびを売ろうともせず、反抗もしない。平凡、普通、一般・・・そんな言葉を並べたがる連中は大半だろう。

 

 

 しかし忘れてはいけない。人間は必ずと言って裏の顔を持つ。そして拓斗は裏の顔こそが『本物』なのだ。表の顔はただのお面に過ぎない・・・。

 

 

 

 

 

 

 さて、突然話を関係ない話題に移行して申し訳ないが、これを読んでいる人の中で突然、自分の理解範囲を超えているものを見せられて驚かない人はいるだろうか。テレビで見ていた恐ろしい怪物が実在したら?自分よりもはるかに大きい蜘蛛が自分に迫ってきていたら?そして、『もし幽霊なる怪異な存在が眼前に現れたら?』

 

 

 残念ながら私はそういった不可思議現象に対して驚かない体質らしい。それが良いとも悪いとも今は議論すべき事でもないし、大切なことではない。しかし、今後の私の日常生活を変換させた奴らについて語らざるおえないのだ。

 

 

 もう私に『当たり前の生活』なんてやってこない。今から語るのはその始まりだ。

 

1年間の出来事を私中心に語ろう。

 

まずはあの4月の出来事からだ。

私の目の前の世界が常識から逸脱した世界になったあの日である。

 


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