吸血鬼に恋愛なんて出来るわけがない!   作:緋月霊斗

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書くよ。


前途多難!?

ショッピングモールってなんでこんなに広いんだろう。人多いし。

そんな中を走る。

走る走る。

「流石に人の家飛び越えたりは出来ないからなぁ……」

全く、なんて無能な吸血鬼だ……俺か。

に、しても……。

「俺、早く帰りたいんだよなぁ」

いや、行くけどね?

あ、居た。

「天音!ごめん!」

「もー遅い‼」

「ごめんって、久遠との話が長引いて……後、屋上から落ちた」

「ふーん、話がねぇ……って落ちた!?」

「うん。あ、めっちゃ元気だよ?」

「な、ならいいんだけど」

怪しまれてないな。よし、大丈夫。

「じゃあ、行こうか」

「えっ、あ、うん」

早く終わらせて帰ろう。

「で、何買うの?」

「えっと、服とか……し、下着とか……」

「おぶふぁっ!?」

「れ、霊君!?大丈夫!?」

「げほっ、だ、大丈夫だ。埃が気道に入っただけだ」

ごめんなさい、貴女の下着姿の写真を見ましたなんて言えない。

「ふ、服から見るか」

「そうだね、じゃあ……五階かぁ」

「エレベーターで行こう。楽だし」

「やだ、エスカレーターがいい」

「え、わざわざ回るのが面倒なんだけど」

「むー……」

「……はぁ、わかったよ」

仕方ないな。

……涙目上目使いとか、勝てる気がしない。

「えへへー、なんかこうしてるとデートみたいだね」

「ごぶふっあぁっ!?」

「霊君!?なんで急に吐血すんの!?」

「いや……あれだ」

「?」

「女子とデートとか、俺にはハードルが高いよ……」

と言うか、無理。

「あ、そう……なんていうか……ヘタレ?」

「いきなりディスらないで頂けます?」

死にたくなるから。

「あ、ご、ごめんね?……でも、霊君と買い物なんて久しぶりだよね」

「ん、まぁ、そういやそうだな」

確かに……いや、待てよ?

「一週間位前に行かなかったか?」

「……」

「……」

「行ったね」

「だろ?」

忘れてたのかよ……。

「まぁいいか、早く帰ろ……行こうぜ」

「う、うん」

ん、そういえば……。

「なぁ。その髪飾り、俺が昔あげたやつだろ?まだ使ってくれてたんだな」

「あ、わかった?中学一年のホワイトデーに霊君がくれたんだよね」

やけに説明臭いな。

「そうだな……あの頃は楽しかった……」

「今は楽しくないの?」

「だってこの身体……なんでもない。結構楽しいわ」

「?まぁいいけど……あ、着いた」

うわー、なんか華やかだなぁ……。

「ねぇねぇ、このワンピ、どっちの色がいいかな?」

「俺に聞くなよ……」

「霊君の好みでいいから!」

赤と白か……。

「白の方が俺は好きだな。清楚な感じがして」

「ふーん……じゃあ、白にしよっかな」

「おーう、好きにしろー」

女子の好みなんかわかるか。

にしても天音のやつ、やけに楽しそうだな。

「お前といるからだったりしてな」

「んなわけ……一樹!?」

「お前もデートだったとはな、吸血鬼君」

「んなっ!?お前、なんで!?」

「久遠から聞いたよ。昨日なったばかりだとか?」

「天音には言うなよ?」

「わかってるよ」

「で、一樹の方は美桜さんとデートか?」

「まぁな」ドヤァ

「ムカつくやつだな」

「ま、お前も精々頑張れよ」

「頑張れって……なにを?」

「彼女つくるとか」

「俺の事を好きになるやつなんか居ねぇよ」

「そうかな……案外近くにいるかもな」

「はぁ?それってどういう……」

「ヒントはここまでだ。後は自分で考えろ」

「んなこと言われても……」

「じゃ、俺は美桜を待たせてるから」

あ、逃げやがった。

はぁ……。

「ね、霊君。これはどっちがいいかな?」

「あ?どっちがってごぶふぇっふぉあぅ!?」

く、黒の上下セットか赤の上下セット……。

明らかに勝負に行くやつ。

「なぜ……それを俺に聞いた……」

「え……霊君になら、いいかな……って」

可愛い。

違うよ。そうじゃない。

「俺が言いたいのはそう言うことじゃなくて……なんで男に下着を選ばせるの?」

「え、おかしかった?」

「おかしいも何も……変態だぞ」

ってか、いいの?俺で。

「う、うん!冗談だよ!」

「ならいいんだが……」

「……残念だなぁ……」ボソッ

「ん?どした?」

「なんでもない!じゃあ、お会計してくる!」

「あー、いいよ。そんくらいなら出してやるよ」

「え?」

「待たせた侘びだ。むしろ払わせてください」

「別にいいんだけど……じゃあ、お願いしよっかな」

「よし、いくらだ?」

「九千八百円」

「一万円で」

「はい、お釣り」

「サンキュ」

に、しても……こいつやっぱり可愛いよな……。

「ん?どしたの?ボーッとして」

「ああ、いや。なんでもない。もう帰ろうか」

「うん、そうだね」

天音が以外にもすんなり応じた。

こいつも疲れたのか?

「霊君、おんぶ」

「……ほら」

「なんか懐かしいね」

「昔から散々やったからな」

「ふふっ、霊君は昔からやさしかったよね」

「や、優しっ!?ごぶふるっあっぇぅげぉふ!?」

「だ、大丈夫!?」

「大丈夫だ……でも俺、そんな優しかったか?」

「うん、私が苛められてたらすぐに助けてくれたよね」

「人として当然だろ?」

「そう言うと思った……」

「悪いかよ」

「ううん……そういうとこ、大好き」

「けぷぱっ!?」

「どうしたの!?なんか変な音したけど!?」

「喉の調子が悪いだけだ。気にするな」

と、もう家か。

まぁ、こいつの家は隣なんだけどね。

「ほら、着いたぞ」

「うん、今日はありがと」

「いいよ。俺も楽しかったし」

「じゃあ、また明日」

「ああ」

よし、寝るか。

「あ、霊君」

「ん?」

「さっきの……本気だからね」

「!?」

「返事、まってるから……じゃあね」

か、帰りやがった……。

「本気って……」

どうやら今夜は眠れなさそうだ。




どうなるかな!?
じゃ、また。

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