吸血鬼に恋愛なんて出来るわけがない!   作:緋月霊斗

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書きます。


波乱の予感

「あー、終わった……」

「全くだよ。何故私達はこんなにも過酷な授業を受けなければならないんだろう……」

「……久遠、そんな口調だったか?」

「?なにかおかしな点でも?」

「いや……」

おかしすぎだろ!

口調変わりすぎだよ!……まぁいいか。

「ところでおかしいと言えば……霊斗」

「ん、なんだ?……ぁふ……」

「今日はやけに眠そうですね?」

「そ、そうか?いつもと同じだろ?」

「それ、今朝天音にも言ってたよ」

「……聞いてたのかよ」

「隣を通りすぎるときにね」

「え、通った?」

通ったっけ……。ま、本人が通ったって言ってんだから通ったんだろう。

「で、寝不足の理由は?」

「い、いや。寝不足って訳じゃ……」

「寝不足でもない人間が大好きな教科で爆睡する?」

「う……」

確かに、大好きな国語でも爆睡してしまった……。

気付いたのが授業終了五分前だし。

「寝不足ではないのなら他に原因でも?」

「……ないこともない」

「ほぅ?その原因とは?」

「……屋上でいいか?」

「わかった」

おっと、天音と帰る約束をしてたな……。

「天音、用事が出来ちまったから先に帰ってくれ。買い物には間に合わせる」

「え……う、うん、わかった!じゃあ後でね」

「ああ。悪いな」

よし、屋上に行かなくては。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先に行っていた久遠にはすぐに追い付いた。

「天音とは、良かったのですか?」

「え、なにが?」

「はぁ……本当に鈍感だね」

「え、嘘。俺って鈍感なの?」

「どこのラノベの主人公だ……」

俺って鈍感だったのか……。気を付けないとな。

あ、ハーレム築いたりとかしないよ?

「屋上、とは言ったものの……」

「流石に放課後は施錠されてるね」

「あ、じゃあ。無理矢理開ければいいんだよ」

「……は?」

よし、たぶんこの身体なら……。

「よいしょぉぉぉっ!」

バギン。

「よし、ねじ切れた」

「何をやってるんだ!?」

「何って……」

鍵をねじ切っただけだよね?

「……化け物かよ」

「あ……」

しまった、ばれないようにしてたのに。

「まぁ、要はそういうことか」

「う……」

これは……あれだ。正体がばれて距離を取られるやつだ。

「今更吸血鬼程度じゃ驚かないけどな」

は?

「どういうこと?」

「……こういうことさ」

俺の目の前で久遠が進化した。

いや、変化した。

銀髪に、黄金の瞳、長い牙。

「マジの吸血鬼じゃんΣ(゚◇゚;)!?」

「いや、お前も出来るだろう?」

「え、無理。吸血鬼になったの今朝だし」

「え?」

「え?」

「……吸血衝動は?」

「今のところはないっぽい」

「じゃあ、これを見ろ」

久遠が差し出してきたのは……天音?

「一部の人間の間で取引されているものを偶然おさえたんだ」

「……下着じゃね?」

「だから一部だと」

「なんか結構スタイルが良いな……おぅっ!?」

久遠が何か言っているが聞こえない……。

なんだ、これ。

血を……吸いたい。

吸いたい。

吸いたい!

「ほら、落ち着け」ゴスッ

「あだっ!?なんでいきなり殴るんだよ!?」

「衝動、収まっただろう?」

「……ほんとだ」

俺が安堵していると、久遠が何かを取り出した。

「治ってなかったらこれを使うところだったよ」

「なにそれ」

木刀?

「時雨桜鳴雷という特殊な桜の木から削り出した木刀だ。因みに、殴った相手から養分を吸える」

「恐ろしいな」

っつーか、どこから出したんだよ。

「気にするな」

「心を読むな」

に、しても……俺以外にも吸血鬼が居たとは。

しかもめっちゃ友達。

「まぁ、霊斗」

「んー?なんだ?」

「とりあえず、他の人間にはばれないように」

「ああ。わかってる」

「じゃ、帰るよ」

そう言うと久遠は吸血鬼化を解き、翼を生やして飛び去った。

吸血鬼化解いてねーじゃん。

「あ、俺も出来るかな」

イメージすればできるはず。

翼……翼……。

よし、行ける(気がするだけ)!

屋上からジャンプ!って……。

落ちる……。

「あぁぁぁぁ!」

ビターン。

地面に叩きつけられた……。

「痛ぇ……」

吸血鬼って丈夫だな……。

「ん、電話?」

誰だろう。

「はい、もしもし」

『霊君』

「!?」

天音!?怖いよ!?

『約束、忘れたなんて言わないよね?』

「覚えてる!今終わったところなんだよ!すぐ行くから!」

『……早く来てね』

「わかった(プツッ)切りやがった……」

はぁ、走るか……。




だんだん霊斗の人間関係があきらかに!?
ではまた。

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