ソードアート・オンライン~知られざる天才剣士~   作:モフノリ

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線引き

「もし、その引き金が本当に人を殺すとしたら、それでも君は引き金を引けるか?」

 

 Fブロックの予選決勝。

その様子をCブロックをあっさりと終わらせたレインはモニター越しに眺めていた。

 音声が直接聞こえた訳では無いが、口の動きで二人の会話を見たレインはすっと目を細める。

 モニターに映るキリトがシノンに対してした質問はこの世界だからこその質問だ。

 魔獣だけではなく、名前も知らない人間も殺してきたレインからすれば、殺さなければならないなら殺すしかない。

 読書好きで虫を殺すことすら出来なかった少年がそのまま育っていれば、人を殺すことに躊躇いはあっただろうが、そうなることはなかった。

 殺す必要がないやつは殺さないし、殺すしかないやつは殺すしかない。

 そうレインは考えている。

 しかし、いろいろ考えた結果、この世界ではできるだけ殺しはしないことにしていた。

 仕事として敵対組織を壊滅させろといわれたら壊滅させには行くが、どうしようもないクズ以外は殺していない。

 まあ、後が面倒なのでこれでもかと脅して恐怖を植えつけたりはしているが。

 そして、今回の死銃に関しても徹底的に邪魔をするだけしかしないつもりでいる。

 誰がやっているのかという目星すらもついているが、それをキリトに教えるつもりもない。

 結局のところ、レインは本来この世界にいないはずで、関わるはずのない異邦人なのだ。

 彼らは彼らの力で困難を乗り越えていくべきで、レインはそれをほんの少し手助けするだけ。

 そうしなければ、きっとレインは元の世界にかえることが難しくなってしまうから。

 

 ここの人間ではないということを自分に言い聞かせるための線引きとしての自らに与えた枷。

 

 それは実にもどかしく感じるが、レインにとって必要なものなのだ。

 

「ま、あいつらなら大丈夫だな」

 

 微かに微笑んだレインは人知れず会場から姿を消した。

 

 

 

 

 眠りから覚めるような、自分の身体に意識が戻ってきたという感覚にレインは閉じていた瞼を持ち上げた。

 剛たちが拠点を構えているところとは違うが、それなりに広い一室。

 少し古いせいでセキュリティが甘い代わりに家賃が安く普通のサラリーマンが一人暮らしするには十二分なアパートにレインはいた。

 置いてあるのは備え付きの机と冷蔵庫、それからレインが持ち込んだ彼が寝転がれるぐらいの大きさがあるソファぐらいしかないその部屋は、広さが相まって寂しく感じる。

 ここは、剛たちが用意してくれたレインのための家だ。

 べつに剛たちの拠点でいいと言ったのにも関わらず、用意された場所。

 家賃は組織が持ってくれているのでレインとしては困ることはないのだが、組織の拠点から徒歩数分の距離にあるので、わざわざここにレインの部屋を用意した意味が理解できない。

 そして、ここのことを知っているのは組織の人間以外ではシノンとシュピーゲルぐらいで来客がある訳でもない。

 ソファから起き上がったレインは冷蔵庫から水の入ったペットボトルを取り出してぐっと飲む。ひんやりとした水が全身を冷やしていくのを感じながらけつポケットに突っ込んだままだったスマホを手に取った。

 時刻は夜の九時を回っていて、今から晩御飯を食べるという気にはどうにもなれない。

 何かしらがあるのであれば多少は食べるのだが、基本的に冷蔵庫には水しか入れない。

 何日も食にあり付けないのは元の世界の旅で慣れているのでレインにとっては一食抜くなんてことは大したことではないのだ。

 早々に食べることを諦めたレインは傾国の剣の入ったカバンを担いで家から出た。

 鼻歌交じりに向かうのは組織の施設の一つである地下修練場だ。

 本当であれば人目につかないところで鍛錬したいのだが、如何せんこの世界は夜でも明るく、いい場所が見つからない。

 力を暴発させてもとくに気にしなくても良いというのもあるので有難く使わせてもらっているしだいだ。

 間違いなく本戦は忙しくなる。

 狙われるであろう人物の特定はできてるのでそいつをみはっていればいいだけだが、狙われているであろう数人のうち、みはっていない他のところに行かれたらめんどうだ。

 レインは一人で動く計画を頭の中で作り上げながら修練にはげんだ。

 

 

 

 

 

 少し早めにログインしたキリトは眉間にしわを寄せながら市街地を歩いていた。

 笑う棺桶と聞いて思い出すのは、血の海の中に立つレインと、あの時に監獄に送ったラフコフのギルドのメンバーの憎悪や恐怖の表情。

 そして、唯一殺した一人の男。

 どれもいい思い出とは言えないものだ。

 予選会場でラフコフの生き残りらしい人物に声をかけられた時、咄嗟に溢れ出た感情は恐怖だった。

 大切な人を殺されるかもしれない恐怖、自分が死ぬかもしれない恐怖、再びレインに人を殺させることに対しての恐怖だ。

 異邦人であるレインからすれば人を殺すことなど日常茶飯事だろうし、誰かを守るためならためらうことなく殺すだろう。

 彼に人を殺して欲しくないというのはキリトの我儘だ。

 本戦のためにログインする直前、人を救うために諦める命もあるという話を聞いたことで、アスナを守るためにはアレが必要なものだったと思える。

 だからといってまたできるか、といわれると正直できない。

 その事を考えたことでレインとの差を感じた。

 現実でも人外地味た動きをするレインと自分を比べることがおかしいとは分かっているが、どこかで自分は彼の相棒だと思っていたし、向こうもそう思ってくれていると思っていた。

 だが、きっとそれは――

 

「なに湿気た面で歩いてんだ?」

 

 その声に振り向くと、いつものように全身真っ黒で精悍な顔立ちをしたレインが立っていた。

 先程まで考えていた内容と、成長した彼の姿も相まっていつもよりも大人に見える。

 何も返事を出来ずにいたキリトに対してレインは小さくため息をつくとポンと頭に手を置いた。

 

「ガキが何を背負い込もうとしてるのか知らんがな、俺は今のままのお前でいいと思うぞ」

 

 そんな、何もかもを察したような言葉を吐いたレインを思わずキリトは食い気味に見つめた。

 

「男に優しくするのは趣味じゃないんだが、今のお前は女に見えなくもないからサービスだ。いいか、キリト。誰にでも勝てる奴も人を殺せる勇気がある奴もこの世界じゃ確かに強い人だと言われるのかもしれん。でもな、俺はそうは思ってない」

 

 負けたところを見たことはないし、守るためなら躊躇うことなく人を殺すことができるだろうし、自身のことを世界最強だと言う彼がそんなことをいう。

 

「例えばだ、アスナは気が強いところがあるっちゃあるが、根は優しい。そんな彼女が誰かに負けるからという理由で、何かに悩んでいるからという理由で弱いと言えるか?」

 

 レインの問いに、キリトはすぐに首を横に振った。

 説明するまでもなく、アスナは強い。

 

「なら分かるだろ。人の強さは個人によってそれぞれだ。お前はお前の強さを磨いて、そのあり方に自信を持てばいい」

 

 不敵に笑いながらレインはぐしゃぐしゃとキリトの頭をかき混ぜ、手が離れてから顔を上げると既にレインは歩き出していた。

 目の前を行く背中はいつものように頼もしく感じ、それと同時に孤高に見えた。

 それが彼が異邦人だからなのか、背負うものの違いなのかはわからない。

 あれに並ぶことはできるだろうか。昔みたいに背中を合わせることはできるだろうか。

 

「なんでお前だけ成長しちまったんだよ」

 

 どこか悔しいと、また並びたいと、背中を合わせたいと、キリトはつぶやき、ごく自然にレインの隣に駆け寄った。

 

「お前無駄に背が伸びてムカつくな」

 

「はぁ?お前がチビなだけだろ」

 

「俺だって二十歳ぐらいになればもっと伸びてんだよ!!」

 

「いやいや、成長期は二十歳までには終わるぞ??今伸びないとお前はそのままだな。さっきも今のままのお前でいいと言ったろ」

 

「まて、そういう意味?!もっといい感じだったよな?!」

 

「ん?何のことだ?」

 

 迷いのなくなった黒衣の剣士と世界最強の黒衣の戦士が並んで歩く姿は、いつものように兄弟のようで、そしてどこか近寄り難いほどに何かを秘めているのが分かるものだった。

 

 

 

 ぎゃーぎゃーと騒ぎながら試合会場に二人が入ると、その場にいたほとんどの人たちの視線が二人に集まった。

 当たり前のことだろう。一人は合法チートと騒がれる有名人でもう一人は光剣で弾丸を弾き飛ばしながら対戦相手に接近して切りつけて倒すというバーサーカーだ。

 黒という大して目立たないはずの色の服を着ている二人ではあるが、存在感は有り余っている。

 元々豪胆な性質のレインが気にするはずもなく、キリトはアインクラッドでビーターとして豪胆に立ち振舞って来ていたこともあったのでこんな事で萎縮するような性質もない。

 だからと言って可愛い女の子ならまだしも、むさ苦しい男達の視線を受け続けても嬉しいわけがない。

 取り繕うことなく顰め面をしたレインは追い払うような仕草をする。

 

「じろじろ見んな。ただでさえむさ苦しい空間なのにさらにむさ苦しさを感じるだろうが」

 

「てめっ!普段からシノンちゃんと仲いいくせにキリトちゃんにも早速手を出しやがって調子乗るなよ?!」

 

 どこからか飛んできた言葉は怒りよりも悔しさのほうが含まれた声音なせいで迫力が皆無だ。

 

「誰がシノンとキリトみたいなちんちくりんに手を出すんだよ」

 

「ちんちくりんで悪かったわね」

 

 声のするほうをみると、眉間にシワを寄せたシノンが立っていた。

 

「よっ。今日も機嫌はいいみたいだな」

 

「どこをどう見たらそうなるのよ」

 

 いつもと変わらない様子のシノンにレインは不敵な笑みを向ける。

 

「シノン、ちょっと聞きたいことあるんだけど、いいか?」

 

「なによ」

 

「えっと、本戦の内容聞きたくて」

 

 その言葉を聞いて隠すことなく嫌な顔をするシノンを見て、レインはわからない程度に微笑んだ。

 完全に三人での会話になったからか、外野の連中もレインたちから意識を外して、賭けやらインタビューやらに戻る。

 

「そんなの、案内届いてるはずでしょ」

 

「いや、まあそうなんだけど・・・・・・他にも聞きたいことがあってさ」

 

「そんなのレインに聞けばいいじゃない。なんで私なのよ」

 

 シノンがそういうと、キリトは気まずそうにちらりとレインを見た。

 そんな顔を向けられる覚えがないレインが首をかしげると、キリトが眉間に小さくため息をついた。

 

「俺が聞きたいのって、今回のBoBにはじめて参戦してる奴の名前なんだよ。レインがいつからガンゲイルをやってんのか知らないけど、どうでもいいやつの名前を覚える性質じゃないのは知ってる」

 

「失礼だな。確かに名前を覚える気はないが、ガンゲイルをはじめたのは十一月頃だからどっちにしろ答えられんかったぞ」

 

 元々レインは異邦人でここに長居するつもりなどない。

 ここで覚えている名前といえばシノンとシュピーゲルぐらいだ。

 それに、とレインは言葉を続ける。

 

「それに、綺麗なお姉さんなら覚えたが、ここはむさい奴らしかおらんだろ」

 

 真剣な顔でレインが言ってから少し間を空けた後、二人分の深いため息がもれた。

 

 

 

 

「どこぞの黒づくめの二人とこの三人ぐらいかしら」

 

 適当に本線の説明をすませたあとに、どうやらこちらの質問が本命らしい初出場のプレイヤーの名前を上げると、キリトは真剣にその名前を見つめていた。

 おそらく名前を頭に叩き込んでいるのだろう。そんなキリトの隣に座っているレインは話を聞いているのかいないのかわからないほどのんびりとすごしている。

 

「ありがとうシノン」

 

「にしても、なんでまたプレイヤーの名前なんて?」

 

 シノンにとっては何のこともない質問を投げかけると、キリトは予選の時に見せた怯えたような表情を一週間前見せたあと、目を伏せた。

 人をからかったり、飄々としている彼からは想像もできない姿だ。

 その様子をレインは静かに見ている。

 

「この中に、昔、同じVRMMOをやっていた奴がいるかもしれないんだ」

 

 再会を喜ぶ、という感じでもないキリトの態度にシノンは小首を傾げる。

 

「それって、仲間だった人とか?」

 

「いや、違う。やつらとは殺し合うはずだった敵同士だ」

 

 敵同士ということは敵勢ギルドだった人だろうか。

 それにしてもキリトの様子はおかしい。

 敵同士だったからという理由でそこまで深刻そうなのがわからない。

 シノンもスコードロン同士で戦ったりするが、険悪になるほどのことはない。

 

「ほう。軍とかあのあたりのやつか?」

 

 それまで無言で話を聞いていただけのレインが興味深げに口を開いた。

 彼はキリトと昔同じゲームをやっていたと言っていたし、レインがこの事を気にするのに違和感はない。

 

「いや、違う」

 

「お前を敵対視してたの多すぎて絞り込めんぞ。どこのやつだ?」

 

「それは」

 

 キリトはちらりとレインを見た。

 その表情はいろんな感情が入り乱れているせいで形容するには難しいが、強いていえば、罪悪感だろうか。

 キリトの顔に色濃く出ていたのはそれだった。

 様子のおかしいキリトにレインは片眉を上げる。

 少しの間沈黙が流れる。

 キリトは静かに目を閉じてから口を開いた。

 

「ラフコフ」

 

 その言葉をキリトが吐いた瞬間に、何を思う暇もなくレインの纏う空気が一変した。

 傲岸不遜で何を言われようが、どんな卑怯な手で相手がこようが怒ることもなくただ笑いながら全てを蹴散らしてきた彼の表情は、バグのようにすべて抜け落ちている。

 バグで表情がなかったときがあるので彼の無表情に違和感を感じることはないが、今の彼からはそれだけではないものが感じられる。

 このとき、初めてシノンはレインのことを怖いと感じた。仮想世界では汗をかくことがないが、自身から汗が吹き出るような感覚を味わうほどにレインの纏う空気に気圧され、動けなくなる。

 何もできずにいるシノンとは打って変わって、キリトは臆することなく、むしろ慌て始めた。

 

「ちょっと、レイン!落ち着けって!」

 

 キリトの言葉を聞いて、一度目を閉じたレインが次に目を開けたときにはいつもの空気に戻っていた。

 

「いや、悪い」

 

 シノンがレインに怖がったことをすぐに理解したのか、彼の長い腕がシノンの頭に伸びてふわりと優しく撫でた。

 それだけで、緊張していた身体の力が抜ける。

 

「そうか、あいつらか」

 

 シノンの頭から手を離しながらレインは小さくつぶやく。

 先ほどほどの空気は出ていないが、それでもレインがラフコフと呼ばれる何かにいい感情を持ち合わせていないのがわかる。

 それについて聞いていいのかわからないうちにレインがすくりと立ち上がった。

 

「そうなら、これは俺の不始末だ。この世界のことだからと邪魔だけにとどめようと思っていたが、俺が殺し損ねたやつが関わってるなら話は別だ」

 

 殺し損ねたという言葉でシノンはびくりと肩を振るわせた。

 完全にシノンを置いていく形でレインとキリトの会話が進んでいく。

 

「待てって!それを言うなら俺だって――」

 

「キリト。あの世界での殺しは」

 

 今度は意図して自身の空気を変えたレインが静かにキリトを見据た。

 

「俺の役目だ」

 

 言い切ったレインの目をキリトはしっかりと見返していた。

 先ほどまでは恐怖や罪悪感が入り乱れていた彼とは打って変わり、レインを止めようとしているのがはっきりとわかる。

 

「だめだ。もうお前に何も背負わせたくない。俺だってあのときみたいに非力じゃない。仮想世界でならお前に頼るばかりじゃないはずだ」

 

「勝手に俺に何かを背負わせるな。この程度のこと俺からしたらなんでもない。日常だ」

 

「それでもだ!それでも俺の前でもうお前に手を汚すことをさせないって決めたんだ!」

 

 静かに二人がにらみ合った後、レインが小さくため息をついた。

 

「仕方ないな。なら、序盤は最初の予定通りやつの邪魔をすることに徹底する。仕留めはせん。だが、お前が途中で負けたり、さっさと殺さないといけないと判断したら遠慮なくやる。それでいいだろ」

 

「・・・・・・わかった。そうなる前に俺があいつをしとめる」

 

 まるで現実かのように殺すというレインともうお前に殺しはさせないというキリトに疑問を抱く。

 だってここはゲームの中なのだ。ゲームの中で人を殺すことができることなど――

 

「・・・・・・っ!」

 

 そこまで考えたシノンの中で一つだけそれが現実となる”ゲーム”が頭の中に浮かんだ。

 ぐるぐると頭の中で今までのレインの言動や行動、キリトの言葉のピースがきれいにはまっていく。

 

「あぁ、シノン、ほったらかしにしてて悪かったな」

 

 いつものようにレインの手がシノンの頭に伸びてきたが、不意打ちだったせいでびくりと肩を震わせてしまった。

 恐怖は皆無だった。むしろレインの知っている手は暖かさがあり、彼がたとえ人を殺したことが本当にあったとしても、それは彼が優しいがゆえの行動だと考えることもなくわかりきったことだと言い切れる。

 ただ他の事に気を取られていて、驚いただけだった。

 にもかからず、レインの手はシノンの頭に触れることなくピタリと止まった。

 一瞬、ほんの一瞬、誰にもわからないだろうほんの少しだけレインがひどく傷ついた顔をしたような気がした。

 

「ちがっ!」

 

「気にするな」

 

 へらりと笑ったレインは静かにその場から立ち去った。

 今度はキリトも止めることができず、ただレインの後姿を見るだけだった。

 

「違う、違うのよ」

 

 もうこの場にいない彼には届かないと分かっていても、言わずにはいられなかった。

 

「ごめん、物騒な話して。君の前で話すような事じゃなかったんだけど、レインには今回の敵の話をしないといけなかったんだ」

 

 申し訳なさそうにするキリトをみて、彼らと自分の間には大きな壁がある気がした。

 だからなんだ。

 彼らが無意識か何か知らないが作っている壁が気に食わない。

 

「構わないわよ。そんなどうでもいいことより他のことを考えてたのよ」

 

 まるで言い訳のように聞こえてしまうかもしれないと思ったが、言う他なかった。

 

「あんた達の会話聞いて、もしかしてあなた達が前にやってたっていうのが、その、あのゲームなんじゃないかったのよ。あなた達がただの馬鹿でお人好しだってことは知ってるし、今更怯えることなんてないわ」

 

 驚きでか目を見開いてこちらを見ているキリトの目をしっかりと見返す。

 そうしなければ、彼がきっと誤解したままだと思ったからだ。

 しばらくした後、キリトはへらりと微笑んだ。

 

「ありがとう」

 

「礼を言われることでもないわよ。そんなことよりそろそろ待機ドームに移動しないと」

 

 立ち上がってさっさと歩き出したシノンだったが、キリトがついてこないので仕方なく振り返った。

 

「なにぼーっとつったてんのよ。さっさと行くわよ」

 

「そうだな」

 

 へらりと笑ったキリトが小走りで隣に並ぶ。

 二人とも無言のまま、エレベーターに乗り込んでからシノンは口を開いた。

 背中に当てられているのは銃口ではなく指先だろう。

 

「あなた達がBoBに持ち込んだ問題と私があなた達と戦う事は別の話よ。だから、私以外に撃たれるなんて許さないから」

 

「わかった。君に会うまで生き残る」

 

「もし、あのバカにも会ったら伝えときなさい。アンタを倒すのはこの私よってね」

 

 その言葉で、シノンもレインという戦士の強さに惹かれている一人であることが分かった。

 何にも負けない彼の強さに憧れる自分と同じなのだ。

 

「会ったら伝えとくけど、先にレインを倒すのは俺だぞ」

 

「私はあんたも倒してレインも倒すんだからそんなこと知らないわよ」

 

「じゃあレイン倒すためにもシノンには負けられないな」

 

「おとなしく私に負けて私がレインに勝つところを見ていればいいのよ」

 

 一人の剣士と一人のスナイパーの口論が繰り広げられながらも、着々とその時は近づいていた。




いやぁ!!!
おそくなって本当に申し訳ないです!!!


投稿しましたけど
まだ書き終わっていません!!
SAOの原作とかぶるところはがっつりはぶきまくっているのでさらさら~と進んでいるせいで
わかりにくいところがあったりしたら申し訳ないです!

SAOを読んでいない方にはかなり優しくないものになってしまっていますね(汗

二次創作、しかも原作沿いのクロスオーバーなんてそんなもんだ!!
ってなノリでやらせていただいてます。



つぎ・・・・・・・次はいつになりますかね・・・・

今年中には終わらせたいなぁ!!!



最後になりましたが、こんなぐだぐな感じでありながらも
読んでくださっている皆様方、評価してして下さった方々、ありがとうございます!

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