バンドリ!〜輝く星と白い球〜   作:VOSE

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どうも、VOSEです。
今回も3600字程度の短い文ですがよろしくお願いします。
では、本編どうぞ!


3期3話〜諦めない気持ち〜

…六花ちゃんがRASを不合格にされたことは、匠から聞かされた。

俺としては、あんなに大々的に言っておいて結局落とすなんてのは、ものすごく腹立たしいことではあるが…

匠は今回の六花ちゃんの件に関しては、俺以外には誰にも話していないという。

匠なりの気遣いだろう。

俺は香澄達に言おうかどうか迷ったが、それこそ香澄達が逆に心配しすぎてガールズバンドチャレンジに集中出来なかったらどうしようもないと思い、今回は伏せておくことにした。まぁ、おそらくいつかは香澄達の耳に届くからね。

俺はとりあえず、その日はいつものように匠やピッチャー陣、キャッチャー陣を連れて投球練習を行うことにした。

 

流星「しかし、あのチュチュってやつ、スカウトしておいて結局落とすなんてな…」

 

俺と匠は練習の合間の休憩中で、六花ちゃんのことについて話した。

 

匠「まぁ、そのRASってバンドには合わなかったことじゃないか?俺のロックはすごいからな!」

流星「それならいいんだけど…」

 

俺はとりあえずはぁとため息を吐きながら、練習に戻るべく、ポジションについた。

この日の匠は、球速は変わらないものの、変化球のキレや球のノビがいつもより良くなかった。

匠はさっきの休憩中もけろっとしていたが、あいつも六花ちゃんのことが心配なんだろう…

 

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…その日の放課後、俺は香澄達に呼ばれて蔵に来ていた。

今回のガールズバンドチャレンジで出す新曲についてだった。

 

流星「よぉ、来たぜ」

香澄「あ、りゅう君!」

 

俺が蔵にくると、香澄たちがノートとにらめっこしていた。

そのノートを見ると、『step×step』という曲名が書かれていた。

 

流星「これが新曲の歌詞か?」

香澄「うん!」

有咲「流星も見てくれないか?」

 

有咲に言われて、俺はその歌詞を見た。

それを見た俺は、直感であることに気が付いた。

 

流星「…これ、六花ちゃんのこと言ってないか?」

 

歌詞に出てくる『ロック』という言葉が、六花ちゃんのあだ名のことを指している感じだった。

 

沙綾「あ、気が付いた?」

流星「まぁ、これも直感なんだが…なんでこんな歌詞に?」

りみ「実はね…」

 

香澄たち曰く、六花ちゃんはバンドをやりたいと願っているのだが、何かでためらっている様子であり、自分に素直になれない様子であるというのだ。

 

流星「…なるほど…それで、六花ちゃんに向けての応援ソングという位置づけか…」

有咲「そういうこと、これでとりあえず作曲していくという感じだな」

りみ「それで考えているのはね、みんなで足踏みしながらやろうかなって」

流星「それライブでか?ということは…沙綾はどうすんの?」

沙綾「私はスネアドラムで立ちながらやろうかなっておもってるよ。有咲は手持ちのキーボードにするよ」

流星「マジで!?お金は…もしやだけど…」

有咲「あぁ…うちの千曲川を…」

 

そういった有咲の目がかなりうるんでいた。

 

流星「マジか…」

有咲「でも…ロックのために…今回は犠牲にする…」

流星「…そこまで本気か…」

 

俺は今回のポピパの本気に、六花ちゃんの心のつっかりがなくなることを願った…

 

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…一方、その頃、『Galaxy』にて…

 

六花「…はぁ…どうしたらええやろ…」

 

六花ちゃんがステージを清掃中にずっとため息しながらボソッとつぶやいていた。

 

匠「…ロック、大丈夫か?」

 

見かねた匠が六花ちゃんのもとへ向かった。

 

六花「ふぇ!?匠君!?う、うん、大丈夫だよ…」

匠「どう見えても大丈夫じゃねぇな…」

 

匠はそういうと、ステージから観客のほうへ見た。

 

匠「…ここからの景色、こんなんになってんだな!」

六花「うん。でも匠君って上ったことなかったっけ?」

匠「ん?そうだったか?」

六花「そうやろ!だって、ここの手伝いよくしてくれているから!」

匠「あはは…でも、ここでライブができたら、お客はどんな顔するんだろうな!」

六花「うん…」

匠「…ロックが好きなポピパは、いったいどんな景色見てるんだろうな」

 

匠の言葉に、六花ちゃんは少しどきりとした。

 

六花「た、匠君?」

匠「六花は、バンドやりたいんだよな?」

六花「…うん…でも…」

匠「RASは確か、ポピパを目の敵にしているだったな!でも、それがなんだ!」

六花「え!?」

 

匠の一言に、六花ちゃんは驚きの表情を見せた。

 

匠「好きなバンドの敵に回ることはそら気が引けるかもしれねぇし、俺だっていやな気持ちがある。でも、こうやって仲良くしてくれているからこそ、ポピパの皆さんも、ロックが全力で楽しんでほしいと思ってるはず!」

六花「そうなんかな…」

匠「俺は少なくともそう思ってるさ!それに、俺はロックの彼氏であり、お前のファンだ!たとえ何言われても俺はロックを応援するさ!」

六花「は、恥ずかしいよ~、匠君!」

匠「でも、それはポピパの皆さんもそう思ってるんじゃないか?」

六花「そうかな…そう思ってくれたら嬉しいんやけど…」

 

六花ちゃんはそう言いつつも、少し明るさを取り戻し、匠と共にステージの掃除を行ったのだった…

 

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…そしてライブ当日…

この日はお客さんがわんさかとやってきていた。

もちろん俺も観客の1人として見に来ており、明日香ちゃんと同じ席で香澄達を見ることにした。

 

流星「しかし、明日香ちゃんも見に来るなんてね…てっきり興味がないものかと…」

明日香「まぁ、お姉ちゃんが出てるし、見てもいいかなって思ったので…」

 

と、ライブの様子を見ていたところへ…

 

六花「明日香ちゃん、お待たせ」

匠「先輩、お疲れっす!」

 

一仕事を終えた六花ちゃんと匠がやって来た。

 

六花「そろそろポピパさんやるんやね〜」

流星「そうだな。今日がガールズバンドチャレンジの初戦だからな。頑張って欲しいところだ」

六花「私もそう思います!」

 

そして六花ちゃんはふと、ステージの方を見ると…

 

六花「…あれ?楽器が…違う?」

 

有咲と沙綾の楽器が違うことに気がついた。

これは、今日のために用意した、香澄達なりのサプライズである。

 

香澄「皆さんこんにちは!」

『Poppin’partyです!』

 

ついに香澄達のライブが始まった。

最初のMCは特に問題なく順調だった。

そして…

 

香澄「では、早速新曲やります!」

 

香澄の一言で、六花ちゃん含め観客の人達が大いに盛り上がった。

六花ちゃんに至っては…

 

六花「新曲!?」

 

と、目をキラキラさせながら言っていた。

 

たえ「この曲は、ポピパの大切な友達を思って作った曲です」

六花「え?」

 

おたえの新曲のあらましを聞いた六花ちゃんは、すぐにキョトンとなった。

 

りみ「何か悩んでいることがあるかもしれないけど、自分の好きな事が出来る様にと思って、作った曲です!」

有咲「今日は5人で歌います!」

沙綾「聞いてください!」

香澄「『step×step』!」

 

こうして、香澄達のサプライズ曲が流れた。

最初のサビの途中まで聞いていた六花ちゃんは、香澄達が作ったこの歌詞に心を打たれ、何か決したのか、髪を結んでいたシュシュを取ってその場から離れた。

 

明日香「ロック?」

流星「…匠、行ってやれ」

匠「言われなくても!」

 

匠は六花ちゃんを追いかけるようにその場を離れた。

六花ちゃんはギターを引っ提げて会場から離れ、匠は何も持たずに六花ちゃんの隣についた。

『Galaxy』から出た2人は、都電の駅へと向かった。

 

六花「匠くん…匠くんの言う通りやった!ポピパさんは…ポピパさんやった!」

匠「だろ!?ポピパの皆さんは、六花のことを思ってくれてるんだ!お前も…その気持ちに応えないとな!」

六花「うん!…きゃぁっ!」

 

六花ちゃんは走ってる途中、転びかけた。

それを匠が手を繋いで引っ張った。

 

匠「大丈夫か!?」

六花「うん!」

 

その後も手を繋いで走った2人だったが、残念ながら都電には間に合わず、これ以上行く手段がなかった。

 

匠「間に合わなかったか…」

六花「そうやね…他に何か…」

 

と悩んでいたその時だ。

 

ますき「…よぉ、ラブラブの2人とも」

 

ますきがバイクに跨っていた。

 

六花「ますきさん!」

 

と、六花ちゃんが言ったその時、匠が六花ちゃんの背中を押した。

 

六花「きゃあっ!た、匠くん!?」

匠「行ってこいよ!待ってるからさ!」

 

匠はそう言うと親指を立てて、満面の笑顔を見せた。

それを見た六花ちゃんは、少しときめいたあと、すぐにキリッと表情を変えてますきのバイクに乗り込んだ。

その後ろ姿を、匠はずっと笑顔で見送った…

 

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…その後、匠から六花ちゃんのRAS入りが認められたと連絡が来た。

匠は自分のことのように六花ちゃんのRAS入りを大いに喜んでいた。

 

流星「…それで、今日は六花ちゃんのとこに行くのか?」

匠「はい!ロックのギターを聞きに行くので!」

流星「了解。んじゃ、とりあえず今度、俺の持ってるギターの本あげるわ。それで少しは勉強しとけ」

匠「ありがとうございます!」

 

匠はとびっきりの笑顔で返事したのだった…

 




いかがでしたでしょうか?
そろそろ書かないといけないと思ってきたので、夜中でなんとか書き上げました…
なので、内容の保障は(いつものように)ありませんのでご了承下さい…
では次回、お会いしましょう!

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