バンドリ!〜輝く星と白い球〜   作:VOSE

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前書きはプロローグで書いてあります。


特別編〜プロVS高校球児!?江戸川橋高校VS琉球ブラックサンダース!・第3話〜

…3回裏は先頭の雄介が倒れ、続く俺と亮一はフォアボールで出塁するも、ピンチに強い敬さんの本気のピッチングによって、浩樹くんはショートゴロ、尚之はレフトフライに倒れてしまった。

その後の4回表…

この回は香輝さんからの攻撃…

 

流星(…頼むよ…雄介…)

 

俺は少しばかり祈るような思いでサインを出したが…

カーン!

…香輝さんは3球目のストレートを思いっきり引っ張った。

 

流星(っ!?これはまずい!)

 

香輝さんも確信したような表情を見せ、追加点が入るホームラン…

…になろうとした時だった。

 

亮一「させねぇよ!」

 

亮一がなんと、壁をよじ登ってキャッチしたのだ。

ホームランキャッチというファインプレーに、江戸川橋高校ナインは一斉に手を上げて拍手した。

香輝さんも驚いた表情を見せ、頭を傾かせた後なくなくベンチへ下がった。

 

蘭「亮一…すごい…」

モカ「さすが亮一〜、未来のプロ候補〜」

ひまり「頭良くて野球できてかっこいいなんて…いいなぁ〜」

レイ「亮一くんって、頭良いの?」

蘭「江戸川橋高校の中でトップクラスなんだって」

ますき「そりゃすげぇや…」

 

続くポールさんはサードゴロ、敬さんはストレートに引っかかってキャッチャーフライに倒れ、4回表が終わった。

4回裏では、道紀くんがレフトフライに倒れるものの…

 

蓮二「フンッ!」

 

ミスター普通の蓮二がレフト線ギリギリを攻めるヒットで、しかも全力疾走によってスリーベースになった。

 

彩「すごーい!蓮二君!やるねー!」

千聖「今のは難しいボールだったけど…よく持っていったわね」

日菜「もー!お兄ちゃん何やってるの!?」

紗夜「日菜、少し落ち着きなさい…」

 

それでも、敬さんのピッチングはすごく、続く良一がサードに打球が飛び、ワンバウンドをしていた事と前進守備のため、バックホームで蓮二が刺されて1アウト、良一も刺されて2アウト、合計3アウトでチェンジとなってしまった。

そして、5回表…

6番のポールさんをフォアボールで出塁させると、7番の桜木さんはバントを決めて1アウト2塁にさせた。

8番の神楽坂さんは空振り三振に切って、続くは…

 

流星(…聖さんか…)

 

侮ってはいけない選手とはいえども、心の中で少し余裕が生まれていた俺は…

 

流星(…ここは引っかけさせる球で。そろそろ疲れてきてるだろうが、ここは我慢してくれ)

 

と、雄介にサインを送った。

俺は早く終わるだろうと、少したかをくくっていた。

しかし、聖さんは俺の思いを見事に打ち砕いた。

初球のドロップカーブを見事にすくい上げた。

ボールはセカンドの上を超え、レフト前に行った。

ポールさんはそれを見て本塁へ猛ダッシュ。

バックホームしたが、ボールは本塁から離れてしまい、ポールさんは滑り込んでホームインした。

 

流星(…やっちまった…)

 

先程の自分に怒りたい気持ちが湧いていた。

これで3-1となってしまった。

さらには新城さんにも打たれてしまい、2アウト2、3塁となったが、光次郎さんはサードフライに打ち取ってチェンジとなった。

 

流星「雄介、お疲れ。今日はここまでだ。ありがとな」

雄介「いいって。俺もいいピッチング出来たと思うよ。引っ張ってありがとな」

流星「俺なんかまだまだだっつうの。さっきちょっと気持ち緩んじまったからな…今日はお前がよく頑張った」

 

そして、ベンチで次に投げるピッチャーを言った。

 

流星「次はカズ!6回から行くぞ!」

一彦「わかった!」

 

一方のスタンドでは…

 

リサ「…雄介君、変わるみたいだね…」

友希那「そうね…」

燐子「今日は…残念でしたね…」

友希那「仕方ないわ。雄介は頑張ったもの。まだまだこれからよ。雄介」

 

友希那さんが雄介に、自分なりに応援の言葉をかけた。

そして、点差を広げたブラックサンダースベンチで敬さんと常盤さんが話をしていた。

 

敬「これで2点差…だけど、なんか物足りないなぁ…」

香輝「プロらしくドーンと行っちゃえばよかったんすけどねぇ…意外としぶといっすね、江戸川橋高校」

敬「なんせ、アンダーの日本代表を6人揃えている。並大抵のチームではないからな…」

香輝「あと、うちの打線が奮起しなきゃですね…」

敬「ただ、次の回は出来ないかもよ…」

 

そんな敬さんの言う通り、ここからしばらくは試合が何も動かなかった。

時々得点圏に行くこともあるが、結局点が入ることがなかった。

動いたのは7回裏の攻撃。

先頭の道紀くんが、敬さんの高めに浮いたナックルを叩いてツーベースヒットとなり、ノーアウト2塁になった。

 

流星(敬さんはピンチに強いタイプ…どうやって打ち崩せるか…)

 

早く攻略したい俺の思いを、あの男が見事に決めてくれた。

続く蓮二はバントを選択して、それをきっちり決めて1アウト3塁。

ここで打席には、良一が入った。

そこで、俺はいつもの、良一のスイッチが入る瞬間を見た。

これで俺はさっきの思いが確信に変わった。

 

敬(…なんだ?この嫌な雰囲気は…)

聖(この子…さっきと何かが違う…)

 

違和感に気づいた敬さんと六道さんだったが、その違和感の正体に気づかぬまま1球目、アウトローのストレートを投げた。

良一はそれを…綺麗にレフト方向へ打った。

打球の勢いはとどまることを知らず、レフトの神山さんはただ見守るしかなかった。

2ランホームラン…これに江戸川橋高校ベンチは騒がずにはいられなかった。

 

流星「あいつ、やったぞ!」

亮一「ナイスすぎりょー!」

蓮二「ナイスホームラン!」

 

まるでサヨナラ勝ちしたかのように、このホームランに俺らは驚き、喜んだ。

 

敬「…今のを引っ張ってホームラン…見事だな…」

聖「確か、さっきの杉浦ってやつも日本代表だったな…下位打線にいるから油断してしまった…」

敬「仕方ないさ…これはお見事、その一言に尽きる」

 

そして、スタンドでは…

 

こころ「良一!すごいホームランだったわよ!やったじゃない!」

はぐみ「すごいすごーい!すごいよ!プロからホームランだよ!」

美咲「今のをホームラン…すごすぎるよ…」

 

良一と一緒にいるハロハピのメンバーが、ジャンプしながら良一のホームランに喜んでいた。

 

香澄「さっきの尚之くんのホームランもすごかったけど、良一くんのホームランもすごーい!」

有咲「良一くんって、練習を人一倍努力してやってるって、流星から聞いたけど…それが花咲いたって感じか?」

沙綾「そうだね…このまま流れに乗って欲しいなぁ」

 

その後、江戸川橋高校の攻撃は連続で凡退となり、チェンジとなった。

そして、この回から登板するのは…

ズドンと大きなキャッチャーミットに収まる音が聞こえる球を投げる、チームのネクストエース、木下匠くんだ。

 

あこ「あ!匠くんだよ!ロック!」

六花「匠くん、ファイト〜!」

 

スタンドの六花ちゃんは、精一杯の声を出して匠を応援した。

そんな応援の力なのか、匠は149キロの球をほうりなげてきた。

149キロのストレートを見たブラックサンダースのメンバーは、思わず士気が下がりそうになっていた。

 

敬「あんな球を投げるのかよ…」

聖「直球もそうだが、スライダー、シュート、スプリットのキレもチームの中では1番だ…用心しなければ…」

 

といいつつも、ブラックサンダースの攻撃は、匠くんの力投の前に、8回は完全にひれ伏してしまった。

スライダーで打ち上げてフライ、シュートで詰まってゴロ、スプリットに振らされて三振、極めつきは直球で押されてしまっている状態だった。

この日の匠くんはどの球も走っていた。

 

敬「いやいやいや…あれは無理だな…スライダーもシュートもスプリットもエグい…」

香輝「おまけにストレートが速くて重い…勝てますか…これ…」

敬「さぁな…」

 

敬さん達はこのまま点が取られないんじゃないかと心配になったが、今は試合に集中しようと、頭を振った。

一方の江戸川橋高校の攻撃は、良一のホームランで勢いに乗りたかったが、こっちも結局敬さんの前に凡退続き、出塁も出来なかった。

 

流星「…これ、決着つくか…?」

尚之「今回は延長はなしだから、9回で勝ち越さなかったら引き分けだ…うちとしては上々だが、やっぱ勝って終わりたいな…」

 

そして、何も試合が動かないまま、9回まで来た。

9回表…この回は香輝さんからの攻撃だったが、香輝さんは5球目のスプリットに手を出してしまい、空振り三振。

続く神山さんは、初球のシュートを詰まらせ、ショートゴロになってしまった。

そして、最後の打席には…

 

敬「よろしくお願いします」

 

…敬さんだ。交代は無し。ここで抑えれば俺ら江戸川橋高校の負けは無くなる場面だ。

 

敬(…ここは集中しよう…琉球ブラックサンダースの面目を保つために!)

流星(おそらく敬さんは気合を入れているな…)

 

俺はここでタイムを入れて、マウンドへ駆け寄った。

そのタイミングで、俺は内野のみならず、外野も呼んだ。

 

匠「どうしたんですか?秋山先輩」

流星「いや、お前らに少し、謝りたくて…」

尚之「どういうことだ?」

流星「…この打席、匠にはストレート一本でお願いしたい」

亮一「マジで!?相手プロだぞ!?」

流星「でもな…敬さんは、この打席に強い想いで立っている。ならば、俺はそれに応えたい。匠には、辛いピッチングになるだろうし、守備には思いっきり動いてもらうかもしれない…それでも、この打席だけは…ストレート一本で行かせて欲しい」

蓮二「…わかった」

浩樹「秋山先輩が言うのなら、僕はそれに従いますよ」

匠「その通りだ!秋山先輩!俺のストレート、受け止めてくださいね!」

 

俺のわがままに、メンバー全員が覚悟を決めて頷いてくれた。

 

流星「…これが、この試合を決める重要な打席だ。ホームラン打たれる覚悟で行くぞ!」

『オイ!』

 

俺が最後の戦いに向けて声をかけ、気合を入れ直した。

 

流星(…匠…いいな…)

匠(OKです…秋山先輩!)

 

そんな俺の様子の変化に、香澄は敏感に反応した。

 

香澄「…りゅうくん、なんか変わった?」

 

そして、敬さんに投げた1球目…インハイのストレート。これは外れてボール。

 

敬(おっと、グイグイ来るね…)

 

2球目はインコース真ん中のストレート。これは中に入ってストライク。

 

敬(…2球連続ストレートか…もしかするとな…)

 

3球目はアウトローのストレート。これも入ってストライク。

 

敬(…ストレート勝負か…なら…)

流星(次が…勝負!)

 

そして4球目…高めの、匠の渾身のストレートが来た。

 

カーン!!!!

 

…木製バットの気持ちのいい音が聞こえた。

敬さんは確信歩きをした。

これは打った瞬間、わかる当たりだった。

 

流星(…やっぱすげぇや、敬さん…)

 

俺は思わず脱帽したのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…試合は4-3で、琉球ブラックサンダースの勝ちだ。

お互いに悔いのない試合だったため、最後の挨拶はとても清々しかった。

そして、俺ら江戸川橋高校ナインは、琉球ブラックサンダースの選手にサインや写真を撮ってもらったりして、試合後も有意義に過ごした。

そこへ…

 

香澄「りゅうく〜ん!負けちゃったよ〜!」

 

香澄が泣きながら走ってきて抱きついてきた。

 

有咲「お前が負けたわけじゃねぇだろ!ったく…流星は残念だったな…負けちまって…」

流星「悔いはないよ。練習試合だし、さすがプロってことだよ」

りみ「そうだね。特に紗夜先輩、日菜先輩のお兄さんがすごかったよ〜」

沙綾「あんなホームラン見せられたらね…」

たえ「本当にすごかった」

 

ポピパのみんなと合流して、今日の試合について話していると…

 

敬「…流星くん、今日はおつかれ様」

 

紗夜さんと日菜さんを連れた敬さんがやってきた。

 

流星「敬さん、今日は本当にありがとうございました」

敬「いいって。今日は楽しい一日になったよ。君とは、今度はプロの世界で戦いたくなったよ」

流星「そう言ってもらえると光栄です。プロで戦えるように、努力します」

敬「あぁ、待ってるよ、流星くん」

 

こうして、俺は敬さんとプロの世界で戦うことを約束して、プロチーム対高校野球部の試合は幕を閉じた…

ちなみに、敬さんに俺とポピパ全員が付き合っていることを話すと…

 

敬「…お前、たらしだろ…」

 

と、いつものツッコミをぶちかまされただった…

 




いかがでしたでしょうか?
元はD-generation SさんとのTwitterでの絡みをきっかけに書いてみました。
こんな感じで良かったのだろうかと、毎度の緊張が拭えなかったのですが、D-generation Sさんに喜んでもらえたので良かったです…
今回のD-generation Sさんの作品『双子の兄は努力をした天才』と、D-generation Sさんのプロフィールのリンクを下に貼りますので、よろしくお願いします。
では次回、お会いしましょう!
『双子の兄は努力をした天才』↓
(引退より削除されました)
D-generation Sさんのプロフィール↓
(引退より削除しました)

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