バンドリ!〜輝く星と白い球〜   作:VOSE

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前書きはプロローグで書いてあります


特別編〜プロVS高校球児!?江戸川橋高校VS琉球ブラックサンダース!・第1話〜

…敬さん達と会ってから数ヶ月後…

 

『琉球ブラックサンダースと練習試合!?』

 

俺ら江戸川橋高校ナインは監督からの発言に度肝を抜かされていた。

 

上島「なんでも、NPBと高野連の合同企画で、これからの野球の発展のためにプロチームと注目の高校で練習試合をやってみないかという申し出があってだな…今はオフシーズンだが、今回のためにプロチームの琉球ブラックサンダースも準備してくれているし、やらざるを得なく…」

流星「でも、なんで俺らが!?」

上島「中村さんの推薦だそうだ。秋山や坂口ら、日本代表経験者を6人も揃えているチームなら、いい試合してくれるだろうと」

 

この時、思わず中村さぁぁぁん!と心の中で叫んだ俺であったが、こうなった以上は覚悟を決めてやろうと思った。

 

流星「…お前ら、相手はプロのチームだが、恐れることはない!俺らは俺らの野球を突き進むのみ!相手が誰だろうと関係ない!これまでと同じ気持ちで戦っていくぞ!」

『おぉー!』

 

一方、琉球ブラックサンダースの本拠地、沖縄にて…

 

『高校の野球部と練習試合!?』

 

ロジャー「YES!今回はプロのチームと高校の野球部で練習試合をして、野球の活性化を促そうと企画したそうなのダ!」

敬「それで…どこの高校と対決するんですか?」

ロジャー「東京にある江戸川橋高校ってところダネ。甲子園には1回しか行っていないものの、注目度が高いチームで、日本代表を6人出したことでも有名になったところダ。早速だが、ビデオがあるから見てもらうとイイ」

 

というわけで、敬さん達はスタッフが用意してくれたビデオを見ることにした。

 

「さて、ここからはコーチである俺が、今度の試合で脅威になるあろう選手の特徴を言っておくよ。まずは…この子だな。キャッチャーの秋山流星君」

敬「秋山流星!?」

 

コーチの言葉に、敬さんは小声で叫んだ。

周りには聞こえないように言ったが、たまたま秋山流星を知っている奴が隣で、その人がその小声に反応した。

 

香輝「秋山流星って…前に東京で会った…」

敬「あぁ…」

 

2人は少し落ち着いてコーチの話を聞くことにした。

 

「おそらく、このチームの中で精神的支柱となっているのが、この秋山流星くん。江戸川橋高校野球部のキャプテンで、キャッチャーとしての実績は申し分ない。おそらくうちのどのキャッチャーよりも優れている」

???「それは買いかぶりすぎではないだろうか?」

 

コーチの言葉に反論したのは女子ながらキャッチャーという激務をこなす六道聖さんだ。

 

「いや、買いかぶりではない。彼は捕逸がほぼ0に等しく、盗塁阻止率は8割を超える。打撃は基本的には当てに行くタイプで、足が速いのが特徴。盗塁成功率は6割以上。キャッチャーを鼓舞させる力を持っていて、これらの能力の高さから、2年連続でアンダーの日本代表に選ばれている、一番最初にして最強の敵だ」

敬「そのアンダーの成績はどうなんですか?」

「それ、話した方がいい…?」

聖「どういうことだ?話した方がいいに決まっているだろう」

「…アンダーにおける成績が、通算打率が5割越え…」

『…え?』

 

コーチから放たれたその成績に、ブラックサンダースのメンバー全員が静まり返った。

 

敬「アンダーで打率5割超えてるって…マジかよ…」

「さらに守備では、捕逸記録はいまだに0、盗塁阻止率は驚異の10割、足では盗塁成功率8割と…」

聖「…さっきの言葉を撤回する。これはかなり脅威になりそうだ…」

香輝「…敬さん…まさかの化け物と会ってたんですか…俺ら…」

敬「らしいな…でも、なんか余計に戦いたくなるんだよな…」

 

敬さんはそう言って、ビデオの中で映っている俺を見つめていた。

 

「次に怖いのは…ピッチャーの木村巧君。彼はマックスで149キロを曲げる剛速球ピッチャーで、変化球もかなり曲がる、厄介なピッチャーだ。今年の世界大会にもにも選ばれていて、防御率が0.15と…」

???「…本当に高校生チームなのか…?」

 

思わず声を震わせて言ったのは、左腕の小池さんだ。

 

「今回、江戸川橋高校を推薦したのは、アンダーの監督を務めている中村修二さんだからね。しかも強く推薦したくらいだから…」

敬「そうなのか…こりゃ、楽しくなってきそうだな…」

 

敬さんはそう言って、にやりと笑ったのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…そして来たる試合当日…

オフシーズンながら、大々的に宣伝された上に休日のため、今回用意した球場の観客席は満席となっていた。

その中にはもちろん…

 

香澄「…うん!りゅうくんを応援する準備は出来た!」

 

…いつものように香澄達が応援に来ていた。

今回は香澄達だけでなく、RoseliaやAfterglow、パスパレ、ハロハピのみんながやってきてくれたのだ。

それだけでなく、今回は…

 

ますき「へぇ、こんなところでやるんだ」

レイ「みたいだね」

六花「す、すごいです…」

 

RASのますきさんとレイ、六花ちゃんが来てくれていた。

 

有咲「それにしても、紗夜先輩と日菜先輩にお兄さんがいて、そのお兄さんがプロの野球チームでプレーしてるなんて、驚きました」

紗夜「別に隠していたつもりではありませんが、話す必要はなかったかと…」

日菜「それでも、自慢のおにーちゃんなんだよね〜。かっこいいし、いつもお世話してくれてるし、何より野球をやってる姿がるるるんっ!って来るんだもん!」

香澄「そうなんですね!どんなプレーが見れるのか楽しみだなぁ…」

 

一方、俺ら江戸川橋高校野球部は…

 

雄介「…緊張するなぁ…」

 

ロッカールームで試合の準備をしていた。

雄介はプロとの対決にガチガチになっていた。

 

流星「落ち着け、雄介」

雄介「とは言ってもよぉ…」

蓮二「今回は頑張るしかないな…うん、これしかない」

良一「今僕らができることをやるしかないね」

 

そして、メンバー発表の時…

 

流星「今回も俺と監督で話し合ってスタメンを決めた。今回の試合で勝てると思ったメンバーだ。それじゃ、発表するぞ…」

 

今回のスタメンはこうだ。

1番は毎度、キャッチャーの俺、秋山流星。

2番はライト、阿山亮一。

3番はセカンド、田嶋浩樹。

4番はセンター、川端尚之。

5番はファースト、大竹道紀。

6番はサード、日下蓮二。

7番はショート、杉浦良一。

8番はレフト、佐々木本信。

そして、9番は…

 

流星「…先発は…坂口雄介!お前に頼んだ!」

 

俺は力強く、雄介を指名した。

 

雄介「え…俺?マジ?」

流星「ここ最近は抑えとしても活躍してくれているからな…だけど、今回はお前が適任だと思った。頼む」

雄介「…わかった。やろう!流星!」

 

雄介は武者震いで硬い笑顔だったが、目の奥には闘志が湧いているのが見えた。

そして、試合前に対戦する琉球ブラックサンダースのオーダーもわかった。

ここでおさらいで俺らのオーダーも出しておこう。

 

〜江戸川橋高校・オーダー〜

1番・捕・秋山流星

2番・右・阿山亮一

3番・二・田嶋浩樹

4番・中・川端尚之

5番・一・大竹道紀

6番・三・日下蓮二

7番・遊・杉浦良一

8番・左・佐々木本信

9番・投・坂口雄介

 

〜琉球ブラックサンダース・オーダー〜

1番・中・新城剛

2番・二・阿部光次郎

3番・右・常盤香輝

4番・左・神山孝徳

5番・投・氷川敬

6番・一・C.J.ポール

7番・三・桜木佳輔

8番・遊・神楽坂智哉

9番・捕・六道聖

 

…琉球ブラックサンダースのオーダーはいつも見るような本気のオーダー…

つまり、俺らに対して容赦なく、情けなく、本気でぶつかってくれるというわけだ。

それだけ、日本代表を6人揃えているチームだもん…

今回のオーダーにも5人、日本代表経験者がいるからそれくらいはやるだろう…

今回の試合は練習試合ではあるが、ハンデとして俺ら江戸川橋高校は金属バット、琉球ブラックサンダースは木製バットを使用することになっているが、果たして抑えられるのだろうか…

 

流星「…雄介」

雄介「なんだ?」

 

アップを終えた俺と雄介は、外のブルペンで打ち合わせをした。

 

流星「…今回はささやき戦術は使えない。だから、その分お前の力が試される。行けるな?」

雄介「…今はこの時をただ楽しむよ。やることは変わらんさ」

流星「いい感じに緊張もほぐれたな。んじゃ、行くか」

 

こうして、俺ら江戸川橋高校と、プロリーグの琉球ブラックサンダースとの試合が、始まった…

 

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…一方の香澄達は…

 

香澄「あ!りゅうくんがいる!」

 

と、それぞれ盛り上がっていた。

 

沙綾「りゅ、琉球ブラックサンダースも本気のオーダーだ…」

有咲「ということは…?」

りみ「相手も本気ってこと!?勝てるの!?」

たえ「…勝つ…流星達なら…」

紗夜「そうですね…流星くん達の力ならば、プロ相手でも勝てそうですが…」

日菜「今日のお兄ちゃん、なんかるんってする!」

友希那「先発に雄介…頑張って…」

リサ「そうだね…ここは見守るしかないね…」

蘭「亮一…」

モカ「蘭緊張しすぎ〜」

蘭「だって…プロ相手にちゃんと戦えるか心配だし…」

ひまり「蘭ってば〜、亮一くんのこともうすこし信じてあげたら?」

蘭「し、信じてるって!」

 

…いつものバンドの仲間の間でも、ただならぬ緊張感が漂っていたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…そして…

 

審判「プレイボール!」

 

審判の試合開始の声が聞こえた。

ブラックサンダースの先頭バッターは、メジャー経験を持つ新城さん。

 

流星(下手に攻めたら打たれるからなぁ…まずはストレート…インコースで)

 

俺はサインを送り、インコースに構えた。

雄介はそれを見て腕を思いっきり振ってストレートを投げた。

新城さんはそのストレートをカットして後ろに飛ばした。

 

審判「ファール!」

流星(今のカットしたのか…でも…)

 

思いのほか伸びる直球に、新城さんは驚きを隠せない表情を見せた。

 

流星(…ならば…スロースライダー…行けるな?)

 

俺は低めのスライダーを要求した。

雄介はそれに従って投げた。

低めに若干外れてしまい、これはボールになった。

 

流星(…今度は低めのスプリット…)

 

雄介は俺のサインを見て頷き、低めのスプリットを投げた。

新城さんはそれを思わず振ってしまい、ストライクを取った。

 

流星(これで2ストライク1ボール…なかなかいい球来てるぞ…ならば…)

 

俺はサインを送り、雄介はそれを見て投げた。

高めのストレートの揺すり球。

しかし、ノビがいい雄介のストレートに、新城さんはてんてこ舞いの空振り。

元メジャーリーガー相手に三振を取った俺らは、かなり安堵した。

 

流星「オーケーオーケー!この調子でどんどん投げていけ!俺らなら勝てるぞ!バックも頼むぞ!」

 

俺は大きな声を出して、雄介や守備陣を鼓舞した。

続く2番の阿部光二郎さんには3球目に投げたスプリットを引っ掛けさせて、セカンドゴロにさせた。

そして…

 

香輝「よぉ、久しぶりだな!」

流星「常盤さん、よろしくお願いします」

 

3番、常盤さんの打席になった。

 

流星(…この人は当たったら飛ぶからな…守備は長打警戒。雄介は低め中心で頼む)

 

俺はサインを送って、外野を後ろに下げた。

雄介はうんと頷いて、ポジションに入った。

 

流星(…低めとは言ったが…この人は怖いな…ここで鍵になるのは…)

 

俺は考えを巡らせ、雄介にサインを送った。

1球目はアウトコースのスロースライダー。この球は外に外れてボールになった。

2球目はアウトコースのストレート。常盤さんはこのボールに食らいついたが、カットした。

先ほどの阿部さんといい、常盤さんといい、雄介のストレートに驚きを隠せなかった。

 

流星(今日はいつもより伸びてるからなぁ…ただ、これが何イニングまで持つか…)

 

3球目はインコースにストレートを投げた。これは見逃してストライクになった。

 

流星(…ここで頼む。雄介)

 

そして4球目…低めのスロードロップだ。

遅い球速のドロップカーブに常盤さんは見逃した。

そして…

 

審判「ストラーイク!バッターアウト!」

 

1回表、琉球ブラックサンダースの攻撃は、衝撃の3者連続凡退という結果から、試合が始まったのだった…

 




後書きは3話目に書きます。

『デートチケット』編、見たい?

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