バンドリ!〜輝く星と白い球〜   作:VOSE

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前書きは1話目にて書いております。


特別編〜激突!江戸川橋高校VS静真高校!前編〜

…次の日、俺ら江戸川橋ナインは、今日の試合会場に来ていた。

もちろん、静真高校のみなさんも来ている。

 

康介「みんな!今日は静真高校との練習試合だ!相手の胸を借りるつもりで戦うぞ!」

江戸川橋ナイン全員「はい!」

 

と、入り口で号令をかけていると…

 

???「よぉ!お前らも沼津に来ていたのか!」

康介「!?松崎!?なんでお前がここに!?」

 

超好青年風の男子生徒が俺ら江戸川橋高校の円陣に声をかけた。

彼は、松崎拓人で俺らの先輩。

部活は吹奏楽部に入っており、世界大会で応援歌を流してくれたのもこの人のおかげ。

 

拓人「実は、俺ら吹奏楽部も今日はここでコンサートに招待されててさ。んで、昨日河内から連絡来たから駆けつけたわけ」

康介「そうなんだ…」

 

親友のまさかの登場に、康介先輩は驚きと安堵の様子を見せた。

 

拓人「それでさ、今日はお前ら味方いないだろ?俺ら今日休暇みたいなもんだから、応援するよ」

俊彦「さすが拓人、わかってんじゃん」

拓人「同じ高校を応援するのは当たり前だろ?」

 

 

そんなわけで俺ら江戸川橋高校のメンバーに応援が付くことになって、心強くなったのであった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…試合前の客席は僕らの予想通り…なのかな?

一塁側の客席が静真高校の生徒だけでなく、浦の星女学院の生徒も見えたのだ。多分…

 

千歌「夜くーん!頑張れー!」

鞠莉「夜!ファイトー!」

ダイヤ「頑張りますのよー!」

 

…Aqoursの皆さんのおかげだろう…

ふと、俺が夜空さんを見ると…汗をかいているような感じをしていた。特に運動した時の汗ではなく、変に緊張している時の汗だ…

その一方でこっちも…

 

香澄「流星くん!頑張って!」

有咲「こっちはちゃんとサポートするから、負けんじゃねぇぞ!」

 

…やはり、知り合いの女子に応援されるのは少々緊張する…

それに加えて…

 

拓人「今日は思いっきり応援するぞ!」

吹奏楽部の皆さん「おぉー!」

 

…こっちは応援歌付きなんだよなぁ…

まぁ、これほど心強い味方はいないから、よしとするけどね。

今日のスターティングメンバーは以下の通り

 

〜江戸川橋高校〜

1番・キャッチャー・秋山流星

2番・ショート・河内柳哉

3番・サード・日下蓮二

4番・センター・川端尚之

5番・セカンド・須藤拓也…もとい須藤麻里弥

6番・ファースト・阿山亮一

7番・ライト・東俊彦

8番・レフト・島川茂重

9番・ピッチャー・山内一彦

 

〜静真高校〜

1番・ショート・倉本和希

2番・セカンド・小宮涼真

3番・センター・伊藤純

4番・キャッチャー・寺田守

5番・ファースト・望月夜空

6番・サード・田島聡

7番・レフト・日向咲也

8番・ピッチャー・大槻拓海

9番・ライト・平林雄介

 

僕らのオーダーは、雄介が先発でないこと以外はいつもと同じメンバー。

夜空さん達静真高校も、僕らが予想していたメンバーとほぼ同じ。

ということは…どちらもガチで戦うということだ。

 

康介「お前ら、今日も頼むぞ!」

江戸川橋ナイン「はい!」

上島「いつものように、気を楽に、体は真剣に頼むな」

亮一「いや、監督そんなこと言ってないっすよ!?」

上島「そうだったか?」

 

監督と亮一の会話で和んだ俺らは、審判の合図でグラウンドに飛び出した。

 

香澄「頑張ってー!流星くーん!」

沙綾「ファイトー!」

 

と香澄達。

 

千歌「頑張れー!夜くーん!」

花丸「頑張るずらー!」

 

と千歌さん達。

それぞれの応援を受け、江戸川橋高校と静真高校のスタメン全員が出たのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

…今回俺らはビジターなため、先攻でゲームが始まる。

つまり、俺が最初の打席で初っ端からぶつかるというわけだ。

夜空さんはファーストでキャッチボールをしている。

それを見ていたら、その視線に気づいた夜空さんが俺の方を見た。

 

流星(今日は負けませんよ)

夜空(こちらこそ)

 

俺と夜空さんで目でそう言葉を交わした。

そして、俺はバッターボックスの前に立った。

ふと、俺は先発の大槻さんを見た。

ベンチにいる時や、礼をするときにちらっと全員見たのだが、大槻さんはどこか抜けている感じで、とても不思議な人だった。

それが一変して、真剣な目つきになっていた。

 

流星(面白そうなピッチャーだなぁ…楽しませてもらいますよ)

 

俺は審判とキャッチャーに礼をして打席に入った。

 

審判「プレイボール!」

 

その審判の声が聞こえたと同時に、俺は構えた。

大槻さんが1球目を投げた。

最初は無難にストレートから入ってきた。

俺はどんなものかという思いで最初は見逃した。

まぁ、最初だからストライクだけどね。

 

流星(やっぱ速いなぁ…MAX148キロの直球な…)

 

続いて大槻さんが投げた球もストレートだ。

この球はわずかに外れてボール。

 

流星(…次に縦スライダーかな?)

 

そんな俺の考えを、大槻さんはいい意味で打ち崩してくれた。

次に投げたのは…カットボール。

 

流星(カットボールか!)

 

俺はどん詰まりでバットに当てた。

ボールはファウル線を切った。

 

流星「ふうっ…あぶね…」

 

俺は小さくそう呟いた。

俺はふと、ベンチの方を見ると、香澄達が応援しており、その上の観客席で吹奏楽部の人たちが、西武の秋山翔吾選手の応援歌を流してくれていた。

 

流星(…これでどうにか落ち着けるな…)

 

俺はため息を1つついた後、大槻さんを睨んだ。

そして、大槻さんは4球目を投げた。

 

流星(縦スラ!)

 

コーナーに来た縦スライダーを、俺はどうにか食らいついた。

その当たった球は、大きな放物線を描いてライトのグローブに収まった。

 

審判「アウト!」

 

審判のその声が聞こえた俺は、次の打者の河内先輩に耳打ちをした。

 

流星「やっぱり、ストレートが速いですし、ノビがあります。縦のスライダーも落差あるんで気をつけてください。あとはカットボールも厄介なので、それも気をつけて」

柳哉「わかった」

 

といった河内先輩は、縦のスライダーに引っ掛けてアウトにされた…

3番の蓮二も見事に振らされて三振にされた。

 

一彦「流星、行くぞ」

流星「当たり前だ」

 

俺はキャッチャーのマスクをかぶって、グラウンドに出た。

 

香澄「流星くん!頑張って!」

有咲「負けんじゃねぇぞ!」

 

そんな声を背に受けて、俺はポジションに着き一彦の球を受けた。

 

流星(…球は走ってる…問題はなさそうだな…ただ、沼津海星の破壊力が知れないし…)

 

俺は考えを巡らせながらしゃがんだ。

そして、最初のバッターの倉本さんが打席に入った。

 

流星(倉本さんは俊足が売りのスイッチヒッターなんだよなぁ…ランナーに出されたら俺の肩でも防げるかどうか…)

 

俺は一彦にサインで最初のボールを指示した。

一彦はそれにうなづいて初球を投げた。

倉本さんは初球からバットを振ったが、振るタイミングが早かった。

 

審判「ストライーク!」

 

倉本さんは驚いた目をしながら笑っていた。

ここで俺は倉本さんに囁いた。

 

流星「…驚きました?」

和希「あぁ…入る前はそんなに速くない球なのに、入った瞬間、球が速く見えちまう…すげぇノビだな」

流星「そうですか…だったら、打つの難しいですよね?」

和希「さぁな…俺は当ててやるよ」

 

俺はこれでしめたと思い、次の球もストレートを要求した。

2球目のストレートも、倉本さんはバットを振ってストライクを取った。

 

流星(これでストレート一本に絞っただろ…)

 

俺はそう考えて、一彦に次は低めのスプリットを要求した。

一彦はすぐにうなづいて、投げる体制に入り…投げた。

倉本さんはストレートだと思ってバットを振ったが、ストレートとほぼ同じ軌道から落ちるスプリットに振らされ、三振にさせた。

 

審判「ストライーク!バッターアウト!」

 

倉本さんは笑いながら首をひねり、ベンチに戻っていった。

 

流星「ナイスボール!」

 

俺はそう叫んで一彦にボールを返した。

続くバッターはセカンドの小宮さん。

 

流星(…小宮さんはバッティングが上手い…変なとこに投げたら確実に打たれるぞ)

 

俺は一彦にサインで警戒を呼びかけ、続いて投げるボールを指示した。

最初に投げたボールはシンカー。

インコース低めの角ギリギリを攻めたが、判定はボール。

 

流星(見切ったか…ここでまたハッパかけるか…)

 

俺はそう思って小宮さんに声をかけようとしたが、何故だか声をかけられない雰囲気を醸し出していた。

 

流星(…裏があるなこれ…声をかけて逆にこっちがくずれたら元も子もない…ここはちゃんと進めよう…)

 

俺は一彦に2球目をサインで指示した。

続く2球目は、大槻さんの持ち球の1つにあったカットボール。

これを小宮さんはカットしてファウルにさせた。

この時の球は、インコース高めギリギリの球だった。

これを打たれた俺は、若干危機感を感じた。

 

流星(今のをカットするか…となると、アウトコースも危ないな…)

 

俺はそう思いながら、次の投げる球を指示した。

3球目は低めのストレート。

これも1球目同様にわずかに外れてボール。

 

流星(2ボール1ストライク…次入れないと厳しくなるぞ)

 

と、俺は一彦に警戒を示したのだが…

4球目のストレートは高く浮いてボール。

5球目のスプリットも引っかかって低めに入ってボール。

これでフォアボールで出塁させてしまった。

 

流星「ここは仕方ない!次、バッター集中!」

 

俺は一彦に声をかけたものの、続く3番の伊藤さんには送りバントで送られ、2アウト2塁となった。

ここで4番、寺田さんがバッターボックスに入ってきた。

 

流星(怖いんだよなぁ…この人に打たれたら勢いづくのも時間の問題…かといって、下手に変化球でかわしても、打たれるのは目に見えてるからな…ここはストレートを見せつつ、要所は変化球で)

 

俺は一彦にサインでさらなる警戒を呼びかけた。

その直後だった…

カキーン!

そんな快音が聞こえた。

寺田さんが打った打球はセカンドの横を通り抜け、ライトの前に落ちた。

ライトは東先輩だったため、強肩でランナーを1塁と3塁で止めたが、それでもやはりピンチには変わりない。

 

流星(2アウト1、3塁…ここで入るのは…)

 

俺がちらっと静真高校のネクストバッターサークルを見ると…夜空さんが打席に入ってくるのが見えた。

 

果南「頑張れー!夜空ー!」

ルビィ「頑張ってー!」

善子「頑張るのよー!ムーン!」

 

…千歌さん達Aqoursの皆さんの応援のボルテージがかなり上がっていた。

 

流星「…ふうっ…」

 

俺はため息を1つ吐き、千歌さん達の声より大きな声でグラウンドにいるみんなに呼びかけた。

 

流星「この回はあと1つ!気合いをいれていくぞぉー!」

 

その声は、観客席に響き渡るほどだった。

そして、一拍置いて…

 

江戸川橋ナイン「おぉー!」

 

一彦を始めとした8人全員が拳を突き上げて雄叫びをあげた。

 

夜空(なるほど…ああやって士気を上げているのか…)

 

夜空さんは感心しながら、打席に入った。

 

流星(頼むぞ…カズ…)

 

俺はそう思いながら、ミットを構えた。

一彦は1球目、ストレートを投げた。

夜空さんはそれを引っ掛けたが、ちょうどセカンドとショートのど真ん中。

一彦はその打球を取れなかったが、すぐに動いていた河内先輩と須藤先輩の華麗な守備でダブルプレーに取った。

 

流星「ふうっ…1回からこれかよ…」

 

俺はそう呟きながらベンチに戻っていった。

そう、これがまだ1回の攻防。

この防戦一方のスタートから、俺らはあと8回戦わないといけないのであった…

 

 




後書きは4話目にて書きます。

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