今回は、ストックでずっと残してた話を放出する回でございます。
なんとか書けた作品でございますので、長い目で見ていただくとありがたいです。
では、本編どうぞ!
Pastel*Pallet編〜自分の夢編・第1話〜
…ある日のこと…
上島「…おーい!みんな集まれー!」
上島監督の声がグラウンドに響いた。
流星「何だ?」
尚之「こんな時に集合かけるなんて…何かあったのか?」
フリーバッティングをしていた俺らは、監督の元へと向かった。
上島「えぇー…今日は、とある雑誌から、今回うちの取材をしたいと来たので、突然で申し訳無いが、インタビューや練習に一緒に参加させてもらいたい」
一彦「珍しいな…こんなとこに来るなんて…」
亮一「なんすかね…」
俺らは一体誰が来るんだろうと話していると…
彩「皆さんこんにちは!まん丸お山に彩を!Pastel*Palletの丸山彩です!」
千聖「同じく、Pastel*Palletの白鷺千聖です。よろしくお願いします」
日菜「氷川日菜です!よろしくお願いしまーす!」
イヴ「若宮イヴです!よろしくお願いします!」
麻弥「大和麻弥です!よろしくお願いします!」
…この時点で俺の体力がゼロになるのが目に見えた…
上島「えー、今回君たちには、『パレットストーリーズ』という雑誌の別冊付録で、地元応援コーナーで記事が組まれているから、今日は全員にインタビューと代表2名に野球部を案内してもらう形にするからな」
ナイン「えぇー!?」
…そりゃみんな驚くもんな…
康介「しかし…なんで急に…」
上島「今回『パレットストーリーズ』が何千部か売れたから、感謝を込めてらしい」
流星「そんなに売れてるんだ…」
上島「それで、今回はうちと羽丘学園で特集が組まれることになったと…」
尚之「と言っても、うちは準決勝敗退ですよ?」
上島「それでもベスト8だ。善戦してる方だろ?」
雄介「なるほど…」
そして、話は野球部を案内する人を決めることに…
亮一「やっぱここは辻上先輩と東先輩じゃないっすか?うちのキャプテンとアイドルですし」
良一「僕もそれがベストだと思う…」
一彦「妥当だな…」
と、周りがそう言い始めた中、俺は嫌な予感がしたのでそろりそろりと部室から出ようとした。
それを見逃さなかったのは…
日菜「…あ!流星くん逃げようとしてる!」
…日菜さんだった…
日菜さんのその一言で、野球部員全員の目が獣の目となり、俺を睨んだのだ。
それに追い打ちをかけるように…
上島「えー…今回、Pastel*Palletさんからの希望で…案内役は流星ともう1人にしてほしいと…」
これが、みんなの目が変わる瞬間だった…
一彦「頼む!流星!俺を指名してくれ!」
茂重「俺にしてくれ!頼むから!」
と、面白そうに見てる尚之、怯えてる良一、興味なさそうにしている蓮二などを除いた、彼女なしメンバーからの圧がかなりすごかった。
流星「あ、あはは…」
ただ、俺は察していたところもあったので、とっくに誰にするかは決めていた。
流星「まぁ、ここは…『ミスター・普通』の蓮二にするよ」
俺はそう言って蓮二の方を見た。
蓮二「ん?俺でいいのか?」
流星「下手にどこかうまいやつよりかは、平均的なやつの方がいろんな角度から見れるだろうからね」
蓮二「なるほど…」
かくして、この日の取材は俺と蓮二で案内することになり、他のメンバーは練習しながら取材を受ける形になったのだった…
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…数日後…
出来た記事を見るために、蓮二はパスパレのメンバーがいる事務所に来ていた。
この日、俺は色々と立て込んでいたため、蓮二1人に行かせる羽目になったのだが…
蓮二「…この記事をこうしてもらえませんか?」
編集者「え…?」
千聖「…え?」
編集者の方と、蓮二と一緒に検閲しに来てくれた千聖さんが、蓮二のその一言に素っ頓狂な声を上げたのだ。
蓮二「この部分、取材の内容の主軸となる割にはスペースが狭すぎます。スポーツの話ではここの部分が一番肝になるんです」
編集者「は、はぁ…」
蓮二「それと、羽丘学園の記事も同じですけど、記事の内容が単調すぎではないですか?2つの高校の共通点もそうですが、違いというものをはっきりさせておかないと、見る人はつまらないと思いますよ?」
千聖「…れ、蓮二くん…?」
まさかの蓮二のダメ出しがあり、編集者の方も千聖さんも困惑していた。
編集者は改稿すると言って、この日の打ち合わせは終わった。
千聖「…あの、蓮二くん?」
蓮二「はい、なんでしょう?」
千聖「なんでそんなに詳しいの…」
蓮二「父が新聞社のスポーツ担当の編集長を務めていて、こういう現場を家でよくしているのを見ていたので…」
編集者「え…もしかして、蓮二君って、上の名前日下っていう?」
蓮二「はい、そうですけど…」
編集者「やっぱり!失礼しました!今より手直ししてきます!」
編集者の人はそう言ってすぐに編集室へと向かった。
取り残された蓮二と千聖さんは立ち上がって自動販売機が置いてあるコンコースに来た。
千聖「…どうしたのかしら…」
蓮二「あー…俺の父、そういう界隈では『鬼の編集長』と言われているんですよ…」
千聖「そうなのね…」
蓮二「そういえば、彩さんとかは?」
千聖「今レッスンルームでレッスンしているわよ」
蓮二「それじゃ、そのレッスンルームに案内してもらえますか?お礼をまだ言っていなかったので」
千聖「それはちょっと遠慮したほうがいいかも…」
蓮二「どうしてですか?」
千聖「…ううん、何でもないわ。それじゃ、行きましょう」
千聖さんに案内されて、レッスンルームへ向かった蓮二は、千聖さんが言った意味が分かった。
蓮二「失礼しまーす…?」
蓮二が中に入ると、レッスンルームの端っこで黒いオーラを醸し出して落ち込んでいる彩さんがちょこんといた。
イヴ「あ、蓮二さん!こんにちは!」
蓮二「お、おう…イヴちゃん…あの…彩さん、どう
したんですか?」
麻弥「こんにちはッス。彩さん、ちょっと落ち込んでいて…」
蓮二「いや、落ち込み具合がひどくないですか!?」
蓮二が麻弥さんから聞くと、彩さんが憧れているあゆみさんという人が所属している『Marmalade』というアイドルグループが解散するということを聞いて落ち込んでいるという。
蓮二はそれを聞いて携帯でその『Marmalade あゆみ』を調べてみると、そのあゆみさんという人は、グループの中ではお笑い担当的な立ち位置だが、まじめで努力家という一面を持っており、座右の銘が『努力すれば夢は叶う』だった。
麻弥さん曰く、彩さんにとってあゆみさんは自分に勇気を与えた人で、自分の原点となる人なのだという。
蓮二「…それで、1か月後のライブで、『Marmalade』は解散すると…」
彩「ううっ…そうなんだよ…」
彩さんを慰めるために近くに寄った蓮二は、自分にも同じような節があり…
蓮二「…わかりますよ…そのつらい気持ち…」
彩「…うん…ま、まぁ、気にしないで」
そういった彩さんの顔は暗かった。
蓮二はそのあと、千聖さんに無理を承知でこの後のレッスンの見学をしてもらった。
レッスンルームの外から中を見る形になったが、蓮二は彩さんの様子を見て、少しこぶしを握ったのだった…
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レッスンの休憩中…
蓮二は先ほどの編集者から、手直しした雑誌の記事にダメ出しをした後、レッスンルームへと向かおうとすると…
彩「…確かに今、解散がショックな気持ちと…それ以上に心にぽっかり穴が空いたみたいな気持ちなの…」
彩さんの声がしたのだ。
蓮二は角に隠れて、彩さんと麻弥さんの会話を聞き取った。
彩「そのぽっかり空いた穴に、あゆみさんがいたことは確かなんだけど…」
彩さんは、憧れていた人が突然いなくなることに、どうしようもない心のダメージを負っていたのだ。
蓮二「…あの頃と同じだな…」
蓮二はそう小さくつぶやくと…
麻弥「…あれ?蓮二君じゃないっすか」
麻弥さんに見つかってしまった。
今の一言は聞き取れなかったが、静かな廊下にぼそぼそというと聞こえてしまったのが理由らしい。
蓮二「すみません…盗み聞きしてしまって…」
彩「ううん、大丈夫だよ…はぁ…」
蓮二「大丈夫じゃないですね…」
蓮二はそんな彩さんを見ているのがつらくなってきた。
その時、麻弥さんが…
麻弥「それじゃあ、今日この後みんなでお茶でもどうですか?心の穴は埋められないかもしれないけど、少しでも力になりたくて…」
そんな麻弥さんの言葉を聞いた蓮二は…
蓮二「それじゃ、俺もいいですか?そのお茶会に参加しても…」
自分も力になりたいと、そういう一心で手を挙げたのだった…
ちなみに、雑誌の記事はこの時まだ出来上がっていないという…
いかがでしたでしょうか?
後編につきましては(おそらく)明日出す予定なので、興味があれば気長に待っていただくとありがたいです。
では、次回お会いしましょう!