バンドリ!〜輝く星と白い球〜   作:VOSE

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どうも、VVVFです。
特に話す事はございません(リアルで)
とりあえず、読んでもらえたら幸いです。
では、本編どうぞ!


2期8話〜不穏な予感〜

…文化祭の準備が着々と進んできていた頃…

この日は野球部は休みとしていた日のため、俺は久々に蔵に来た。

そこで目の当たりにしたのは…ライブまでに必要なものなどが書かれたリストだった。

 

流星「…これを残り1ヶ月か…キツイなぁ…」

沙綾「でも、これをやらないと…ライブに間に合わない…」

香澄「それで…最初に何をやる?」

りみ「チラシ作りかなぁ?」

沙綾「そうだね…早めに作らないと、みんなが来られなくなるし…」

流星「んじゃ、そのチラシが作り終わったら俺に一部回してくれ。みんなに配るからさ」

 

と話していると…

 

有咲「悪りぃ!遅くなった!」

 

有咲が生徒会の仕事を終えて遅れて蔵に来た。

 

流星「お疲れさん」

有咲「あれ?流星、今日部活は?」

流星「休みだ。だからここにいる」

有咲「なんか、すまねぇな…来てもらって」

流星「いいってもんよ。それより、この後練習だろ?」

香澄「うん!セッティングしよっ!」

沙綾「私はもうちょっと待ってて」

 

と、みんなが乗り気で練習を始めようとしていたが、おたえだけはなんか雰囲気が違っていた。

 

流星「…おたえ、どうした?気分悪いのか?」

 

俺が不安に思っておたえに尋ね、おたえは返事をしたが、その返事は驚くものだった。

 

たえ「…別のバンドに…行きたい…」

 

その一言に、その場にいたみんなが凍りついた。

 

流星「…どういうことだ?」

たえ「…レイ…私の幼馴染がバンドを組んでいて…そのバンドの曲聴かせてもらって…圧倒された…私も…そんな音を出したくて…」

流星「そのバンドに…行きたいと?」

たえ「…ギターが足りないって言ってたから」

りみ「それじゃあ、サポートギターなんだね」

流星「…ふうぅぅぅぅぅぅ…驚かせんなよぉ〜…」

 

俺は思わず足から崩れるようにへたり込んだ。

サポートギターは、メンバーが足りない時に緊急で呼ぶ、いわば助っ人みたいなもの。

 

有咲「全くだって…ポピパ脱退するのかと思ったぜ…」

流星「俺もだ…」

たえ「そのバンドに行って…修行して…主催ライブを絶対に成功させたい…」

流星「…だってさ、香澄」

香澄「うん!私は大賛成!私たちは色々準備とか練習を一杯するから、おたえも修行だよ!」

 

その時の雰囲気は、暗さ一転明るくなったが、沙綾だけは不安そうな顔を覗かせていたのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

次の日…

 

流星「本日は、花咲川女子学園の校庭を借りて公開練習を行う!一同、礼!」

『お願いしまーす!』

 

…俺ら江戸川橋高校野球部は、花女にて公開練習をすることになった。

というのも、羽丘では一足先に公開練習なるものをやり、集客を図ろうとしているのだ。

そうなれば、うちらもやらないことには始まらないのだが…

 

本信「どうせなら、花咲川でやってみたいなぁ…」

 

という、本信の何気ないこの一言によって、野球部一同の花女公開練習という、またとないアピールポイントに駆られ、押された俺は仕方なく上島監督と共に花女の先生にお願いを申し出て、実現したというわけだ…

もちろん、その見学者の中には…

 

香澄「りゅうくーん!」

こころ「流星!笑顔よ!」

 

…と、うるさい外野もいるわけだ…

 

流星「はぁ…とりあえず、最初はランニング!その次にノックに入る!個別練習はその後だ!やるぞ!」

『おぉー!』

 

…異様に士気の高い奴らだな…

ランニングを終え、次にノックに入る頃には、なんだこんなものかと、見学に来ていた女子がいつのまにかいなくなっていた。しかし、これがある意味好都合でもあるわけで…

 

上島「…セカンド!」

浩樹「はい!」

 

いつも以上に野球部のメンバーが輝いていた。

さらには…

 

良一「っ!」

流星「ナイスキャッチ!」

 

あまり守備がいい方ではない良一がファインプレー連発という事を筆頭に、いつもの練習ではありえないほどファインプレーが続出していた。

これには遠ざかっていた女子達も再び練習風景を見学してくれることになった。

しばらくして休憩に入り、俺はゴミを捨てに学校裏へと行くと…

 

沙綾「…あ、流星」

夏希「お久しぶり!流星くん!」

流星「沙綾に夏希ちゃん!」

 

たまたまゴミ捨てにきていた沙綾と夏希ちゃんとバッタリ会った。

ちょうど捨ててきた後らしいが…

 

沙綾「…というか、どうして野球部のユニフォームに?」

流星「公開練習…うちの奴らがここでやりたいと言い出したからな…」

沙綾「ということは、流星のかっこいい姿が見られると…?」

流星「カッコ良くはないだろ」

夏希「そんなことないって!今のその姿だけでもカッコいいよ!」

流星「んまぁそれはいいとして…ちょうどいい。沙綾、少し時間あるか?」

沙綾「え?い、いいけど…」

 

俺はゴミを捨てた後、校舎裏で沙綾と昨日の話をした。

 

流星「…沙綾、昨日、すごく不安がっていたが…どうしたんだ?」

沙綾「え!?そ、そうかな…そう、見えたのかな?」

流星「…おたえが抜けるのが怖いのか?」

沙綾「っ…さすが、流星だね」

 

沙綾は思わず観念したかのように、今の気持ちを率直に言ってくれた。

 

沙綾「…おたえがサポートギターになるって言った時…なんかすれ違いそうで…またみんなが解散しそうで…怖いんだ…」

流星「…まぁ、何度かあったもんな…特に沙綾は…」

沙綾「…私は…今のポピパが好きで…ずっと一緒にやりたいと思ってて…でも、みんながすれ違ったまま解散したら…どうしようって…」

流星「…すれ違ってはねぇよ」

沙綾「…え?」

流星「…香澄だって、有咲だって、りみりんだって…そして、おたえだって、今のポピパが好きだから、より良いものにしたいと頑張ってる。その為のサポートギターなんだろ?元より離れるんだったら、おたえは何も話さずに蔵から去ると思うぜ?そんな度胸、あいつにはないし、そもそもポピパが好きだから…俺や香澄、沙綾達に、修行を積むと言ったんだろ?自分が頑張ってみんなを驚かせて、いいものにしたいと」

沙綾「…」

流星「…もし、おたえが本当にあっち側に行ったなら…俺は間違いなくおたえをぶってる。平手じゃなくてげんこつでだ…でも、あいつはそういう性格じゃねぇ…他の誰よりもポピパを考えてる…だから…沙綾、信じろ」

沙綾「…そうだね。ありがと、流星」

 

沙綾はそう言って、俺の頰にキスをした後、自分のクラスへと戻っていった。

 

流星「…さてと…戻るとすっ…」

 

と、俺が踵を返して練習に戻ろうとした時、ジーッと俺の方を誰かが見つめていた。

…俺のチームメイトだった…

 

麻里弥「…あらあら、流星ちゃんったら、こんなところで…()()()()()()()()()()()

 

その時の須藤先輩の言葉はえげつなかった…

俺は速攻でメンバーに土下座で謝り、校庭へと向かった…

 

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流星「…さぁ、気を取り直して、練習を始めるぞ!」

『おぉー!』

 

…さっきの俺の現場を見てか、彼女なしのメンバーはかなり火がついていた。

俺はピッチャーの投球練習を見るべく、耕太君と悠誠君と共にピッチャーの投球を見ることにした。

もちろん、ピッチャーは花形のポジションであるため、女子の熱い目線が注がれていた。

最初に投げるのは一彦だ。

 

一彦「…ふぅ…」

 

ビュンッ!

バンッ!

 

流星「…スピード上がった?あかりちゃん、球速は?」

あかり「145キロです」

 

無愛想な新人マネージャー、青木あかりちゃんは、いつも通りの無表情で淡々と球速を言った。

 

流星「カズ!お前いつのまにか10キロ上がってんぞ!」

一彦「トレーニングのかいがあるな…」

流星「んじゃ…スプリット!」

一彦「了解!」

 

そんな投球練習を見ていた花女の生徒は…

 

「すごいね…あんなに球を速く投げられるんだ…」

「変化球だっけ?あんなに曲がるんだね!」

 

と、話していた。

一方の野手陣は打撃練習をしていた。

打撃投手はピッチャーをやっていた事がある亮一。

カキーン!

 

亮一「おぉー…」

蓮二「…こんなもんか…亮一!もういっちょ!」

亮一「了解!」

 

柵越え一歩手前のヒットを連発している蓮二の練習を、彩さんはうっとりとした目で見ていた。

 

彩「…蓮二君、すごいなぁ…」

千聖「えぇ、あんなに飛ばせるのはすごいわ」

 

その蓮二の次が良一。

カキーン!

 

亮一「来てるよ!すぎりょー!今のはいい感じ!」

良一「あ、ありがとう!もう1つ!」

亮一「あいよ!」

 

いい笑顔で練習に励んでいる良一の様子を、花音さんは微笑ましく見ていた。

 

花音「良一君もさすがだね」

 

そんな練習風景は花女の生徒にとってはかなり新鮮なものに見えたのだった…

 

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…2日後…

俺ら江戸川橋高校ナインはそろそろ迫る文化祭での練習試合に向けて、羽丘にて合同ミーティングを行った。

と言っても、当日の試合の流れや休憩所などの諸設備についての説明であるが…

 

健太「…というわけで、今回の合同ミーティングを終えます。次に会えるのは、グラウンドです。互いに悔いのない試合になるよう、頑張りましょう」

 

健太さんの一言で、合同ミーティングは終わった。

俺は空気を吸おうと、飲み物を買って外へ出ると…

 

健太「…よぉ、大丈夫か?」

流星「あ、健太さん」

 

健太さんも外へ出ていた。

俺と健太さんは、互いに持っている飲み物を飲みながら、文化祭の準備をしている中庭を見つめていた。

 

健太「最近どうだ?香澄ちゃん達とうまくいってるか?」

流星「もちろんですよ。毎度連れ回されてはいますけど…そういう健太さんは?」

健太「こちらも相変わらず。定常運転だよ」

流星「ですよねー…」

健太「…そういや、あこから聞いたんだが、香澄ちゃん達、ライブやるって?」

流星「はい。香澄のいつもの突発的な提案から始めた感じですが…やる事が多いらしくて…」

健太「あこ達もライブをやるときは忙しいって聞いてるぜ?まぁ、雄介君がいるから、俺はあまりそういうの関わった事ないけど…」

流星「たしかに忙しそうにはしてますけど、いい笑顔してますよ」

健太「それなら良かった」

 

そして、俺は健太さんにこう言った。

 

流星「…今年の夏は負けません」

 

そう言って、俺は健太さんの横を通り過ぎたのだった…

 

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…その日の夜…

まさかの彩さん、花音さん、リサさん、つぐみちゃん、モカちゃんの5人による文化祭記念バンドの公開練習が行われたという出来事があって、少し興奮冷めやまぬ中、おたえからこんな連絡が来た。

今サポートで入っているバンド…『RAISE A SUILEN』の最初のライブの日程を伝えられたという…

…文化祭のライブの日と同じなのだ…

 

流星「…嫌な予感しかしないなぁ…」

 

俺はそのメールを見て、軽く拳を握ったのだった。




いかがでしたでしょうか?
色々と感想等あれば、受け付けておりますので何なりと(アンチコメは極力控えてもらえるように…)
では、次回お会いしましょう!

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