誰かが何かを願ったら。 作:イリヤスフィール親衛隊
最後まで書きたいのにやる気がでない……(よくあるパターン。書きたいラストシーンは既に考えてあるんですが、そこまで持っていくのがなかなか……。段々と雑になっていく描写。そして、なにより戦闘シーン書くのが苦手すぎてつらい……。
……文才が欲しいです。
「ハァッ!!!セイッ!!!」
近接では陰陽の夫婦剣を振るい、距離が開けば複数同時に展開した剣弾を放ち牽制をかける。
霊基の経験から導き出されたセオリー通りの戦法。だがしかし、それは熟練者が奮うならばともかく、ついほんの数時間前まで戦いの『た』の字も知らなかった文字通りの初心者が使ったところで、はたして同じように戦績を叩き出せるのか。
答えは否である。
「……その程度ですか?」
特に、相手が超常のそれであれば尚更。死線を経験した歴戦の傑物の前では、付け焼き刃ほど役に立たないものはないというもの。
繰り出す剣撃は尽くいなされ、放つ剣弾もすべて弾かれる。
長身の女性だった。それも知っている相手だ。彼女は
自らの髪である蛇を鎖へと変化させて自在に操る能力での足止めと
そこにサーヴァントとしての単純なステータスを考慮してしまえば、まず確実に一対一でこちらに勝ち目はないだろう。そう、一対一ならば。
蛇の鎖がこちらに向けて放たれる。
「アンサズ!」
しかし、発火のルーンが刻まれ、炎の魔術が鎖を焼き払うように行使された。
「横槍入れて悪いが、やっぱオマエさんにサーヴァント戦は未だ早かったみたいだな」
その言葉に思わず奥歯を噛み締める。悔しいがキャスターの言う通りだ。この体たらくではセイバーの前に立てるようになるまでにどれだけ時間がかかるというのか……。
「まあ、そう思い悩むなや。心配しなくともちゃんと強くなる」
一体どこからそんな自信が湧いてきているのか。笑いかけるキャスターに呆れの視線を向ける。
現れたもう一人のサーヴァントに元ライダーは眉をひそめた。
「ランサー……いいえ、今はキャスターでしたか」
「応。というか、今のランサーはテメェだろうが。間違えんなよな」
「フフッ、そうでしたね。ですが、それにしてはのうのうと出てきたものですね。いくらアナタでも、キャスターになった今の状態で三騎士に敵うとでも?」
不敵に微笑むランサーに、キャスターは余裕の笑みを浮かべたまま言い放つ。
「なにか勘違いしてねぇか?いくらキャスターになったとはいえ、なにも後方支援しかできなくなったわけじゃないんだぜ?」
そう。クーフーリンという英雄はキャスターのクラスになったところで、後方支援しかできない典型的なキャスターに当て嵌まるような存在ではない。
それになぁ……。そこで一度言葉を区切ったキャスターは朱い槍を出現させて構える。
「
喰らっとけや。キャスターがそう言葉を締め括った直後、紅い閃光が迸った。
・・・・・・
・・・
「チッ、仕留めきれなかったか……」
キャスターがやはり悔しげに呟いた。どうやらぎりぎりのところで撤退されてしまったようだ。しかし、あの威力であれば深手くらいは確実に負っているだろう。
投影品の魔槍が、キャスターから供給された莫大な量の魔力に耐えきれず、まるで硝子のように砕け散る。それを見届けたキャスターはこちらへと視線を寄越した。
「まさか、オマエさんにこんな真似ができるとはなぁ……」
「偽物にしちゃあ、まあ、上出来だったんじゃねぇの?なにもないよりいくらかはマシって感じだな」
偽物か……。これは手厳しい。それでいて至極妥当な評価だ。これが本物か同等のものであれば、ランサーをみすみす逃すこともなかっただろう。
宝具の投影。それは強力な手札ではあるが、如何せん精度が足りていないせいか、大幅なランクダウンを経てようやく再現できるかどうかというのが現状のレベルだ。
先程、砕け散った
「言っとくが、宝具の投影を英霊の前でやるのはあんまりオススメできねぇぞ」
英霊の中には自らの武勇の証である宝具に誇りを持っている者の方が多い。そんなものをおいそれと投影されては、誇りに傷をつけられたととられてもおかしくないのだと、キャスターは忠告する。
それならば、キャスター本人はどうなのだろうか。目の前で魔槍を投影されて、気を悪くしてはいないのだろうか。
「オレが?……さあ、どうだろうな」
そう言ってそっぽを向いた。キャスターにしては珍しくも歯切れが悪い。
「少なくとも、そんなことで文句言ってられる状況じゃねぇからなぁ……」
「それより、どうするよ?ランサーのヤロウを追うか?それとも早いとこ大聖杯に向かうか?」
むぅ……。この場合はランサーは放っておいても大丈夫なのだろうか。しかし、今すぐ大聖杯へと向かったところで、現状の自分の戦力では……。
そんな考え事の折り、英霊化により強化された聴覚が微かな音を拾う。金属同士をぶつけ合うような鈍い音だ。
キャスターも気づいたように音のする方向へと目を向ける。
「戦闘音だ。それも、ランサーが逃げていった方角…………そんなに遠くはねぇな……」
ランサーが戦っている。一体誰と?そんなこちらの疑問にキャスターはわからないと首を振る。だが、と視線を合わせたキャスターはニヤリと笑った。
「もしかしたら、もしかするかもしれねぇな。敵の敵は味方ってやつ」
一旦、アニムスフィアの嬢ちゃんのところに戻るぞ。そう言ってキャスターはこちらに背を向けた。
∇∇∇
『……ッ!サーヴァント反応接近!!クラスはランサーだ!気をつけて二人とも!』
「了解。警戒態勢に入ります」
ロマニの通信を受け、立夏の前へと出るようにして大盾を構えるマシュ。
姿を現したのは長身の女性だった。どこか冷たい雰囲気を持ったそのサーヴァントのサーヴァントは、どうしてか血だらけで足取りもおぼつかない。
「これは……また、随分と可愛らしいサーヴァントとマスターですね」
抑揚のない声で呟いたランサーは、黒い大鎌を構える。どうやら戦闘は避けられそうにないらしい。そう判断した立夏がマシュへと視線を送れば、タイミング良く目が合ったマシュが頷いた。
「戦闘に移行します。マスター、指示を」
・・・・・・
・・・
先に動いたのはランサーであった。一瞬で距離を詰め、大鎌を振るう。
「くぅ……ッ!!!」
それを真正面から盾で受け止めたマシュは、その一撃の重みに苦悶の表情を浮かべた。
鎌が振るわれ盾で防ぐ。そんな攻防が繰り返される。ランサーは傷の影響か息も絶え絶えの中だというのに攻撃の手を緩めない。一方のマシュはといえば防戦一辺倒。戦闘に不慣れなマシュには厳しい現状だ。
ランサーの蛇が鎖へと変化し、マシュの足をとった。しまったと思ったのも束の間。バランスを崩されたマシュの横っ腹にランサーの蹴りが叩き込まれた。そして、吹き飛ばされ、廃墟の壁へと背中から打ちつけられる。
「かはっ……ッ!!?」
余りの衝撃に肺から空気が漏れる。次いで、全身に痛みが走り、思わず表情を歪めた。
「マシュ!?」
立夏が走り寄ってマシュを抱き起こす。ロマニが焦ったように叫ぶ。
『藤丸さん、礼装に回復魔術が登録されてる筈だ!!それをマシュに!!』
「は、はい!」
ロマニの必死さに気圧されながらも、立夏が魔術を行使しようとしたその時。
「……わたしがそんな猶予を与えるとでも?」
ランサーが目の前に立っていた。不味い。そう思って次には振りかざされる大鎌が目に入った。立夏は咄嗟にマシュを庇うように抱き締める。
刃が空を斬る音が鮮明に聞こえた。変わりに通信越しに叫ぶロマニの声が遠ざかっていくような感覚。そして、形容し難いほどの痛みと、死が………………訪れることはなかった。
立夏はおそるおそるゆっくりと目を開ける。そこには一人の少年が立っていた。年の頃は立夏やマシュとそう変わらないくらいだろうか。不思議なまでの安堵感に、そんな場違いな考えが浮かんだ。
二人を守るように立ち、交差させた双剣で大鎌を受け止めた少年。
「……追ってきましたか。しつこい男は嫌われますよ?」
そうか。だが、あいにくとそんなことを気にしている暇はなくてな。そう言って少年は大鎌を押し返すように弾く。
そこに見計らったかのように炎の塊が撃ち込まれ、ランサーは大きく後退せざるを得ない。そして、少年の隣に降り立った朱い槍を担いだフードの男。
「さぁて、第二ラウンドといこうや」
アニメ『FirstOrder』風のランサーメドゥーサさん。ただし、性格や口調は『staynight』のライダーさん寄り。
『第六話を四行で理解しよう!(理解できるとは言ってない)』
①主人公vsランサー
②必殺の槍と投影宝具
③マシュvsランサー
④ピンチを救う主人公(テンプレ。←イマココ