ソードアートオンライン〜閃光の弟は三刀流⁉︎〜   作:銀時

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第十一話
行ってみよう


最後の戦い

キリトがログアウトして30分

リーファと話がついたのか二人ともログインしてきたが

すぐに飛んでいってしまった

おそらく剣士らしく剣で語るのだろう

そしてキリトとリーファが戻ってきたので皆で作戦会議を始めた

途中でレコンってプレイヤーも加わりもう一度グランドクエストに挑む俺たち

今度こそ、必ずクリアしてやる。だから待っててね姉さん

 

グランドクエストに挑む俺たちだがやはりガーディアンの数が鬱陶しい

倒しても倒しても次々にポップするからキリがない

リーファとレコンも回復魔法でサポートしてくれてる、ユナも歌ってくれてるがこれじゃジリ貧だ

ガーディアンが固まって突っ込んで来たがレコンが飛び出し何やら長いスペルを唱えている

唱え終わったらレコンが光りだし大爆発を起こした

彼奴、自爆魔法を使ったのか

爆発のおかげでゲートが見えた

レコン、お前の男気無駄にしないぜ‼︎

だが、ガーディアンが次々にポップしてきてゲートは塞がれた

そして俺とキリトはガーディアンに剣に貫かれた

「グワァ⁉︎」

かなりのダメージを受けたな

リーファに回復して貰ったがこのままじゃまずいな

だが俺とキリトの周りのガーディアンが次々に消滅していった

なんだと思い周りを見てみると下からケットシーの狙撃手にインプ、ウンディーネのプレイヤー

更にシルフとケットシーの部隊が来ていた

「空にぃー‼︎お待たせ‼︎」

「すみません空さん!遅くなりました」

「空‼︎頑張りなさい‼︎」

「シノン、ユウキ、ラン‼︎」

「スカイ、あの3人は知り合いか?」

「あぁ、俺の頼れる仲間だ‼︎」

彼奴ら……来てくれたのか

「すまない遅くなった」

「ごめんネー人数分の装備揃えるのに時間かかっちゃったんだヨー!」

二人の領主が来てくれたおかげでかなり有利になってきた

さぁ、最後の突撃だ‼︎

すると俺は、ルグルー回廊の時と同じ感覚がした

だがあの時とは違う体に馴染む

「行くぞぉぉぉ‼︎」

俺はまたあの時みたいに水柱を纏ったが

水柱が弾け背中にどんどん集まり、やがて纏っていた水は手裏剣に変形した

「なんだこりゃ⁉︎」

よく分からんがあの時感じた違和感はない。行ける‼︎

「行くぜ‼︎水手裏剣‼︎」

背中の手裏剣を思いっきり投げガーディアンを消滅させた

俺は即座に螺旋丸を作りキリトに近づく

「キリトーー‼︎」

俺はキリトを呼び

「お前の力と俺の力を合わせてあれを突破するぞ!」

「分かった!」

俺の螺旋丸にキリトの影魔法が加わり黒い大きな螺旋丸が出来た

「お兄ちゃん……」

「そー君……」

「「行っけぇぇぇぇ‼︎」」

「「ウォォォォ!」」

俺たちはガーディアンの壁を突き破り、ゲートに到達した

 

 そしてガーディアンの壁を突破し、ゲートまで到達できた。

「やった…」

「なんとかたどり着いたな……」

 だけど、ゲートが開かない。

「どうしてゲートは開かないんだ…?ユイ、調べてくれ!」

キリトはユイにゲート調べるよう指示した。

「パパ、この扉はクエストフラグによってロックされているのではありません。システム管理者権限によるものです」

「ユイ、それはどういうことなんだ!?」

「この扉はプレイヤーには絶対に開けられないってことです!」

「「えっ!!?」」

 そのことに俺たちは驚きを隠せなかった。じゃあ、これはグランドクエストを永遠にクリアできないってことか…これは酷過ぎるぞ

「くそったれが‼︎」

 俺たちの周りにはガーディアンが迫ってきていた。このまま戦ってもいずれ体力は尽き全滅する。どうすれば…。あることを思い出した。

「キリト、世界樹空落ちてきあのカードを使えばなんとかなんねぇか!?」

「そうか、その手があったか。ユイこれを使え!!」

 キリさんがユイにカードを差し出す。

「コードを転写します!」

 ユイの力でゲートがゆっくり開き始めた。

「転送されます!パパ、にぃに手を!」

 ユイに手を貸すと俺たちはゲートの中へ転送された。

 

気がつくと俺たちは通路にいた

原作でも見たことがあるおそらく世界樹の中だ

なら近くに姉さんがいるはずだ

俺は集中して姉さんの居場所を探した

すると頭の中にイメージが見えた

そして鳥籠の中に姉さんが見えた

今いくよ姉さん‼︎

「オイ‼︎スカイ‼︎」

「にぃに⁉︎」

キリトとユイが止めるがすまない

早く、早く姉さんに、姉さんに会いたい

俺はイメージで見た通り進んだ

 

通路から脱出して俺は鳥籠に向かう

もう迷う必要はない

俺は……

「スカイ‼︎」

だがキリトに止められた

「どうしたんだよ急に⁉︎」

「いや……すまん」

「まぁいい、とにかく急ごう」

そして俺とキリトにユイは鳥籠に向かった

 

そして鳥籠に着きキリトとユイは姉さんと再会していた

ここまで見せられると俺は完全に空気だな

「キリト君……彼は?」

「あぁ、彼奴はスカイっていって俺をここまで案内してくれた奴だよ」

キリトが姉さんに俺を紹介していた

「スカイ君……ありがとう」

姉さんは俺だって気付いてないらしい

姉さんに君付けで呼ばれるのはなんか変な感じだな

だが不意に体が重くなりキリトと姉さんが倒れた

ユイに関してはなんか消えかけていた

「パパ、ママ、にぃに気を付けて、何か、良くないものが、」

そしてユイは消えてしまった

姉さんとキリトが苦しそうにもがいている

原作でもあった重力魔法か⁉︎

俺はなんとかスキルの一方通行で余分な重力を反射したからなんとか無事だ

「……須郷」

「この世界では妖精王オベイロン陛下とそう呼べえっ!」

須郷カ動けないキリトを蹴飛ばした

「しかし桐ヶ谷君いや……キリト君と呼んだ方がいいかな?まさか本当にこんなところまで来るとはねぇ。勇敢なのか愚鈍なのか、今はそうやってへばってるんだからあとの方かな、いやぁ驚いたねぇ籠の中にゴキブリが二匹迷い込んでいるとはねぇ!ハハハハハ‼︎」

須郷が勝ち誇った様に笑っていやがる

此奴、調子こきやがって

「それにしても君は何故僕の重力魔法が効かないんだ?」

「テメェに教える気なんてねぇよ。三下風情が調子こきやがって」

「やれやれ、君まで僕のことを……ただのガキに何ができる?しかし君のその目何処かで見た事あるねぇ?忌々しいそのムカつく目は、そうかそうか‼︎いや〜アスナ君、君は随分と弟君に愛されている様だね」

「弟君って……まさか⁉︎」

「そうさ、そこにいるガキこそ君がずっと会いたかった弟君の空君だよ」

ここで俺が空だってばれたか

「オイ、お喋りしてる暇あんのかテメェ?」

「君こそ僕に勝てるとでも?GMであるこの僕に」

「(ヤロウの挑発に乗るな……とにかく此奴を倒せば全て終わる今はあの野郎を倒す事だけ考えろ)」

俺は須郷に殴りかかったが避けられた

「ほれっ」

須郷に殴られた⁉︎バカな反射しねぇだと⁉︎しかもなんだマジで痛ぇ

「効くだろう。君のペインアブソーバを3以下にしたからね。それをのこのこ出てきて君もバカだね」

更に俺は殴られた。くそったれが‼︎

「どうしたガキ?大好きなお姉ちゃん助けに来たんじゃいの?もしかして空君、君自分がなんでも出来るって馬鹿なこと考えてない。たった一人でかっこ良く出てきて哀れで囚われなな姉を助けにくる勇敢な弟。でも君のせいでアスナ君は2年間死を感じながら生きてきたらしいじゃないか?

まさかアスナ君助けたからってチャラにできるとでも思ってるのかよガキ?」

「グハァッ⁉︎」

須郷に顎から蹴られて俺は吹っ飛ばされた

「テメェの言う通り分かってるんだよそんな事」

「空……」

姉さんが涙を溜めてみている

くそったれが、何が救うだこんな無様じゃ駄目だ

「くそったれが、いい気になってんじゃねぇよ‼︎三下ッ‼︎」

俺は須郷を力一杯殴った

「テメェの言う通り、俺は別に姉さん助けてSAO勧めた事をチャラにしようなんて考えてねぇよ‼︎テメェの下らねぇ実験に姉さんを巻き込んでじゃねぇ!」

二回三回須郷を殴ったいくらGMでも流石に効いたろう

だが須郷は笑っていた

そして力一杯俺の鳩尾を殴った

「グハァッ⁉︎」

そして俺は倒れた。なんつー痛さだ

「空ッ⁉︎」

「言ったろう空君ここでは僕は神なんだよ。さて邪魔なガキは起きないし

君たちの魂を改ざんする前に楽しいパーティといこうか⁉︎」

ちくしょうが、痛みで立てねぇ

須郷は鎖を取り出し姉さんに取り付け宙に上げた

途端姉さんが苦しみ始めた

「良い!良いね‼︎やっぱNPCの女じゃその顔は出来ないよね」

ちくしょう動け、俺の体⁉︎

「うーん、いい香りだ。現実のアスナ君の香りを再現するのは苦労したんだよ。病室に解析機まで持ち込んだ努力を評価して欲しいね」

テメェ、マジでいい加減にしろよ。その手で姉さんに触ってんじゃねぇ!

「調子に乗ってんじゃねぇぞ!須郷‼︎」

俺は痛みに耐え何とかたった

「はぁ〜、やれやれ、観客は大人しく……這いつくばっていろぉぉぉ」

須郷が殴りに掛かったが俺は受け止めた

そして須郷の右耳を引き千切り、力一杯殴った

「ヒギャァァァ‼︎」

転がる須郷を蹴飛ばした

「グハァッ⁉︎このクソガキがぁ⁉︎」

須郷は切れて俺に突っ込んでくる

「ッ⁉︎ぐっ⁉︎」

痛みで須郷の攻撃を避けれず俺は倒れた

「空ッ⁉︎」

更に須郷が苛立ちながら俺を何ども何度も踏んづけた

「僕はねぇこういうガキが一番嫌いなんだよね!何の能力も背景も無いくせに口だけは一丁前のガキがねぇ!」

俺は何度も須郷に踏まれる

「やめなさい須郷、これ以上空に手を出さないで⁉︎」

「良かったねぇ空君、君のお姉さんは大の弟想いの優しい姉で、でも君は弟の事を心配できる状況じゃないだろう?」

須郷は姉さんの身体を触り始めた

「須郷‼︎テメェ、いい加減に姉さんから離れろ⁉︎」

「大丈夫だよ空、お姉ちゃんはこんな事で傷つけられたりしないから」

姉さんの言葉に俺は自分の力のなさを呪った

何が救うだこんなんじゃあの時と何も変わらねぇ

「君がどこまでその誇りを保てるか?30分?1時間?それとも丸一日?なるべく長引かせてくれたまえよ。この楽しみを‼︎」

そして須郷は姉さんの服を引き千切り胸が露わになった

俺は何で、ここぞという時に何も出来ないんだよ‼︎

頼む神様、いや死神でもいい、俺にあの野郎を殺す力をくれ‼︎

 

NOside

一方、世界樹のドームの門前でユナは待っていた

幼馴染の帰りを待っていた

「そー君」

ユナは心配だった

自分の幼馴染が無事に帰ってきてくれるかを

「心配いらなわよユナ」

「シノンちゃん?」

シノンがユナの肩を取った

「彼奴なら心配いらないわ、だっていつも私たちを助けてくれたじゃないだから心配いらないわ」

「そうですね、空さんならきっとアスナさんを助け出すに決まってます」

「そうだね、空にぃは僕たちのヒーローだからアスナを助けられるよ」

「ユウキちゃん、ランさん」

ユナは信じている。彼がいつも私たちを助けてくれたヒーローだと

「(そー君、皆そー君の事を信じて待ってるよ。だから必ずアスナさんを助け出してね)」

そしてユナは歌い出した

それは空を応援するかのように

NOsideend

 

何処からか歌が聞こえてくる

声からしてユナだと分かった

でもこの歌聞いたことがある。確かユナが俺と姉さんのために作った歌だった筈だ

でも何で今になってこの歌が⁇

そして微かにユナだけじゃなくシノンにユウキにランの声も聞こえてくる

彼奴らまさか俺のことを⁉︎

そうだよな、まだ終わっちゃいねぇ、失ってもいねぇ……俺の身体はまだ動く、俺の魂は……まだ燃えている

俺は最後の力を振り絞り立ち上がった

「やれやれ、まだ起き上がるかい?懲りないねぇ」

須郷は余裕ぶっていたが俺が力一杯殴り姉さんから離した

そして覚束ない足取りで踏ん張った

「す〜〜〜〜ご〜〜〜〜う〜〜〜〜‼︎‼︎」

俺は最後の力を振り絞り須郷と戦う

 

アスナside

私は今涙が止まらなかった

今私の目の前で戦う男の子に

私が2年間離れ離れになりずっと会いたかった最愛の弟空が私の為に戦っている

ボロボロになっても何度殴られようと空は立ち上がった

嬉しかった。本当に嬉しかった

大好きな弟が私の為に必死になって戦っているのだから

だから負けないで空、お姉ちゃんは応援してるよ

勝ってお姉ちゃんを助けて

アスナsideend

 

キリトside

俺は今非常に悔しい

俺はゲーム世界じゃ俺は最強の勇者でアスナを自分の力で助け出せると思い込んでいた

なのに今は違う。アスナを助けようとしているのは俺じゃなくアスナの弟の空である

彼奴は須郷の手で現実と同じ痛みがあるにも関わらず空は立ち上がっている

今だって足が覚束ない感じてある

俺は最強の勇者なんかじゃない

空の方がよっぽど勇者だ

俺には何の力もないのに

『逃げ出すのか?』

 そうじゃない…現実を認識するんだ。

『屈服するのか?かつて否定したシステムの力に?』

 仕方ないじゃないか…。俺はプレイヤーで奴はゲームマスターなんだ…。

『それはあの戦いを汚す言葉だ。私にシステムを上回る人間の力を知らしめ、未来の可能性を悟らせた、我々の戦いを』

 お前は……

『ソラ君は立ち上がったんでいるんだ。だから君も立ちたまえ、キリト君!』

確かに空は立ち上がっている…。俺が立ち上がらないわけにはいかない!!

だって俺はアスナの彼氏で空の義兄何だからな‼︎

キリトsideend

 

NOside

空はボロボロになりながらも立ち上がった

須郷もかなり苛ついてるようだ

「ふん、面白い。そうだよね、そんな簡単に君は倒されちゃつまんないからねぇ!サービス精神旺盛で助かるよ空君!僕も君にはむかつきぱなしだったんだよ。あの時殴られたたからね、君を殺す前にたっぷりと拳で沈めてやるよクソガキ‼︎」

「ああああああああ‼︎」

「ハァァァァ‼︎」

須郷が空を殴った

だが空は何とか踏ん張り、須郷にアッパーを喰らわした

「チッ⁉︎ひびがねぇぞ小僧‼︎」

須郷が力一杯空を殴った

そのまま空は倒れてしまった

「「空ッ⁉︎」」

キリトとアスナが心配して叫んだ

「よ〜し調子が出てきたよ。ハハッもうちょっと面白くしてあげるよ。今開発中の爆裂魔法を喰らわしてあげるよ。だからもっとやる気出してくれよ‼︎」

そう言い須郷は空目掛けて爆裂魔法を放った

空は倒れていて避けれず直撃してしまった

「いやァァーー⁉︎空ーー⁉︎」

アスナが悲鳴をあげた

今の空はペインアブソーバが殆どない為ダメージが現実の肉体に響く

あれだけの爆発な為下手したら大事には至らないかもしれない

「須郷、貴様ッ貴様ァァァ‼︎」

「須郷、貴方だけは許さない!絶対に許さない‼︎」

キリトとアスナが泣きながら怒っていた

アスナにとっては大切な大好きな弟

キリトにとっては未来の大切な義弟

それが須郷にやられたからだ

「ハハハハハッ‼︎僕に刃向かうからこうなるんだよ!大人しく黙「ズシャッ‼︎」て……ん?」

須郷が不快に見ると煙の中、空が立っていた

そして空の背中から黒い翼のようなものが出てきた

まるでエネルギーのように溢れ出ていた

「どうなってんだよ⁉︎その背中から生えてる……真っ黒な翼は何なんだよ⁉︎」

そのまま空は動揺している須郷の顔を握り潰すかのように掴んだ

「こ…このガキ、一体何の力で⁉︎」

さっきまでフラフラだった空からは信じられない位の力に須郷は驚きを隠せなかった

そんな須郷は皮肉ったらしく空に

「後ろ……気づいてんのかよ、化け物⁉︎」

「ihbf殺wq」

空からは言語不明な言葉が発せられた

そして空から生えてる黒い翼は竜巻のように回転して須郷に直撃した

あまりの衝撃に須郷は避けられなかった

「ヒギャァァァ⁉︎」

須郷が悲鳴をあげたが翼は止まることなく回転していた

やがて空から生えてる黒い翼は消え空も糸が切れたように倒れた

「空ッ‼︎」

アスナはいの一番に駆けつけたいが鎖に繋がれている為身動き取れない

だがまだ最悪は終わらなかった

あれだけの攻撃を食らった須郷が起き上がり倒れた空に近づいている

「この……クソガキがぁ」

ボロボロになった須郷は剣を握り空に向けていた

「今すぐ貴様を殺してやる。あばよ、クソガキ‼︎」

「空ーー⁉︎逃げて……お願い、もうやめて……」

アスナが涙ぐみながら須郷にいった

だが今の須郷はかなり切れていて周りが見えていない

「死ねぇぇぇぇ‼︎」

「いやっーーー⁉︎」

空に剣が当たる瞬間須郷が握っていた剣が跳ね返った

キリトが須郷の剣を跳ね返したのだ

「キリト君っ⁉︎」

 

キリトside

まずい。早くしないと空が危ない

俺は重い体をなんとか起き上がらせ、立ち上がる。

「こんな魂のない攻撃に……あの世界の刃はもっと重かった……もっと痛かった!!!」

「やれやれ、妙なバグが残っているなぁ!!」

 須郷がこっちに向かってきて、俺を殴ろうとするがそれを掴み取る。

「システムログイン、ID《ヒースクリフ》」

 俺の周りにはメニューウインドウが広がる。

「な、何?何なんだそのIDは!?」

「システムコマンド、管理者権限変更。ID《オベイロン》をレベル1に」

「な、僕より高位のIDだと?ありえない!僕は支配者、創造者だぞ!この世界の王、神!」

 動揺を隠せずにいるようだな。

「そうじゃないだろ。お前は盗んだんだ。世界を、そこの住人を。盗み出した玉座の上で1人踊っていた泥棒の王だ!」

「こ、このガキ…僕に…この僕に向かって!システムコマンド、オブジェクトID《エクスキャリバー》をジェネレート!!」

 須郷が叫んでも何も起きなかった。

「言うことを聞け!ポンコツが!神の…神の命令だぞ!!」

 須郷が叫ぶ中、俺はアスナと目があう

「もう少し待っててくれ。すぐに終わらせるから」

「うん…」

 アスナは俺に軽く笑みを見せて頷く。

「空、良く頑張ったな。後は任せな」

気を失っている空に言った

「システムコマンド!オブジェクトID《エクスキャリバー》をジェネレート!!」

 そう叫ぶと俺の手に黄金の剣《エクスキャリバー》が姿を現す。

「コマンド1つで伝説の武器を召喚か…」

 まさかこの形で実物を手に収めることになるとは…。できれば自分の力で手に入れて、初めて手に持ちたかったな…。

 エクスキャリバーを須郷に投げ渡し、俺は剣床に転がったままの剣の柄頭を強く踏むと、剣は音を立てて、回転しながら垂直に飛び上がった。

落ちてくる剣の柄に向け、右手を横薙ぎに振る。

重い響きと共に、剣が手の中に収まる。

純白の片手剣の刀身を須郷に向け、言った。

「決着を付ける時だ。 泥棒の王と鍍金の勇者の……。 システムコマンド、ペインアブゾーバーをレベルゼロに」

「な……なに……?」

俺の言葉を聞き、須郷は二、三歩、後退く。

「逃げるなよ。 あの男は、どんな場面でも臆したことはなかったぞ。――茅場晶彦は」

「か……かや……」

須郷はその名を聞いた途端、顔を大きく歪めた。

「茅場……ヒースクリフ……アンタか。 またアンタが邪魔をするのか!!」

須郷は金属を引き裂くような声で絶叫した。

「死んだんだろ! くたばったんだろアンタ!! なんで死んでまで僕の邪魔をするんだよ!! アンタはいつもそうだよ……いつもいつも!! いつだって何もかも悟ったような顔しやがって……僕の欲しい物を端から攫って!!」

須郷は更に叫んだ。

「お前みたいなガキに……何が、何が解る!! アイツの下に居るってことが……アイツと競わされるのがどういうことか、お前に解るのかよ!?」

「ああ、解るさ。 俺もあの男に負けて家来になったことがあるからな。――でも、俺はあいつになりたいと思ったことはないぜ。 お前と違ってな」

「ガキが……このガキが……ガキがぁぁああ!!」

須郷は悲鳴と共に地を蹴り、剣を振り下ろしてきた。

俺は一歩踏み込み、その間合いに入り、軽く剣を一薙ぎした。

須郷の頬に剣が掠めた。

「いたッ……」

須郷は頬を抑え、飛び退った。

「――痛い、痛いだと!!??」

この男は二ヵ月に渡り、アスナを鳥籠の中に閉じ込めていた。

アスナの弟である空をボコボコにした

俺はこの男を許さない!!

怒りの炎は更に燃え上がった。

大きく踏み込み、須郷の両の手を斬り飛ばした。

次いで、肩から斜めに切り裂く。

両の手首は高く飛んで、暗闇の中に溶けていった。

澄んだ落下音が響いた。

――だが、足りない、足りるはずがない!!

「アアアァァァアアアッッッ!! 手が……僕の手があああぁぁぁあああ……体があああぁぁぁあああッッッ!!」

須郷は、床にごろごろと転がっている。

「ヒギィィィイイイッッッ!!」

俺は須郷の髪を掴み、持ち上げてから、剣を力任せに薙ぎ払った。

須郷の胴は、振られた剣により真っ二つになった。

下半身は、白い炎に包まれ消滅した。

「グボアアァァアアッッ!!」

上半身だけになった須郷を、左手で持ち上げた。

見開かれた両目からは、涙を流し、口をぱくぱくと開閉させていた。

左手を大きく振って、須郷の上半身を垂直に投げる。

耳障りな絶叫を撒き散らしながら、落ちてくるモノに向かって、剣を真上に突き立てた。

「うおおぉぉおお!!」

俺は全力で剣を撃ち込んだ。

刀身が須郷の右眼から後頭部へ抜け、深々と貫いた。

ペインアブゾーバーをゼロに設定してあるので、凄まじい痛みが襲っているはずだ。

「ギャアアァァァアア!!」

数千の錆び付いたような歯車を回すような、不快なエフェクトの掛かった悲鳴が暗闇に響き渡った。

剣を挟んで左右に分断された右眼から、粘りある白い炎が噴き出し、それがすぐに頭部から上半身に広がり、悲鳴を上げながら消滅していった。

須郷は、燃え尽きるまで途切れることなく叫び続けていた。

静寂が戻ると、左右に剣を払い、アスナを拘束していた鎖を切り落とし俺はアスナの元に駆け寄った。

「信じてた…。ううん、信じてる。これまでも、これからも…君は私のヒーロー…。いつでも助けに来てくれるって…」

「違うんだ…。俺にはなんの力もないんだ…。でも…皆の助けがあったから…アスナを想う気持ちがあったから……。だけど…アスナのヒーローになれるように頑張るよ…。さあ、帰ろう…。すぐに会いに行くから」

「待って……少し空の側にいたいの」

「分かったよアスナ」

俺はアスナをお姫様抱っこして空のところに連れてった

キリトsideend

 

アスナside

キリト君にお姫様抱っこしてもらい私は空を膝枕している

私の為に必死になって戦ってくれた、私の大事な弟

「ごめんね、痛かったよね…辛かったよね、苦しかったよね…ごめんね」

涙が止まらなかった。本当は痛くて苦しかった筈なのに空は私の為にボロボロになっても何度も立ち上がってくれた

「ありがとね空。空は私の大切な自慢の弟だよ」

私がそういうと空は少し笑っていた

本当にありがとう空。現実に帰ったらお姉ちゃんといっぱいお話しようね

そう言って私と空はキリト君からログアウトしてもらった

アスナsideend

 

キリトside

アスナと空をログアウトした俺は

「いるんだろ、ヒースクリフ」

虚空に向かって声をかけた。

すると、闇の中から

「久しいな、キリト君」

静寂を破るように声が響き、白衣を着た一人の男性が現れた。

『もっとも私にとっては―――あの日の事もつい昨日の事のようだがね』

「生きていたのか?」

キリトは男性に短く問う。

男性は微笑を浮かべて

『そうであると言えるし、そうでないとも言える。私は―――『茅場晶彦』という意識のエコー、残像だ』

そう答えた。

キリトは苦笑いで

「相変わらず解かり難い事を言う人だな。とりあえず、礼を言っとくよ」

『礼は不要だ』

キリトの言葉に茅場はそう言って首を振る。

疑問符を浮かべるキリト。

『私と君は、無償の善意が通用する仲ではないだろう。代償は必要だよ、常にね』

「何をしろっていうんだ?」

『では、キリト君。これを―――』

言った直後、暗闇から輝く何かがキリトのもとにゆっくりと落下してきた。

両手を差し出し、受け取ったそれは卵のような円形の結晶だった。

「なんなんだ?」

『世界の種子『ザ・シード』だ。芽吹けばどういうものか解る。その後の判断は君に任せよう。消去し、忘れるもよし――――だが、もし君があの世界に、憎しみ以外の感情を残しているのなら……』

そこで声はいったん途切れ、短い沈黙の後

『―――では、私は行くよ。また会おう、キリト君』

短く素気ない挨拶をして、茅場は闇の中に消えていった。

それを見送った後、キリトは結晶を胸ポケットに収める。

「ユイ、大丈夫か! ユイ!」

キリトは辺りを見回しながら叫んだ。

途端に覆っていた闇は晴れ、辺りにオレンジ色の光が差し込み、さっと風が吹く。

そこは元居た鳥籠。

「ユイ?」

もう一度彼女の名を呼ぶと、目の前の空間に光が凝縮し、ポンっと音を立てて黒髪の少女が出現した。

「パパ!」

勢いよくキリト腕の中に飛び込んで、ユイは彼を呼ぶ。

「無事だったか。よかった」

「はい、パパのナーヴギアのローカルメモリに退避したんです。あの、ママとアスナさんは?」

「大丈夫、2人とも無事さ。先に帰ったよ、現実の世界に」

不安そうなユイに、キリトは微笑んで答える。

途端にユイの表情は明るくなり

「そうですか! よかった……本当に」

目を閉じてキリトの胸に頬を擦りつける。

その姿に微かな寂しさの影をキリトは感じ、彼女の髪をそっと撫でた。

「―――また、すぐに会いにくるよ。でも、どうなるんだろうな……この世界は」

そう呟くと、ユイは顔を上げてにっこりと笑った。

「私のコアプログラムはパパのナーヴギアにあります。いつでも一緒です!」

「そうだな。じゃぁ、俺は行くよ。ママを出迎えに」

「はい! パパ、大好きです!」

涙をうっすらと浮かべ、力いっぱいに抱きつくユイの頭を撫でながら、キリトは右手を振った。

ボタンを押す手を一旦止めて、視線を夕焼けに染まる世界に向けるキリト。

これだけの問題が起こった以上、この世界がどうなるかはわからない。

この旅で出会った、ALOを愛するプレイヤー達を考えるとキリトは胸に痛みを覚える。

が、首を振ってから、ユイの頬に軽く唇をあてて、指を動かす。

ログアウトボタンが押され、キリトの身体が光に包まれていき、視界も真っ白に染まっていった。

ゆっくりと瞼を開くと、視界が少しぼやけている。

何度か瞬きをし、完全に目を開くと視界には心配そうな表情で直葉が覗き込んでいた。

目が合うと、直葉は慌てたようにさっと体を起こし

「ご、ごめんね、勝手に部屋に入って。なかなか戻ってこないから、心配になって……」

頬を僅かに赤く染めて言う直葉に、和人はゆっくりと上体を起こして

「遅くなって、ごめんな」

言いながらナーヴギアを外して笑いかけた。

「……全部、終わったの?」

「―――ああ、終わった。何もかも……」

和人の言葉を聞いて、直葉は笑顔になる。

その表情に、仮想世界で出会ったシルフの少女が重なって

「本当に―――本当にありがとう、スグ。お前がいなかったら、俺、なにも出来なかったよ」

それを聞くと、直葉は小さく首を振り、和人の胸の中に飛び込んできた。

「ううん。私、嬉しかった。お兄ちゃんの世界で、お兄ちゃんの役に立てて」

目を閉じて呟く直葉。

彼女の背に和人はそっと手を回し、優しく微笑む。

手が離れると、直葉は和人を見上げて言った。

「取り戻したんだね。あの人―――アスナさんを」

「ああ、ようやく―――ようやく帰ってきた……スグ、俺……」

「行ってあげて、きっとお兄ちゃんを待ってるよ」

「ごめんな。詳しい事は帰ってきてから話すからな」

言いながら和人は直葉の頭に手を置いて、立ち上がる。

素早く身支度をして、ダウンジャケットを引っ掴んで縁側に立つと、外は既に暗くなっていた。

「寒っ……」

軽く身震いし、奥から引っ張りだした自転車に和人は跨った。

「あ……雪」

見送りに来ていた直葉が空を見上げて呟く。

遥か上空からは、白い小さな結晶が降ってきていた。

「気をつけてね。アスナさんによろしく」

「ああ、今度ちゃんと紹介するよ」

そう言って和人は自転車のペダルを踏み込んだ。

キリトsideend

 

気がつくと俺は部屋にいた

身体を起こそうとすると痛みが走った

俺は確か須郷と戦っていて……そこからはあまり覚えてないが

姉さんが俺のこと自慢の弟だって言っていたのは覚えている

俺は痛みを耐え姉さんが待っている病院に向かった

外は雪が降っていた

「待ってね姉さん。今行くよ」

俺は痛みを振り切って姉さんのいる病院まで走った

病院に着き俺はすぐ姉さんの病室に向かった

中を見ると姉さんと和人さんが泣きながらキスをしていた

どうやら俺はお邪魔虫みたいだな

俺は気付かれないように病室から離れようとしたら病室から

「空、いるんでしょう?」

姉さんから呼ばれた

俺は病室に入ると姉さんが手招きしてきた

姉さんに近づくと優しく抱きしめてくれた

「身体は大丈夫?痛くない⁇」

「大丈夫だよ。姉さん」

「ごめんね、まだ耳がよく聞こえないのでも、空の温もりはちゃんと伝わってくるよ。私の大好きな弟の温もり」

俺は耐えられなかった

姉さんの前では泣かないっつ決めたのに涙が止まらなかった

姉さんの背中に腕を回した

「おかえり……おかえり、お姉ちゃん」

俺は姉さんではなく、お姉ちゃんと言ってしまった

姉さんの胸の中で俺は泣いた

「ただいま、空」

姉さんも涙を流していた

「お前は今まで、よく頑張ったよ。空」

和人さんも俺の頭をなでながら泣いていた




フェアリーダンス編完結
最後は長くなってしまいすみません
次回からは短編+ExtraEdition編をやっていきます

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