東方幻想奇録   作:大栗蟲太郎

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下っ端哨戒天狗
犬走椛
登場


chapter2「ようこそ幻想郷へ!」
飛ばされちまった悲しみに


成三は、フラフラと山の中をさまよい、歩いた。

 

誰か、どこかに集落は、民家はないかと探して歩いた。

 

そして程なくして、声を掛けられた。

 

「貴様、侵入者か!」

 

強い口調で成三に訊ねる少女。

その少女には、尻尾と犬耳があったが、彼にはそんなことは二の次だった。

 

彼女は刀を持っていた。

下手な事を口にすれば切られるかもしれない。

その為、成三は無難な回答でその場をしのぐことにした。

 

「いえ、あの…。エレベーターに乗っていたら突然この山に飛ばされていまして……」

 

正直に、なおかつ簡潔に答えた。

すると少女は少し考えるそぶりを見せた後、こう答えた。

 

「外来人か…。すぐに帰したいところだが、夜は危険だからな…。仕方ない、泊めてやるよ」

 

「えっ、良いんですか!?」

 

予想外の回答に成三は驚きと喜びが綯い交ぜになった声を出す。

 

「ああ、構わない。では、行くぞ」

 

そう言って、少女は家に向かって歩き、成三もそれに続く。

 

それなりに歩いた後、二人は小さな家に着いた。

 

「じゃあ、扉を開けるぞ。狭い家だが気にしないでくれ」

 

「お邪魔します」

 

家に入り、少女は成三を居間に案内した。

 

そして、二人は床に座った。

 

「さて、お前の名前は何だ?」

 

少女は作業が一段落して自己紹介を求めた。

 

「ボクは田口成三って言います。漫画家を目指していました」

 

成三は自己紹介を済ませると、彼女は食いついてきた。

 

「私は犬走椛。漫画家?漫画……鳥獣戯画とかか?」

 

「まぁ、そんな感じですね。絵を描いてセリフ入れて面白い作品を作ってコピーして売る仕事です」

簡単に説明をする。

 

「とりあえず、見せてくれないか?もしかしたら我々で商売にできるかもしれないからな」

 

そう言われて成三は椛に漫画の原稿を手渡して、椛はその漫画をじっくりと読んでいく。

 

「ふむ…。中々の出来だな、明日天魔様にこれをお前が描いた漫画として売りに出してもいいか相談しに行ってみるよ。そしたら居住地も下さるだろう」

 

椛は成三に漫画の原稿を返して言う。

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「まあ、気にするな。その漫画が売れれば我々の収益にもなるからギブアンドテイクだよ」

 

「フフ…。では、よろしくお願いしますね」

 

椛にお辞儀をする。

 

「もちろんさ。では、今日は寝るか。寝室は向こうにあるから出してくれよ」

 

「分かりました!ではお休みなさい」

 

成三は寝室に向かい、毛布を敷いて直ぐに眠りについた。

 

「全く、忙しいヤツだ…」

 

椛は眼下に置いてある彼の持ち物を一瞥すると、「アイツの物か…。片付けておこうか」と呟いた




大幅に遅れました!
その上文字数も少なくて申し訳ない……

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