東方幻想奇録   作:大栗蟲太郎

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第三話

土着神の頂点
八坂神奈子

土着神の頂点
洩矢諏訪子

登場


早苗と成三と守矢神社

翌日、成三は朝食を済ませて守矢神社に向かっていた。

守矢神社は彼の幼馴染の早苗の住む神社で、神様が二柱住んでいる。

その神様の片割れである洩矢諏訪子から、成三は魔法を教えてもらったりもしている。

 

「やっと着いた…」

 

階段を上り、荘厳な造りの神社が見える。

これが守矢神社だ。

 

「おじゃましまーす」

 

成三は声を大きくして来訪の挨拶をする。

すると、特徴的な帽子を被った小さな女の子が奥から歩いてきた。

 

「あ、成三!いらっしゃい!」

 

そう、この少女が先程説明した二柱の片割れ、洩矢諏訪子である。

 

「こんにちは、諏訪子様」

 

「早苗なら今はまだ身だしなみを整えてるから、少し私と話をしてようよ!」

 

「ええ、良いですよ」

 

そう言って、二人は縁側に座った。

 

「成三は魔法の腕はどう?」

 

「上々ですよ。諏訪子様のお陰もあって、どんどん上達していくのが分かりますよ」

 

その言葉を聞いて、諏訪子は嬉しそうな顔を隠せずに

 

「そんな事ないよ~。成三の才能と努力の結果だよ~」

 

と言った。

そして、諏訪子はニヤリとした表情に変わり、耳打ちするように成三にこう、訊ねた。

 

「で、早苗に告白する決意は出来たかい?」

 

そのことを聞いた成三は顔を真っ赤にして、「まだ、です…」とだけ答え、近い内に告白する。と付け加える。

すると諏訪子は面白そうだという顔で、「ヒューッ!さっさと想いを伝えちゃいなよ!」と成三を煽る。

 

そしてますます、成三は顔を赤くして俯いた。

 

諏訪子が成三をからかっていると、背後から彼のよく知っている声が掛かった。

そう、幼馴染の東風谷早苗である。

早苗は成三を中のちゃぶ台に案内すると、お茶を出した。

 

「さて、早苗はどうだい?風祝としては」

 

「ふふん、心配には及ばないわ。問題なくしてるわよ」

自信満々、ドヤ顔で答えた。

 

「ふふ、そうか…。問題ないか……」

成三は嬉しそうに俯きながら笑う。

その様子を不気味に思った早苗は声を掛けた。

 

「ちょっ、成三…。かなり怪しいよ?どうかした?」

 

その言葉で現実に戻された成三は慌てて返答をする。

 

「ああいや、キミが問題ないようで嬉しくて」

 

「ふ~ん…。ま、気に掛けてくれたなら嬉しいわね」

 

「ありがとう」

 

成三が礼を言うと、赤い服を着た女性が部屋に入ってきた。

 

「お、話が盛り上がっていたところかい?」

 

「あ、神奈子さま。こんにちは」

 

そう言われると、神奈子と呼ばれた女性は早苗たちの横に座った。

そう、彼女こそがこの神社に祀られている神の片割れ、八坂神奈子である。

 

「こんにちは、成三。勉強の調子はどうだい?あ、魔法じゃなくて、進路の方だよ」

 

「バッチリですよ。毎日欠かさずやってます」

 

「それなら良かった。最近早苗も頑張ってるからね。何でも成三を見習ってなるべく良い大学に入ろう…って」

 

そう言って早苗の方を見る。

すると、早苗は顔を赤くして反駁した。

 

「神奈子様!?それは言わない約束だったでしょう!?」

 

真っ赤になった早苗を見て、神奈子はさぞ面白そうに笑った。

 

「ハハハ、良いじゃないか。言って何か減るわけでもなし」

 

早苗の反駁を受け流し、笑う神奈子。

その横で成三もクスクス笑っていた。

 

「ちょっと成三!?貴方まで……」

 

「いやあ、悪い悪い。ぷぷぷ…。つい笑っちゃってね……クスクス…」

 

「も~~!」

 

早苗は頬を膨らませた。

 

「ま、勉強頑張って。じゃ、ボクはお守りを買って帰るね」

 

「あ、さようなら!」

 

「毎度あり~」

 

「気を付けて帰るんだよ」

 

3人が早苗、諏訪子、神奈子の順に立ち上がった成三に声を掛ける。

 

成三は手を振り、外に出てお守りを買って守矢神社を後にした


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