土着神の頂点
八坂神奈子
土着神の頂点
洩矢諏訪子
登場
翌日、成三は朝食を済ませて守矢神社に向かっていた。
守矢神社は彼の幼馴染の早苗の住む神社で、神様が二柱住んでいる。
その神様の片割れである洩矢諏訪子から、成三は魔法を教えてもらったりもしている。
「やっと着いた…」
階段を上り、荘厳な造りの神社が見える。
これが守矢神社だ。
「おじゃましまーす」
成三は声を大きくして来訪の挨拶をする。
すると、特徴的な帽子を被った小さな女の子が奥から歩いてきた。
「あ、成三!いらっしゃい!」
そう、この少女が先程説明した二柱の片割れ、洩矢諏訪子である。
「こんにちは、諏訪子様」
「早苗なら今はまだ身だしなみを整えてるから、少し私と話をしてようよ!」
「ええ、良いですよ」
そう言って、二人は縁側に座った。
「成三は魔法の腕はどう?」
「上々ですよ。諏訪子様のお陰もあって、どんどん上達していくのが分かりますよ」
その言葉を聞いて、諏訪子は嬉しそうな顔を隠せずに
「そんな事ないよ~。成三の才能と努力の結果だよ~」
と言った。
そして、諏訪子はニヤリとした表情に変わり、耳打ちするように成三にこう、訊ねた。
「で、早苗に告白する決意は出来たかい?」
そのことを聞いた成三は顔を真っ赤にして、「まだ、です…」とだけ答え、近い内に告白する。と付け加える。
すると諏訪子は面白そうだという顔で、「ヒューッ!さっさと想いを伝えちゃいなよ!」と成三を煽る。
そしてますます、成三は顔を赤くして俯いた。
諏訪子が成三をからかっていると、背後から彼のよく知っている声が掛かった。
そう、幼馴染の東風谷早苗である。
早苗は成三を中のちゃぶ台に案内すると、お茶を出した。
「さて、早苗はどうだい?風祝としては」
「ふふん、心配には及ばないわ。問題なくしてるわよ」
自信満々、ドヤ顔で答えた。
「ふふ、そうか…。問題ないか……」
成三は嬉しそうに俯きながら笑う。
その様子を不気味に思った早苗は声を掛けた。
「ちょっ、成三…。かなり怪しいよ?どうかした?」
その言葉で現実に戻された成三は慌てて返答をする。
「ああいや、キミが問題ないようで嬉しくて」
「ふ~ん…。ま、気に掛けてくれたなら嬉しいわね」
「ありがとう」
成三が礼を言うと、赤い服を着た女性が部屋に入ってきた。
「お、話が盛り上がっていたところかい?」
「あ、神奈子さま。こんにちは」
そう言われると、神奈子と呼ばれた女性は早苗たちの横に座った。
そう、彼女こそがこの神社に祀られている神の片割れ、八坂神奈子である。
「こんにちは、成三。勉強の調子はどうだい?あ、魔法じゃなくて、進路の方だよ」
「バッチリですよ。毎日欠かさずやってます」
「それなら良かった。最近早苗も頑張ってるからね。何でも成三を見習ってなるべく良い大学に入ろう…って」
そう言って早苗の方を見る。
すると、早苗は顔を赤くして反駁した。
「神奈子様!?それは言わない約束だったでしょう!?」
真っ赤になった早苗を見て、神奈子はさぞ面白そうに笑った。
「ハハハ、良いじゃないか。言って何か減るわけでもなし」
早苗の反駁を受け流し、笑う神奈子。
その横で成三もクスクス笑っていた。
「ちょっと成三!?貴方まで……」
「いやあ、悪い悪い。ぷぷぷ…。つい笑っちゃってね……クスクス…」
「も~~!」
早苗は頬を膨らませた。
「ま、勉強頑張って。じゃ、ボクはお守りを買って帰るね」
「あ、さようなら!」
「毎度あり~」
「気を付けて帰るんだよ」
3人が早苗、諏訪子、神奈子の順に立ち上がった成三に声を掛ける。
成三は手を振り、外に出てお守りを買って守矢神社を後にした