木場きゅんに憑依した俺は皆に勘違いされながらも生きていく 作:暁紅
何かいつの間にか300人行きそうでビックリしました。
執筆が久しぶりなので少し書き方変わったかも。
何か今期はアニメ豊作ですね。
特にロクでなし魔術講師の禁忌教典は最強だと思います。どこまでやるかは知りませんが楽しみしてます。
リィエル愛してるぅぅ!!
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食事を高速で終わらせ伸びきった髪を魔剣で切った後、ジャンヌが入れた少しお高めな紅茶を啜る。
「うん......無理だこれ...ガはっ」
「おいおい大丈夫か?」
「だがは!じょうぶふだ」
「一回落ち着け」
前世では全くと言っていいほど紅茶が飲めなかったので、この身体なら飲めると思ったがやはり飲めず、むせた上に口から零れでる。
曹操は手のかかる弟を思い出し苦笑いしながら、新たに緑茶を入れる。
緑茶なら飲めるだろうと差し出し話を続ける。
「ふーふーふー」
「筋肉が戻ったようで何よりだ」
「ふーふーふー」
「早速で悪いが君には私達の仲間に」
「ふーふーふー」
「いつまで冷ましてるんだ!猫舌にも程があるだろ」
「すみません猫舌なもので...ずっ熱!」
曹操は深いため息を付くとかなりめんどくさいヤツを勧誘してるのでは?と思い始める。
周りの皆もそうらしい。
格闘すること数分。
熱も落ち着いたのか緑茶全てを飲み終え、やっと本題に入れる。
「我々が君を助けたのは仲間になってもらいたいからだ」
「仲間?そもそもここの説明もされていないんですが」
「そうだったなすまない」
説明していなかった事にたいして軽く謝罪をすると、どこから取り出したか分からないホワイトボードを使って説明を始める。
やはりここは原作との違いはないみたいだ。
ここは『
それとここにはメインとして出てきた曹操達に加え、まだヴァーリと出会っていないためここにいるアーサー兄妹、原作にはあんまり登場しなかった他の団員達がいる。総勢150人だそうだ。
そんな英雄派の目的はやはり変わっていなく、英雄の子孫だから人外を倒す。
これは原作を見てても思っていたが、
可哀想な人生だな」
「なに?」
しまった声に漏れてた。てか心の声漏れすぎワロタ。
...はぁ......やってしまった物は仕方ない、もうどうにでもなれ!
「君達は英雄の魂を受け継いでいるから人外を倒すだよね」
「あぁそうだ。私達は英雄なのだから」
「それが可哀想なんだよ。だって君達は自分の意思で行動していないからね」
「自分の...意思?」
原作を見てていつも思ってた。
「いつだって人外を殺すのは」とか「俺らは英雄の」だとか全くもって自分の言葉で喋っていない。
何なのさ英雄って言わないと会話できないの?ってレベル。
「君達は英雄である前に1人の人間だ。ならば何かしら夢があるはずだよ」
周りにいる皆を見つめる。
すると、ぽつりぽつりと夢を語り出す。
「私は服屋かな。あんなきらびやかな服作ってみたかった」
「俺は地元のように畑を作りてぇな」
「釣りをしたいな」
どんどん自分の夢を語っていく。
その語る時の表情はどこか楽しげだ。
やっぱり自分の夢あるじゃん。
じゃあ最後に君は?
曹操の方を見つめる。
曹操は何かを言おうと口を開くがすぐに口を閉じる。
木場は曹操が語るまで聞くスタンスなので、見つめ続ける。
その視線に耐えられなくなり口を開く。
「一度戦ってくれないか?それで分かるはずだ」
「いいよそれじゃあ行こうか」
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曹操と戦うためにオーフィスの作り出した空間へと行く。
その空間に着くと曹操は神器『黄昏の聖槍』を取り出す。
その槍の刃を木場に向けて突き出す。
それじゃあこの状態の本気出そうかな!
「
両手の先に禍々しいオーラが集い、それが結合するといつぞやに使用していた『魔帝剣グラム』を二本作り出す。
その2本を見た曹操は顔がゆがむ。
最強クラスの魔剣を二本も出さられれば恐怖もするだろ。それに曹操の身近には本物を扱う者もいるのが余計に後押しをしているのだろう。
「ふぅ......イザイヤ行くぞ!」
「違うよ今の名前は木場祐斗だよ!!」
地面を削る程踏み抜いた曹操は1秒にも満たない時間で木場の背後をとる。
そのまま聖槍を振るおうとするが地面から大量の魔剣が飛び出し、1本の魔剣を踏み台にして跳躍しその場から離れる。
跳躍がそこそこ高く着地に片膝を付いてしまい、視界を上げた時には木場の姿を見失う。
「しまったどこにいる」
辺りを見渡すがいない。
そもそも曹操の戦い方は相手の情報を収集し、予め対策を立て戦う。なので一応木場についても集めていたが、根本的に情報が足りない。
それでも今まで戦いを全く経験していないと言う訳でなく、この場合の敵の移動位置は予想できる。
「上か!」
「そうだよ」
聖槍の切っ先と『魔帝剣グラム』の刃がぶつかり合う。しかしぶつかり合っているのは1本の『魔帝剣グラム』のみで、もう1本のグラムは振られていない。
こうなれば不完全ながらも使うしかない!
曹操は意を決して未完成な禁手を使う、槍の形状は変化はしないが背後に光の輪が現れ、三つの黒い球体が浮かび上がる。
木場は曹操の禁手の能力を原作を通して知っているので、黒い球体が何なのかも知っている。
黒い球体の中には対木場用のような代物もあり、すぐに距離を取る。
今曹操のそばを浮いているのは『輪宝』『女宝』『象宝』のみだ。『女宝』に関しては女にしか作用せず『象宝』は空を飛ぶことしか出来ない。まともに戦闘に係わるのは『輪宝』だけだ。
さらに言えばこれが木場と相性のいい能力だった。木場の武器を破壊できるのだから。しかしタイミングを見謝れば対策をされてしまう。
だからこそ普通なら最初に使わない。
だが、曹操はあえて最初に使う。これは相手も知らない事だ。下手に隠して奥の手があると警戒されると面倒なので、初めに使って速攻で蹴りをつける。
その球体を槍の用に形状を変え木場に向けて突撃させられる。
それを木場は二本のグラムを交差させ防ごうとするが、それは悪手となる。
二本のグラムは『輪宝』ともに消え大きな隙になる。
「まさか!最初から使うのか!」
「何故とは聞かん。だが終わりだ!」
曹操はグラムが砕かれ何も防ぎようのない木場に、聖槍を突き刺す。
聖槍は木場の腹部を直撃し、柄の部分を伝って生暖かい赤い液体が流れる。
曹操は勝ったと確信を持った瞬間まるで地面にガラスのコップを落としたように、木場の身体が砕け散る。
「いつからそれが僕だと錯覚していたんだい?」
「なっ!」
背後に木場がいることに気づく頃には、手に剣の柄を当てられ槍を落とし、そのまま両手を後ろで締めあげられて地面に倒れる。
木場がしたのは簡単な事だ。
魔剣で自分に擬態出来るものを作り、それを使用して人形を作ると魔力の糸で操っていた(わかり易く言えば傀儡のようなもの)
それを曹操が視線を外した最初の瞬間に入れ替えた。自分は光を屈折させて姿を消していた。かなりな初見殺しの技だ。
組み倒された曹操はポツリと呟く。
「なるほどな...やっと分かったよ。そうだな自分の夢を語るよ」
そう言って曹操は自分の出生を話した。
普通の家に生まれたのだがやはり曹操と言う名前は、英雄と言う印象よりも悪と言った印象が強く、物心つく前に捨てられたそうだ。
そこをとあるおじさんが引き取った。
その人の生活は楽しく毎日が楽しかった。しかしそんな日も突然に終わり、逃げ出していたはぐれ悪魔におじさんは殺された。
そのショックで神器も目覚めどうにかおじさんの仇を打てたが、そのショックは酷く暫くの間寝込んでいた。
その時に夢でおじさんとの楽しい思い出が蘇り、生きる元気が湧いてきた。
それで決めた「自分と同じような人間を作っちゃいけない」
そこからの行動は早く瞬く間に自分と同じような人間集めた。しかしいつからか目標が変わっていき「人外を倒す」それになってしまった。
「だからだ...決めたよ。私は初心に戻り皆を救う。それだけだ」
「やっぱり君は立派な英雄だよ」
木場は手を差し出し曹操はその手を掴んだ。