木場きゅんに憑依した俺は皆に勘違いされながらも生きていく   作:暁紅

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さぁ!始まりましたハイスクールD×D HERO!!
楽しみにしてみましたが何かエロアニメみたいになりましたね、まぁ嬉しいことに変わりはない。

と、そんなこんなでハイスクールD×Dの中で一番好きな曹操が登場しあぁ声ええなとか思ってたら、まさかのジークさんあの人。正直ゲオルク枠だと思ってた。まぁそんな感じで楽しんでます。

追伸クトゥルフ神話TRPGやりたい。ルルブ高すぎ問題


英雄は誰ぞどこを見る?

 

 

 

自身の全長より長い槍を片手で持ち上げている男は易々と山を登っているのだが、顔がかなり険しい。

 

「裕斗...待っていろ」

 

ゆっくり歩いている時間すら勿体無いと、姿勢を低くし足場の悪い中速度をどんどん上げている。

 

数十分そのままで移動すると男は苦虫を噛み潰したよう表情を浮かべその場で停止する。

 

「やはりいたか」

「それはこちらも同じですよ、英雄曹操さん?」

「嫌味か、俺は英雄などではないさ天翼種(フリューゲル)

「そうでございましたかそれは失礼。それと間違いを訂正させてもらいます、私はその様な名ではなくマスターに貰った『ジブリール』と言う名がございますゆえ間違われませんように」

 

木々を砕きながら空からゆっくり降りてきたのは天女だ。

 

腰まで長く伸びた手入れの行き届いている淡いピンクの髪。瞳は黄金に輝き、三日月に曲がった口は美しいと言うよりいやらしいの一言だ。

 

服は重要な大部分は隠しているがへそや肩、足などはもろに出ている。

 

腰には天翼種の特徴である小さく白い翼がピクピク動いていて、頭上には奇天烈な模様をしている魔法陣が一つ浮かんでいる。

 

少女は笑みを浮かべぺこりと頭を下げる。それは敬意をしめしたのではなく、ひたすらに雑魚だと害虫だと蔑んだ上での礼儀である。

 

事実曹操は目の前の少女の実力を肌で感じている。彼女が現れてから空気はピリつき肌は砂漠のようにカサカサになっている。

 

「用は聞かなくてもよろしいでしょうか」

「そうだな。どうせ貴様と私では相容れないさ」

「そうでございますか...でしたら少々ここでは手狭ですね」

 

少女は呆れたような声を零し、手にちょっとした魔力の圧縮球を作り地面へと叩きつける。

 

それは地面と衝突の瞬間爆発となって当たりの木々を吹き飛ばし、巻き起こされた突風に曹操は目を閉じる。

 

開いた際に目に映るのは初めから木など無かったような更地である。

 

(まずいな、木に隠れながら殺り合う作戦だったのだが、これではできないな。正面からぶつからなければいけないか)

 

槍を握る手にさらに力が入り、額からは汗が流れる。

 

「どうかなさいましたか?」

「いや別になんでもない」

「そうだしたか、さっそく始めたいと思いますが、準備運動も必要でしょう」

 

ジブリールは指で音を鳴らす。

 

すると、かなり大きな魔法陣が空中に現れそこから八つの首を持った龍が顔を覗かせる。

 

次第に頭以外も見えてくる。

 

瞳は赤く血走り、着地時短い四本の足は地面を砕き、長い首よりも長く太い尾。胴体は硬い青黒い鱗が覆い防御力はかなりのものだろう。

 

「ヤマタノオロチか」

「さようです。何やら魂が転がっていたので、回収し復元強化した肉体を授けました」

「余計な事をしてくれる」

「先程貴方は英雄ではないと言いましたが、この子を倒さば英雄となりますね」

 

過去日本を恐怖に落としれていた最強の龍ヤマタノオロチ。神の座から追放された須佐之男命ですら、倒す時には酒で酔わせて不意をつく他に無かった。

 

正面からの戦闘を日本の最高峰の英雄が避ける。それほどまでに強く、討伐されていなければ龍王に入っていた事だろう。

 

英雄たれない男は不敵に笑う。

 

「なぜ笑いを?」

「さあな、私にも分からん!」

 

馬鹿なのか、いや馬鹿なのだろう。何せ強敵に心がワクワクしているのだから。

 

槍を前に突き出し大声で叫ぶ。

 

禁手化(バランス・ブレイク)ッッッッ!!」

 

槍の形は変化はしない。強いていえば装飾が無くなり、あるのは一本の槍のみ。だが、身体の方は大きく変化していた。

 

纏っていた軍服は和服に近くなり、全体的にゆとりがうまれている。

 

髪は短髪だったのが長く伸び、後頭部で赤い髪留めで纏められ戦闘に支障は内容になっている。

 

さらに、瞳の色が紫色へと変貌し纏う雰囲気が禍々しく、オーフィスのような物になっている。

 

この姿をみたゲオルクはこう名付けた。

 

極光なる白銀神槍(ポースロンヒ・ロンギヌス・アルギュロス)

 

最初は多彩な攻撃方法を持った禁手にしようとしたが、それでは裕斗に追いつけないと考え、大量の手数より圧倒的な一つまるところ量より質を取った。

 

オーフィスと何度も相談し研磨に研磨を重ね完成し最強の禁手へと至った。

 

『GEYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAEEEEEEEEE』

「ふ、感じたか貴様の嫌いな神の力を」

 

軽く横に払う。

 

並の武器であれば効果のない攻撃なのだが、ヤマタノオロチは大きく仰け反り鱗は見事に裂かれボロボロになってしまう。

 

思った以上の威力にヤマタノオロチのリーダ格の頭は、須佐之男命と同等の敵だと判断しそれぞれに最大威力の攻撃を支持する。

 

ほかの頭たちは了承し各々の持つ最大技を放つ。それぞれの属性が違い火・水・雷・土・闇・光・風・毒だ。

 

それを曹操は真っ向から受ける。

 

曹操の背中に三つの光の輪が浮かび上がり、額にもう一つの目がギロりとヤマタノオロチを見定める。

 

神降ろし。過去に何度も行われた禁呪である。

 

人間に神を憑依させるなど容量不足もいいところであり、瞬く間に人間の寿命が無くなり死に至る。成功例は数少なく挑戦するだけ無駄である。

 

それを曹操は行った。普通なら即死だろうが禁手の時のみ別だ。

 

まず憑依させている神はちょうどいい所にいた神ヤハウェである。黄昏の聖槍には聖書の神の意思が宿っているとされ、それが容量の減ったヤハウェだったのだ。

 

寝ているところをオーフィスに強引に目覚めさせ、半ば無理やり契約を刻み、肉体を強化するためオーフィスの瞳と交換した。

 

無論本物ではなく、失敗作として転がっていたオーフィスのクーロン体から拝借し、本物のオーフィスが調整し本物とほぼ同じに仕上げた。

 

そのおかげで一時間だけなら神降ろしをしても問題はなくなった。

 

擬似神格を得ている曹操はその一撃に全魔力を注ぐ。

 

「うぉぉぉぉぉぉおおおおおお!!」

『GEYAAAAAAAAAAAAAAAA!!』

 

槍より放たれるエネルギー体はインドの英雄が放つそれと何ら遜色はなく、即ち世界を破壊する一撃に至っている。

 

八つの首より放たれた最大技は全て混ざり合い、こちらも世界を破壊する一撃に至る。

 

世界VS世界。神々の戦闘でも滅多に見ることの出来ないぶつかり合い。

 

その影響は周辺に顕著に現れ始める。

 

地面は激突地点に向け抉れ浮かび、木々は一瞬で枯れ果てる。

 

一人と一体の叫び声は重なり合い、最後は世界を白で包み込む。

 

ヤマタノオロチは持ち前の強靭な鱗で耐え抜くが全てひび割れ防御には使えず、リーダ格の頭を守るため他の七つの首は代わりに受け全て地面に倒れている。

 

『G...E......』

 

勝った。そう確信した龍は、天高く遠吠えをしようと上を見上げ

 

「随分と気が早いな」

 

空から近づく銀に片目を引き裂かれる。

 

『GEYAAAAAAAAAA』

「叫び声か?随分と可愛いな」

 

突然右半分の視界が真っ暗になり、目を切られただけなのに体全身を貫かれたように痛みが脳を刺激する。

 

痛みに苦しみながらもどうにか敵を見定めた先には、笑顔があった。

 

気づいしまった。この男は自ら言った英雄などではないと、その言葉は真実であり化け物や人類の敵の類なのだと。

 

須佐之男命に殺された時ですら感じたことの無い恐怖が頭を支配し正常な判断を行わせない。

 

「どうした、その程度か?準備運動にはまだ足りないぞ!」

 

最大の武器である尾は切り離され宙を舞う。

地面に立つための足は細切れにされ立つことすら許されない。

 

重い体が地面に落ち大量の血煙をあげると共に、最後の頭も地面に横たわる。

 

ほぼ閉じ掛けの視界の先に男がゆっくりと近づいてくるのが映る。

 

『助け...』

「死者は死者だ、そこに許すも何も無い。恨むならば恨むがいい。お前を殺すのに変わりは無いのだからな」

 

油断も躊躇いもない無慈悲な槍の投擲はは脳天を貫き、首を渡って心臓を穿ち地上へと姿を現す。

 

役目を終えた槍は生きているように角度を急転回し主たる男の元へ飛んで変える。それを右手一つで掴み後ろを振り向くと、龍の死体は爆発し曹操を血で染め上げた。

 

 


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