木場きゅんに憑依した俺は皆に勘違いされながらも生きていく   作:暁紅

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イザイヤ初めての危機

転生イザイヤの朝は早い。

 

硬い枕のせいで痛めた首をほぐすように回した後手首もほぐすと、どこぞのヒーローがしていた腕立て100回腹筋100回背筋100回をして、片手腕立てを左右50回する。

 

これは、先日夜に剣を作った時に子供の筋肉を舐めていて、次の日に筋肉痛になったのでそれが起こらないように始めた。

 

今はうんその...きっと成果もあるさ!

 

誤魔化しているが始めて数日なので、あんまり効果がでていない。

 

 

 

その朝練が終わると、部屋の移動のため丁度教会の人間が来て、いつもの娯楽室に連れていかれる。

 

その娯楽室では子供達と軽く遊んだりするぐらいで何も特訓はせず、この後の昼食が終わった後の昼の自由時間で特訓をする。

 

 

内容としては1分全力で走って10秒休憩を時間ギリギリまでする。それだけでも意外と疲れるが、剣を振るために体力も必要なのでこれは是が非でもする。

 

その後は晩飯、夜の神器練習といつもの事をする。

 

 

そんな生活を1年続けた結果、かなり筋肉がついて背が伸びました。

 

むふふ今は何と8歳になりました。うん後数ヶ月もすれば9歳なんだけどね今はそれはいい。

 

一番良かったのがなんと!背が130を超えました!!嬉しい良かったわ!下手に筋肉つけると背が伸びないって聞いてたから、最悪背伸びないかな?って思ってたけど、伸びて良かったまじ安心したわ。

 

けどさ......はぁ......やっぱり女子とは会話なし。これってなんだろ高校生を思い出すよ、女子と話したいけど緊張しちゃうから、男子だけ会話をしてたらホモ扱いされたあれと一緒の感覚......つらい...。

 

 

そんな事を考えながら自由時間の時に走っていると、庭の周りにある塀を登って越えようとしていた女子が、手を滑らせ頭から落下を始める。

 

「キャッッ!!」

「しまっ!」

 

虞淵は一番近いのですぐにキャッチしようとしたが、足元にある自らの汗に足を持ってかれ、その場で転倒して女子をキャッチする事ができない。

 

足元に汗がある理由は、彼の父が八極拳の使い手らしく、それを教えてもらったのでここでも忘れないようにと、1人黙々と八極拳をやっていたからだ。

 

これを聞いて思ったのは父が教えるって事は、それなりに愛しているはずだ、なのに捨てた...正直考えられない事だ。何かあったのかもしれない......

 

 

 

虞淵が死を覚悟し目を瞑った瞬間、脇を突風が通過していく。

 

それに違和感を覚え恐る恐る目を開けると、そこにはイザイヤが少女をキャッチしているのが見えた。

 

「良かった...助かったよイザイヤ」

「間に合ったのはたまたまだよ」

 

そんな事を言っているが、イザイヤは一番遠い位置にいて、虞淵ですら全力で行って間に合うかどうか程度だ。それをしっかりとキャッチしているって事は、かなり身体が鍛えられている証拠だ。

 

軽くイザイヤの成長速度に恐ろしいと感じてしまうほどに。

 

 

イザイヤはゆっくりと少女を降ろすと、少女がお礼を言おうとした時教会の人間が今の叫び声を聞き、急いで駆けつける。

 

「何があった!!」

 

皆ビクビクと怯え何も言えずにいると、イザイヤが前に出て手を上げる。

 

「すみません。脱獄をしようとしてあの塀から落ちて、彼女に当たりそうになり悲鳴を上げさせてしまいました」

 

少女は違う!と言おうとしたが、あまりの大人の剣幕に恐怖して何も言えず、大人に引っ張られるイザイヤを大人しく見ることしか出来なかった。

 

 

 

 

イザイヤは引っ張られ、入っては行けないと言う場所に入ると、階段を降りてとある部屋に放り込まれる。

いや部屋と言うよりも、空間と言ったほうがいいものだろう。

 

辺りに穴などなく光もない。

そこらかしこは岩が向き出ていて、部屋として整備された形跡がない。

 

「そこで反省していろ」

 

大人の声が色々な所に反響してどこで喋っているか分からないけど、聞き取る事は出来た。

 

 

何かが閉まる大きな音がした後、完全の無音になり時々自分の動く時に擦れた服の音しかしない。

 

 

いつ来るか分からないので神器をする事もできない。だからとりあえず座禅をする事にした。

 

 

 

 

 

 

一体何時間過ぎただろ...未だにこの部屋から出れない。

 

 

 

 

もう限界だ......死にたい...

 

 

 

死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ。

 

 

呪いのように呟いていると、何かが開く音が聞こえ大人の声が届く。

 

「反省したか?」

「は......い...」

 

久しぶりの発音と喉の乾きに声が震えながらも、どうにかそう返事をする。

 

それを聞いた大人は頷くと、隔離部屋の鍵を開けイザイヤを外に出す。

 

「あ..ぁ....」

 

懐かしの外の世界に感動を覚え自然と涙が流れる。

 

またもや引きずられていくと、多少の水と食料を渡され娯楽室へと放り込まれる。

 

放り込まれた音に反応し皆が集まってくると、大人は娯楽室からすぐに出て鍵を閉める。

 

「イザ兄大丈夫!!」

「起きてイザ兄!!」

「み......みぃ...ず...ぅ......」

 

子供達は急いでイザイヤの傍に転がっている水の入ったペットボトルの蓋を開けると、イザイヤの口に急いで流し入れる。

 

その勢いは強くて、口から水は零れているが多少は入り喉が癒えていく。

 

徐々に力が戻るとペットボトルが凹む程水を吸い上げ、空になるとその場で起き上がり食べ物を貪る。

 

パンを三つ瞬時に食べ終えると、この部屋に備え付けの水をまたペットボトル1本分程、飲み干しやっと会話が出来るほど余裕が出る。

 

「はは、えっと久しぶりかな?」

「「「いざにぃぃぃ!!!」」」

 

子供達皆は涙を大量に流しながらイザイヤに飛びつく。

 

飛びついてきた子供達の頭を撫でると、安心したような表情になる。結局みんなを相手してたら数分がかかった。

 

やっと解放されると虞淵が目に入りそちらに向かう。

 

「僕はどれ程閉じ込められてました?」

「そうだな...2日だな」

「2日......一週間ぐらいいたような気がしてたけど......勘違いか...」

 

思ったより短かった事に驚きつつ、虞淵の周りを見ると数名の女子が集まっていた。

 

 

「もしかして...彼女?」

「ふははは!違う違う。これは脱出のために集まってるだけだよ」

 

あまり外に漏れたくないのか、イザイヤの耳元でつぶやくように言う。

 

脱出だと!何たる事か!!まさか脱出の話が出ているとは!

 

衝撃を受けていると、虞淵と同じぐらいの歳で金髪のヨーロッパ風の女性が前に出て手を前に出してくる。

 

「あの時は琴音を助けていただき、ありがとうございました。私の名前はシェルです。以後お見知りおきを」

「琴音さんですか?」

「そう言えばまだ自己紹介してませんでしたね」

 

握手を交わして聞くと軽くふふふと笑い、背後に隠れていた女子を前に出す。

 

その子はあの時塀から落ちた少女で、髪は黒で見慣れた日本人顔だ。

 

「あの......の...と、時は」

「イザイヤです宜しくね」

「はぅ......」

 

何故か頬を赤めた少女に首を傾げると、双子の姉妹が抱きついてくる。

 

「うわっ、」

「いい人いい人!!」

「この人いい人!!!」

 

元気がいいなと思いながら、落ちると危ないので降ろすと突然手を上にあげ名前を名乗る。

 

「私がレン」

「私がリン」

「「二人合わせて魔法少女プリキュア!」」

「えっと......プリキュアさん?」

「リン!」

「レン!」

「あぁそっちなのね。リンちゃんレンちゃん、イザイヤです宜しくね」

 

イザイヤが手を差し出すと、2人とも別々の手を掴み、握手みたいな事をする。

 

その光景が可愛くて少し笑うと、笑った笑ったと声を上げ踊り始める。

 

和んでいるイザイヤに虞淵が近づき、今の現状を話す。

 

 

 

琴音が塀を登りかけたところで見た光景は、言われてきた事とは違い森などなく、さらに大きな塀に囲まれていた。

 

 

その事からここがただの施設ではないと気づき、ある程度成長している者達で集まり情報を集めている。

 

原作との食い違いがある事に気づき、首を傾げていると突然天井から、1人の少女が飛び降り着地する。

 

「どうだった焔」

 

焔と呼ばれた少女は首を横に振り、否定的な行動をとる。

 

それにため息を吐くと、頭を抑えながらこれからの事について考える。

 

イザイヤはそもそも誰か分からず首をかしげていると、奏汰が耳元に来て説明をしてくれる。

 

 

「彼女は焔ちゃんって言って、忍者の末裔らしいよ」

「忍者の末裔?」

「うん、それでその能力を見込んでここの情報を集めているんだけど...あの様子じゃダメだったみたい」

「うん、ありがとう奏汰」

 

満面の笑みを浮かべると何故か奏汰が赤くなるが理由がやはり分からない。

 

熱でもあるのかな?とおでこおでこをくっつけると、かなり熱いことが分かり風邪だと判断する。

 

「熱いね。やっぱり風邪だと思うよ」

「違うよこれは...その...ね......イザイヤのせいだから...せきに」

「大丈夫です!奏汰は大丈夫です、けど心配ですのであっちに連れていきますね」

 

何かを言いかけていた奏汰を引っ張り隅っこに行くと、イザイヤに聞こえないように小声で話をする。

 

 

「何を言おうとしました貴女?」

「責任を取ってもらうって」

「言わせませんよ!全く...抜け駆けは無しだと言ったじゃないですか」

「だって突然の事で頭が...」

「それは分かります。アレを天然でやってるんですよね......」

「「はぁ...ライバル増えそう」」

 

 

この2人は同じ人を好きな人同士とある関係を結んだ。

 

イザイヤに駆け抜けはせずに、話しかける程度にする。

接触はあまりしない。

襲わない。

 

これが内容だ。そんな彼女らの組織の名前はイザイヤ大好きですの会。会員二人だが、あの天然からしてさらに増えそうな気がしてならない二人だった。

 

 

その日も会議は続いたが、成果のような物は得られなかった。

 


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