木場きゅんに憑依した俺は皆に勘違いされながらも生きていく 作:暁紅
FGOACかなり面白いですよ。運ゲーではなく実力ゲーに変わったのは驚きましたけど、操作性はかなり良かった。ただ、ジーク二枚かぶりは心にきた。
以上ステマの時間でした。本編どうぞ
私は生まれながらにして異常だった。
身体に流れる血のグレモリー家には特徴があり、滅びの魔力と呼ばられる物がある。だが、個人差が大きく使なかったり使えたりとまちまちである。
なのにも関わらず過去において最強クラスの滅びの魔力を持っていた。いや持ってしまった。
最初は周りは喜んだ。過去でもあまり類を見ない最強クラスの力。超越者になるのは必至だろう。そう言われていたがすぐにその言葉は聞こえなくなる。
生まれながらに身体が弱い事が発覚してしまう。その弱さはかなり酷く、滅びの魔力を使えば自分の身体を滅ぼしてしまう。
そのため、すぐに隔離された。一生魔力を使わなくていいようにと。
家の本邸から離れた高い高い塔の頂上。そこにアルブラ・グレモリーは住んでいる。
「外に行きたい...外の景色が見たい」
外への思いを日に日に積もらせていく。外の知識は本でしか得られない。
巨大な滝や熱を放つ太陽。人間の世界は平和だとか信ぴょう性の怪しい事も私には否定する事が出来ない。
親の顔もほとんど忘れている。もう何十年何百年会っていない。唯一覚えているのは弟のサーゼクスぐらいだ。
「姉さん!姉さん!」
「どうしたのサーゼクス?そんなに慌てて」
「実は僕も使えるようになったんだ」
慌てながらも掌に意識を集中させる。すると、紅い一つの球体が現れる。
球体が完成すると喜びを身体全体で表しその場で飛んだり跳ねたりする。
「良かった。サーゼクスは普通のなのね」
「普通?姉さんは違うの?」
「そうよ。私は黒い靄みたいなのよ...そうね他の人には秘密よ」
そう言って右手を前に出すと右手に突然ヒビが発生する。それも右手すべてを覆う領域でだ。
サーゼクスは突然の事に驚き誰か悪魔を呼ぼうとするが、アルブラの左手に掴まれる。でもと振りほどこうとした時異変が起きた。
ヒビから黒い靄が出てきた。靄は少しづつ広がっていき壁に当たるとその場所だけを的確に消滅させていく。
「これが私の醜い力...貴方は絶対にこうなってはダメよ」
見せてすぐに靄を押さえ込みヒビを消し、いつもの右手に戻す。
サーゼクスは驚きつつもこの時に気づいていた。姉さんは魔力を完全に掌握している事に、まだまだ自分は不甲斐ない事を。さらに精進をする事を決める事になったが、アルブラはその事を知らない。
その後も比較的穏やかに過ごして行った。近くには誰もいないため怪我をしたとしても血を流し過ぎない程度の応急処置。
そのせいで身体には女とは思えない量のおびただしい傷が残っている。
ある日事件が起きた。
いつもの本に飽きたアルブラは新たな本を所望し持ってこられたのが魔道の本だった。
外に出れるかもしれない。そんな思いですぐに読破し独学で魔道を極めていく。
元から才能があったアルブラにとって、転移魔法陣作成など簡単ですぐに塔から抜け出し外へと探検に出かけた。
「凄い...空が青いし空気が美味しい...これが外......」
外に出れた感動からゆっくりと瞳から水滴が滴る。いまいるのは人間界で位置は日本の地脈の上だ。
時空間転移は初めてで本当はヨーロッパに行きたかったのだが、残念ながら日本に転移してしまった。それでも来てしまった物は仕方ないので、頭を切り替え近くを探索する事にした。
「おや悪魔がこんな所に」
「おいおいいい獲物だなこりゃ」
探索に乗り出してすぐだった。悪魔の宿敵天使に出会ってしまったのは。
天使は聖書の神が作り出した存在。悪魔に致命傷を与える光の力を使うことが出来る。戦闘を一度もした事の無い彼女には勝ち目はない。咄嗟にそう判断し駆け出した。
草木をわけながら森の奥に入っていくが上空から追ってくる天使は意に返さずに、まるでハンティングゲームをするかのように光の槍を放ってくる。
顔の横を通り過ぎ。ふくらはぎに掠り。髪を切り裂き。身体にかすり傷がどんどんついて行く。
逃げ回り始め一時間程が経ち身体はすでに限界に来ていた。限界の身体を突き動かすのは生きたいそんな気持ちによるものだった。
だが、次の瞬間には肩に光の槍が抉り口から声が漏れる。
「誰か...たす...けて」
飛びかけている意識を連れ戻したのは後ろから聞こえる二人の男の悲鳴だった。
後ろを振り返ると新たな天使の男が現れ、二人の男が殺されていた。
目の前にある死に身体は本格的に震え始めその場に座り込む。足は痙攣を起こすだけで役に立たない。
こうなれば滅びの魔力を使おうかそんな事を考えていると腹の虫が鳴ってしまう。
「あぁ...まぁ何だ飯でもいくか。一応言うが強制だ逃げられると思うなよ」
差し出された右手を握る事しか今のアルブラには決定権がなく、いやいやながらも握ることにした。
「アレ?私は」
「おっやっと起きたか。まさか肉を食ったら寝落ちするとは思わなかったぜ」
寝ぼけているせいで何があったのか忘れていたアルブラは、目の前にある山のように積み上がった骨を見つめ思い出す。
アザゼルの持ってきた塩コショウで味付けされた焼かれた肉をどんどん平らげ、アザゼルの分も食べた自分が疲労から寝落ちした事に。
「美味しかった...です」
「今更敬語か?気持ち悪いからタメでいいぜ」
「ならタメ口で。これ美味しかった、それとなんで私を助けたの?」
素朴な疑問をぶつけた。
二人は本来交わるべきではない敵同士だ。なのに関わらず傷を癒し食料まで分けている。波の天使なら絶叫物だ。
なのに目の前の男はさもそれが当然のようにしている。それが分からなかった。
アザゼルは当然の質問に即答が出来ない。と言うより何故助けたのか自分でも理解出来ていない。
いくら自分を自問自答してもこれと言った理由がない。強いて言うならば女だったからだ。
「あぁ...なんだその何で助けたんだ?」
「ぷくす、私が聞いているのに何で聞き返すの?面白い天使さん」
「いやーこれ結構ガチなんだよな。なんで助けたのかこれと言って理由がないんだよ。まぁ助かったんだから良かったってところだな」
二人は見合って吹き出す。この光景を他人が見たとして敵同士だとは誰も思わないだろう。
「あっ、急いで帰らないとバレちゃう」
「そうか」
「また来てもいい?」
「別にいいぜ。俺がいるとも限らないけどな」
「それじゃあまた来るね」
「またな」
二人は軽い挨拶をして別れた。
自前の転移魔法陣に乗っかってアルブラは帰路につき、アザゼルは自室へと向かい酒をチョビチョビ飲み一日を過ごした。
その後もその奇妙な関係は続き、アザゼルの帰る場所がこの家に変わったのは言わなくてもわかる事だ。
それに、最近ではアルブラが殆どの家事を担当しまるで通い妻のような生活を送っていた。
「後は洗濯と晩御飯の準備っと」
手馴れた手つきで掃除を終わらせると大量の洗濯物を籠に山のように入れせっせと洗濯機へ向かう。
洗濯機があるのはドアのかなり近くで洗濯物を詰めているとふいにドアの開く音が聞こえる。
いつもより少し早いがアザゼルだろうと一旦洗濯物を置き出迎え向かう。だが、玄関口にいたのは全く知らない男だった。
「ほほう...悪魔か」
アザゼルと同じオーラ放つ目の前の男は手をアルブラへと伸ばす。