木場きゅんに憑依した俺は皆に勘違いされながらも生きていく 作:暁紅
それと最終回もまじかになり、予想ではあと10話程度で終わる予定です。
けれど作者の予想しない動きをキャラ達がしでかすので、これもどうなるか分かったものではありません。
と無駄話をそこそこに本編どうぞ。
月日は多少流れたのだが、祐斗はかなり忙しそうにしていた。
休むこと無く電話を掛けられたり掛けたり。相手も男や女の声とバラバラだ。
その忙しさは普通ならば収まるはずなのだろうが、一向に収まらず余計に忙しくなっていく。なにせ、三大勢力で会議をするためだ。
コカビエルの一見によりアザゼルが会議をできるような流れに持っていったとの事だ。予想だが初めからこれを狙っていたのだろう。
エクスカリバーは無事返し終えたが、あのあとはすぐにコカビエルは捕えられ今では冥府にてコキュートスにて永久冷凍の刑に処されたらしい。
これはコカビエルも望んでいたらしいので特に反発はしなかったようだ。
と、話を戻し三大勢力会議の前にここまで忙しくなっているとなると、やはり参戦する事になるのだと思われる。そうなれば、祐斗一人で行かせる訳にもいかない。
「俺が行く。長い付き合いだからな」
「いや私が行こう、この中で一番強い」
「私が行きます。迷惑をかけた分私が」
「僕が行く!!」
虞淵、曹操、琴音、奏汰が言い合う中それでも祐斗は一人電話の相手と会話をしていた。
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三大勢力会議もかなり終盤に差し掛かってきた。コカビエルの協力によりどうにか開けたこの会議。絶対におシャンにさせられない。
アザゼルは一人机に両肘をついて心の中で思考を巡らせる。
どうにか会議はいい方向に進んではいる。コカビエルの処分の件を話し終えると同盟の話になり、すでにその話も終わる寸前。
天界側はミカエルと、その後ろで護衛をしているサリエル。
冥界側は魔王レヴィアタンとサーゼクス。今回の件に深く関わっている残り二人だけの眷属とリアス。
堕天使側は暇人の俺と強引に引っ張ってきたヴァーリだけ。とは言ってもこの後豪華ゲストを呼んでいるが。
「さて同盟はこれでいいだろう、問題はここからだ。禍の団についてだ」
声色が数トーン下がったサーゼクスの発言に辺りの空気が重くなる。それだけ彼らの存在が危険だと示していた。
大逆進を進める赤龍帝を片手間に倒し、リアス眷属の半分を攫っていった。冥界側にとってはいい思い出がない。
「そうですね。彼らはかなり危険です...仮面の彼は人間ではあるのですが、あまりにも戦闘能力が高すぎます。どこかの組織がバックアップをしているとしか思えません」
「あれが神器での類では無いのが分かっている以上、科学力となるけれど人間にしては高すぎる」
途端に全視線がこの中で一番怪しい人物であるアザゼルに注がれる。
この会議が始まれば自然とこうなる事は分かっていたので特にびっくりする事は無いが、少しタイミングが早すぎる。まだゲストすらも来ていない。
「おいおい、俺を疑うのか?」
「えぇ」
「たくよ少しは信用って事をな」
「天界側を裏切った貴方に信用の一文字もありませんよ」
ミカエルのかなり痛いところを突く一言に舌打ちをする。確かにアザゼルは天界側を裏切り堕天使となったため、信用は一切ない。それでも同盟したのは致し方無かったのだろう。
なにせ、天使は神から作られる者。その神が死んだ今、今後増える可能性はかなり低く希に天使同士の間生まれるかどうかと言った具合だ。
なのに関わらず悪魔は悪魔の駒により悪魔を増やし、煩悩に塗れた天使が堕ち続々と堕天使になっていく。
それでも小さな戦闘は行われ続けているのでどんどん数が減っている。
そんな時にこの話。乗らなければ天界側消滅の危機でも会った。実質拒否権の無い同盟会議だったりする。
どう弁明しようとも逃れられないこのジレンマをどうしようか考えていると、懐に入れていた機械が振動をする。
「やっと来たか」
「え?」
「いや何どう話しても無駄だからな、同盟が終わるこの時間辺りに呼んで正解だったな」
言葉の意味を理解する前に扉が開かれ中に入ってきた者により全てを理解する。
一人目は黒い中華風の服を身にまとった黒髪の男。服の張り付き具合から確認できる筋肉を見れば、どれだけ身体を鍛えているのか丸わかりだ。
二人目は中性的な顔つきに白髪混じりの黒髪の少年?だ。服は昔の騎士のような白い正装をしている。
最後の三人目はもう見慣れたシルクハットに燕付きの服。顔には笑っている仮面。
一誠は見つけた瞬間殺意のこもった声で奇声を上げる。
「影胤ぇぇえええええ!!!」
「残念だが、今日は君の相手をしている暇は無いんだ」
「もう知ってるやつもいると思うが、蛭子影胤とその仲間だ」
座っていた全員が立ち上がり一斉に厳戒態勢になる。
「やっと会うことができたねミカエル」
「はて?何用で?」
「とぼけるか...聖剣計画。この言葉をすれば分かるかな?」
『聖剣計画』この言葉を聞いた途端にさっきまでの笑みは消え、どす黒いオーラに切り替わる。
「どこでそれを」
「どこでか......こうしても分かりませんよね」
影胤は今までひた隠しにしていた仮面を外して投げ捨て、服と帽子も脱ぎ捨てる。
服はいつもの緩めの感じなのだが、後ろの二人と相まり不気味さを少しだけ醸し出しながら、いつもの笑みを祐斗は浮かべる。
顔をじっくり見るミカエルだがピンと来てないらしい。それもそうだろう。ミカエルは実験体である彼らの顔など知らない。ただ、名前と聖剣適合率ぐらいしか頭に入っていない。
「イザイヤそれが僕の名前です」
「な、何故生きている君が」
名前を告げられ生きてるはずが無いと首を横に振るミカエル。額からは冷や汗が滲み始める。
あの時の報告書ではサリエルが子供達を皆殺しにし、それにバルパーが不服を訴えたとの事だったはずだ。
「サリエルこれはどういう事だ」
「.........」
「サリエル!」
「......」
サリエルは組んだ手をそのままにして顎を前に動かしイザイヤの方を見ていろと返事をする。
あまりにも図々しい態度に握りしめる拳にさらに力が入り殴ってでも聞きたいが、今まで築き上げてきたイメージを壊してはならないと急いで薄い笑みを浮かべる。
前を向くとイザイヤは高らかに言い放つ。
「僕達は皆生きている。後ろの二人もそうだよ」
「くっ...」
「今まで動いてきたのはこの時このためだったんだ......復讐させてもらうよミカエル」
すぐに同盟を組んだ相手をミカエルは見る。
無論裏切り者のアザゼルではなく、冥界側の魔王達だ。
しかし、二人の魔王は祐斗達の登場に驚いておらず、最初から知っていたかのようにこちらを見つめていた。
実は今回の事に関してはあらかじめ二人の魔王には話が通っていた。
連絡はアザゼルや祐斗の知る所では無かったが、お金を稼いでいるクラアッツとバンはレヴィアタンに追われているため、わざと一度捕まってもらいそこからサーゼクスにまで話を通した。
最初は妹の眷属を奪っていった者達がくるのは反対だと言っていたが、事情を聞いたサーゼクスは渋々頭を縦に振った。
「私はのけものにされていたと言うわけですか......くくくくくかかははは!!!」
突然壊れたように笑い出したミカエルにサーゼクスが視線を落とす。事情を聞いたとはいえ信じていなかったのだが、この態度を見れば信じざるえなかった。
「そうするのですね。ならば戦争をしましょう!やれ01!」
掛け声を合図に上空からサリエル目掛け魔力の塊が落とされる。
瞬時に上に手を上げ結界を張り防衛するが、結界にぶつかった途端に結界が砕け散る。だが、すぐに二枚目を張りどうにか防ぎ切る。
二つの魔力の塊の衝突は会議室を半壊させ、ミカエルは外へとすぐに飛び出る。
「こい01」
「了解しました。マスター」
空から降りてきたのは一人の少女だった。
その少女の額の上には幾何学的な模様の光輪が輝き、腰からは一対の白い羽を生やした天使だ。
手には黄金色の身の丈以上あるハンマーを持っていて、ハンマーからは微かに神性を感じられる。
左手でそれを持ち空いている右の手からは魔力が迸っていた。