木場きゅんに憑依した俺は皆に勘違いされながらも生きていく   作:暁紅

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本来はこの回でエクスカリバー編は終わるはずでした。が、後半のとあるシーンのせいで筆が進み、これ以上やると一万文字超えそうだったので分割しました。

それと一応言っておきます。作者はホモではありません。タグには追加しましたが


新たな被害者現れる。

 

翌日。聖剣結合の当日となった。すぐにでも開始したいのだが、駒王学園には部活の生徒が多数いるので、生徒全員が帰宅し教師のあまりいない九時から開始する。

 

その際に『地脈』から魔力を抜き取るので光の柱が発生し、近隣住民に迷惑がかかる事を考え学園を全て覆う範囲の結界を張った。中二病を除けば優秀なゲオルクが制作したので耐久力などは心配ない。

 

と、結界を張れば自称この土地の管理者が校舎の方から現れる。

 

「何をしているの!!」

「先日ぶりとなるのかねリアス嬢」

「影胤...また貴方なのね...今度という今度は阻止するわ!」

 

現在のリアスの勝率は0%で勝てた試しがない。それでも周りからは相手が悪かった。蛭子影胤は強すぎるから仕方がない。などの励ましばかり。

 

腸が煮えくり返る程の怒りが溜まっていった。誰もリアス達の実力不足を指摘せず、多分魔王の妹に媚を売るために批判しない。ただただ悔しかった。だから力をつけるため必死に特訓し、万全とは言い難いが力は付いたと思っている。

 

「あと一時間だ。フリード時間を稼いでやれ」

「俺っちかよ!まぁ別にいいけどさ...はぁ...時間稼ぎか......はぁ...」

 

フリードがため息を吐きながら前に出て、つい昨日奪い手に入れた新たな武器デュランダルを掲げる。

 

「デュランダル!まさか!貴方達!!」

 

リアス達悪魔にとっては聖剣はどんなに鍛えてもノーダメージにはならない武器だ。その中でもトップクラスのデュランダルとなるとリアスですら一太刀の元に消滅してしまうかもしれない。

 

だが、デュランダルと対峙する事は無いはずだった。

 

今回コカビエルと呼ばれる堕天使により保管してあった聖剣(エクスカリバー)が六本も強奪され、かなりダメージを負ったらしく唯一派遣されたのが少女一人だった。

 

最初は教会側も形だけなのかと思ったが、彼女の持っていた武器によりその考えは吹き飛んだ。なんとデュランダル使いだった。

 

聖剣の中でトップクラスの破壊力を持つデュランダルを所持していた彼女には驚いたが、それならば実力は折り紙付きだと思っていた。

 

先日自身の眷属の悠理と一緒に影胤達を追跡し結局戻らないので心配はしていたが、まさか殺られ武器も奪わられていると思っても見なかった。その事を考えると悠理は......ちなみにゼノヴィアは殺されてはおらず、子供達と遊んでいる。

 

空に一人だけで浮かんでいる黒髪の男の堕天使が黒き羽を羽ばたかせ大声を上げる。

 

「さて。お初にお目にかかる私の名はコカビエ」

「そんな事はどうでもいいわ!!悠理は!悠理はどうしたの!!」

「そんな事...ふふ...どうせそうなんだ...はははは...あぁ...メルルちゃん可愛いな。メルルちゃんメルルちゃんメルルちゃんメルルちゃんメルルちゃん」

 

『そんな事』と言われ無視されたコカビエルはいじけ、地上に降りて懐から大人気アニメ『星くず☆うぃっちメルル』のメインキャラのピンク髪のツインテ少女メルルのブロマイドを取り出し頬刷りし始める。

 

コカビエルは過去にも何度かこのような経験があり、その果てに自分を無視しない二次元にどハマりしてしまった理由がある。

 

完全にやばい人になってしまったコカビエルを蚊帳の外に話は進む。

 

「そうだね。その名前で呼ぶのは勝手だがあまり好ましくはない。琴音が本当の名だ」

「な、なんでその名前を!」

「さてね、それと後ろにも意識を向けた方がいい」

 

後ろを振り返るとそこにはいつもの薙刀を持っている悠理が立っている。

 

「悠理ちゃん良かった!無事だったんだね!」

「.........」

「悠理ちゃん?どうし」

 

様子のおかしい彼女に疑問を思い一歩前へでた瞬間刃先が地面スレスレにあった薙刀が水平に上げられる。あと二歩進めば刺さる距離に刃先があった。

 

迷いなどがあれば刃先が震えるなどの異常があるのだが、彼女の薙刀は震える事はなく一心に一誠を見据えている。

 

「それ以上近づくならば切ります」

「なんで...」

「今回ここに来たのは今までお世話になったリアス様への挨拶です。今までお世話になりました、ありがとうございました」

「どうして...まさか洗脳したのね!!」

「洗脳?そんな野暮な事はしていない。全て彼女の意思さ」

「何かあのキャラキモいね」

「やっぱりそう思うよな。俺っちもあれはさすがに」

 

いつの間にかフリードの隣に移動した琴音と愚痴っていたフリードの頭にゲンコツが落とされ、その場に蹲る。無論ゲンコツを落としたのは影胤だ。

 

楽しそうに見える光景を見てもなお洗脳されたとしか考えられていなかった。眷属に自主的に逃げられた等と広まれば慈愛の深いリアス眷属の名が落ちてしまう。

 

結局その場合も周りからは洗脳されたと言われ続けてしまうだろう。それでもリアス自身も逃げられるとは思っていない。

 

「ふざけるなよ...ふざけるなぁぁ!!!」

 

湧き上がってきた激情のままに神器を展開して殴り掛かる。彼も洗脳されたと思っているようだ。

 

「ふむ」

 

一応基礎トレーニングを行い上がってきた身体能力を倍加した渾身の一撃を叩き込むが、一声の元に拳を人差し指だけで止める。

 

二次創作物に多い止め方だが普通に考えたら大怪我必至の技だ。なのに止められたのには理由がある。

 

見えないレベルで斥力フィールドを発生させ指先だけで止めたように見せただけだ。結論から言えばカッコつけたかったとしか言えない。

 

あまりにも無駄に過ぎる行動だが今の一誠には充分心にダメージを与えられ、小さな斥力フィールド弾き飛ばす事で一誠を強制的に吹き飛ばした。

 

その時と同タイミングでオカルト研究部の地下が爆発し、そこからは一人の男が少女を抱え飛び出てきた。

 

 

オカルト研究部には地下がある。地下と言っても秘密基地のようなコンクリートむき出しなどの物ではなく、上と同じ作りだ、

 

なのだが地下に限って大量の罠が設置されていた。

 

一人地下を進むアーサーは発動する罠を真正面から破壊していく。

 

魔力の塊が飛んでくれば聖剣で切断。

魔力の鎖が飛んでくればまた聖剣で切断。

 

ビバ聖剣。叫びたい気持ちを抑えながら進みとある部屋の前で止まる。

 

KEEP OUTと書かれた黄色いテープで扉を固定し、ドアノブを鎖で封印している部屋だ。

 

今回この部屋に来たのは祐斗から命令されたためで、どこで情報を得たのか知らないが中にはとても危険な神器を持った少年が封印されていて、その少年の確保と目的の手伝いをするとこの事。

 

目的が何かは当人に聞けと言われたので知らないが、協力しなければいけないほど難関なのは分かる。

 

「切りますか」

 

正規の手順ではないと罠が発動するかもしれないが、ここまでの罠で難易度はかなり低いのが分かっているので警戒することなく両断する。

 

ドアが縦に真っ二つに割れ地面に転がる。その音に反応したのか奥の方にあるダンボールがびくりと飛び上がる。

 

「ギャスパー・ヴラディで合っているか?」

「な、な、なんで僕の名前を知ってるんですかぁ!!」

「君の保護をするためだ」

 

剣を握っている手を瞬時に振る。並の人間には一回しか振ったように見えないだろうが、実際はダンボールを細切れにするほど振っていた。

 

自分を隠す物が無くなった少年がその姿を現した時アーサーはいつもの無表情な顔を驚きで染める。

 

出てきたのは自身と似たような金髪ブロンドヘアーに、少年と聞いてはいたが中性的な顔立ちで目元に涙を浮かべている。口元には小さな尖った八重歯が見え隠れしている。

 

それでもまだ序の口で一番驚いたのが服装だった。少年だと言われていたのでズボンなどの男子服を想像していたのだが、彼が着ているのは少女の服だった。

 

フリルがふんだんに施されているスカート。全体的に細い中足先から太ももまで覆う黒いタイツのような物は、彼の顔も相まり小動物のような可愛さを生み出している。

 

「なん...だと......」

 

妹至上主義のアーサー出会っても彼との出会いは衝撃的で、男と聞いていなければ問答無用で妹にしていたかもしれない。だが男だ。

 

何度でも言おうだが男だ。

 

「くっ...なんだこの気持ちは...私は...」

「だ大丈夫ですか?」

 

剣を手元から落としその場に蹲ってしまったアーサーにギャスパーはオドオドしながらも駆け寄り、背中をさするため膝を曲げる。

 

彼の履いているスカートはミニスカートのようで膝から上までしか無く、しゃがめば自然とスカートの中が見えてしまう。

 

見てはいけない。彼は男なのだ。そう言い聞かせるが頭は身体は従わない。もしかしたら心も本当は覗きたかったのかもしれない。結局欲望には抗えず覗く。

 

女装少年の彼は下着までも女物にしていて、下着だけは大人びた色気のある黒だった。

 

「わ、わわ鼻血が!」

「大丈夫だ、問題ない。ただこれ以上近づいてぐふぁ!!」

 

ギャスパーは鼻血を流しながらも笑顔の彼が心配で、近くにあったハンカチを持って顔を吹くため近づくのだが、胸元のボタンが上から三つハズレはだけたワイシャツから、ノーブラなためかピンク色の突起物が見え口からも血を吐いてその場に倒れ込む。

 

男だと理解はしているのだが、どうにも彼を見るたび胸が無性に苦しくなり抱きしめたくなる。

 

「うううどうしよう。どうしよう」

「はぁ...はぁ...君は何がしたい...」

「立ち上がっちゃダメですよ!!まだ横になってないと」

「いやいい!これでいい!君は何がしたい」

 

目を開ければ確実に暴走しかね無いので目を瞑り聞いてはいるのだが、どうにも幼女を誘拐しようとするやばい人にしか見えずこれで喋れる訳がない。

 

愛想笑いを浮かべるもアーサーは諦める事無く攻め立て続ける。あまりの威圧に徐々に後ろに下がり足元にあったゲームコントローラが引っかかり後ろに倒れてしまう。

 

目を閉じてはいたが彼の挙動一つ一つを耳で聞いていたアーサーは物音から、彼が倒れそうなのを察知し立たずに、滑るように一瞬で回り込み倒れそうな彼をキャッチする。

 

手の中に収まった彼の髪はなびき花のいい匂いが鼻腔を擽り、柔らかい生肌に触れる事が出来た。

 

と、ある違和感に気づいた。指先に当たる硬い何か。コリコリしたそれは触れるたびに勝手に動き、人差し指と親指で弄り始めると無性に楽しくなる。

 

子供が家のインターホンで遊ぶような感覚で最後にテッペンの方に爪先を入れた時、これが何だったのか理解した。

 

「あっ、んっ......はぁ...ううん...ああっ......ひゃっ...」

 

天使のような声で妖艶な音が耳元でなり続けるその様は、至福のときにほかならなかった。

 

ギャスパーは声を抑えようと手で口元を覆っていたが、次第に激しくなる絶技に我慢しきれず口から喘ぎ声が漏れ出ている。

 

ギャスパーは恥ずかしくて自分の神器を使う。

 

停止世界の邪眼(フォービドウン・バロール・ビュー)それがギャスパーの持つ神器だ。

 

神や魔王クラスの者にも作用し、最強とも言える能力時間停止を行える。だが、彼はその制御ができず危険視されたので封印されていた。

 

能力発動時は周りの世界が白黒く染まり、自分以外が何も動かない。さっきまで話していた人が目の前で固まり、仲のいい人も石のようにピクリとも動かない。

 

その光景は目に焼き付いていて恐怖以外の何ものでもなく、封印と称して隔離されるのは自分的にも良かった。

 

そうすれば誰も目の前で動かなくなる事はなく、迷惑がかからない。自分だけが動いて知覚できる孤独な世界。

 

「なんだこれは?」

「な...んで...」

 

だったはずなのだが胸を揉みしだいている彼は平然と動いていた。ありえないその現象は衝撃的で、目からは嬉しさのあまり涙が零れていた。

 


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