木場きゅんに憑依した俺は皆に勘違いされながらも生きていく   作:暁紅

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長くなりそうだから分割


オタクは強し.....時と場合によるが

 

一誠覚醒からから一体何日経ったのか分からない。しかし一つだけ分かることがある。

 

クーラー作ったやつまじ偉大。

 

「もういい加減出てください」

「あと...10分...」

「ダメですさっきもそれで誤魔化されました!」

「なら...3600秒」

「それなら...それ1時間じゃないですか!ダメです起きてえええ!!」

「アーシアちゃん無理だぜ。旦那はそうなったら意地でも起きないからな」

「我もそう思う」

「しっしし、チックメイトだぜ姉御」

 

祐斗は疲れたといい未だにベットに引きこもりクーラーを使い完全にヒキニートになっていた。

 

どうにかアーシアは頑張って起こそうとするが、どんな手を使っても起きない。

 

フリードとオーフィスはすでに起こすのを諦めチェスでお菓子を買ってくる事(罰ゲーム)をかけて勝負した。

 

そもオーフィスはチェスのルールを知ったのは1時間前、それで勝てれば凄いと言えるだろう。

 

ゲームの内容はかなり接戦だったのだが......

 

オーフィスがお菓子を買いにドアを開けようとした時、アーシアを除く3人が何かの気配に気づき起き上がり臨戦態勢をとる。

 

アーシアは頭を傾げ何が起きているのか分かっていない。

 

空気は張り詰めクーラーの稼働音が虚しく響く。

 

2秒ほどアーシアにとっては10秒以上に及ぶ張り詰めた空気は、ベランダに発生した小さな音が破壊した。

 

物音と同時に祐斗は体制を低くしベランダに続く窓に一瞬で移動する。

その速度はフリードの動体視力を持ってしても瞬間移動したように見えた。

 

祐斗は移動するとそのまま夫婦剣で窓ガラスを粉々に切断し、目の前にいる物音立てた男に襲いかかる。

 

男は背中に生えた8対の黒き羽の内2つだけを動かし、夫婦剣にぶつけ破壊する。

 

(強い。俺っちも行くか!)

 

フリードやオーフィスも相手の実力がどれほど高いのか理解出来た。

 

祐斗の夫婦剣はいかに即興で作ろうとも、並の人間では破壊できない。禍の団(カオス・ブリゲード)では曹操しか破壊できずそれも時々しか破壊できない。

 

目の男はそれをすまし顔で行っていた。

 

使ったのは2つの羽のみ。となると未だ本気ではないと思われる。

 

フリードは祐斗の背中に隠れ男に気づかれないように近づき、祐斗が次に創り出した夫婦剣で切りかかると同時に、顔の横から剣を突き出し隙をついた不意打ちをする。

 

だが男は口元歪ませ笑う。

 

この状況下で笑ったのだ。目の前の男は。

 

2人は油断したと自分の行動を後悔した。この状況で笑えるのは並大抵の実力者ではなく。確実に2人の予想の上を行く存在だ。

 

夫婦剣は男に当たる前にまたも砕け散り、フリードの持つ魔剣は男の差し出した右腕の掌に当たり、貫通すると思ったがそんな事は起こらず、まるでマンションに爪楊枝を思いっきり刺したような衝撃が腕に伝わり魔剣の根元から刀身はへし折れる。

 

「争う気はないぞ」

「はは。冗談も休み休み言えよ。そんなオーラ飛ばしておいてはいそうですか、とはならねえよ」

「そうだな...すまない」

 

男はさっきまで放っていた不気味なオーラを消して羽を自分の身体の中にしまう。一応男が消したのでこちらもと武器を消す。

 

ここでようやく顔を見ることが出来た。

 

フリードは誰だコイツと思っているが祐斗には心当たりがある。てかコイツしかありえないと断定すらしている。

 

男の髪は黒だがかなり長髪だ。意地でも切りたくないという意思なのか、その長髪を後ろでヘアゴムを使って止めている。

 

今はさっき程は笑っていないようだが、その普段の顔からも見て取れるようにどう見ても悪人面で、耳もエルフのように尖っている。

 

その男は正しく原作で一誠達を苦しめ、ヴァーリのかまセとして処理された残念な男。コカビエルだった。

 

 

 

コカビエルは出された紅茶を啜ると、疲れたとため息を吐き机の上に置く。

 

「すまないな。お茶まで出してもらって」

「いえ大丈夫ですよ。いつもの事ですから」

 

アーシアはニッコリと笑い返答する。

 

それもそのはずだ、少し前にも話したとおりこの場所は密会場所として使われる。

そのため現在ここに住んでいるアーシアは、毎度毎度知らない人が現れその人に対してお茶入れるのが普通となっていた。

 

なので特に負担ではなく、茶菓子として何を出そうかなと考えてすらいる。

 

「えっとそれでコカビエルさんで合ってますか?」

「フハハハ!コカビエルさんか、コカビエルと呼び捨てでもいいぞ」

「そうですか。それじゃあコカビエルは何でここに?」

「む?アザゼルから電話が来ていないのか?」

 

おかしいなと首を傾げる。

今回コカビエルはとある目的のためにアザゼルに相談した。

 

するとアイツらがいいと言われ駒王町の一角にあるこのマンションへと来ている。

その時連絡入れとくわと言っていたはずなのだが.....

 

祐斗は慌ててスマホを起動させ連絡欄にあるアザゼルを選択して電話をかける。

 

1回目は留守番電話が出るまで続き、再度かけなおすとすぐに眠たげなアザゼルの声が聞こえてくる。

 

「ふぁ...なんだよ...昨日徹夜で...まだ眠いんだが...」

「コカビエルさんがこっちに来てるんだけど」

「着いたのか」

「うんそれはまぁ無事にね。けど問題は連絡がアンタから入ってるって言われたけど、1度も連絡はきてない。どういう事?」

 

寝起きだったのか電話の向こうから何やらがそごそしている音がしていたが、祐斗が聞いた瞬間その音は消える。

 

無音の状態はそのまま続く。

 

「おい」

「いやーごめんごめん忘れてた。テヘペロ」

「オーフィス、アザゼルが自由にご飯食べにこいって言ってるよ」

「今すぐ行く」

「な!馬鹿おま、それはまず」

 

アザゼルが拒否する間もなくオーフィスは瞬時に次元の裂け目を通り神の子を見張る者(グレゴリ)につく。

 

オーフィスを見つけた堕天使は神の子を見張る者(グレゴリ)全体に、超絶天災緊急時警報を発令した。

 

神の子を見張る者では数々の危険な研究がなされている。そしてそれらが流出しないように徹底しているがそれでも完全にとは行かない。

 

そこでもしもの事態にさいして警報を定めた。

 

ウイルスや最近の流出は厄災。

第三者の介入による事件は天災。

 

それらの脅威度を表すのが、

非常時→危険→災害→崩壊→絶望と上がっていき。

それら全てを凌駕する時は超絶となる。

 

オーフィスは過去に神の子を見張る者(グレゴリ)に出現し、存在していた食材全てを食べ尽くした。

 

その時全体の約3分の2の施設が機能停止し、堕天使も怪我人が多くでた。

 

オーフィスに何故そのような事をした?と聞いたら腹が減ったからと答え周囲を呆れさていた。

 

そして今宵それが再発しようとしていた。

 

「アザゼル!急げ侵入を防ぐぞ!」

「なぁ!マジでやりやがったな!」

「急げ!!」

 

電話の向こうから聞こえる慌ただしい音にガッツポーズをして勝手に切る。

 

電話が終わりコカビエルを見るとあまりにも衝撃的で顎が外れそうになる光景が目に飛び込む。

 

「アーシア嬢。私と契約して魔法少女にならないか?いやなろう是非ともなろう」

「いえあのその...宗教的に...」

「宗教だと?何をふざけた事を...神が死んだ上にゴミエルが回してる宗教など辞めてしまえ」

「神が死んだですか...」

 

アーシアの顔からみるみる血の気がひき意識を失って倒れる。フリードは咄嗟に踏み出し地面に倒れる前にキャッチする。

 

やはりまだ完全に神への信仰心は消えておらず、そこそこの精神的ダメージが入ったようだ。

 

フリードに指示を出しベットに横にさせる。

 

「すまなかった...まさかこんなに信仰心が強い者がいるとは思っていなかった」

「別にいいですよ。それがアーシアさんのいい所ですから。それで要件は何ですか?」

「...実は過去の対戦時にゴミエルはエクスカリバーを湖から強奪した。それを返したいと思っている」

「エクスカリバー...」

 

エクスカリバーと言う言葉が出てきたのならば物語は多少誤差があっても、順調に進んでいるようだ。

 

「それとアザゼルが、何でも言うことを聞くと言ったよなと」

「なるほど...なら断れませんね。しかしそれをコカビエルさんが行うメリットは?」

 

そう原作通りのコカビエルであればまた強者と命をかけて戦いたいと思っていたのだが、どうにも目の前の男はそれとは随分とかけ離れているように感じた。

 

むしろ悪さをしなさそうな気弱な男の子と言った雰囲気だ。

 

「昔は戦闘狂だったはず」

「オーフィスちゃん」

 

オーフィスは口から黒い羽が出ていて、口が何やらモゴモゴ動いているが今は無視をする。

 

それに気になるのは昔は戦闘狂だった。

となるとやはり今は戦闘狂ではないという事だ。

 

「そんな時もあったな...今はコレがあるから戦闘とかどうでもいい!!!」

 

背負っていたバックから取り出したのは、小さなお友達から大きなお友達に大人気の『魔法少女プリキャラ』の一番人気キャラ『村瀬ハクア』のブロマイドだった。

 

そのブロマイドを頬擦りしながら目をランランとさせている。

 

まさかのオタクだった。

 

「おおう」

「そんな俺だが。本来湖の妖精達の物のエクスカリバーを返したいと思っている」

「......うんそれじゃあ今どこまで進んでるの?」

 

これは当たり前の問だろう。

 

今はエクスカリバーと言う名が出ただけであって、すでに数本所持していない場合がある。

 

そうなると奪還計画を今から考えねばならなくなる。

 

それ予想していたのかコカビエルは亜空間に手をツッコミ、6本の聖剣を取り出し目の前に放る。

 

破壊に特化した【破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)

形態を変化させられる【擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)

使い手のスピードを強化する【天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)

幻術を操る【夢幻の聖剣(エクスカリバー・ナイトメア)

透明化できる【透明の聖剣(エクスカリバー・トランスペアレンシー)

祓いの力を強化させる【祝福の聖剣(エクスカリバー・ブレッシング)

計6本だ。

 

 

 


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