木場きゅんに憑依した俺は皆に勘違いされながらも生きていく 作:暁紅
何か最初と比べ確実に文量が落ちてきてる...何故だろう?
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とある街の廃工場の横たわっている電柱に腰を置く。
今の木場は正体を隠すために口元と目が笑っている仮面を付け、黒のシルクハットを被り赤のタキシードを着ている。
「このバケモノが...」
「ヒヒッ...バケモノはそちらだと思うがね」
今の木場の前には四肢がもがれて血が溢れて死んでいる悪魔が転がっている。その中で、1人ギリギリ生きている悪魔が呟いた。
この惨状は別に今日だけでは無かった。
3日間人外達と戦い、その全てを惨たらしく殺していた。理由はとある人物がここにいると分かっているので、誘うために沢山殺していた。
ギリギリ生きていた悪魔も遂に死に、次はどんな奴かな?と待っていると、廃工場の大きな扉が開かれ、目的の相手の2人と遂に相対する。
「これは君がやったのか?」
「もちろん。君もやるかね?」
「いや遠慮しておこう。なにせ俺は強者と戦いたいからな」
殺気を放ってきた男は、髪が普通の人間であればかなり珍しい分類にある銀髪で、体格もかなり良く戦闘なれしている事が分かる。見た目は20歳程度だが、彼から放たれる殺気は並大抵の物ではない。
その後ろに控えているのは虞淵の出身地である中国風の服装に、手に持っている棒と額に付いている輪っかからその正体は理解できる。
「いやはや待っていたよ、ヴァーリに美候」
「おっ?俺っちの名前知ってたのか、それにヴァーリの事も」
「今回の目的は君たちだからね」
「目的だと?」
木場は今付けている仮面とタキシードを脱ぎ、綺麗に畳むとその場に置き、両手を広げる。
「ヴァーリくん。付き合って欲しいんだ」
「「は?」」
「ん?もう1度言うね。僕と付き合って欲しいんだ」
「なっ!貴様理解していのか!俺は男だぞ」
「うんそれがいい」
木場の心情としてはヴァーリの性格上戦闘にしか興味が無いので、決して家にいるホモにはならないと。だが言い方がかなり悪い。
「くっ......そんな事を言われたのは初めてだ」
「なら良かったよ」
「だが、本当にいいのか?俺は男だぞ?」
「さっきも言ったけどそれがいいんだ」
ヴァーリは何故か若干頬を染め、数回空気を吐くと息を決めたのか、神器の禁手を使い白い鎧を身に纏う。
「勝てば付き合ってやる!」
「なら勝つよ」
木場はいつもの夫婦剣を作り、それを手始めにヴァーリへと投げつける。
投げられた夫婦剣を殴り破壊する。
なら次だと今度は2倍にして投げるも、今度は手足を使い破壊した。
手元に夫婦剣を作ると、足元に魔力を込め壁をかけ登る。ヴァーリは現在空を飛んでいるので、攻撃を当てるためには接近戦しかない。
「壁上りだと!ジャパニーズニンジャか!!」
木場がかけ登っている壁から離れようとするが、地面から長く巨大な剣が生えヴァーリの行く手を阻む。
「なに!」
「今だ!!!」
手に持っていた夫婦剣を投擲する。飛んでくる剣を粉砕すると驚く光景が飛び込んだ。それは木場の手には禍々しいオーラを放つ大剣が握られていたからだ。『魔帝剣グラム』木場の持ちうる剣の中で最も破壊力のある魔剣だ。
壁を蹴り飛躍して魔剣を躊躇なく振り下ろす。当たる寸前で身体を上手く使って停止させる。
「何故切らない」
「僕は君に付き合って欲しいからだよ」
そうかと呟くと禁手を解除して地面に降りる。地面から生えた剣を足場にして地面へと降りる。地面に着くとヴァーリに手を差し出す。
「僕の名前は木場祐斗だよ。ヴァーリ・ルシファーくん」
「知っていたのか......まぁ当たり前か」
ヴァーリは木場の差し出した手を掴むと、身体を前に乗り出し木場の頬に柔らかい感触が発生する。
え?いや何で......
「これで良いだろ。これでも恥ずかしいんだ」
oh...Jesus
胃が急に締め付けられる感覚がした。
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あの後どうにか誤解だと解こうとしたが、全く聞き耳を持ってもらえず、付き合っている事になった。
まさかのまたホモ。もう疲れたよ状態の木場は、トボトボと歩いていた。
帰るには魔法陣を使えば良いのだが、あまりの出来事に頭を冷やそうと歩いていた。
その時ふと視界の端に偶然一つのダンボールが映る。そのダンボールには1匹のボロボロな黒猫が入っていて、歩行者に見やすい方向に紙が張られている。紙には「拾ってください」と書かれていた。
「猫......」
周りに誰もいないか確認をすると、少しづつ猫に近づき手を伸ばす。
黒猫はどうにか体力を尽振り絞ってペロッと指先を舐める。
「はぅぅぅぅ~~!!!かぁいいよ!!!お持ちかえり!!!」
黒猫を持ち上げ頭に乗せて、さっきの出来事が無かったように元気のいい笑顔になり、魔法陣に乗って帰宅する。
その後名前が黒猫だからと「ちょむすけ」と名付けられ、それに中二病のゲオルグが反応し「我が血が騒ぐぅぅ!!」と叫び出して、黒猫が浴衣を着た黒髪の美人となり一悶着あったようだ。