木場きゅんに憑依した俺は皆に勘違いされながらも生きていく 作:暁紅
何か英雄派(笑)がかっこよく見えてきた。
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次元の狭間から帰ってきた2人は目の前にポツンと置かれている、ポカリをがぶ飲みする。
ポカリの側には雑な字で『疲れたでしょ。飲んでいいわよbyジャンヌ』と書かれたメモ用紙が置かれている。
2人はジャンヌらしいなと少し笑う。
「さて皆に説明せねばな...それとどこか適当に役職を付けることになるがいいか?」
「......いいよ」
まぁ曹操を倒したんだからある程度役職ないとダメだよな。そこは諦めるしかないか。
曹操は木場の返事を聞くとスキップしてその場を後にする。確実にキャラ崩壊してる気がするが無視だ。
曹操の足音が消えるまで待ち消えた所で、近くにいるであろうオーフィスを呼ぶ。
すると近くにあるタンスの扉が開き、中で足を抱えて体操座りしているオーフィスが現れる。
ぶふぅぅ!!危なかった!ロリコンだったら死んでる所だぜ!!ふぅ...俺はぺドフィリアだからな......あれ?そっちの方が不味いのか?
1人で心の中で会議をしていると、いつの間にかすぐ近くに来ていて顔を覗いてくる。
「ジーーー」
「えっとどうしたのかな?」
「ジーーー」
「本題に入れってことかな?」
コクっと首を縦に振るとまた「ジーーー」と言いながら見つめてくる。どこぞの宇宙人だよと思いながら、もう一度次元の狭間を作って一緒に来てもらう。
次元の狭間に来るとひとまず上半身の服を脱ぐ。
いや別にいやらしい意味は無いよ。そこ!ふぅーーとか言わない!てかどこで知ったのそんな言葉!そんな言葉を言う子に育てた記憶はありません!あっ、さっきあったばかりだから当たり前か。
テヘペロと下を出して頭をぽかんと叩こうとしたが、木場の顔でやったらかなりシュールになるのでその気持ちを抑えた。
オーフィスに見てもらうのは原作の木場には無かった物だ。
「これを見て欲しいんだ。
あるワードを呟くと背中に黒い鴉の羽のようなものが生える。その数は教会脱出時よりも増え、現在は5対5の系10枚の羽が生えている。
目からはハイライトが消えるが、ひび割れは起こらない。今は制御が出来るので抑えられる。
この姿を見たオーフィスは一瞬頭を横に傾げると、羽をペタペタと子供が玩具で遊ぶように触れ、羽を数枚もぎ取り食べると確信を持った用に語り始める。
「血の中に薄らと堕天使の血が流れてる。生えた理由は神器にある」
明らかに説明不足のような気もするが、こちらもあらかた仮説が立っていたので、オーフィスの発言により確信を得る。
薄らととの事から何世代もこの血が受け継がれてきたのだろう。初めは朱乃さんのように普通に羽も出せたが、次第に出せなくなり忘れていったと思う。
そこで奇跡とも言える事が起きた。
神器の禁手だ。
俺の神器は『
堕天使とは聖なるチカラから魔・悪に落ちたものを言う。
聖は元から持っていた聖剣の因子が補い、魔の力を神器の禁手が補った事で目覚めたのだろう。
正しく神の不在だからこそ起こりえた奇跡。
てかこの木場祐斗の存在そのものが、神の死を意味していると言っても過言ではない。
まぁここまでは分かってた。問題はこの次だ。
抑えてた力を解放する。
上半身裸になった事で分かったが、ひび割れは心臓の箇所から伸びていて、太もも~顔の頬に向けて広がっている。
やはりそのひび割れからは謎の黒い靄が放出される。
その靄にオーフィスが触れると、触れた指先が粒子になって消えてく。
それに驚き急いで魔力を当て治療をする。顎の部分に手を当て暫く考える。
「分からない」
「ダメかな?」
「無理。我は見てきた知識しかない。こんな物見た事ない」
「そっか」
羽のことについては分かったが、この靄については以前不明。 今は諦めるしかないかと羽をしまう。
すると少し後遺症がでて、ふらっと倒れかけ片膝をつく。
「魔力が殆どない。羽が原因?」
「多分ね。子供の時もそれが理由で倒れたんだと思うよ。今は多少なりとも増えたから、これだけですんでるみたいだね」
立ち上がろうとするも足が痺れて立ち上がれない。そんな中オーフィスが段々と近づいてきて、突然唇を奪う。
は?いや、あのえあ
そのままオーフィスは舌を入れ口の中をまさぐる。時間にして1分。童貞の男には充分堪える時間だ。
舌を抜いて唇を離すと一筋の涎が伸びる。
「何...を?」
「我魔力上げた」
「魔力?」
「魔力少ないのが倒れる理由。なら魔力増やせばいい。だから我の無限に近い魔力の半分を上げた」
半分?ちょっと待っててことは、まさか今天龍より魔力持ってんの!ふぇあ!何それ!とんだチートだよ。
「どうして?」
「我お前のような人間見てきた。その人間達は皆死んでいった。何故かは分からないけどお前に死んで欲しくない」
はは、感情ないとか言われてるけどちゃんとあるじゃん。
それに感動しオーフィスの頭を撫でると、少し擽ったそうにして木場の肩に乗る。
「どうしたの?」
「我どうすればいい?」
「?」
「話聞いてた。戦わなくなれば、我の利用価値が無くなって捨てられる」
捨てられる。何か道端に捨てられてる子猫みたいだな。うん可愛い。
随分と可愛い事で悩んでいたオーフィスに、クスッと笑うとオーフィスが頬をふくらませる。
「笑い事じゃない」
「ごめんごめん。随分と可愛いこと言うなって思ってね」
「ぷーー」
「だってさそれ言うって事は、ここが居心地がいいんでしょ?次元の狭間よりも」
「居心地...いい。けど我以外は」
「思ってない?そんな事無いと思うけどな。後で聞いてみるといいよ」
「分かった後で聞く」
2人は親子のように仲睦まじく次元の狭間から出る。
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いつもの世界に戻ると目の前には、曹操とヘラクレスとゲオルグとジークが麻雀をして待っていた。
「すまないロンだ」
「ち!また負けた」
「馬鹿な作戦は完璧なはずだ」
「はぁ...お小遣いが減る」
「賭け麻雀かな?」
「む、帰ったリーダー」
「リーダー?」
何か聞き捨てならない言葉が聞こえた気が。
「?役職を決めていいと言ったのはリーダーだろ?」
「けど僕は」
「あんまり居ないか?別にいいさ。名前さえ貸してくれればな」
ならいいのかな?てか今はそんな事じゃなくて。
後ろに隠れているオーフィスの背中を押して前にだす。オーフィスは身体の前で手をモジモジさせながら、何かを喋ろうとしてやめる。
何これ可愛いすぐる。
「どうしたオーフィス」
「我......我の事...嫌い?」
ぶふぅぅ!!
その場にいた全員が鼻を抑え、飛び出しそうな鼻血を抑える。
「我考えた。戦わなくなったら、不必要。いらない子だから」
「全くオーフィスは変に考えすぎだ。ここがオーフィスの居場所だろ」
「我...の...」
「そうだぜオーフィス。それにお前の事嫌い?そんな奴いるはずないぜ!」
「あぁ全くだ。ずっとこの先もずっと一緒だろ?何せ家族だからな」
「俺も同意だ」
「なに...これ......」
オーフィスの目からは大粒の涙が溢れる。
それは生まれたきた中で初めて必要とされた瞬間だったからだ。
初めてここにいたいと思ったからだ。
次元の狭間こそが自分の居場所。そう心に言い聞かせてきたが、しっかりと居場所はあった。
だから心からこの言葉をみんなに贈る。
「我...皆の事大好き」
その一言により抑えてた鼻血が溢れ、5人ともその場に倒れビクンビクンと痙攣を起こす。
「大丈夫?」
「だだだ大丈夫だ。ももんんだいないいい」
「ならよかった皆がいないと我寂しい」
もう死んでもいいのかな?
そう心に思い5人は意識を失う。
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木場の目が覚めたのは既に夜のようで辺りは真っ暗だ。
丁度いいと少し身支度をする。
まぁ持つものと言っても非常食ぐらいだが。
持っていくものを大量に詰めた鞄を背負い、1人バレないように外に出る。
なんかあの家族を見てたら余計に早くみんなの元に戻りたくなった。
結構長い間会ってないから、きっと皆成長してるだろうな。
皆がどんなに大きくなっているのか胸が期待が半分、もし忘れられてたらと悲しい気持ちが半分と言ったところだ。
無事に差し足忍び足で外にでると一度深呼吸して、英雄派のアジトに一礼する。
「ありがとうございました。また会えたら」
木場は背を向け皆の元に向けて足を前に出す。
「ふむ随分とかっこよく終わらせたな」
「だから言ったじゃない。てことで私達の勝ちね」
「すまないギャンブルに強くてすまない」
「また負けた!」
木場の目の前には曹操、ジャンヌ、ヘラクレス、ジーク、ゲオルグ、オーフィスが待ち構えていた。
「何で」
「何コンビニ行こうと思ってな」
「私は服の雑誌買わなくちゃ」
「俺は畑に植える種だ」
「釣り道具を買いに」
「俺はふっ...全てを語らない方がカッコイイだろ」
「ゲオルグ中二病?」
「皆...」
「たまたま会ってたまたま行く方が同じなだけだ。それならたまたまリーダーの家に行ってもいいんだろ?」
心強い味方が増え、皆で木場の家に向かうことになる。