かっとビングを得て未来を歩き出したジャックちゃんは強いですねー。
魔本が出現したとされるソーホーエリアに向かい、ジキルから教えられた情報提供者の元へ向かった。
そこは古書店でそこに入ると青い髪にメガネをした少年がいた。
「遊馬、彼はサーヴァントだ」
「え?この子供が?」
「……ようやくか。待ちくたびれたぞ馬鹿ども。おかげで読みたくもない小説を一シリーズ、二十冊近く読み潰すハメになった」
「いきなり馬鹿どもは失礼じゃないですか?ハンス・クリスチャン・アンデルセン」
ルーラーは少年の真名を看破し、その名前に遊馬とマシュは驚いた。
「はぁ!?アンデルセンって童話作家の!??」
「作家ハンス・クリスチャン・アンデルセン──すごい……世界三大童話作家の一角ですよ!」
「ほう。その様子、隠さなくてもハッキリわかるぞ!さては愛読者だな!」
「まあガキの頃たくさん読んだからな」
「好きというか、相当数読み直しをした程度で……」
ハンス・クリスチャン・アンデルセン。
世界にその名の鳴り響く三大童話作家の一人。
日本でも翻訳されて代表作である「マッチ売りの少女」「人魚姫」「裸の王様」「雪の女王」「みにくいアヒルの子」等があるほど有名である。
「すげえな、まさか童話作家のサーヴァントもいるなんてな……」
「アンデルセン、君がここにいるということは魔本のことは?」
「……精霊だと?ほう、まさかこの目で本物の精霊を見ることになるとはな。その通りだ、奴はこの古書店二階住居……つまりまだこの階にいる。隣の書斎だ」
「隣か……遊馬、この狭い室内での戦闘は危険だ」
「それなら外におびき出すしかないな……みんな、魔本と対峙したらすぐに外に出るぞ!」
遊馬たちは魔本がいるとされる隣の書斎へとゆっくり向かう。
扉をそっと開けて見ると部屋の中にはフワフワと浮く大きな本があり、間違いなくあれが魔本なのだが……。
「あれが魔本……あれ?題名が書いてある……」
魔本には題名が書かれており、それを読むと衝撃的な事実が判明した。
「ALICE IN WONDERLAND……アリスインワンダーランド……不思議の国のアリス!??」
「不思議の国のアリス……イギリスの数学者、ルイス・キャロルが書いた児童小説だ」
それは世界的に有名な児童小説である不思議の国のアリスだった。
「なんで不思議の国のアリスの本が魔本!?どういう事だよ!?」
「遊馬君、とにかく外におびき出しましょう!」
「そ、そうだな!」
遊馬たちは困惑する中、魔本をおびき寄せて無事に古書店から外に出すことに成功した。
しかし、魔本を倒そうとしたサーヴァントたちの攻撃が効かなかった。
「アンデルセン先生!なんとかならないか?」
作家であるアンデルセンに何か出来ないかと期待する遊馬だが、そこに予想外の言葉が飛びだす。
「はあ?何を期待しているんだ大間抜け。俺は作家だ、クソ弱いに決まっているだろう」
「そこ威張るとこ!?」
「人々を襲って回る魔本と遭遇したはいいが、俺一人では倒すことなど不可能もいいところ。そこで、肉体労働に適したサーヴァントが来るのをこうして待っていたというワケさ!さあ戦うがいいサーヴァントたちよ!その一部始終、こぼさずメモにとってやろう!」
戦えないが何故か威張るアンデルセンにルーラーは頭を抱えて悩みだす。
「どうして作家系のサーヴァントはみんな変な人ばかりなのでしょう……ううっ……あの光景が……」
ルーラーは作家のサーヴァントに何かトラウマがあるのか少し震えていた。
「……アンデルセン、君は何かあの魔本への対策を持っているのではないか?」
アストラルはアンデルセンがこの状況を打破する魔本への対策があることを推測した。
「ほう?なぜ分かる?」
「君は先ほど、あの魔本と戦える者を待っていたと言っていた。つまり、魔本に攻撃を通すための方法をすでに見つけていると言うことではないか?」
「ははは!君は頭脳明晰な精霊のようだな。確かにそうだ、あれを本だと思うからそうなる。違うぞ、あれは一種の固有結界だ」
「固有結界?あれ?でも俺が知ってる固有結界とは違うような……」
エミヤの無限の剣製とは違う魔本が固有結界に遊馬は首を傾げた。
「そうだ。多くは空間に対して働くらしいが、こいつは違う。存在そのものが固有結界だ」
「存在そのものが……?」
アストラルは顎に手を添えて考える動作をし、固有結界の内容をもう一度思い出して魔本と言う名の方程式の答えを導き出す。
「まさか、術者の心象風景を現実世界に塗りつぶすのが固有結界と言うことは、あの魔本は本来ならマスターの精神を映し出すサーヴァントか……?」
「正解だ!素晴らしい!俺も一時間考える必要のある答えをすぐに導き出すとは!その通り、あれは『はぐれサーヴァント』だ。だからこそ、ソーホーの人々を襲い眠りに落として夢を見させたのだ。ようはマスター探しさ。夢の顕現として、こいつは擬似サーヴァントとしての実態を得ようとしている」
「どうすればいい?」
「名前のない本なら、物語に実体を与える方法なんて簡単だ。聞こえるか!お前に名前をつけてやるぞ、魔本、いいや──『
魔本に名前をつけた瞬間、魔本から光が溢れ出すとジャックと同じくらいのゴスロリ衣装を着た可愛らしい少女が現れた。
「お、女の子!?」
「……ナーサリー……ライム……いいえ、ちがうわ。それは名前じゃない。名前は、
ナーサリーは何かを探しているように不安げな表情を浮かべていた。
「アンデルセン……これはまさか……」
「ああ……ナーサリー、お前にマスターはいない。いや、正しくはこの時代にいないのだろうな」
「どういうことだよ、アストラル」
「……あの子は恐らく、違う聖杯戦争で契約したマスターの心を映していたのだろう。だが、この世界に召喚されてもそのマスターへの想いがあの子の心に残っているのかもしれない……」
時空を超えたマスターとサーヴァントの絆が今のナーサリーの姿を現していた。
「……まさか、名前のない本をここまで愛した
「実体したならこっちのもんだ!一気に決めてやるぜ!」
モードレッドは実体したナーサリーを一刻も早く倒そうとした。
すると、小さな影がモードレッドの前に出た。
「おい、ジャック!何をしている?」
それはジャックで何かを決意した様子でナーサリーを見つめた。
「……私達、あの子とお友達になる。だから攻撃しないで」
「はぁ!?」
「あの子……悲しそうにしていた……助けたい!」
「お、おい!?」
モードレッドの制止を振り切ってジャックはナーサリーに向かって走り出す。
ナーサリーはジャックを敵だと思い込み、手に持つ本を怪しく輝かせた。
「来ないで……来ないで!ジャバウォック!!」
ジャックの前に体が赤黒く、鋭利な爪を持った巨大な怪物が姿を現わす。
「何だあの怪物は!?」
「はっ!?危険だ、ジャック!それは鏡の国のアリスのジャバウォックだ!!」
それは不思議の国のアリスの続編である『鏡の国のアリス』の『ジャバウォックの詩』に登場する、正体不明の怪物でナーサリーの宝具の一つである。
ジャバウォックは鋭利な爪を持つ手を振り上げてジャックを切り裂こうとした。
「くっ!?」
ジャックはナイフを出してジャバウォックの攻撃を回避しようとしたその時。
「ジャック!!」
ジャックの前に一つの影が現れ、ジャバウォックの爪を受け止めた。
「アタランテ……?」
アタランテはジャバウォックの爪をまともに受け、体に爪が何本も突き刺さっていた。
「大丈夫か、ジャック……?」
「何で……?」
「お前が覚えているかは分からないが、私は聖杯大戦でお前の母を殺した……そして、お前を救うことが出来なかった……」
アタランテは聖杯大戦でジャックのマスターの玲霞を殺め、ジャックを救えなかったことをずっと後悔していた。
「だが、ユウマがお前を救い、新たな未来を作ってくれた……こんな事でしかお前への罪滅びしか出来ないが……」
すると、アタランテの体から邪悪な魔力が溢れ、背後に猪に似た魔獣が姿を現わす。
「お前の進む未来を見守らせてくれ!『
魔獣がアタランテを包み込むと邪悪な魔力が爆発し、ジャバウォックを吹き飛ばした。
そして、清楚な雰囲気のアタランテが一転し、綺麗な緑色の髪が白色に近くなり、魔獣の毛皮を両手両足と両肩に纏い、露出度の高い姿へと変貌した。
傷は全て癒え、アタランテは邪悪な魔力で力が満ち溢れていた。
「まさか……アタランテがオルタ化したのか!?」
それはアタランテの宝具によるクラスチェンジが発生してしまい、今ではアーチャーからバーサーカーとなっていた。
「行け!ジャック!!私がこいつを食い止める!!」
アタランテは両手両足を怪しく輝かせ、文字通り獣のようにジャバウォックに襲い掛かった。
「何だあの狩人は、馬鹿なのか?」
「ああもう!なんだよちくしょう!さっさと倒せば済む問題だったのによ!!」
アンデルセンとモードレッドは事態が悪い方向に向かっていることに頭を悩ませた。
「アタランテ……ん?」
デッキケースの中から光が溢れ、勝手に開くと緑色に輝くカードが遊馬の前で止まる。
「アタランテのフェイトナンバーズ……」
それはアタランテのフェイトナンバーズで遊馬が持つともう一枚のフェイトナンバーズが出現した。
遊馬がデュエルディスクを構えてジャックの隣に立った。
「おかあさん?」
「ジャック、お前はあの子と友達になりたいんだな?」
「うん……」
「それなら喜んで力を貸すぜ。ジャック、友達になるにはまずは自己紹介と友達になりたい意思をしっかり見せるんだ。出来るか?」
「やってみる!かっとビングだよ!」
「ああ!かっとビングだな!行って来い!」
ジャックはジャバウォックをアタランテが相手をしている間にナーサリーの元へ向かおうと走り出した。
しかし、
「私を守って……トランプ兵!」
今度はナーサリーを守るように不思議の国のアリスに登場するトランプの兵士が軍隊として現れた。
「トランプの兵士!?しかも多いよ!?」
トランプ兵は約40体もおり、路地では場所も狭まれて一気に満杯となりジャックの行く手を塞いだ。
槍を構えたトランプ兵は突撃してジャックに襲いかかった。
「『
凛とした声が響くとジャックの周りに無数の車輪が現れてトランプ兵の攻撃からジャックを守った。
「おねえちゃん!」
ジャックの後ろに現れたのはブーディカで約束されざる守護の車輪の真の力を解放した。
約束されざる守護の車輪はチャリオットとして乗ることができるが、その真の力はケルトの神々の加護を受けたチャリオットで仲間を守る『盾』として運用するのである。
「私が蹴散らすわ!!『
ブーディカは勝利の名を冠する剣で魔力弾を放ち、トランプ兵を蹴散らしていく。
「手伝います、ブーディカさん!はあっ!!」
「ゥゥ……ァァ……!!」
マシュとフランも手伝い、盾と戦槌を振るってトランプ兵を薙ぎ払う。
しかし、いくらトランプ兵を蹴散らしてもすぐに再生して復活してしまう。
「再生するなんてキリがないわね……」
ジャバウォックもトランプ兵もナーサリーが魔力を与える限り再生し続ける。
「あの子を倒すか、魔力切れを待つかだけど、そんなことは出来ない……!」
ジャックをナーサリーに近づかせる為にはジャバウォックとトランプ兵を一気に短時間で倒さなければならない。
「アストラル、アタランテの新しいフェイトナンバーズがあればいけるよな?」
「ああ。だがアタランテはあのジャバウォックと戦っている。ジャバウォックを誰かが抑えてないといけない」
「よし、ここはホープを呼んで……」
「その役目、私たちに任せてください」
「え?」
「ジーク君、アストルフォ、行きますよ!」
「ああ!」
「うん!」
ルーラー、ジーク、アストルフォの三人はジャバウォックの元に向かう。
ルーラーたちは三人同時にジャバウォックに攻撃してジャバウォックを怯ませた。
「ルーラー!?」
ルーラーたちの突然の乱入にアタランテは驚愕した。
「アタランテ、遊馬さんの元に行ってください。あなたがこの状況を打破できます」
「何故、お前が……」
「私はかつて、ジャックを浄化して倒しました。それがあの子を救う方法だと信じていました。それしか方法はない、誰にもあの子を救えないと……しかし……」
ルーラーは懸命にナーサリーの元へ向かおうとしているジャックの姿を見つめる。
「あの子は遊馬さんに救われ、新しい未来を歩き始めています。だからこそ、私はあの子の行く末を見守り、そして私が出来る事をします。それが私に出来る償いです」
「ルーラー……」
「あなたが私を憎んでいるのは分かります。ですが、今の私の気持ちをあなたに伝えたかった……」
「……感謝するつもりはないぞ」
「ええ……」
アタランテはルーラーの気持ちを受け取り、遊馬の元へと走った。
「ユウマ!頼む!」
「おう、行くぜ!アタランテ!!」
遊馬がフェイトナンバーズを掲げるとアタランテが粒子化してカードの中に入り、遊馬はデッキからカードをドローする。
「俺のターン、ドロー!自分フィールドにモンスターがいない時、手札から『フォトン・スラッシャー』を特殊召喚出来る!更に手札から『フォトン・クラッシャー』を通常召喚!!」
遊馬のフィールドにそれぞれ剣とハンマーを持った光の戦士が二体立ち並ぶ。
「かっとビングだ!レベル4の光属性モンスター二体でオーバーレイ!二体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!!」
光の戦士が光となって地面に吸い込まれて、光の爆発を起こす。
「月の女神の加護を受けし狩人よ!光り輝く金色の弓矢で子供を守る力となれ!!」
金色の月が頭上に現れ、優しい光が降り注がれると光の爆発の中から優しき狩人が姿を現わす。
「現れよ!『FNo.102 純潔の狩人 アタランテ』!!」
オルタになる前の元のアタランテに戻り、体には緑の装束の上に金色の鎧を装着し、金色の装飾が施された天穹の弓を持っていた。
「ユウマ!」
「おう!アタランテの効果!オーバーレイ・ユニットを一つ使い、相手モンスター全てに攻撃する事が出来る!」
アタランテはオーバーレイ・ユニットを一つ握りしめて金色に輝く矢へと変化させて天穹の弓に番える。
「攻撃対処はトランプ兵!!」
「我が弓と矢を以って太陽神と月女神の加護を願い奉る、この災厄を捧がん──『
天穹の弓から放たれた金色の矢は一瞬で大量に増殖し、トランプ兵全てを射抜いた。
トランプ兵はすぐに再生しようとしたが、その前にブーディカはチャリオットを操作してトランプ兵の上にチャリオットを並べてナーサリーに向かう為の道を作った。
「行って!ジャック!」
「ジャックさん、頑張ってください!」
「うん!」
ジャックはチャリオットを足場にしてトランプ兵の上を通り抜け、ナーサリーの元へ向かった。
ジャックがナーサリーの元へ向かっていることに気づいたジャバウォックはそれを阻止するために襲いかかろうとした。
「ちょっ!?流石にこれじゃあ抑えきれないよ!?」
「なんて強力な宝具……!!」
「流石に街中じゃ派手な宝具は使えない……!!」
ジャバウォックを抑えていたアストルフォとルーラーとジークは街中では威力のある宝具を使えないのでジャバウォックの攻撃にただ圧倒されるだけだった。
「遊馬!今こそアタランテのもう一つの力を!」
「おう!行くぜ、アタランテ!」
「ああ!」
この状況を打破するためにはアタランテのもう一枚のフェイトナンバーズを使うしかなかった。
「俺のターン、ドロー!手札の闇属性モンスターを一枚を墓地に送り、 自分フィールドの『FNo.102 純潔の狩人 アタランテ』をエクシーズ素材として、エクシーズ召喚することができる!!」
手札の『ガガガマジシャン』を墓地に送り、『FNo.102 純潔の狩人 アタランテ』の上に光り輝くフェイトナンバーズを重ねる。
アタランテの体が闇に包まれながら紫色の光となり地面に吸い込まれる。
「クラス・コンバート・エクシーズ・チェンジ!!!」
光の爆発が起き、狩人から荒れ狂う狂戦士へとその力を変える。
「純潔の狩人よ!邪悪なる魔獣の力を纏いて逆境を打ち砕く光となれ!!」
邪悪なる魔獣の毛皮をその身に纏い、仇なすものを全て排除するための魔人が降臨する。
「現れよ!『FNo.102
魔獣の毛皮に加え、光から闇に堕ちた堕天使の藍色の装甲をその身に付け、獲物を穿つ巨大な槍を持ったアタランテが姿を現わす。
「アタランテ・オルタの効果!特殊召喚に成功した場合、墓地の闇属性モンスターをこのモンスターのオーバーレイ・ユニットにする!」
コストとして墓地に送ったガガガマジシャンをオーバーレイ・ユニットにし、その力を解放する。
「アタランテ・オルタの効果!1ターンに1度、オーバーレイ・ユニットを1つ取り除き、相手モンスターを全てを裏側守備表示に変更する!」
「正体不明の怪物よ……喰らえ!!」
アタランテ・オルタは槍を投げ飛ばしてジャバウォックの胸に突き刺すとその場に崩れ落ちて動けなくなる。
「そして、アタランテ・オルタが守備表示のモンスターを攻撃した場合、ダメージ計算を行わずそのモンスターを破壊する!行け!アタランテ・オルタで攻撃!!」
「燃ゆる影……裏月の矢……我が憎悪を受け入れよ!『
アタランテ・オルタの体から邪悪な魔力が吹き荒れ、轟く落雷の如く突撃してジャバウォックを貫いた。
深い闇に包まれたジャバウォックは再生することが出来ずに静かに消滅する。
「後はジャック……お前次第だ」
アタランテはジャックの無事を祈った。
☆
仲間たちの力を借り無事にナーサリーの元へ到着したジャックは怯えているナーサリーに向かって静かに歩み寄る。
するとジャックはふと自分が持っているナイフを見た。
これから友達になろうとしているのに武器を持っているのはおかしな話だ。
ジャックは敵意がないことを示すためにナイフと投擲用の黒い医療用ナイフが入った大股のポーチを捨てた。
「え……?」
ナーサリーは自分を攻撃すると思っていたので武器を捨てたジャックに呆然とした。
「はじめまして。私はジャック・ザ・リッパー。あなたとお友達になりたいの」
「私と、お友達に……?」
「うん。一緒に遊んで、一緒にお菓子を食べて、一緒にお昼寝をして……今まで出来なかったことをあなたとたくさんやりたいの」
ジャック・ザ・リッパーとして囚われ、殺人を繰り返してきたジャックには出来なかった子供としての数多の夢……その一つとしてナーサリーと友達になり、これからたくさんの事をやっていきたい。
その願いがナーサリーの心に響くと、ナーサリーは開いていた本を閉じてジャックに歩み寄る。
「まずは……この絵本を一緒に読みましょう?」
ニコッと微笑みながら本を見せるナーサリーにジャックは喜びながら駆け寄る。
「うん!読もう読もう!よろしくね、ナーサリー!」
「ええ……よろしくね、ジャック」
ジャックはナーサリーとお友達になり、敵意がなくなった事で宝具の使用をやめ、ジャバウォックとトランプ兵が消滅した。
ジャックとナーサリーは手を握って笑い合うとそこに遊馬たちがやってくる。
「よっ!ジャック、やったじゃねえか」
「おかあさん!私達ね、初めてお友達ができたよ!」
「良かったな、ジャック!それで、えっと……ナーサリーで良いよな?俺は遊馬だ。悪いんだけど、俺と契約して眠っている人を起こしてくれないか?」
「うん……分かった……ジャックのマスターさんなら信用します」
遊馬はナーサリーと契約を交わしてフェイトナンバーズを生み出し、ナーサリーは眠らせた人達を全員起こした。
眠らされた人たちは特に異常がなく、ナーサリーも悪意を持ってやった事ではないので、これで魔本事件が解決した。
「よし!これで魔本事件も解決だな!ナーサリー、俺たちと一緒に行こうぜ!」
「ナーサリー、行こう?」
「うん!」
「アンデルセン先生も来るか?」
「良いだろう、あまり協力する気はないが、君の力に興味がある。同行しよう」
「サンキュー!それじゃあジキルのアパルトメントへ帰ろうぜ!」
遊馬たちはフラン、ナーサリー、アンデルセンを連れて一旦ジキルのアパルトメントへと戻る。
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久しぶりにFNo.を出せました。
出せるタイミングがやっぱり難しいです(汗)
今回はアタランテで効果はこちらです。
FNo.102 純潔の狩人 アタランテ
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/光属性/戦士族/攻2000/守2000
光属性レベル4モンスター×2
1ターンに1度、エクシーズ素材を1つ取り除き、このカードはこのターンに相手モンスター全てに攻撃する事が出来る。
また、破壊されたモンスターはエンドフェイズ時まで効果を発動する事ができない。
この効果を使用したターン、相手が受ける戦闘ダメージは0となる。
純潔という事もあって光属性限定にしました。
オネストでいけば相手全滅させられますね。
FNo.102 神罰の魔人 アタランテ・オルタ
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/闇属性/戦士族/攻2500/守2000
闇属性レベル4モンスター×3
このカードは手札の闇属性モンスターを1枚を墓地に送り、 自分フィールドの『FNo.102 純潔の狩人 アタランテ』をエクシーズ素材として、エクシーズ召喚することが出来る。
このカードが特殊召喚に成功した場合、墓地の闇属性モンスター1枚を選択し、このカードのエクシーズ素材にすることが出来る。
1ターンに1度、エクシーズ素材を1つ取り除き、相手モンスターを全てを裏側守備表示に変更する。
この効果を使用したターン、このカードが守備表示のモンスターを攻撃した場合、ダメージ計算を行わずそのモンスターを破壊する。
光属性から闇属性になり、敵を問答無用で破壊する感じの効果にしました。
やっぱ効果を考えるのって難しいなと感じました。
次回は……もう一人の作家が登場すると思います。
ルーラーとは色々ありましたのでジーク君がどうするかですね……。
とりあえず、悲劇作家さん超逃げて(笑)