もっともちょっと違う展開になってしまいましたが。
そして今回からマシュの新たな力が発現します。
アーチャーを倒した遊馬達は最後の敵であるセイバーとの戦いに向けて休息を取っていた。
異世界からの来訪者……遊馬の相棒であるアストラルはオルガマリーとロマニからカルデアや英霊に関すること、そしてこれまでの現状を全て聞き、記憶していく。
「なるほど、そして異世界からやって来てしまった遊馬がカルデアの最後のマスターとして戦うことになったと……」
「ええ、情けないことにね……」
『遊馬君とマシュ、二人にこの世界の未来がかかっているんだ』
「ならばこの世界の未来、私も背負わせてもらおう」
「なっ!?あなた何を言って……」
「遊馬は私の一番大切な人だ。その遊馬がこの世界の未来を救うために戦うというなら、私も共に戦おう」
アストラルの迷いのない決意に遊馬は少し不安そうに尋ねた。
「アストラル、良いのかよ……?」
「本音を言うなら、君を今すぐに連れ戻して小鳥達の元へ送り届けたい。だが、君はここにいるマシュ達のために最後まで戦おうとするだろう。それなら、私も力を共にして戦おう。私は君の相棒なのだから」
「アストラル……サンキュー!お前がいれば百人力、いや、千人力だぜ!!」
遊馬はアストラルがまた共にいてくれること、そしてまた共に戦えることを心の底から喜んだ。
するとマシュは自分の手の甲に刻まれた『00』の刻印を見つめながらアストラルに質問した。
「あの、アストラルさん。一つよろしいですか?」
「何だ?マシュ」
「ナンバーズって、一体何なんですか?未来皇ホープや希望皇ホープ、凄い力を秘めていますが……」
「そうそう、俺もそれを聞きたかったんだ。お前さん達の宝具……いや、切り札と言ったほうがいいか?あれは俺も見たことない力だぜ?」
マシュとキャスターは遊馬の未来皇ホープ、そしてアストラルの希望皇ホープ……未知なる力を秘めたモンスターを疑問に思った。
それをアストラルは手から真っ白に輝くカードを出しながら静かに語り出した。
「ナンバーズ……それは私の記憶の欠片から作り出された100枚の特別なモンスターエクシーズだ」
「アストラルさんの、記憶!?」
「ナンバーズは私以外の人間が持つ場合、持ち主に大きな力を与えるが、心の闇が増幅されて暴走することもある危険なカードでもある。だが、私と遊馬はナンバーズに取り憑かれずに自由自在に操ることができる」
「かつてアストラルの記憶がナンバーズとなって世界中に飛び散って、俺たちはナンバーズを集めるために戦っていたんだ」
ただでさえ強大な力を持つ希望皇ホープ以外にも能力やパワー、姿形が異なるナンバーズがあと99枚も存在することにオルガマリーは頭痛を覚える。
「はぁ……ちょっと聞いただけでも頭が痛くなる。そのナンバーズってカード、とんでもない代物よ……」
『ええ。この事は絶対に外部に漏れないようにしないとですね』
オルガマリーとロマニは遊馬とアストラルを守るためにもナンバーズの秘密を守っていこうと心に誓った。
下手をすれば未来を守った後に頭の狂った魔術師達に捕らえられる可能性があるからだ。
「さて、情報交換はそれぐらいにして次の戦いの作戦会議といきましょう。私達の最後の敵、セイバーを倒せばこの異変は解決されるでしょう」
「セイバーの正体なら俺は知ってるぜ」
キャスターは何度もセイバーと戦っているのでその正体や宝具を知っていた。
聖杯戦争で召喚される英霊はクラス名で呼ばれる。
何故なら真名を敵に知られれば弱点や宝具を知るアドバンテージになるからだ。
「他のサーヴァントたちがやられたのはセイバーの宝具が強力だったからだ」
そして、キャスターの口からセイバーの驚くべき正体を口にした。
「王を選定する岩の剣のふた振り目。お前さんたちの時代においてもっとも有名な聖剣、その名は……『
世界的にも有名な騎士と聖剣……約束された勝利の剣とアーサー王の名に遊馬とアストラルは耳を疑った。
「はぁ!?エクスカリバーだと!!?」
「円卓の騎士王、アーサー・ペンドラゴン。だが彼は伝説……物語の登場人物のはずだが、まさか本当に実在するとはな」
「確かにセイバーの約束された勝利の剣は強力だが、嬢ちゃんの盾が役に立つ。ドンと構えてろよ?」
「は、はい!」
最後の敵、セイバーがアーサー王と知り遊馬とアストラルはデッキとエクストラデッキを地面に広げて二人で独自の作戦会議を始める。
「英霊の攻撃を防ぐならやっぱり希望皇ホープが適任だな。後はアーサー王のエクスカリバーに対抗するパワー勝負か……」
「遊馬、ここに来る前に君の家から交換用のカードを持ってきた。これでデッキ調整をしよう」
「おっ、流石はアストラル!早速デッキの再構築だ!」
アストラルは人間界の九十九家の遊馬の部屋からカードを持ってきており、二人で対セイバー用のデッキ調整を始める。
マシュは隣で興味津々に遊馬のデッキを見る。
遊馬のデッキはアストラルと出会い、希望皇ホープをエースモンスターにしてから基本的に希望皇ホープを出しやすいデッキに構築している。
後はいかに早く希望皇ホープを始めとするモンスターエクシーズを出しやするモンスターや英霊対策に攻撃力重視や防御関係の魔法と罠を組み込んでいく。
そして、デッキ調整がほぼ終わるとアストラルは手から数枚の特別なカードを出現させ、遊馬に贈った。
「遊馬、これを受け取ってくれ」
「これって……?」
「このカードは君と私、そしてアストラル世界を繋ぐカードだ。アストラル世界に新たな未来を示した君にエリファスとエナからの贈り物だ」
アストラル世界を統べる代表者兼守護神であるエリファスとアストラル世界の住人達をまとめる中心人物であるエナ。
そのエリファスとエナが異世界で新たな戦いに挑む遊馬に新たなカードを授けた。
「サンキュー、エリファス、エナ。二人の思いを受け取ったぜ!」
遊馬はそのカード達をデッキに入れて嬉しそうに掲げる。
そのカード達は遊馬のデッキを格段に強くするものなので新しいカードが入ることはデュエリストとして嬉しいことである。
新しく構築したデッキをデュエルディスクにセットし、D・ゲイザーを左目に装着し、身なりを整えて気合いを入れる。
「ふぅ……よしっ!いつでも準備オッケーだぜ!!」
「はい、私も準備完了です」
「フォウフォウ!」
「そんじゃ、行くか」
「私が戦うわけじゃないけど緊張するわね……」
『みんな、気をつけて……』
洞窟内を進み、静かに最奥地には『大聖杯』と呼ばれる超抜級の魔術炉心があった。
オルガマリーとロマニは大聖杯の存在に驚愕し、魔術の知識がない遊馬とアストラルでさえ危険なものだと察知した。
そして、その近くに漆黒の剣を構え、鎧を身に纏った闇のオーラを纏った少女が立っていた。
「あれがアーサー王……?」
「どうやら女性のようだな……」
アストラルは一目でセイバー……アーサー王が男性ではなく女性だと見抜いた。
「え!?アーサー王は男のはずじゃ……」
「大昔の王位継承権は男性のみ与えられている。女性だと都合が悪いから男装したのではないか?」
「そう言うことか!でも騎士王ということはやっぱり強いよな!!」
「そうだ、気を抜くなよマスター!」
「遊馬君、行きましょう!」
マシュとキャスターは戦闘態勢に入り、フォウは遊馬のフードから出てオルガマリーと共に下がった。
「ああ!一緒に行くぜ、マシュ!キャスター!俺のターン、ドロー!『ゴブリンドバーグ』を召喚!」
赤い飛行機に乗ったゴブリンが召喚され、その背後に小さな飛行機が三機現れるとそこに吊るしたコンテナが現れる。
「効果で手札からレベル4以下のモンスターを特殊召喚出来る!来い、『ゴゴゴゴーレム』!」
コンテナが落下すると中からゴゴゴゴーレムが出現する。
「レベル4のゴブリンドバーグとゴゴゴゴーレムでオーバーレイ!エクシーズ召喚!」
ゴブリンドバーグとゴゴゴゴーレムが光となって地面に現れた黒い穴に吸い込まれて光の爆発が起きる。
最初から遊馬とアストラルの全力全開を見せるため、エースモンスターが登場する。
地面から現れた白い塔が変形し、希望の名を持つ戦士が姿を現わす。
「「現れよ、『No.39 希望皇ホープ』!」」
『ホォオオオオオープ!!』
「希望皇、ホープ……?」
闇に囚われし騎士王と光を導く希望皇が遂に対峙した。
「カードを一枚セットする!」
下手に攻撃すればセイバーのカウンターが来る恐れがあるのでまずは出方を待つ。
「来ないのか?それなら見せてやる、我が聖剣を……」
セイバーの手にある漆黒に染まった剣……それこそが世界に名を馳せる聖剣、『約束された勝利の剣』だった。
「卑王鉄槌……極光は反転する。光を呑め……!『
聖剣から放たれた黒く染まった極光が遊馬たちに襲いかかる。
しかし、遊馬とアストラルには数々の強敵の攻撃を防いで来た最強の盾がある。
「「希望皇ホープの効果!オーバーレイ・ユニットを一つ使い、攻撃を無効にする!ムーンバリア!!」」
オーバーレイ・ユニットが希望皇ホープの胸の翡翠の宝玉に取り込まれると、左翼が大きく開いて半月を描くように変形してセイバーの強力な闇の極光を防いだ。
「何!?」
「す、凄い……あの聖剣の攻撃を防ぎきった!?」
「はははっ!すげえ、やるじゃねえか!希望皇ホープよぉっ!!」
多くのサーヴァントを葬った約束された勝利の剣の極光を防ぎ切り、マシュとキャスターは思わずテンションが上がる。
「ならば、何度でも攻撃するだけだ!『約束された勝利の剣』!!」
再び聖剣から闇の極光が放たれて遊馬たちに襲いかかり、もう一度ホープの効果を使う。
「「更にオーバーレイ・ユニットを一つ使い、攻撃を無効にする!ムーンバリア!!」」
二度目の光を防ぎ切り、ならばとセイバーは自身の剣技でホープを倒そうとしたが、次の瞬間驚くべき事態となった。
突然、ホープの体にヒビが入って粉々に砕けて破壊されてしまった。
「ホープ!?」
「何故ホープが……はっ!?遊馬、ホープのテキストを見ろ!」
「えっ!?こ、これは!?」
今まで気付かなかったが、希望皇ホープのカードのテキストが変化していた。
それは『このカードは「No.」と名のついたモンスター以外との戦闘では破壊されない』が削除され、『このカードがX素材の無い状態で攻撃対象に選択された場合に発動する。このカードを破壊する』が追加されていた。
遊馬とアストラルの最後のデュエルまで希望皇ホープは他のナンバーズでしか戦闘破壊出来ず、攻撃対象になったら自壊する効果など無かった。
「まさか我々が異世界に来たことでナンバーズの効果が変化したということか!?」
「よくわかんねえけど、今は目の前に集中するしかないぜ!」
予想外の出来事にアストラルは冷静さを失うが、遊馬は焦らずにセイバーを見つめる。
「何が起きたか知らないが、まあ良いだろう……先に数を減らすか」
セイバーは狙いをキャスターに定めて攻撃を仕掛ける。
「しまった!キャスター逃げろ!」
「逃げられるわけねえだろ!?」
キャスターはすぐに発動出来るルーン魔術を使ってセイバーに攻撃するが軽々と回避してキャスターの間合いに入り、腹を蹴飛ばして壁に叩きつけた。
「チッ、ゲイ・ボルグさえあれば……」
完全に倒せはされなかったが、キャスターはしばらく動けなくなってしまった。
「これでキャスターは虫の息……後で倒せば問題はない。次は何かされる前に面倒なマスターを消すだけだ!!約束された勝利の剣!!」
セイバーは今度こそ遊馬を倒すために闇の極光を放った。
遊馬達には希望皇ホープはいない、この極光を防げるものはいないとセイバーは思ったがそれは違った。
「させません!!!」
遊馬の前にマシュが立ち、盾を構えて正面から闇の極光に立ち向かった。
「マシュ!?」
「ぐぅうううっ!?」
マシュは全身の力を振り絞って盾を構えて極光を受け止める。
(遊馬君だけは、遊馬君だけはなんとしてでも守る……私の命をーー)
マシュが自分の命を捨てででも遊馬だけは必ず守ると誓おうとしたその時、ふわりと温かい手が重なった。
「負けるんじゃねえぞ、マシュ!」
「遊馬、君!?」
遊馬はマシュの隣に立って、一緒に盾を握って闇の極光を受け止める。
「心配するな、マシュ!俺が側にいる!」
「ふっ、私も忘れてもらっては困るな」
アストラルも遊馬と一緒に手を重ねてマシュと一緒に闇の極光を受け止める。
遊馬は盾を支えながら右手の甲に刻まれた令呪を見てその使い方を思い出し、今こそ使う時だと大声で叫んだ。
「令呪によって命ずる!マシュ、絶対に負けるな!かっとビングだぁっ!!」
遊馬が側に居てくれる、共に戦ってくれる……大きな勇気をくれたマシュは遊馬と同じように笑みを浮かべて叫んだ。
「遊馬君……はい、かっとビングです!!!私ぃっ!!!」
マスターとサーヴァント、遊馬とマシュの二人の強い絆が大きな力を与える。
三画ある令呪の一つが消滅し、マシュに膨大な魔力が与えられ、十字架の盾が光り輝く。
その時、マシュの盾から光の壁が形成され、それが巨大な城壁の形となって現れた。
その壁はどんなものでも防ぐと言わんばかりに闇の極光を防ぎきった。
「防いだ……!!」
「やったな、マシュ!」
「これがマシュの力……むっ!?遊馬、マシュのカードが!」
デッキケースが勝手に開き、中からマシュのカードが飛び出して遊馬の前で止まると、マシュの絵しか描かれていなかったカードにカード名と効果が刻まれた。
「えっ!?あっ、マシュのカードに名前と効果が!」
今まで名前と効果が現れなかったマシュのカード……しかし、それが遊馬と強い絆で結ばれたことで真の力が目覚めたのだ。
「これが遊馬とマシュの絆のカード……遊馬、今こそ新たなナンバーズを召喚するんだ!」
「よぉし!来い、マシュ!!」
「はい!」
マシュが光の粒子となってカードの中に入り、遊馬はデッキからカードをドローする。
「俺のターン、ドロー!よし、ゴゴゴジャイアントを召喚!効果で墓地のゴゴゴゴーレムを復活!」
二体の同レベルのゴーレムが並び、新たなナンバーズを召喚する条件が揃った。
「かっとビングだ!俺はレベル4のゴゴゴモンスター2体でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!」
二体のモンスターが地面に吸い込まれ、光の爆発と共に新たに誕生したナンバーズがその姿を現わす。
「心優しき乙女よ、神秘の盾をその手に未来を守る最後の希望となれ!」
マシュが黒のライダースーツに似た衣装をそのままに両腕両足に赤いプロテクターが装着され、胸元には翡翠の宝玉が輝き、十字架の盾に大きな『00』の刻印が刻まれている。
「『
それはマシュが遊馬自身のナンバーズである未来皇ホープに似たプロテクターを装着した姿だった。
マシュは新たな存在……英霊とナンバーズの力が一つとなって誕生した『FNo.』として召喚され、身体中に迸る魔力にマシュは振り返って遊馬に笑みを浮かべる。
「行きましょう、遊馬君!」
「おう!いっけー、マシュ!」
「ならば……我が剣でお前から先に倒す!」
セイバーは剣技を使って先にマシュを倒そうと地を駆け、高く飛んでから約束された勝利の剣を振り下ろすが遊馬はマシュの効果を発動する。
「マシュの効果発動!オーバーレイ・ユニットを一つ使い、相手の攻撃を無効にする!フルムーン・バリア!!」
オーバーレイ・ユニットが盾に取り込まれると先ほどの城壁のような守護城壁とは異なり、満月のような金色の円形を描いた守護障壁を作り出した。
「何!?くっ!?」
攻撃をしようとしたセイバーだがマシュの守護障壁によって攻撃を防がれ、更にはその場から大きく吹き飛ばされて後退させられる。
「そして、この効果の後にバトルを強制終了させる。凄まじい効果だ……」
「更に、追加効果で遊馬君のデッキから魔法カードを一枚選んでデッキトップに置きます!遊馬君!受け取ってください!」
マシュの盾から光の玉が現れて遊馬のデッキに光が宿り、遊馬が望んだ魔法カードをデッキトップに置く。
「サンキュー、マシュ!」
「遊馬!このターンで決着をつけるぞ!」
「おう!俺のターン、ドロー!」
マシュの効果によってデッキトップに置かれたカード、それは遊馬がアストラル世界から贈られた新たなカードである。
「来たぜ!俺はフィールド魔法、『
次の瞬間、遊馬を中心に洞窟内が一瞬で空に無数の星々が輝き、細長い塔のようなたくさんの建物が天を貫くようにそびえ立つ幻想的な不思議な空間へと姿を変えた。
「これは……!?」
「な、何よこれ、まさか、固有結界なの!?」
セイバーとオルガマリーは遊馬が発動したフィールド魔法を魔術の到達点の一つと言われている術者の心象風景を具現化させる『固有結界』と勘違いしてしまう。
このフィールド魔法はエリファスとエナから譲り受けたカードの一枚で、ある意味遊馬とアストラルの二人にとっての固有結界と言っても遜色無いものである。
何故ならアストラル世界はアストラル、そして遊馬の『魂』の故郷でもあり、新たな未来を歩み、希望に満ち溢れた世界となったからだ。
「綺麗……」
マシュは幻想的なアストラル世界に思わず見惚れてしまった。
そして、このフィールド魔法は遊馬とアストラルのエースモンスターとデッキに眠る仲間達を繋ぐ事が出来る力を持つ。
「遊馬、罠カードだ!」
「罠カード発動!『エクシーズ・リボーン』!」
最初に伏せていたカードをオープンすると地面に光の魔法陣が浮かび上がる。
「エクシーズ・リボーンは墓地のモンスターエクシーズを特殊召喚し、このカードをそのモンスターのオーバーレイ・ユニットにする!」
「蘇れ、希望皇ホープ!」
魔法陣の中から希望皇ホープが復活し、エクシーズ・リボーンのカードがホープの新たなオーバーレイ・ユニットとなる。
「この瞬間、希望郷 − オノマトピア –の効果発動!」
「希望皇ホープが特殊召喚される度にこのカードに『かっとビングカウンター』を一つ置く!そして、かっとビングカウンターの数かける、自分のモンスターの攻撃力は200アップする!」
希望皇ホープから光の玉が空高く打ち上がり、それが太陽のように照らし出し、希望皇ホープとマシュの攻撃力が200アップする。
しかしこれではまだセイバーを倒すための方程式が完成していない。
「再び現れたか、希望皇。だが私に敗れたことを忘れたのか?」
「まだだ!ホープの力はこんなもんじゃねえ!」
「大切な仲間を守るために生まれたホープの進化した姿を見せてやろう!」
幾つにも存在する一番最初に誕生した希望皇ホープの進化形態が姿を現わす。
「「希望皇ホープ、カオス・エクシーズ・チェンジ!!」」
希望皇ホープが戦士から元の塔の形へと変形して地面に吸い込まれ、光の爆発と共に新たな姿へ進化する。
「「現れよ、
空中に赤黒い『39』の刻印が浮かび上がる。
「「希望の力、混沌を光に変える使者!」」
そして、地中から現れたのは白い塔ではなく、漆黒の巨大な大剣を模したもので二つのオーバーレイ・ユニットを纏いながら出現した。
そこから希望皇ホープと同じように人型に変形していき、黒と灰の鎧に黒と金の翼、両腰には双剣、背中には巨大な大剣が備えられている戦士が現れた。
左肩のプロテクターには赤黒い『39』の刻印が刻まれ、守りに特化した希望皇ホープとは異なり、攻めに特化した存在へと進化した。
「「『希望皇ホープレイ』!!!」」
それはアストラルが遊馬を信じ、仲間達を救いたいと言う思いが芽生えた事で誕生した『カオス』の力である。
「カオス……!?何だ、この力は……!?」
セイバーは希望皇ホープとは全く異なる姿と異なる力に生まれ変わった希望皇ホープレイに目を疑った。
更に光と闇の力が混ざり合ったかのような力がホープレイの中から感じ取っていた。
「希望皇ホープレイ……」
「この瞬間、オノマトピアの効果により、かっとビングカウンターがもう一つ乗る!」
オノマトピアに二つ目のかっとビングカウンターが乗り、空に二つ目の光が登る。
「そして、オノマトピアのもう一つの効果発動!かっとビングカウンターを二つ取り除き、デッキから『ズババ』、『ガガガ』、『ゴゴゴ』、『ドドド』の名を持つモンスターを一体、特殊召喚する!来い、『ガガガマジシャン』!!」
遊馬のデッキはガガガマジシャンを始めとする洒落な名前を持つカテゴリーモンスターを多く使用しており、オノマトピア はその四種類のカテゴリーモンスターをデッキから呼び出す力を持つ。
「ガガガマジシャンに装備魔法、『ワンダー・ワンド』を装備!装備した魔法使い族の攻撃力を500アップする!」
呼び出したガガガマジシャンに大きな翡翠の水晶が埋め込まれた髑髏の杖を持たせる。
「更に、ワンダー・ワンドを装備したモンスターをリリースする事でデッキからカードを二枚ドローする!」
「ガガガマジシャン、お前の力を借りるぜ!」
ガガガマジシャンは頷くとワンダー・ワンドと共に光となってデッキトップの二枚に光を灯す。
「行くぜ……ドロォーッ!!」
ドローした二枚のカード、それにより遊馬とアストラルの勝利の方程式が全て完成した。
「遊馬、勝利の方程式が揃ったぞ!」
「ああ、アストラル!俺は『ガガガカイザー』を召喚!更に自分フィールドにガガガモンスターがいる時、手札から『ガガガクラーク』を特殊召喚出来る!」
ガガガマジシャンによって導かれ、杖を持った派手な貴族のような青年の姿をしたモンスターと書記のような振る舞いの可愛らしい少女の二人の仲間が立ち並ぶ。
「ガガガカイザーの効果発動!自分フィールドにガガガモンスターがいる時、墓地のモンスターを除外して自分フィールドのガガガモンスターをそのモンスターのレベルと同じにする!墓地のガガガマジシャンを除外し、ガガガカイザーとガガガクラークのレベルを4にする!」
ガガガカイザーの杖が輝き、墓地のガガガマジシャンの持つレベルの力を得て自身とガガガクラークのレベルが4に変化する。
「行くぜ、戦士族レベル4のガガガカイザーとガガガクラークでオーバーレイ!二体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!」
二体のガガガモンスターが地面に吸い込まれて光の爆発の後に黒雲が浮かび上がる。
黒雲の中から現れたのは真紅の鎧に白銀に輝く大剣を携えて現れた戦士だった。
「光纏いて現れろ!闇を切り裂くまばゆき王者!!『H – C エクスカリバー』!!!」
奇しくもそれはセイバーの持つ聖剣と同じ名を持つモンスターだった。
「何!?馬鹿な、約束された勝利の剣と同じ名を持つ戦士だと!?」
「こいつは俺の仲間から譲り受けた大切なモンスターだ!俺はエクスカリバーの効果発動!オーバーレイ・ユニットを二つ使い、エクスカリバーの攻撃力を二倍にする!」
二つのオーバーレイ・ユニットがエクスカリバーの体内に取り込まれると、剣が光り輝き、エクスカリバーの背後に巨大なオーラが現れる。
「魔力が上がった!?」
「更に魔法カード、『オーバーレイ・リジェネレート』を発動!このカードは自分のモンスターエクシーズのオーバーレイ・ユニットにする!対象は希望皇ホープレイ!」
オーバーレイ・リジェネレート自身がオーバーレイ・ユニットとなり、これでホープレイのオーバーレイ・ユニットが三つとなり、ホープレイの能力をフルパワーで使用することが出来る。
「「希望皇ホープレイの効果発動!オーバーレイ・ユニットを使い、ホープレイの攻撃力を500ポイントアップする!」」
ホープレイの両肩のプロテクターが開くと中から第三と第四の機械の腕が現れ、背中の大剣を引き抜いて天に向かって構える。
「「三つ全てのオーバーレイ・ユニットを使い、ホープレイの攻撃力を1500ポイントアップする!オーバーレイ・チャージ!!!」」
大剣に三つのオーバーレイ・ユニットが取り込まれ、ホープレイと大剣が大きな力を得て鎧と大剣が漆黒から純白へと光り輝いた。
「「そして、使用したオーバーレイ・ユニット一つにつき、相手の攻撃力を1000ポイントダウンする!」」
ホープレイの能力により突然セイバーの力が一気に下がり、膝をついてしまう。
「ば、馬鹿な……私の力が抜ける!?」
「まずはエクスカリバーだ!セイバーに攻撃!一刀両断!必殺神剣!!」
エクスカリバーは剣を構えてセイバーに向かって駆け抜ける。
「ふざけるな、そのような紛い物が聖剣の名を口にするな!約束された勝利の剣!!!」
力が落ちたとはいえ、闇の極光は強力でエクスカリバーは剣を振り下ろしながら真正面から受け止める。
しかし、純粋な剣技を放つエクスカリバーの剣では膨大な闇の光を受け止めきれずに押し戻されてしまう。
「紛い物なんかじゃねえ!!たくさんの子供達の想いと希望を背負うゴーシュから譲り受けたエクスカリバーが負けるはずがねぇっ!!!」
遊馬の熱い想いに応えるかのようにエクスカリバーの青い瞳が輝き、約束された勝利の剣の闇の極光を切り分ける。
「何だと!?」
エクスカリバーは自身の体が壊れながらも闇の極光を切り分け、遂にセイバーの間合いに入った。
「いっけぇ!エクスカリバァアアアッ!!必殺神剣!!!」
そして、最後の剣撃で約束された勝利の剣を絡め取ってセイバーの手から無理やり剥がし取った。
希望の光が宿った聖剣が闇に染まった聖剣に打ち勝ったのだ。
「しまった!?」
約束された勝利の剣はセイバーから遠く離れて地面に突き刺さり、エクスカリバーは闇の極光を受け続けて耐えきれなくなって破壊された。
「サンキュー、エクスカリバー……」
エクスカリバーの全身全霊の攻撃に今まで魔力を温存していた一つの影が飛び出した。
「最高のタイミングだぜ!」
「キャスター!」
「焼き尽くせ木々の巨人、『
それは遊馬達の活躍に立ち上がったキャスターの宝具、無数の細木の枝で構成された巨人が炎を纏いながら出現し、セイバーの足止めをする。
「マスター!トドメだ!」
「遊馬君!アストラルさん!今です!」
キャスターがとっておきのルーン魔術でセイバーの動きを封じ、マシュは地面に突き刺さった約束された勝利の剣の前に立ってセイバーが使えないようにした。
「遊馬、今だ!」
「おう!」
「行け、希望皇ホープレイ!」
「セイバーをぶった切れ!!」
ホープレイは両腰に添えられた双剣の鞘が弾け飛び、腰から引き抜いた。
大剣と双剣の三刀流という凄まじい姿となり、翼を広げて滑空しながらセイバーに向かう。
キャスターはウィッカーマンを消し、動揺するセイバーの瞳には大剣と双剣を持った純白に輝く戦士の姿が映った。
「「ホープ剣・カオス・スラッシュ!!!」」
双剣で十字に切った後に振り上げた大剣を振り下ろし、セイバーの鎧を破壊しながらぶっ飛ばした。
特異点の最後の敵、セイバーを倒すことに成功した遊馬は腕を高く上げて勝利を喜んだ。
「やった……勝ったぜ!勝ったビングだ!!」
マシュたちも喜びを分かち合おうと遊馬に駆け寄る。
しかし、その喜びを打ち砕くかのように邪悪なる眷属が近づいていることを遊馬たちはまだ気づいていなかった。
.
ホープよりエクスカリバーの方が目立っちゃいましたね(笑)
そして遊馬とマシュの新たな力、FNo.がついに発現しました。
一応マシュがカード化した場合の効果やステータスを考えました。
FNo.0 人理の守り人 マシュ
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/光属性/戦士族/攻1500/守3000
レベル4モンスター×2
自分または相手のモンスターの攻撃宣言時、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。
そのモンスターの攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了する。
その後、自分のデッキから魔法カードを1枚選び、デッキの一番上に置く。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。
攻撃を無効にした後にバトルフェイズを終了にしますが、遊馬お得意のダブル・アップ・チャンスコンボが使えないのが難点です。
シールダーで守りに特化しているので攻撃力は低めですが、守備力は高いです。
強みはバトルフェイズの強制終了と魔法カードをデッキトップに置くところですね。
仲間を守り、マスターである遊馬に有利な一手を導くマシュらしいFNo.です。
いかがでしょうか?