Fate/Zexal Order   作:鳳凰白蓮

179 / 195
遊馬達の守る戦いが始まりました。

今日の遊戯王SEVENSは久々にテンション上がりました。
球児皇ホームはホープ一族に相応しい殺意のある脳筋効果で嬉しかったです。
これは是非ともデッキを組んでラッシュデュエルをしてみたいですね。
嬉しくてつい遊馬とアストラルのコメントを書いてみました。

遊馬「いやー、まさか遊戯王SEVENSでホープとガガガマジシャンとズババナイトとアチャチャアーチャーが野球モンスターになって登場するなんて驚きだぜ」

アストラル「罠カードにドドドウォリアーをモチーフのモンスターも見えていたな。ユウカのデュエルが今後もあるだろうから、リメイクモンスターが増えるのに期待だな」

遊馬「背番号39 球児皇ホームか……ダブルアップ・チャンスの攻撃力2倍を意識した効果は燃えるぜ!名前はホームだけど、やっぱりあいつもホープだぜ!ユウカ、新しいホープ使いとして認めるぜ!」

アストラル「そして、ユウカのかっとバシング……ま、まさか!?遊馬よ、あのユウカは並行世界の君かもしれないぞ!?あのテンションとノリ、面白さと強引さ……ありえるな」

遊馬「えーっ!?顔とか髪とか全然似てないぜ!?それに俺野球はユウカほど好きって訳じゃないし……」

アストラル「だが、ユウカには君に似ているところがある。今後の活躍に期待だな」

遊馬「そうだな。一応敵サイドだけど、良い子だからな。これからもかったバシングだぜ、ユウカ!」



ナンバーズ176 守る為の戦い

青年は歩き続けた。

 

果てのない、到達点が見えない遙かなる旅路を。

 

それは、己の犯してしまった大罪と向き合い、目的を果たす為に。

 

そして、ようやく辿り着いた聖都。

 

そこで行われる人の命を踏み躙る悍ましい儀式が行われようとしたその時、青年は一つの希望の光を見つけた。

 

太陽のように輝きを放ちながらも、その光は優しく温かみのある光だった。

 

青年はその光に未来を斬り開く力があると確信した。

 

 

聖抜の儀で選ばれなかった人々を意味もなく殺める聖罰の儀から難民達を救う為、遊馬達の守る為の戦いが始まった。

 

アストラルは難民達を聖都から逃す為の乗り物を用意する。

 

「シャーク、バリアン世界を一心に背負った君の力を借りる!私のターン、ドロー!『フォトン・スラッシャー』を特殊召喚!更に『ゴゴゴゴーレム』を召喚!レベル4のモンスター2体でオーバーレイ!エクシーズ召喚!現れろ!No.101!満たされぬ魂を乗せた方舟よ。光届かぬ深淵より浮上せよ!『S・H・Ark Knight』!!」

 

S・H・Ark Knightは方舟を模しており、難民達を運ぶ為に適切とも言えるモンスターである。

 

見たことない方舟に難民達が驚く中、遊馬の呼びかけによりまず先陣を切って現れたサーヴァントはジャンヌとレティシアだ。

 

「我が名はジャンヌ・ダルク!契約者、遊馬と共に戦う者!難民達よ、この旗の元に続きなさい!」

 

「私達が先導するわ!慌てないでついて来て、あの船に乗りなさい!」

 

ジャンヌとレティシアは旗を振って難民達を先導し、S・H・Ark Knightが光の線を放って難民達を次々と船内に入れていく。

 

「マシュ!聖抜に選ばれた人達を助けるぞ!」

 

「はいっ!」

 

遊馬とマシュは聖抜の儀で選ばれた難民を救うために走り出すが、次々と騎士達が召喚されて難民達に襲いかかる。

 

先程よりも更に倍に増えた騎士達に焦る遊馬だが、カルデアから『守る為の戦い』において群を抜くサーヴァントが現れる。

 

「マスター!マシュ殿!私が彼らを守ります!」

 

「「レオニダス(さん)!!」」

 

「これが……スパルタだぁあ!『炎門の守護者(テルモピュライ・エノモタイア)』!」

 

レオニダスはかつて十万のペルシャ軍に対して共に戦った三百人の兵士を召喚し、難民達を囲むように配置する。

 

召喚された兵士は槍と盾を構えて襲いかかって来た騎士達を押し返す。

 

レオニダスの宝具である炎門の守護者は攻勢よりも守勢という面において凄まじい力を発揮する。

 

「マシュ殿!今こそ守護者としての戦いを見せる時です!」

 

「はい!レオニダスさん!」

 

マシュは尊敬するレオニダスからエールを受けて気合いを入れる。

 

「さて、我々は騎士達の撃退を行おうか」

 

エミヤは無数の剣を次々と投影し、黒弓で矢を放ちながら剣も同時に放っていく。

 

「ふふん!いよいよ、この籠手と杖を暴れさせる時が来たようだね!」

 

ダ・ヴィンチの左腕に装着されている籠手と右手で持っている杖はただの道具ではない。

 

冷気や火炎を放ち、更には籠手を巨大化させてロケットパンチの様に射出したりと多機能な『全戦局対応型万能籠手』と魔力測定器兼レーザービームを備えた『星を表す杖』なのだ。

 

ダ・ヴィンチちゃんは騎士達を撃退する為、発明してきた武器で大暴れするのだった。

 

難民達の誘導や護衛に多くのサーヴァントが出動した。

 

「皆さん、落ち着いてゆっくり進んでください!」

 

「何が来ても必ず私たちが貴方たちを守り抜くわ!」

 

「大丈夫です、必ずこの地から脱出して助かります!」

 

聖地エルサレムとあって、キリスト教関係の聖人仲間としてゲオルギウスとマルタと天草が難民達に呼びかけて誘導する。

 

「全く、ブーディカよ!円卓の騎士が色々やらかすとはとんでもない後輩であるな!?」

 

「私だって予想外過ぎるよ!後輩がこんなことをするなんて……こうなったら先輩として頑張らないとね!」

 

ネロとブーディカは剣を振るって騎士達を倒しながら円卓の騎士の凄まじさに呆れ果てていた。

 

 

正門の近くで一組の親子が手を繋ぎながら必死に走っていた。

 

聖抜の儀で選ばれた女性がいたが、その女性には子供がいた。

 

母親として子供と一緒にいることを望んだが、聖抜で選ばれなかった為にそれは叶わない。

 

騎士は聖抜で選ばれなかった子供を粛清する為に凶刃を向ける。

 

「おかあさん、早く!」

 

「お願い……私はどうなっても構わない……だけど、この子は……ルシュドだけは……!」

 

騎士は二人に近づいて剣を振り上げ、母親は子供を守る為に盾になろうとした。

 

「ホープの攻撃!ホープ剣・スラッシュ!!」

 

「ロード・カルデアス・ストライク!」

 

希望皇ホープの剣とマシュの盾の攻撃で騎士達がぶっ飛ばされる。

 

「あっ……おかあさん、天使様だよ!」

 

「ああっ……神様……ありがとうございます……!」

 

「早くあの船に!ここは俺達が食い止める!」

 

「は、はい!ルシュド、行きましょう!」

 

「天使様、ありがとー!」

 

「……ああ、また後でな!」

 

遊馬は親子を無事に逃して一安心してから騎士達を睨みつける。

 

女子供ですら平気で刃を向ける騎士達に遊馬とマシュの怒りの炎が更に燃え上がる。

 

そして……誰よりもその怒りの炎を燃え上がらせたサーヴァントが現れる。

 

「おかあさん……あの人たち、絶対に許せないよ……」

 

「まさか、私にとっては地獄のような光景が目にすることになるとはな……」

 

それはジャックとアタランテだった。

 

子供たちの霊の集合体でもあるジャックと子供達が愛される世界を望むアタランテからしたら子供ですら殺める聖罰の儀は許されないものだった。

 

「お前たち……全員解体するよ!!」

 

ジャックは押さえ込んでいた殺人鬼としての一面が溢れ出し、愛用のナイフを構えて目にも止まらぬスピードで次々と騎士達を斬り伏せていく。

 

「私たちを怒らせた事を後悔させてやる!!」

 

アタランテは怒りで顔を歪ませながら矢を次々と放って騎士の心臓を射抜いていく。

 

遊馬とマシュはジャックとアタランテの怒りの炎を目の当たりにして逆に心が冷静となる。

 

「マシュ、俺たちはここでみんなに指示を出そう。冷静に行こう」

 

「分かりました、私たちまで頭に血が上ったらいけませんからね」

 

「フォウフォーウ!」

 

遊馬はマスターとしてみんなに指示を出していく。

 

 

一方、アルトリアは全力で約束された勝利の剣を振るい、ガウェインの聖剣と交差する。

 

「はぁあああああっ!!」

 

「くっ!!うぉおおおおおっ!!」

 

今のガウェインに何を聞いても答えてはくれない、更にはギフトで常に太陽の光を得ているガウェインを倒すのは難しいと判断したアルトリアは難民達が全員無事に逃げ切るまで足止めに専念する。

 

ガウェインの宝具である聖剣を使わせない為にアルトリアは怒涛の攻撃を仕掛けていく。

 

その時、アルトリアの直感が働き、ガウェインから下がり、その直後に巨大な赤雷が通り過ぎた。

 

「この赤雷は!?」

 

アルトリアはその赤雷が何なのか知っており、振り向いた先は聖都の正門でそこにいたのは……。

 

「モードレッド……!?」

 

それはカルデアから特異点に召喚されて行方不明だったモードレッドだった。

 

しかもモードレッドだけでなくその隣にもう一人……馬上槍と盾を持ち、鎧に身を包んだ騎士がいた。

 

「ガレス……!?」

 

ガレス。

 

円卓の騎士の一人で、円卓の中でも最も新しく加わった騎士であるが、槍一本で名だたる騎士達を倒した槍使いである。

 

「◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎!!!」

 

「────────」

 

モードレッドは声にもならない叫びを上げ、ガレスは無言のまま同時に走り出してアルトリアに襲いかかる。

 

「モードレッド!ガレス!貴方達も獅子王などと言う愚か者に付き従うのですか!?」

 

アルトリアは二人の猛攻をなんとか捌きながら声を掛けるが、二人の目を見て言葉を失った。

 

「──二人の意識が、無い……!??」

 

モードレッドは顔に不気味な白い模様が浮かび、まるで狂化属性を付与されたバーサーカークラスのサーヴァントのようになっていた。

 

ガレスの方は目が虚ろになって表情が無となっていて、まるで人形のようになっていた。

 

二人はただアルトリアを倒すためだけに獲物を振るう……まるでロボットのような存在になっていた。

 

「まさか、二人も獅子王が……おのれぇっ!!」

 

アルトリアは獅子王が二人に魔術的な何かで心を縛り、戦うだけの操り人形にしたのだと察知し、怒りを更に募らせる。

 

「我が王……申し訳ありません!」

 

ガウェインが聖剣から炎を纏わせ、アルトリアに向けて放とうとしていた。

 

「くっ……!?」

 

流石のアルトリアも円卓の騎士三人を相手ではあまりにも分が悪い。

 

どうすればいいのかと迷った……その時!

 

「ふん!!」

 

「はぁっ!!」

 

黒の閃光がガウェインに襲いかかり、純白の輝きがガレスの槍を弾く。

 

「情け無いぞ、青いの!」

 

「アルトリアさん!大丈夫ですか!?」

 

「オルタ!イリヤ!」

 

それはもう一人のアルトリアであるアルトリア・オルタとクラスカード『セイバー』を夢幻召喚したイリヤだった。

 

アルトリアの危機に二人が駆けつけて来たのだ。

 

「ば、馬鹿な……我が王が、もう一人!?しかも、あの少女が手にしているのは紛れもなく王の聖剣……一体どういうことなのだ!?」

 

ガウェインはアルトリアがもう一人いる事と、イリヤが約束された勝利の剣を持っている事に驚きを隠せず困惑していた。

 

「ふっ……貴様に分かるわけが無いだろう、この筋肉馬鹿が!!」

 

オルタはガウェインを馬鹿にしながら漆黒の聖剣を豪快に振るう。

 

一方、イリヤは蝶のように軽やかに跳んで舞うように聖剣を振るい、ガレスの槍を捌きながらアルトリアに話しかける。

 

「アルトリアさん!私とオルタさんが敵を抑えている間にモードレッドさんを!大丈夫です、きっとアルトリアさんの言葉なら届きます!」

 

「言葉……」

 

アルトリアは必死に考えた。

 

自分からモードレッドの心に響く言葉は何なのか?

 

どうすれば囚われたモードレッドの心を呼び覚ませられるのか?

 

カルデアで見たモードレッドの意外な性格を思い出しながら最も響くであろう言葉を大きく息を吸って吐き出す。

 

「──目を覚ましなさい、モードレッド!そのような無様な姿で戦って、それでもあなたは私の子ですか!?」

 

私の子……それはモードレッドが何よりもアルトリアから聞きたかった言葉だった。

 

その瞬間、モードレッドの体が止まり、手にしていた燦然と輝く王剣を落とし、頭を両手で押さえながらその場に膝をつく。

 

「◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎……アァアアアアアアアアアッ!!!」

 

「モードレッド!?」

 

「ち……父上……」

 

モードレッドはアルトリアの言葉で何とか意識を取り戻した。

 

そして、モードレッドは自分を押さえ込みながらアルトリアに情報を伝える。

 

「父上……獅子王は、聖槍を持った別の可能性の貴方だ……!」

 

「何ですって……!?」

 

獅子王の正体が聖剣ではなく、聖槍を持ったアルトリアだという事実にアルトリア自身も驚愕する。

 

「獅子王は、聖抜で選んだ人間を……うがぁっ!?」

 

「モードレッド!?」

 

一つでも多くの情報を伝えようとしたモードレッドだが、顔に浮かんである模様が更に顔中に伸び、モードレッドを苦しませていく。

 

「もうダメか……父上、ガレスを、ガレスを連れて行ってくれ……あいつの心はもう、限界だ……頼む……!!」

 

モードレッドは自分の意識が再び無くなる前にアルトリアにガレスを連れて行けと頼んだ。

 

その真意は不明だが、モードレッドの必死な頼みにアルトリアは頷いた。

 

「分かりました。ですが、もちろんあなたも連れて行きます!イリヤ、聞こえましたか!?」

 

「はい!ルビー、何とかあの人を一時的に眠らせる事とか出来る!?」

 

「お任せあれ!こんなこともあろうかと、こっそりと作っておいたサーヴァントでも効果抜群の強力な眠り薬があります!」

 

「なんて恐ろしいものを作っているのかと色々言いたいけど、今回はグッジョブだよ!」

 

「ですが、今のままでは使えません。ルビーちゃんは聖剣になったままなので夢幻召喚を解除してステッキにならなければいけません」

 

今現在、イリヤはセイバーのクラスカードの力でガレスの槍の猛攻を防いでいる。

 

夢幻召喚を解除する隙もなかったが、イリヤには頼れる親友と妹がいる。

 

「「イリヤ!!」」

 

「ミユ!クロ!」

 

難民達の収容を手伝っていた美遊とクロエがイリヤの援護に駆けつけた。

 

「イリヤ、難民達の収容がもうすぐ終わるよ!」

 

「急いで遊馬の元に戻るわよ!」

 

「その前にこの人を連れて行きたいの!お願い二人共、一瞬だけで良いから動きを封じて!」

 

「イリヤ……分かった!クロ!」

 

「仕方ないわね!ちゃちゃっと終わらせるわよ!」

 

クロエは一気に決める為に二組の干将・莫耶を投影してガレスに向かって投げ飛ばす。

 

「山を抜き、水を割り、なお堕ちる事無きその両翼……」

 

走っているクロエの姿が消えた次の瞬間にガレスの背後に現れてもう一組の干将・莫耶を投影しながら振り下ろす。

 

「鶴翼三連!!!」

 

見たことない必中不可避の六連撃の攻撃がガレスを襲い、動きが止まった一瞬の隙に美遊はサファイアを向ける。

 

「物理保護、拘束!!」

 

美遊は物理保護でガレスの手足と胴体を挟み込んで動けなくする。

 

「セイバー、送還(アンインストール)!ルビー!!」

 

「了解です、そいやっ!超強力眠り薬!!」

 

イリヤはセイバーの夢幻召喚を解除し、ルビーが聖剣からステッキに戻った瞬間に眠り薬入りの注射器を二つ取り出して見事な投擲術でガレスとモードレッドに突き刺して注入する。

 

サーヴァントにすら効く超強力な眠り薬を注入されたモードレッドとガレスは強制的に眠らされ、その場でガクッと倒れ込んだ。

 

「感謝します!イリヤ、ガレスをお願いします!」

 

アルトリアは眠ったモードレッドを担ぎ上げて遊馬の元へ向かう。

 

「ルビー、魔力を筋力に回して!」

 

「サファイア、私もお願い!」

 

「「了解です!」」

 

イリヤと美遊はそれぞれルビーとサファイアに頼んで魔力で筋肉を強化しながらガレスを両側から持ち上げて運ぶ。

 

「オルタの騎士王様ー!難民達の収容も終わるから早くこっちに来てくださーい!」

 

クロエはオルタにそう呼びかけながらイリヤ達の後を追う。

 

「そろそろ潮時だな。さぁ、ガウェイン。妹二人を奪われた気分はどうだ?」

 

オルタはガウェインに向かって不敵の笑みを浮かべながらそう挑発した。

 

実はガウェインとモードレッドとガレスは血で繋がった兄妹であるのだ。

 

二人を同時に連れ去られ、オルタに挑発されたガウェインは聖剣の柄を強く握りしめて振り上げる。

 

「ウォオオオオオオオッ!!!」

 

オルタは挑発しすぎたかと思いながら聖剣から漆黒の輝きを放ちながら迎え撃つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──『剣を摂れ、銀色の腕(スイッチオン・アガートラム)』!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如、銀色に輝く一閃がガウェインに襲いかかり、その場から吹っ飛んで壁に激突した。

 

「ぐあっ!?だ、誰だ……あ、貴方は──!?」

 

ガウェインを吹っ飛ばしたのはブロンドの髪を結った端正な容姿の美青年だった。

 

その右腕が銀色に輝いており、その手には光の剣が握られていた。

 

「貴様は……!?」

 

「王よ、今のうちに撤退を……!ぐ、っぅぅぅぅぅううう……!」

 

青年はその場で苦しそうに膝をつくと、オルタの鼻に焦げ付いた匂いが届いた。

 

その匂いの元は何と青年からでその腕と体の内部が焼けているのだ。

 

「王よ、事情は把握していませんが、今のガウェイン卿を侮ってはいけません。難民達の避難はもう完了しました……早く、王も、お仲間のところへ……」

 

青年はオルタを一刻も早くこの場から逃す為に戦いに割り込んできたのだ。

 

「ちっ……仕方ない」

 

オルタは舌打ちをして聖剣を消すと青年を抱き上げた。

 

「お、王!?」

 

「貴様にも来てもらう。どうやら貴様は獅子王の配下では無いらしいからな。貴様の知ってることを吐いてもらうぞ。その腕のことも含めてな……」

 

オルタは青年を抱き上げたまま走り、遊馬の元へ急ぐ。

 

遊馬の元に戻るとそこには既に難民達の収容と騎士達の撃退を終えたサーヴァントが全員集まっていた。

 

S・H・Ark Knightに全ての難民を乗せ、アストラルが指示を出して既に聖都から脱出した。

 

「マスター、待たせたな!」

 

「オルタ、待ってたぜ!ん?その兄ちゃんは誰だ!?」

 

「説明は後でする!早く脱出を!」

 

「ああ!かっとび遊馬号!!」

 

遊馬は皇の鍵からかっとび遊馬号を召喚して全員を船内に入れる。

 

遊馬は舵を持ち、マシュとダ・ヴィンチちゃんがコンピュータを操作して全システムを起動させて緊急発進を行う。

 

「システムオールグリーン!」

 

「エンジン、出力全開!遊馬君!」

 

「みんな、掴まれ!かっとび遊馬号、緊急発進!!」

 

かっとび遊馬号の最高速度で加速し、船内が大きく揺れながら一気に聖都から脱出する。

 

聖都から大きく離れ、先に出発したアストラルとS・H・Ark Knightと合流し、遊馬は笑みを浮かべて腕を高く上げた。

 

「おっしゃあ!全員無事に聖都から脱出出来たぜ!この戦い、俺たちの勝利だ!!」

 

「はいっ!」

 

「フォーウ!!」

 

遊馬達は獅子王とガウェイン達の聖罰の儀から難民達を守り、助け出した守る戦いに無事に勝利を挙げ、みんなは一時の喜びを分かち合うのだった。

 

 

広大な砂漠の中……一人の女性が歩いていた。

 

その女性はこの地では見られない異国の少し派手な服装をしていた。

 

「はぁ……どうしようか……全然誰にも会えないし、このままじゃ遭難しちゃうよぉ……」

 

女性はとても不安な心境で今にも涙を流しそうになっていた。

 

「ひとりぼっちで現界しちゃうし、菩薩様のお声も聞こえないし……ぐす……」

 

否、もう既に泣いていた。

 

哀れなことにこの女性を助けてくれる者はここには存在しない。

 

そんな時、女性に大きな好機が訪れた。

 

「……ん?急に暗く……って!?何あれ!?」

 

空が急に暗くなったと思い、上を見上げたらそこには空を飛ぶ二隻の大きな船だった。

 

見たことない形をした空飛ぶ船に呆然としていると、女性はまるで雷が落ちたように何かを感じ取った。

 

「はっ!?か、感じるわ……あの船から、とてつもなく徳の高い人間がいるわ!それも……御仏にもなれる逸材が!待ちなさーい!私の弟子候補ー!」

 

女性は一気に元気になり、空飛ぶ船を見失わないように走って追いかけるのだった。

 

 

 




ラストに登場したのはもちろん皆さんご存知の彼女です!
これは小鳥ちゃんも出さないといけませんね。

それと、本来ならキャメロット編で登場していないガレスを出してみました。
ちょっと設定は異なりますがそれは後に判明します。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。