今回は時間がなかったので短めです。
ストラクチャーデッキ『オーバーレイ・ユニバース』をゲットしました!
ホープ・ドラグナーのシークレットが2枚当たって満足でした!
さて、ホープ・ドラグナーとかをいつ出そうか悩みどころです。
ナンバーズ174 第六特異点へ!巡り会う運命の出会いと再会!
もう既に何度も経験しているお陰でこれが夢の中だと遊馬はすぐに理解した。
そして、遊馬の前に謎の銀髪紫眼の少年騎士が現れた。
「九十九遊馬、君に一つ問う」
少年騎士は真っ直ぐ遊馬に視線を向けて問いを投げかける。
「次の戦いはこれまでに無いほどに凶悪な敵と対峙することになる」
それは次の特異点における敵の事を示しており、少年騎士はそれを察知していた。
「それって……例えば神霊クラスのすげぇサーヴァントやソロモンの魔神柱って事か?」
遊馬はこれまでの特異点での経験から凶悪な敵と聞いてパッと思いつくのはそれぐらいだったが、少年騎士は首を左右に振って否定した。
「違う、もはやサーヴァントや魔神柱とは桁違いだ。ある意味では魔術王にも匹敵する存在だ」
「何だって!?」
サーヴァントや魔神柱よりも格上で人理焼却の黒幕である魔術王ソロモンに匹敵する敵。
そんな敵が次の特異点で戦うことになるのかと遊馬は戦慄を覚えて冷や汗が背中から出る。
「君たちにその戦いに勝てる可能性は無いに等しい。さて、君はどうする?」
少年騎士の問い……それを遊馬は真っ直ぐ視線を向けて答えた。
「勝つ可能性は0か……だったら、0を1にすればいい!」
遊馬の答えに少年騎士は目を丸くした。
「何……?」
「可能性が最初から無いなら、方法を見つけて足掻いて僅かな可能性を作ればいい!後はアストラルとマシュ、そして……カルデアにいるサーヴァント達みんなと協力すれば可能性を0どころじゃない、全てをひっくり返して100パーセントにすることだって出来る!」
自分一人だけなら勝つことは出来ないかもしれない。
だけど遊馬は知っている。
一人の力が無理ならば、仲間達の力を借りればいい。
たとえ、一人一人の力は小さくても、その力を一つに合わされば不可能を可能にする奇跡を起こせると!
「……君ならそう言うと信じていた」
少年騎士は張り詰めた緊張が解けたように優しい笑みを浮かべた。
「君はやはり強く、優しい心を持つ素晴らしい人間だ。あの少女に私の力を貸した甲斐があったものだ」
「あの少女に力を貸した……?まさか、お前は!?」
少年騎士の雰囲気と言動から遊馬は誰なのか何となく察したが、少年騎士の姿が消えていく。
「お、おい!お前、名前は!?」
「……遊馬、あの少女に言伝を頼む。戦いが終わったら、幸せに暮らしてくれ……と」
少年騎士は名を告げず、言伝を最後に残して消えてしまい、遊馬の意識はそこで浮上する。
「待て!あ、あれ……?」
夢から覚ますと同時に勢いよくベッドから起き上がった。
アストラルは皇の鍵から出てきて遊馬を心配する。
「遊馬、どうした?」
「アストラル……えっと……」
夢の中の少年騎士の話を話すべきか迷っていた。
「遊馬……」
すると、アストラルは悲しそうな表情を浮かべて……。
「……隠し事は我々の間では大罪だぞ?」
「はい、仰る通りです。アストラル様」
先日の映画で真月もといベクターとのトラウマが地味に再発した遊馬とアストラルだった。
遊馬はその場で土下座をしてアストラルに謝罪し、正直に全てを話すと誓った。
「あ、でもこれは俺達だけじゃなくてマシュ達にも関わることだからみんなの前で言うよ」
「マシュ達にもか。了解した」
アストラルは了承すると一旦話はそこで終わり、朝食を食べるために食堂へ向かった。
食堂で朝食を食べ終え、今日は特に忙しくないので遊馬は義妹の桜や凛とお喋りをしたり、デュエルをしていた。
そんな中、桜はふと子供らしい疑問を遊馬にぶつけた。
「お兄ちゃん、デュエルモンスターズってどうやって生まれたの?」
桜の疑問はデュエルモンスターズの起源。
桜が蟲の地獄から解き放つことが出来た力の一端であるデュエルモンスターズ。
何故デュエルモンスターズが生まれたのか、誰が作ったのか。
そんな疑問が桜の中で生まれてくる。
「デュエルモンスターズの起源か……よし、分かった!D・パッドの中に色々な画像があるからそれを見ながら説明するぜ!」
D・パッドには遊馬が人間界にいた時にデュエルモンスターズのことを調べた時に見つけて保存した画像を見せることにした。
そこにルビーが現れて万能すぎる謎機能でD・パッドと接続してプロジェクターで画像を壁に映すと提案してくれた。
すると、話を聞きつけて多くのサーヴァント達が見に来て早速遊馬とアストラルがデュエルモンスターズの起源について説明する。
デュエルモンスターズを作ったのはインダストリアル・イリュージョン社会長のペガサス・J・クロフォード。
アメリカ人で元々は画家だった。
ペガサスにはシンディアという結婚を誓い合った恋人がいたが、その恋人は若くしてこの世を去り、絶望したペガサスは古代エジプトから伝わる術で亡くなった恋人と会えるかもしれないと言う僅か望みでエジプトに向かった。
しかし、そこでペガサスが目にしてたのは人生を変えるものだった。
「ペガサス会長が見たのは……古代エジプトの石版の壁画だ」
「古代エジプト第18王朝の王の葬祭殿に残されたこの石版を目にした瞬間、ペガサスはインスピレーションを得て……デュエルモンスターズを生み出したんだ」
最初に映し出された画像の壁画は半分近くは風化などで壊れていたが、そこには複数のモンスターの絵と古代エジプト文字が刻まれていた。
古代エジプトは世の全ての災い、争い、苦しみは魔物によってもたらされると考えられていた。
そして、王に仕える魔術師たちが魔物を具現化し、石版に封じ込めることで平和が保たれていた。
しかし、石版は邪悪な力を蓄積していき、王に背いた神官達が魔術師たちを操り、石版を使って争いを始めてしまった。
「馬鹿な……こんな壁画、見たことないぞ!」
そこにエルメロイII世が目を皿のように見開いて壁画を見つめる。
エルメロイII世は時計塔の教師として色々な歴史や魔術の知識を得ていたが、遊馬が映した石版の壁画は見たこともない。
「もう一枚の壁画もウェイバー先生どころか、誰も見たことないものだぜ……!」
遊馬が次に映した画像……それは最初のよりも保存状態の良い石版の壁画。
そこに描かれていたのは……王と神官がそれぞれ石版から魔術師とドラゴンを召喚して戦っているものだった。
それは紛れもなく二人がデュエルモンスターズでデュエルを行なっているものだった。
「凄い……本当に古代エジプトでデュエルが行われていたんだ……!」
古代エジプトでデュエルが行われており、それをペガサスがカードゲームのデュエルモンスターズとして現代に復活させた。
桜はデュエルモンスターズの起源を知って満足そうに頷く。
すると、レティシアは壁画の一部を見てある事に気付く。
「ん……?ねえ、遊馬。壁画の上のあの3体のモンスターは何?」
壁画の上半分には逆三角形にホルスの目が中央にある不思議なマークの周りに3体のモンスターが描かれていた。
わざわざ王と神官の戦いの壁画の上に描かれているだけあって何か特別なモンスターなのかとレティシアは睨む。
「流石はレティシア、いい洞察力だぜ!」
「あそこに描かれている3体のモンスターはデュエルモンスターズの中でも特別な存在だ」
「デュエルモンスターズで唯一『神属性』と『幻獣神族』に属する三体の神……『三幻神』!」
「三幻神……!?」
三幻神。
それはデュエルモンスターズの中でも最高レベルの幻にして伝説のレアカードである。
『オシリスの天空竜』。
『オベリスクの巨神兵』。
『ラーの翼神竜』。
この三枚を手にしたデュエリストは永遠不滅の伝説と共にキングオブキングスの称号を得られるとされる。
「へぇー……で、遊馬とアストラルはこの三幻神を見たことあるの」
「無いぜ。三幻神のカードは今は失われているからさ」
「なら……カード会社が三幻神のレプリカとか作ればいいのにね」
レティシアが三幻神のカードをまた作ればいいのにと思ったが、遊馬とアストラルは苦い表情を浮かべながら重々しく口を開く。
「絶対に無理だと思うぜ。三幻神のカードは選ばれたデュエリストにしか扱えないんだ。三幻神は……下手すればナンバーズよりも恐ろしい力を持っているんだ」
「かつて……三幻神の制作に関わった多くの人達が次々と謎の死を遂げてしまった。それは神の呪いとも言われていた。創造主のペガサスですらその力を恐れて、エジプトの地下深くに封印せざるを得なかった……」
「ただでさえすげぇ力が秘められたカードなのに……レプリカなんか作ってそれを使ったら、どんな呪いや災いが来るか……」
三幻神にまつわる恐ろしい話を聞いてみんなは背筋が凍った。
やはり遊馬達の世界はこちらの世界でも負けず劣らずのとんでもない世界なのだと改めて実感するのだった。
「──遊馬君!アストラルさん!」
するとそこにマシュがアルトリアとジャックと一緒に走って食堂に入ってきた。
「マシュ、それにアルトリアとジャック……どうしたんだ?」
「マスター、モードレッドが消えました」
「モードレッドが!?」
「はい。ちょっと説──ではなく、話をしていたら急に目の前から消えました」
アルトリアはモードレッドと話をしている時に突然目の前からモードレッドが消えてしまったのだ。
次にジャックは遊馬に抱きつき、涙目で話した。
「おかあさん……ハーちゃんが、ハーちゃんがいなくなった……」
「ハーちゃんだけでなく、他の百貌のハサンの皆さんもです……」
ハーちゃんことちびアサシンだけでなく、他の数十人もいる百貌のハサンも消えてしまった。
カルデアからサーヴァントが消えたということは……。
「新たな特異点だな……アストラル!」
「ああ。マシュ、私達は部屋に戻ってすぐに準備を始める。君も準備を!」
「はい!」
遊馬とアストラルとマシュはすぐに特異点に向けて自室に戻って準備をする。
「おかあさん!ハーちゃんを見つけたら教えてね!」
「マスターさん!私たちはいつでも出られるように準備します!」
ハーちゃんと仲が良いジャックやナーサリーがハーちゃんを必ず助けるという強い意志を見せ、その他のちびっ子達も頷いた。
「分かった!頼りにしてるぜ!」
遊馬はちびっ子達の頭を撫でてから自室へ急いだ。
自室に戻った遊馬はいつもの支度を整えて準備を終えて管制室に向かった。
管制室で遊馬とアストラルとマシュとフォウ、オルガマリーとロマニとダ・ヴィンチちゃんが集まり、早速ブリーフィングを行う。
「今回はいよいよ第六特異点。先程連絡を受けてモードレッドと百貌のハサンが特異点先で召喚されたと思うわ。時代は十三世紀、場所は『聖地』として知られるエルサレムよ」
「エルサレム?えっと、何処だっけ……?」
「エルサレムはイスラエルの首都だ。エジプトの東側にあると言えば分かりやすいか?」
「おお、なるほど」
いつものように知識が足らない遊馬にアストラルが助言をする。
「西暦は1273年。第九回十字軍が終了し、エルサレム王国が地上から姿を消した直後の時期ね。十字軍遠征の終了……それは西洋諸国がエルサレムから撤退したことは現代にまで続く人類史へと多大な影響を与えているわ。ただ……」
オルガマリーは歯切れの悪い様子でこの特異点の『異質』を話した。
実は第六特異点の予測は前回のアメリカよりも早く出来ていた。
しかし、シバから帰ってくる観測結果があまりにも安定しなかった。
時代証明が一致しない、時には観測そのものができない時もあった。
観測の光そのものが消えてしまうという異常事態になっていた。
それはつまり、第六特異点はカルデアスの表面に存在しない……その部分だけが空洞となってしまうものになっていた。
これまでに無い異常事態で、第六特異点は人理の流れから外れようとしていた。
それだけではなく……。
「この特異点は今までと違った未知のエネルギーを観測していたの。とても大きな……全てを呑み込みそうなけれど、不気味な力をね……でも、それもすぐに消えてしまった」
「今までのレイシフト先は『その時代』を見出そうとするソロモンの聖杯との戦いだった……」
「だけど、今回は特異点そのものが『あってはならない』歴史になりつつある。下手したら人類史は多大な被害を受けるだろうね。それ故に、第六特異点の人理定礎評価はEXだ。何もかも特殊な事例と言うことだね。と言うことで……!」
オルガマリー、ロマニ、ダ・ヴィンチちゃんの説明が終わると、ダ・ヴィンチちゃんは遊馬の前に立って手を前に出した。
「ダ・ヴィンチちゃん?」
「遊馬君、いよいよ時が来たよ。さあ、私と契約をしてくれるかな?」
ダ・ヴィンチちゃんが何と遊馬との契約を望んできた。
「「何ィッ!?」」
「え?良いのかよ、ダ・ヴィンチちゃん」
「なにしろ前人未到の人理定礎EXだ。遊馬君にはこの天才の助けがいよいよ必要さ!」
「おおっ!万能の天才のダ・ヴィンチちゃんがいれば百人力だぜ!」
「ははっ、大船に乗った気でいてくれたまえ!」
遊馬とダ・ヴィンチちゃんはノリノリで契約を交わそうとしたが、それをオルガマリーが待ったをかけた。
「ちょっと待ちなさいよ!なんであんたが前線に出るのよ!?あんたは技術局特別名誉顧問でしょ!?」
ダ・ヴィンチちゃんはカルデアのサーヴァントではあるが、技術局特別名誉顧問として技術部のトップを務めて普段から様々なアイテムの開発と研究を行っている。
後方支援を徹底していたので、今まで遊馬と契約しなかったのもその為だった。
「オルガマリー。こう言う時だからこそ、私の頭脳が必要なのさ」
ダ・ヴィンチちゃんはいつになく真剣な表情でオルガマリーを見つめる。
意外に頑固なところがあるダ・ヴィンチちゃんに根負けし、オルガマリーはため息をついてダ・ヴィンチちゃんの同行を許可した。
「さあ、遊馬君。頼むよ♪」
「ああ!」
遊馬はダ・ヴィンチちゃんと握手をしてサーヴァント契約を行い、ダ・ヴィンチちゃんのフェイトナンバーズが誕生する。
ダ・ヴィンチちゃんのフェイトナンバーズは遊馬と相性が良いのですぐに覚醒した。
カードのイラストにはダ・ヴィンチちゃんが様々な機械を操る姿が描かれており、真名は『FNo.66 万能の天才 ダ・ヴィンチちゃん』。
「これで名実共に遊馬君のサーヴァントになれた訳だ。改めてこれからよろしく頼むよ、マスター♪」
「こちらこそよろしく頼むぜ、ダ・ヴィンチちゃん!」
遊馬とダ・ヴィンチちゃんはハイタッチを交わした。
続いて今回の特異点の護衛サーヴァントとして選ばれたのは……。
「マスター、よろしくお願いします。必ず、モードレッドの馬鹿息子を連れ戻します」
「まさか私がアルトリアのお目付役に選ばれるとは……」
アルトリアとエミヤの二人だった。
アルトリアはいなくなったモードレッドを連れ戻すと燃えており、エミヤはそんなアルトリアのお目付役に選ばれてしまった。
「それから……胸騒ぎがするのです……モードレッドに何かあったのではないかと……」
何だかんだでアルトリアはモードレッドのことを心配しており、胸騒ぎがして不安な心境を語った。
「あっ、そうだ……みんな、聞いてくれ!」
特異点に向けての話が一通り終わると、遊馬は夢で見た少年騎士の話をみんなにする。
少年騎士が話した第六特異点で待ち受ける魔術王に匹敵する強大な敵の存在。
そして……。
「そいつは自分の名前を名乗ってなかったけど、多分……マシュに盾と戦う力をくれた英霊だ」
「えっ……!?」
「フォウ……!?」
遊馬は少年騎士の正体は数年前にマシュの中に召喚されて、後にデミ・サーヴァントとして盾と力を与えてくれた英霊だと気付いた。
遊馬は少年騎士から託されたマシュへの言伝を伝えた。
「マシュ、あいつからの伝言だ。戦いが終わったら幸せに暮らしてくれ、ってさ……」
「──っ!?」
それを聞いた瞬間、マシュの目から大粒の涙が溢れてその場に座り込んでしまった。
「マ、マシュ!?」
「ご、ごめんなさい……嬉しくて、思わず……」
少年騎士が自分の事をこれほどまでに思ってくれていたことに感極まって涙を流してしまったのだ。
マシュは自分を救い、戦う力を貸してくれた少年騎士に大きな感謝の気持ちを抱き、その想いに応える為にも必ず人理を修復して未来を取り戻すと強く心に誓った。
「さあ、みんな……行くぜ!」
「ああ!」
「はい!」
「フォーウ!」
「いぇい!」
「行きましょう!」
「うむ!」
遊馬達は第六特異点に向けて気合を入れ、遊馬はマシュ、ダ・ヴィンチちゃん、アルトリア、エミヤをフェイトナンバーズに入れてデッキケースにしまう。
アストラルは皇の鍵の中に入り、フォウは遊馬の上着のフードの中に入って準備完了となり、遊馬はコフィンの中に入る。
そして、これまでとは異なる未知なる戦いが待つであろう、第六特異点……十三世紀のエルサレムに向けてレイシフトを行う。
☆
灼熱の砂漠の中にある一つの大きな王国。
その王国を治める『王たち』が住まう宮殿の一室……そこにいる一人の少年は太陽を見上げていた。
すると、少年は『何か』の気配に気付き、首からかけているピラミッドを逆さにしたような正四角錐の金の大きな首飾りの『ウジャド眼』から黄金の光が放たれる。
その反応に少年は嬉しそうに笑みを浮かべ、拳を握りしめた。
「遂に来たか……選ばれし運命のデュエリスト!」
少年はマントを翻し、待ちかねたように部屋を後にしてすぐに行動に移した。
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次回は早速ですが、皆さんトラウマのアレのイベントを行きたいと思います。
まあ、そこは……うちの遊馬君とアストラルがやってくれますので安心してもいいと思います。